【ダベルサ流ストーミング】サンプドリアの戦術を徹底詳解!(前編)

【ダベルサ流ストーミング】サンプドリアの戦術を徹底詳解!(前編)

2021年9月22日 3 投稿者: マツシタ
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セリエA21‐22シーズンが開幕し第4節までを消化した。半数以上の12チームで監督交代が行われた今シーズン、序盤は各チーム基礎固めに費やすのかと思っていた。ところがどっこい、ふたを開けてみればどのチームも完成度が非常に高い。すでに明確な路線を打ち出しているチームが多いし、それらが正面からぶつかり合うことで見ごたえがある試合が続いている。結果としてどのチームが上位にきてもおかしくないと感じさせるような、戦国時代感が漂っている。

そんな中でも最もポジティブなサッカーを見せてくれているチームのひとつがサンプドリアだろう。すでに各方面で「強い!」と評判がたっているし、実際に3節には前年王者インテルと引き分け、勝ち点を奪ったことでも注目を浴びた。新シーズン一発目はこのチームを徹底的に掘り下げたいと思う。

今季の各チーム戦術詳解は、前編で各チームの戦術的傾向やキーマンなど、大まかにどんなチームなのかがつかめるよう紹介し、その大まかな指針が各試合でどのように具現化されているのかをよりマニアックにより詳しく、中編の攻撃と後編の守備に分けて解説していく形式を取ろうと思う。

それでは一発目のサンプドリア、レッツゴー!




主力メンバー

戦術を見る前に主力メンバーをフォーメーションとともに確認しておきたい。

基本的には昨シーズンからの継続路線。唯一変更があったのがクアリアレッラの相棒だ。ダベルサ新監督は昨季の4-4-2から4-2-3-1にシステムを変更し、トップ下のポジションを新設。開幕節ではガッビアディーニが、第2節ではヴェッレが先発したが、移籍市場最終日に獲得したカプートがインテル戦以降スタメンに定着している。

また、セントラルMFのアスキルドセンをFWに変えて投入、試合中に4-5-1にシステムを変更する試みも何度か見せている。ダベルサは昨季のベースを踏襲しつつも戦い方の幅を持たせるオプションを加えようとしているようだ。新戦力にはユベントスから借り受けたCBラドゥ・ドラグシンとMFモハメド・イハッターレンら楽しみなタレントもいて、彼らがどう組み込まれてくるのか楽しみだ。

とはいえ、チームとしての軸はすでにはっきりしている。ここからは、サンプドリアの戦い方についてその概要をつかんでいきたい。




敵陣で試合を進めることがコンセプト

サンプドリアのサッカーを理解するにあたって、まずは一番軸となるコンセプトをつかんでしまいたい。それはズバリ、敵陣で試合を進めることだ。

以下に開幕3試合のプレーエリアを掲載したい。どの試合においても、自陣よりも敵陣でのプレーエリアが多い(ミラン戦においては同じ数値)になっている。しかも、開幕3試合はいずれも昨季トップ8に入った格上のチーム。それらを相手にしても敵陣で試合を進めることに成功しているのは注目すべきポイントだ。

第1節ミラン戦

第2節サッスオーロ戦

第3節インテル戦

このコンセプトがすべての根底にあることを頭に入れてもらいながら、攻撃と守備について大枠をとらえていきたい。




縦志向が強い攻撃

敵陣で試合を進めるというコンセプトから考えたとき、自陣にボールがあることは避けるべき状態だ。一刻も早くボールを敵陣に運ぶ必要がある。ということで、サンプドリアは非常に縦志向の強い攻撃を見せる。手数をかけず素早くボールを前線へ送ることを徹底していて、多少雑になろうと敵陣にボールを送り込むことが先決。バックパスや余計なドリブルによって自陣でボールを失うリスクを避けることが最優先だ。

  • パス成功率 75.3%(セリエA19位
  • キャリー総数 1165(セリエA18位
  • キャリー総距離 5743ヤード(セリエA19位

ちなみに、キャリーとは突破をともなわないドリブルのこと。いわゆる運ぶドリブルだ。これがセリエAでもトップクラスに少ないということは、彼らの前進手段が徹底して縦パスであることを示している。

