【スーパーゴール量産機】ジャンルカ・スカマッカのプレースタイルを徹底解剖!

【スーパーゴール量産機】ジャンルカ・スカマッカのプレースタイルを徹底解剖!

2021年12月14日 3 投稿者: マツシタ
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本来の予定から1年延期されて2021年に開催されたEUROにおいてチャンピオンに輝いたイタリア代表。まさかその後半年もたたないうちにW杯出場の危機に陥るとは全く想定していなかっただろう。

後半戦はリトアニア戦を除けば4試合でわずか2得点と深刻な得点不足にあえぎ、5試合で1勝しかできずにスイスに順位を逆転される羽目に。W杯本選進出をかけたプレーオフに回ることになってしまったのだ。

そんな状況下にあって、新世代ストライカーの台頭が期待されている。その中でも特に期待されているといっていい逸材がサッスオーロにいる。ジャンルカ・スカマッカ。現在22歳の若手ストライカーである。

 

ラツィオ、ローマという首都クラブの下部組織に在籍していたスカマッカはその後オランダの名門PSVに引き抜かれ、リザーブチームのヨングPSV(当時オランダ2部)でデビューしたという異色のキャリアを持つイタリア人。デビューから1年後にサッスオーロに引き抜かれている。いわば逆輸入だ。

その後もレンタル生活が続いたスカマッカ。その才能が開花したのは3つ目のレンタル先、アスコリにおいてだった。19-20シーズンのセリエBで33試合に出場し9ゴール1アシストを記録。当時20歳だった。

そして、昨シーズンにはセリエAに初挑戦。ジェノアにレンタルされてここでも26試合8ゴール2アシストとチーム2位タイの得点数をあげて着実に成長。そして今シーズンは満を持して所属先のサッスオーロに残留、スタメン争いに挑んでいる。

シーズン開幕当初は出番が限られたものの、徐々に出番を増やしてスタメンに定着したスカマッカ。第13節からの3戦連発含めここまで5ゴールと自己最多のペースで得点を重ねている。

イタリア期待の若手ストライカーとして成長を重ねるスカマッカ。今回は、彼の現在地を探ってみようと思う。




スカマッカのプレースタイル

 

強烈な右足

スカマッカの最大の武器が強烈な右足だ。足の振りがシャープで、パワーを正確にボールに伝える。コースを狙うよりもパワーで打ち破らんがごとく、豪快に蹴り込むのがスカマッカの十八番だ。

自分の足に自信を持つ彼は、ペナルティエリア外からでも積極的にシュートを狙っていく。

  • 90分あたりシュート数 3.79(セリエA5位

と、シュートに対して非常に積極的であることはデータも裏付けている。

シュートレンジがとても広い上多少無理な体勢からでも強烈なシュートが打てるスカマッカは、後ろ向きからでも振り向きざまにシュートを打つことも多い。その結果、スーパーゴールをいくつも生み出す印象だ。映像で見てもらおう。

 

↓ ミラン戦のゴール

 

↓ ナポリ戦のゴール

 

データでも見てみよう。

スカマッカのゴールについて、シュートを打った位置をピッチ上にプロットしたもの。円の大きさはゴール期待値の大きさを表す。understat.comより。

上の図を見ればわかるように、スカマッカのシュートは総じてゴール期待値が小さいことがわかる。つまり、難易度が高いシュートを多く決めていると言える。実にスカマッカらしいデータだ。

参考までに、ヴラホビッチについて同様のデータを見てみよう。スカマッカのそれと比較すると、円が大きいことがわかると思う。understat.comより。

 

多少強引かもしれないが、何の前触れもないところからゴールを生み出せる。これがスカマッカの最大の魅力だ。




攻撃の起点としても機能する

また、スカマッカはポストプレーヤーとしても非常に有能。196cm85kgと若干細身だが体幹がしっかりしておりコンタクトプレーでバランスを崩す場面が少ない。

また純粋なセンターフォワードタイプとしては足元のテクニックレベルが非常に高く、確実に起点を作ってくれる。鋭いボールでもピタッと足元に止めてしまったり、正確なダイレクトパスで味方にチャンスを演出したりと目を見張るプレーを見せることも少なくない。

たとえばヴラホビッチと比べると攻撃の起点としての能力は上回っている印象すらある。

 

〈パスレシーブ成功率〉

 

このように、セリエAの並みいるストライカーたちを上回るパスレシーブ成功率を記録している。筆者の集計が正しければ、ストライカータイプとしてはイブラジェコ、アルナウトビッチ、モラタに次いでセリエAで第5位の数字である。

そのテクニックレベルの高さ故にドリブル成功率も高く、

  • ドリブル成功率 62.5%

と1トップタイプではケーン、モラタ、カプート、アルナウトビッチに次ぐ第5位の数字を残している。味方のサポートが遅ければフィジカルとテクニックを駆使したボールキープで時間を作ってくれるスカマッカ。最前線の基準点として、とても高い能力を持っていると評価していいはずだ。

