【二次創作】セリエA第7節 フィオレンティーナvsナポリ マッチレポ

【二次創作】セリエA第7節 フィオレンティーナvsナポリ マッチレポ

2021年10月4日 0 投稿者: マツシタ
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今回は開幕6連勝とロケットスタートを切ったSSCナポリがAFCフィオレンティーナと対戦したセリエA第7節の一戦のレビューをお届けしようと思う。

 

 

スタメン

 




前半

 

5レーン+ワイドアタック

前半28分、フィオレンティーナはコーナーキックからマルティネス・クアルタがボレーシュートを決めて先制する。ここでは、まずフィオレンティーナの攻撃とナポリの守備について見てみよう。

〈フィオレンティーナの攻撃〉

  • 押し込んでからの配置は2-1-2-5
  • ナポリの4バックに対して5トップで数的優位を形成。大きく左右に揺さぶってサイド攻撃を狙う。
  • 下図に置いて線で結んだ選手(ダンカン⇔ゴンサレス、カジェホン⇔オドリオソラ⇔ボナベントゥーラ)は立ち位置を入れ替える。ただし5トップは崩さない
  • ビルドアップが詰まりそうになったらボナベントゥーラが降りてサポート

〈ナポリの守備〉

  • 組織的守備時の陣形は4-4-1-1
  • ジエリンスキが相手のレジスタ(プルガル)をマーク
  • オシメンが最前線でプレスをかけるものの、GK+CBの3枚で容易に回避される。
  • 序盤はプレスを試行したもののもののハマらない。→後退するように。

このかみ合わせを図に表すとこんな感じ。

4バックに対して5レーンを埋めて攻め立てる。近年の教科書通りの攻撃だ。

ナポリの最終ラインはボールがあるサイドへスライドしてくるので、逆サイドのWGはフリーになる。片方のサイドから崩しにかかり、相手が寄ってきたら逆に大きく展開してもう一度サイド攻撃。最終的にはクロスボールを送り込む。これがフィオレンティーナの攻撃の狙いだった。

特に崩しの中心になっていたのが左サイド。SBのビラーギがクロッサーとして重要な役割を果たしていた。

〈クリスティアーノ・ビラーギ SofaScore.comより〉

  • クロス総数(成功数) 9(5) いずれも両チーム最多

 

フィオレンティーナの先制点はコーナーキックから奪ったものだったが、そのコーナーキックはビラーギのクロスがロサーノに当たったことで得たものだった。この試合何度も見せていた狙いが結実したゴールだったといえる。




 

スパレッティの二次創作

一方のナポリも負けてはいない。こちらも明確な狙いを準備し、それが結実する形で38分の同点ゴールが決まっている。ナポリの攻撃についても見てみよう。

〈ナポリの攻撃〉

  • ビルドアップ時の配置は左右非対称の5-2-1-3
  • SBをワイドかつ低い位置に配置するのが特徴。
  • 中盤はジエリンスキが中途半端に高い位置をとってL字型になることが多い。
  • インシーニェは降りてくる一方ロサーノは高い位置に張る。

図のように、4バックはワイドにかつ低めの位置にポジション。特にSBのポジション取りがキーだ。

 

セリエA公式サイトより、ナポリのボール保持時の平均ポジション。インシーニェとロサーノの高さに差があることがわかる。

 

対するフィオレンティーナの守備についても見てみよう。

〈フィオレンティーナの守備〉

  • プレッシング時の陣形は4-1-3-2
  • 中盤が変則的。ボナベントゥーラはFW化してクリバリにプレス。プルガルは縦にスライドしてファビアンをマーク。左MFのダンカンがその背後を埋める。
  • 両WGは低めの位置で中央をケアし、SBにボールが出たらプレス
  • ボールサイドのSBはナポリのWGをマンマーク

 

このかみ合わせを図に落とし込むとこんな感じだ。

 

ポイントは中盤の攻防。ボナベントゥーラ、プルガルと右側のふたりが前に出ていくのがフィオレンティーナの守備の原則。ダンカンが背後を気にかけていたとはいえ、基本ポジションが左インサイドハーフなので右側をカバーするのには限界がある。

この右側(ナポリでいう左側)の中途半端な位置にポジションしていたのがジエリンスキだ。ボナベントゥーラの背後でいやらしい立ち位置をとっている。

このジエリンスキを気にかけていたのがカジェホン。本来カジェホンのマーク担当はマリオ・ルイなのだが、ジエリンスキの存在によってカジェホンは引っ張られていた。一方、担当のマリオ・ルイはワイドかつ低い位置に立っているので寄せるまでには時間がかかる。これがSBを低めかつワイドな位置にポジションさせる理由であり、ゆえにマリオ・ルイには時間が与えられていた。彼を起点にナポリはフィオレンティーナのプレスを剥がしていく。