ここからはパスに関するデータからサンプドリアの縦志向を確認してみたい。なお、データは注記がない限りすべてFBref.comからの引用とする。

まず前提として、サンプドリアはセリエA全体で見てもパスの回数が少ないチームだ。

  • パス総数 1654(セリエA17位

しかしながら、パスの縦方向の移動距離を見てみると

  • 相手ゴール方向へのパス移動距離合計 10018ヤード(セリエA10位

とボトムハーフに入ってくる。これはつまり、すべてのパスに占める縦パスの比率が非常に高いということだ。パス回数と縦方向への移動距離でここまで大きく順位が変動するのはサンプドリアだけ。いかに彼らが縦パスを多用しているかがわかる。




 

それでは、その縦パスについてさらにくわしく掘り下げてみよう。

まずはパスの距離で切り分けてみる。

  • ショートパス総数 588(セリエA15位
  • 中距離パス総数 609(セリエA18位
  • ロングパス総数 370(セリエA7位

ただしショートパスは15ヤード以下のパス、中距離パスは15~30ヤードのパス、ロングパスは30ヤード以上のパス。1ヤードはだいたい90cmなので、ほぼメートルとイコールで考えていいでしょう。

それぞれのパスの相対的な比率で考えると、ショートパス・中距離パス数がセリエAの中でも下位なのに対し、ロングパスの数は1桁の7位にランクイン。ロングパスが占める割合が非常に高いことがわかる。

続いてボールの高さで切り分けてみる。

  • グラウンダーパス総数 962(セリエA18位
  • ローパス総数 239(セリエA10位
  • ハイパス総数 453(セリエA1位

ただしグラウンダーパスは名前の通り、ローパスは浮き球だが最高到達点が肩以下のパス、ハイパスは最高到達点が肩以上の浮き球パス。

グラウンダーのパスはセリエAの中で下から3番目である一方、浮き球ではトップハーフ。中でもハイパスはセリエA全チーム中最多を記録している。

つまり、サンプドリアのパスは浮き球のロングパスが多いことが最大の特徴として見えてくる。いわゆる放り込みだ。結果として空中戦が多くなり、

  • ヘディングパス総数 81(セリエA2位タイ

と頭でのパスがセリエAでトップクラスの数値になっている。

それでは、ロングボールのターゲットは誰なのか。やっぱり2トップなのだろうか。

実は、2トップよりも空中戦を戦っている選手がいる。それがボランチのモルテン・トルスビーだ。

〈トルスビーのデータ〉

  • ヘディングパス総数 13(チーム内1位セリエA7位タイ
  • 空中戦勝利総数 17(チーム内1位セリエA3位

トルスビーは189cmの長身MFで、昨シーズンにはリーグ最多の空中戦勝利数を記録した空の王者だ。その資質を活用しない手はない。というわけで、ビルドアップの早い段階からトルスビーを前線に押し出して彼に向けてロングボール!というのがサンプドリアのビルドアップ。後方からの丁寧な組み立ては相手が引いてきたとき以外見られない。

それでは、ロングボールの出し手は誰なのか。SofaScoreからパス数のランキングを見てみたい。

このランキングはサンプドリアの特徴をよく反映しているので詳しく読み込んでみたい。まず、トップ5のうち4人が最終ラインの面々で、中盤セントラルのトルスビーとアドリエン・シウバ(初戦に先発したエクダルも)がランキング外になっている。これはとても特徴的な傾向で、4節時点で同ランキングのトップ5に中盤セントラルの選手が入っていないのはセリエAの中でもサンプドリアとユベントスだけだ。サンプドリアが中盤を省略したビルドアップをしていることが如実に反映されているといえる。

そしてもうひとつ注目すべき点は、サイドハーフのカンドレーバが最多のパス数を記録していることだ。これはサンプドリアにしか見られない、極めて特徴的な傾向だ。手数をかけずに前線にボールを運んでいることを最も強力に証拠づけているランキングだといえるだろう。

つまり、ここまでの「できるだけ早く敵陣にボールを運ぶ」をアップデートすると、トルスビーにロングボールを放り込んでセカンドボールを回収し、できるだけはやくカンドレーバにボールを預けることがサンプドリアの攻撃の狙いだといえる。

