【ディオニージの秘蔵っ子】ダビデ・フラッテージのプレースタイルを徹底解剖!

【ディオニージの秘蔵っ子】ダビデ・フラッテージのプレースタイルを徹底解剖!

2021年10月30日 0 投稿者: マツシタ
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USサッスオーロ。ここ数シーズンですっかりセリエAで7強に次ぐ立ち位置を確立した中堅クラブだ。

躍進の最大の功労者だったロベルト・デゼルビ監督が去って迎えた今シーズン、新監督に就任したアレッシオ・ディオニージは前任者が確立したポゼッションサッカーに縦への速さというエッセンスを加え、さらに進化させようとしている。

そんなディオニージが重用している新戦力がいる。ダビデ・フラッテージだ。

 

ローマユース出身のフラッテージは、2017年にサッスオーロユースへ移籍、コッパ・イタリアのアタランタ戦でポリターノに代わってピッチに入りプロデビューを果たした。

その後はアスコリ、エンポリ、モンツァと2部へのレンタルを繰り返して経験を積んできたフラッテージは、今シーズン開幕前もサッスオーロのプレシーズンキャンプに参加しつつどこでプレーするかを模索していた。しかし、キャンプでのプレーがディオニージの目に留まり、今シーズンは所属元のサッスオーロでプレーすることになった。そればかりか、開幕からスタメンに定着、ここまで10試合すべてに先発出場しているのだ。

昨季の中心選手、ロカテッリが抜けた中盤で奮闘するフラッテージ。彼が一体どんな選手なのか掘り下げていこうと思う。




フラッテージのプレースタイル

 

ダイナミズムが最大の特徴

フラッテージの最大の特徴がダイナミズムだ。

フラッテージの今シーズンのプレーエリア。右サイドを起点にしながらも、ミドルサード全域に自陣・敵陣のペナルティエリアまで幅広くプレーしていることがわかる。

身体能力に恵まれているフラッテージは、豊富なスタミナとダッシュ力を備える。こうした基礎能力を活かし、攻守に幅広く絡めるのがフラッテージの最大の特徴である。

サッスオーロのダブルボランチはフラッテージとマキシム・ロペスのコンビ。マキシム・ロペスはボールと自分が動きながら試合を組み立てる動的なレジスタで、その動きに合わせてフラッテージが広範囲を動きながらバランスをとる。このふたりのコンビは補完性が抜群だ。




縦への推進力とファイナルサードでの関与

マキシム・ロペスが「サッスオーロらしい」選手だとすれば、フラッテージはサッスオーロにおいてほかとは少し毛色が違う選手だ。というのも、彼の最大の特徴が縦志向の強さにあるからだ。

とにかくボールを持ったらまず前を見るフラッテージは、積極的に縦パスを供給して攻撃を加速させる。

  • パス成功率 83.5%(チーム内10位、FBref.comより)

とMFの選手としてはあまり高くない数値になっているのも、リスクを承知で縦パスをどんどん入れていくからだろう。

 

さらに、彼の縦志向の強さを象徴しているのがピッチ中央を切り裂くドリブル。前方にスペースが空いていれば積極的に持ち上がって局面を打開するのが彼の真骨頂だ。

サッスオーロは最終ラインと前線の選手たちを分断してその間に大きなスペースを作るという戦術を採用していて、ピッチ中央には広大なスペースができることになる。ここを活用してフラッテージは持ち味を最大限に発揮しているのだ。

右でボールが展開している間に中央を駆け上がるフラッテージ。

持ち前のダッシュ力でポベガを置き去りにしてボールを受けたフラッテージ。そのまま中央を切り裂きシュートへつなげたものの、惜しくもポストに嫌われた。

 

〈SofaScoreより、フラッテージのドリブル総数・成功数・成功率〉

  • ドリブル総数  13
  • ドリブル成功数 10
  • ドリブル成功率 77%

〈FBref.comより、フラッテージのキャリーによるファイナルサード侵入数〉

  • キャリーによるアタッキングサードへの侵入 15(チーム内3位

※キャリーとは突破をともなわない「運ぶドリブル」のこと。

このように、各種データがフラッテージのドリブルの多さと成功率の高さを裏付けている。パスワークを武器とするサッスオーロにあって異色な特徴といえるが、そのドリブルが局面を進めるうえで非常に重要な役割を果たしていることがわかる。

 

また、彼の縦志向の強さはボールを持っているときだけに限らない。オフ・ザ・ボールでも積極的にゴール前に飛び出して攻撃に厚みをつける。

アタランタ戦の得点シーン。フラッテージが縦のランニングで相手のMFを引き付けたことで、ベラルディがカットインするスペースが生まれている。

アタランタ戦の別の場面。今後は逆サイドまでダイアゴナルランを見せているフラッテージ。

このように、フラッテージはファイナルサードの積極的に顔を出すためフィニッシュに絡む頻度も高くなっている。

  • シュート総数 15(チーム内3位

このシュートの多さが得点に結びつき始めたことは吉兆だ。直近の2試合(ヴェネツィア戦、ユベントス戦)で2試合連続ゴールを記録しているのである。

いずれもここぞのタイミングで前線に飛び出してパスを受けた形。フラッテージらしい3列目からの飛び出しから生まれた得点である。

↓ ユベントス戦の得点

 

↓ ヴェネツィア戦の得点

 