ここにさらに一工夫入れているのがスパレッティの憎いところ。それがインシーニェの低めのポジションだ。これによってオドリオソラを引っ張り出す。そうしてフィオレンティーナの右サイドを手薄にし、オシメンに勝負させる。これがナポリの攻撃の狙いだった。

 

SofaScore.comより、ナポリの前半のプレーエリア。マリオ・ルイがいる左サイド低い位置を起点に、そのまま左から攻撃していることがよくわかる。

 

ナポリの同点弾はPKから生まれるわけだが、そのPK奪取のシーンはまさにナポリの狙い通りだった。画像で確認してみよう。

マリオ・ルイに寄せていくカジェホン。その間にカジェホンが元いたスペースにファビアンが侵入し、パスを受けてオシメンの裏へスルーパス。

インシーニェが降りてきてオドリオソラを引っ張り出していることにも注目。

左サイド背後のスペースに抜け出したオシメンがマルティネス・クアルタとスピード勝負に。クアルタはたまらず背後から倒してPKを献上した。

 

実はSBを低い位置にとどまらせてロングフィードの起点にするというこのやり方、イタリアーノ監督がフィオレンティーナでよく使っている形だ。おそらくスパレッティはフィオレンティーナを研究して行く上で「これうちも使えるじゃん」と気づいたんだと思う。

そのうえで、同じやり方で自分たちの方が火力が出せるとも感じていたはずだ。ヴラホビッチはポストプレーヤーで、単騎突撃は得意ではない。それゆえ、ヴラホビッチの周りには落としを受ける選手を配置してやる必要がある。

一方、オシメンは単独でも敵陣を切り裂ける。だから低い位置に人数をかけてビルドアップを安定させることができるし、それでいてオシメン1人で決定機を作り出せる。ただパクるのではなく、質を上げてよりいいものに仕上げる。素晴らしい二次創作だった。




後半

後半はササっと行きたいと思う。

後半立ち上がりの50分、トリックフリーキックからラフマニがヘディングで決めてナポリが逆転する。

このゴールを受けてスパレッティが動く。57分にエルマスとポリターノを投入したのだ。これを機にナポリは右サイドからの攻撃を増やしていく。前半は徹底して左から攻めていたのとは明らかに異なっていた。

〈SofaScore.comより、マッテオ・ポリターノ

  • ドリブル総数(成功数) 4(2) 総数はオシメンに次いで2位、成功数は1位タイ。途中出場ながら高い数値を記録している。

 

エルマスの決定機もその流れから訪れている。

前半は徹底して左サイド裏を狙っていたオシメンが右サイドまで流れてきている。これまでは見られなかった形だ。

このサイド転換の狙いはおそらく相手のキーマン、ビラーギを自陣に押し込むことだ。前述のようにビラーギのクロスはフィオレンティーナの崩しにおいて最大の武器。彼を自陣ゴールから遠ざけることで脅威を軽減しようとしたと考える。

これによってピッチの上下動を強いられたビラーギは大きく消耗、試合終盤にトラップミスやパスミスを連発している。これまたスパレッティの狙い通りだろう。

 

さらに、前半は放棄していたプレッシングを逆転した後に復活させたのも憎い。前半はリトリート志向だったのが、より高い位置にブロックを構築して相手の前進に制限をかけた。終盤にファビアンを下げてメルテンスを投入したのが象徴的だった。逃げ切るために引くのではなく、リードしているからこそ前に出る。スパレッティらしい決断だったと思う。

これによってフィオレンティーナは最終ラインが押し込まれて前線隊と分断。スムーズなビルドアップが困難になっていく。低い位置に降りたソッティル&ゴンサレスの両WGがドリブルで持ち上がることでボールを前進させていたものの、そこへのサポートがなく孤立。決定的なチャンスを作り出せず、イタリアーノも有効な解決策を見出すことができずタイムアップに。中盤を削ってFWのココーリンを投入した交代策も前後分断に拍車をかける形になってしまった。

逃げ切りに向けて有効な手を打ち続けたスパレッティと修正を施せなかったイタリアーノ。自分が普段用いている戦術でしてやられただけに、はらわたが煮えくり返る思いだったはずだ。捲土重来に期待したい。




あとがき

セリエA屈指の戦術家対決としてかねてから注目していたこの試合、終わってみれば老獪なスパレッティが新鋭イタリアーノに格の違いを見せつける形になった。

これで7連勝と首位をひた走るナポリ。この勢いはどこまで続くのか、今後も注目だ。