というわけでサンプドリアの攻撃のキーマンはアントニオ・カンドレーバ。彼にボールを預けることがサンプドリアのビルドアップの目的であり、彼の個人能力による打開がサンプドリアの崩しの手段だ。ここまでカンドレーバはサンプドリアの全5ゴールに関与していて、その存在感は絶大だ。

〈カンドレーバについてのデータ SofaScoreより〉

  • 1試合当たり平均シュート数 2.3(チーム内2位
  • ロングパス成功数 4.3(チーム内2位
  • 1試合当たりキーパス数 3.3(チーム内トップセリエAの中でもトップタイ
  • 決定機創出数 2(チーム内トップ

 

彼から生み出されるチャンスのパターンは主に2つ。1つはサイドバックのベレシンスキとの連携。ここについては中編で詳しく紹介したいと思う。もうひとつがクロスボールだ。サンプドリアはチームとして

  • クロス総数 65(セリエA2位

とクロスを多用していて、その供給源がカンドレーバというわけだ。

右利きのカンドレーバを右サイドに置いていることは示唆的で、彼の高精度のキックを存分に生かそうという意図がうかがえる。SBのベレシンスキも絡み、どんどん縦に突破して深い位置をとる。そこからのクロスボールに、クアリアレッラ&カプートのベテラン2トップが飛び込む。状況に応じてトルスビーやダムスゴー、逆のサイドバックであるアウジェッロまでも飛び込んでゴール前に厚みをつける。この形から奪ったインテル戦の2点目はまさに狙い通りの得点だったはずだ。




 

そしてもうひとつ指摘しておきたいのがセットプレーの多さだ。右サイドを執拗に深くえぐってクロスボールを狙うことでコーナーキックを得やすい。加えてロングボールをどんどん放り込めば競り合いやルーズボールをめぐるデュエルも頻発する。ゆえに、ファウルによるフリーキックも多くなる。セットプレーはサンプドリアの主な攻撃手段になっているのだ。

  • コーナーキック総数 26(セリエA2位
  • セットプレーからのシュート数 11(セリエA1位
  • シュートにつながった被ファウル総数 7(セリエA2位

このように、セットプレーを得やすい攻撃デザインであり、実際に全チームトップクラスのセットプレーを得ているサンプドリア。だが、それが得点に結びついたのはインテル戦の吉田のゴールのみだ。コーナーキックも単純に放り込むばかりで、工夫がみられないのは少し残念。ここを得点源に変えられればチームとしての総合力が高まることは間違いないはず。今後の伸びしろとして期待だ。

さて、ここまでの攻撃の流れをまとめてみると、

  • 最終ラインはシンプルに前線にロングボールを放り込む
  • ボランチのトルスビーが駆け上がってターゲットに
  • これを拾ってカンドレーバに預け、右サイドからチャンスメイク

この一連の流れをよく表しているのが、セリエA公式サイトから引用したボールタッチマップだ。

ミラン戦。

サッスオーロ戦。

インテル戦。

右サイドを中心に組み立て、途中左サイドを起点にすることはあっても最終的にはピッチの右上の角めがけてボールを動かしている流れが見えてくる。この徹底的な右攻めはカンドレーバという人的リソースを活かすということ以上にボールの失い方まで考えたデザインという意味合いが大きいと思う。どういうことなのか。




敵陣で守るために「閉じ込める」

仮に敵陣の右奥でボールを失ったとしても、そのエリアは自陣ゴールから最も遠い場所だ。加えて、このエリアは2方向をタッチラインに囲まれたピッチの隅であるため、ボールを追い込むのが容易だ。つまり、ボールを敵陣に閉じ込めておくのに好都合だといえる。

サンプドリアの守備のコンセプトはこの「閉じ込める」というもの。多少雑にでも敵陣にボールを放り込む。仮に失っても、すぐに囲い込んで取り返せばいい。それを繰り返せば、最も根底にあるコンセプト、「敵陣で試合を進める」が達成される。

だから、サンプは攻撃時にボールロストを意識したポジション取りをする。即時奪回をとても重視しているといえる。

たとえば、トルスビーにロングボールを放り込むとき。この時もトルスビーをただ前へ出すだけでなく右サイドへ流れさせ、そこで空中戦をせり合わせることは以前言及した通りだ(詳しくはモルテン・トルスビーのプレースタイルまとめを参照)。