昨季までのデゼルビ体制と今季から始まったディオニージ体制、その最大の違いがビルドアップの速さだ。デゼルビ時代はもう少しじっくりとボールを回して攻撃を組み立てようとしていたのに対し、今季からはどんどん縦にボールを送って素早く相手ゴール前までボールを運ぼうとする場面が増えている。

そんなディオニージ・サッスオーロにおいて、フラッテージは加速器としての役割を果たす。フラッテージのプレースタイルとディオニージの目指すスタイルが共鳴しているからこそ彼は重用されているのだ。

それゆえ、フラッテージが先発で使われ続けていることは今季のサッスオーロらしさを象徴しているといえると思う。




中盤の広範囲でボールハントを敢行

フラッテージは守備での貢献度も高い。FBref.comより守備に関するデータを引用すると、

  • タックル総数 10(チーム内4位タイ
  • プレッシャー総数 136(チーム内1位
  • ブロック総数 17(チーム内1位

と軒並みチームトップクラスの数値を記録しているのだ。

 

178cm74kgと特別大柄ではないフラッテージだが、コンタクトプレーに強く当たり負けしない。ファイティングスピリットも旺盛で、球際でのデュエルに嬉々として臨んでいく。

  • 地上戦デュエル勝率 53%

と、地上戦の勝率は5割を超えている(SofaScoreより)。

 

さらに、各守備アクションを行われたエリアごとに見ていくと、

  • ミドルサードでのタックル数 6(チーム内1位
  • ミドルサードでのプレッシャー数 75(チーム内1位

とミドルサードでの数が多いことがわかる(FBref.comより)。

 

先述のように、サッスオーロは中盤を空洞化させる戦術を採用している。それは、裏を返せば守備に転じたときに手薄になった中盤を簡単に通過され、ファイナルサードまで進出される危険性をもはらんでいることになる。ここで防波堤になるのがカバー範囲が広いフラッテージなのだ。彼が広範囲を動きながらカウンターの芽を摘むことは、サッスオーロにとって非常に重要なのである。

アタッカーが競り合ったこぼれ球に反応するフラッテージ。

相手に競り勝ち、しっかりとボールを回収した。

そのまま得意のドリブルで持ち上がってラストパスを供給、決定的な場面を演出した。このように、いい守備をそのまま攻撃に転化できることもフラッテージの魅力だ。

 

↓ フラッテージらしさを詰め込んだような場面。中盤でボールを奪うと、そのままドリブルを開始。数十メートルを持ち上がってラストパス、ゴールを演出した。

 

まとめると、

  • スタミナとダッシュ力を兼ね備え中盤全域をカバーでき、
  • パスでもドリブルでも縦に積極的に展開して攻撃を加速させ、
  • オフ・ザ・ボールの飛び出しで得点に絡むこともでき、
  • 中盤全域で積極的なボールハントを敢行する

テクニックとダイナミズム、ファイティングスピリットを兼ね備えるモダンなMFであるフラッテージ。

質と量を兼ね備える稀有な存在という意味で、個人的にはネクスト・バレッラとして期待している。特に推進力あふれるドリブルでの持ち上がりはそっくりだ。

そのバレッラ同様、A代表への招集も期待されるフラッテージ。現在の好調が続いて行けばそう遠くない未来で実現するはずだ。




フラッテージの伸びしろ

それでは、フラッテージがA代表入りするために伸ばしたい部分はどこなのか。それが、ファイナルサードでのクオリティ向上だ。

先ほどシュート数がチームでもトップ3に入るほど多いと紹介したけれど、その精度に関するデータを見てみると印象が変わってくる。

  • 枠内シュート総数 4(チーム内5位タイ
  • 枠内シュート率 26.7%(チーム内10位

このように、シュート精度に関してはまだまだ改善の余地があるのがフラッテージの現状だ。

特に改善したいのがミドルシュート。距離が遠くなればなるほど精度が落ちてしまう傾向にあり、ここは要改善だ。

 

ただ、先ほども紹介したようにここ2試合で連続得点を記録しているフラッテージ。徐々にシュート数に得点数が追い付いてきつつある。このまま決定力に磨きをかけ、数字を伸ばしていってもらいたいところだ。

 

また、味方にチャンスを提供する部分に関しても改善の余地はある。

ファイナルサードでプレーする頻度が多いにもかかわらず、

  • キーパス数 5(チーム内9位

という数字は物足りない印象だ。縦へグングン進みつつも、その中に周囲の状況を観察する余裕が持てれば、より味方を活かすプレーも向上してくるはずだ。

 

バレッラも20代前半の頃にはハイレベルな量に質が伴っていなかったものだが、いまでは決定機創出・アシストともにリーグトップの数字を記録するまでに成長を遂げた。

フラッテージもファイナルサードでのプレーに関与できるだけの運動能力を持っている。ここにクオリティが伴ってくれば、攻守に万能なMFとして大成していけるはずだ。

フラッテージのセリエAでの挑戦はまだ始まったばかり。ここからのさらなる成長に期待したいところだ。




あとがき

チームが目指すスタイルと選手自身の特徴が噛み合って輝きを増す。今季のサッスオーロとフラッテージはまさにそんな関係性だと思う。後代に広がる中盤のスペースにおいて、攻撃時にはそこを使ったドリブルで、守備時にはそのスペースを管理するハンターとして重要な役割を担うフラッテージ。すっかり今季のサッスオーロのキーマンだ。

サッスオーロをさらにもう一段階進化させるかもしれないフラッテージ。彼のプレーぶりに注目だ。




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