 

まとめると、

  • 非常に強烈な右足からのシュートを最大の武器とし、
  • エリア外や無理な体勢からでもきわどいシュートを放てる理不尽なストライカーで、
  • テクニック・フィジカルコンタクトともに優れているため最前線の基準点としてもハイレベル

196cmという長身とそれに見合わぬ高度なテクニック、ダイナミックなフィニッシュ。イブラヒモビッチを思わせるスケールの大きなストライカーである。今後の成長次第では、本当にイタリア代表の1トップで不動の地位を築いていてもおかしくないだけのポテンシャルを持っていると思う。今後の成長を注視したい逸材である。




スカマッカの伸びしろ

それでは、スカマッカがイタリア代表のエースとして君臨するために改善すべき点はどこなのか。

ここでもう一度ヴラホビッチの得点エリアとその期待値について見てみよう。

やはりここで注目したいのは期待値が大きいシュートの多さだ。ヴラホビッチは得点しやすいシュートを確実に仕留めていることが読み取れる。

ここでヴラホビッチが味方に恵まれていて簡単なシュートチャンスが多く回ってくる、ということを言いたいわけではない。ゴール期待値というのはシュートを打った場所以外にも、周囲の状況、例えばディフェンダーの位置なども算出のための要素になっている。つまり、ヴラホビッチはシュートを打つ時にフリーになることができているわけだ。しかも、ゴール前で。

細かい駆け引きによって相手CBのマークを外しワンタッチでゴールに流し込むプレーが彼の真骨頂であることは、ヴラホビッチの徹底分析で紹介した通りである。それがデータによく表れていると見ていいだろう。

 

それでは、今度はスカマッカについて決まらなかったシュートの期待値を見てみよう。

シュートミス、セーブされたシュート、ブロックされたシュートに関して表示している。understat.comより。

スカマッカのデータは総じて円が小さい。つまり、期待値が低いシュートがほとんどであるということ。フリーでシュートを打つことが少なく、近くに相手がいる中でも強引にフィニッシュに持っていっている場面が大半であることがよくわかる。

これこそがまさにスカマッカの伸びしろであり課題。相手CBのマークを外すための細かい駆け引きがほとんど見られないのだ。

スカマッカは基本的にその場に立ったまま、あるいは少し引いてきてボールをもらおうとするため、相手が常に近くにいる状態でプレーしている。それでも高いパスレシーブ成功率を記録しているのが彼のポテンシャルの大きさともいえるが、フィニッシュに関してはこの影響がモロに出ている印象。

クロスボールにフリーになって合わせる場面がほとんどなく、裏への動き出しも少ないためラインブレイクして1対1を沈めるようなフィニッシュもほとんど見られない。いわゆるストライカー的なゴールがほとんどないのがスカマッカの現状である。

ここが改善されなければセリエAで得点王を争うほどのストライカーには到達できないのではないか、というのが個人的な見立てだ。

 

↓ フィニッシュした後のスカマッカに注目。クロスボールが上がってきそうな場面なのだが、足を止めてしまっていることがわかると思う。

 

それでは、ほとんど駆け引きなくともゴールに叩き込めるくらいのヘディングの強さがあるのかと言われると、そうでもないのだ。

  • 空中戦勝率 52.9%

という数字は196cmという長身から考えると高いとは言えない。実際に試合を見ていても落下地点の読みやジャンプのタイミングなどにまだまだ改善の余地がある。

ヘディングが苦手であることが、足元足元になってしまう原因なのかもしれない。ここはひとつ、天性の長身を武器に変えたいところだ。

 

全体的に、スカマッカはまだその特大の才能を持て余しているというか、細かい粗を才能に頼って誤魔化している状態である印象。ストライカーとしての完成度は高いとは言えない段階だと思う。

少し厳しい言い方になってしまったが、それは期待の裏返しだと思ってほしい。その才能を適切に発揮できれば、セリエAで得点王を争い、アッズーリで不動の1トップを張ってもおかしくないくらいのものを持っていると思っているからこそ、あえて足りない部分を指摘させてもらった。

彼はイタリア版イブラヒモビッチになれるだけの資質を持っている。それを生かすも殺すも自分次第だ。課題を克服し、真のストライカーとして大成できるか。今後も注意深く見守っていきたいと思う。




あとがき

今季の活躍を受けて移籍の噂も多く出てきているスカマッカ。前述のようにまだまだ粗があるこれからの選手ゆえ、次の移籍先がどこになるかは非常に重要になるだろう。ストライカーとしての動きをしっかりと叩き込んでくれるいいお手本、あるいは指導者がいるクラブが望ましいように思えるが…。

ピッチ外での動向にも注目だ。

 

 

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