サッスオーロ戦においてトルスビーが空中戦を行った場所をピッチ上にプロットしたもの。右サイドで競り合う傾向がはっきり見て取れる。WhoScored.comより。

そして、周囲の選手はトルスビーを囲うように五角形を形成、セカンドボール回収要員となる。トルスビーも含めればボールの周辺には6人をかけていることになり、これは非常に密度が高い状態にあるといえる。だからこそ、彼らの即時奪回プレスは猛威を振るうのだ。




 

ここでキーマンになってくるのが左サイドから大きく絞ってくるミッケル・ダムスゴーだ。サンプドリアの右攻めから解放されたい相手は左への脱出を図ってくる。その出口に位置するダムスゴーのところでいかに食い止められるかは、サンプドリアが狙い通りのサッカーをするうえで生命線といえる。

実際、FBref.comによるとダムスゴーのタックル総数はチーム内2位の11。SofaScoreの1試合平均タックル数ではチーム内トップの数値となっており、いずれにしても彼がボールを閉じ込めるうえでキーマンになっていることは間違いない。

さらにいえば、彼を大きく中央に絞らせて来ることは攻撃面でもメリットになる。局面打開に優れるダムスゴーをトップ下としてふるまわせることで2トップとの連係プレーが発揮しやすくなっている。

また、左サイドからボールを展開するときにもダムスゴーの個人能力は鍵。全体を右にスライドさせているので、左は基本的に手薄。ダムスゴーには単独での打開が求められる。EUROでブレイクした21歳が背負うものは大きい。

〈ダムスゴーに関するデータ SofaScoreより〉

  • 1試合平均タックル数 3.0(チーム内1位
  • 1試合平均キーパス数 2.0(チーム内2位
  • 1試合平均シュート数 2.3(チーム内2位

 

そしてもうひとり即時奪回のキーマンになっているのが右SBのバルトシュ・ベレシンスキだ。カンドレーバにボールが入れば精力的にオーバーラップをかけてチームトップの2アシストを記録しているポーランド代表は、サイドでボールロストしたときにはファーストディフェンダーに変貌。敵陣で激しくプレッシングを行う。攻守においてそのアグレッシブなプレーは欠かせないのだ。

 

さて、ここでサンプドリアの守備に関するスタッツを見てみよう。

  • タックル総数 83(セリエA1位
  • プレッシャー総数 696(セリエA1位
  • インターセプト総数 67(セリエA2位
  • ルーズボール回収 304(セリエA6位

タックル、プレッシャーともにセリエAでトップ。彼らの守備に対するアグレッシブな姿勢がよくわかる。しかしながら、走行距離を見てみると意外とサンプドリアは走っていない

  • 1試合平均合計走行距離 102.674km(セリエA17位

これこそ「閉じ込める」守備の真骨頂だ。常に選手間の距離を狭く保ち、ボール周辺の密度を高める。これはプレッシングの圧力を高める効果があると同時に、各選手の移動距離を縮めるという効果もあるのだ。

だから、サンプドリアのプレスは試合終盤まで強度が落ちない。瞬間瞬間で力は入れるけど、走る距離は長くないので消耗はある程度抑えられる。さらにいえば、セットプレーが多いのでそこでも休める。狭く守ることで強度の高さと消耗の軽減を両立させているのがサンプドリアのサッカーなのだ。




 

とはいえゴールキックなど相手が自陣からビルドアップしてくるときはいやでも陣形を広げられてしまう。ここに対するプレッシングはどうするのか。

サンプドリアのコンセプトは敵陣で試合を進めることだ。であるならば、自陣にボールを運ばれる前に奪い返すことが必要だ。当然、激しいプレッシャーで奪いに行く必要がある。

詳細は後編に譲るが、サンプドリアはマンツーマン基準で激しくプレスをかける。まさに敵陣での守備だ。それも、圧力をかけて追い込む守備ではなく奪う守備だ。その強度はセリエAの中でもトップといっていい。

ここでタックルについてピッチのエリアごとに切り分けてみると、

特に、アタッキングサードに関しては2位以下に大きな差をつけての1位となっている(2位ミランは13)。これは、彼らが敵陣から本気で奪う守備を敢行していることをよく表している。

ディフェンシブサードでのタックル数も多くなっている理由は後回しにして、プレッシャーについてもエリア別に見てみたい。

ここでもやはり、敵陣での守備アクション数がセリエAトップになっている。彼らが敵陣で守備をしていることがよくわかるデータになっている。

ここまで激しくプレスをかけられると、対戦相手からすれば丁寧につないでいくための時間はほとんどないだから、よほどのテクニックがなければクリーンな形で敵陣にボールを届けることはできない。このプレスを個人能力でいなして得点につなげたインテル(2点目の場面)はさすがだったけれど、前年王者でもプレスをきれいにはがす場面がほとんど見られなかった。たいていの対戦相手は、最前線の選手にシンプルに放り込む場面が多くなる。

ここでキーマンになってくるのが吉田麻也オマル・コリーの両CBだ。サンプドリアはリスク承知でマンツーマンによるプレッシングを行うため、最終ラインも相手アタッカーと1対1になる場面がほとんど。彼らが突破されてしまえば、すぐさま大ピンチを迎えてしまう。よって、目の前のFWとのデュエルに負けないというシンプルだが緊張感マックスな仕事が任される。先ほどディフェンシブサードでのタックル数が多くなっていたのも、ここに理由がある。

そして、2人はその期待に見事に応えている。

〈タックル勝率〉

  • コリー 78%
  • 吉田  80%

〈空中戦勝率〉

  • コリー 66.7%
  • 吉田  72.7%

ここまで格上との対戦が連続している中で地空ともに7割近い勝率は立派だ。彼らがいかに相手のアタッカーをおさえられるかはサンプドリアのアグレッシブな守備を支えるうえで生命線だ。

さらに、守護神エミル・アウデーロの存在も大きい。反射神経に優れビッグセーブも多いアウデーロは、ここまでリーグ屈指のセービング能力を誇示。失点期待値-実際の失点数の数値(この差分が大きいほど決定的な得点機会を阻止していることを意味する)は+1.1でリーグで3番目の好成績。4試合フル出場しているGKだけに絞れば2番目になる。データ上1失点分以上のピンチを防いでいることになる。

最後尾にいる彼の存在もまた、サンプドリアの堅守を支えているといえるだろう。

 

さて、ここまでサンプドリアの攻守のコンセプトをざっとまとめてきた。ざっとといっても結構膨大な文字数になってしまったので、最後に重要なポイントだけをまとめておきたいと思う。

〈全体のコンセプト〉

  • 敵陣で試合を進めること

〈攻撃のコンセプト〉

  • 敵陣にできるだけ早くボールを届けようとする。そのために最終ラインからロングボールをどんどん供給し、中盤での細かいパス交換やドリブルはしない。
  • 長身ボランチのトルスビーを右サイドで競り合わせる。その周辺に5人の選手を集めて密度を高め、セカンドボールを回収する。左サイドのダムスゴーも大きくピッチ中央まで絞らせて左への出口を封鎖。
  • ボールを回収したらピッチの右奥を目指す。キーマンはカンドレーバ。彼とベレシンスキの連携で右サイド深い位置をとり、そこからのクロスボールでフィニッシュを目指す。
  • セットプレーも主な攻撃手段。

〈守備のコンセプト〉

  • ボール周辺の密度を高めているため、ボールロストした瞬間にすぐさま囲い込める。檻の中にボールを閉じ込めるイメージ。
  • 選手同士の距離感が近いため守備時の移動距離は短くて済む。消耗が抑えられるため、プレス強度は90分落ちない。
  • 相手のビルドアップに対してはマンツーマンで激しくプレスをかけ、自陣にボールを運ばれる前に奪い返す。
  • 相手が雑なロングボールを蹴ってくればコリー&吉田のCBコンビが回収。FWとのマッチアップで負けないことが求められる。

 

これらの大まかなコンセプトをつかんだうえで、実際の試合でどのように運用されているのかを見ていきたい。

まずは攻撃からだ。続く中編を読んでみてほしい。

【右上隅をめざす縦アタック】サンプドリアの攻撃戦術を徹底詳解!




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