セリエA21-22 プレビュー

セリエA21-22 プレビュー

2021年8月21日 1 投稿者: マツシタ
Pocket

今回はいよいよ開幕が今夜に迫ったセリエA21-22シーズンのプレビューをお送りします。あくまで個人の意見なので広い心で読み進めてください。みなさんの意見や希望なんかもTwitterの引用RTなどでお待ちしております!

 

 

全体の概観

いろいろなことがあった昨シーズンですが、なんといってもインテルの独走優勝をおいて語るわけにはいきませんよね。それはつまり、9年にわたって続いてきた「ユベントス時代」に一応の終止符が打たれたことを意味していると思います。

そして迎える今シーズン。新たな黄金期を築くかに思われたインテルでしたが、財政難をきっかけにスクデットの立役者だったコンテ監督とロメル・ルカクの2名がそろって退団。的確な補強による穴埋めを見せてはいるものの、コンテ体制が継続していた場合と比べると優勝の確率は不透明になったといえると思います。

監督が交代したのは何も王者インテルだけではありません。20チーム中12チームで監督が交代するという史上まれにみる規模の地殻変動を経て新シーズンを迎えることになったのは周知のとおり。特に注目すべきは昨シーズンの上位10チームのうち実に8チームが監督を交代し新たなサイクルを始める選択をしたこと。リーグ全体のパワーバランスが大きく変わる可能性が高いでしょう。

昨シーズンがユベントス時代に終止符が打たれたシーズンだとすれば、それを経て大半のクラブが新たなサイクルを開始する今シーズンは新たな時代の幕開けと位置付けられます。ここでいいスタートを切ることができれば、きたる新時代を有利な立場から進めていくことができるはず。各クラブにとって非常に重要なシーズンになることは間違いありません。

ここまで上位陣で体制が変わると、新たな時代のパワーバランスを先読みすることは容易ではありません。強いて今季のスクデット候補をひとつ挙げるとすれば、もっともタレント力に優れる上にそのタレント力を引き出すことに関して超一流のアッレグリを新指揮官に据えたユベントスということになるでしょうが、それ以外のクラブが優勝する可能性も十分。言ってしまえばどのクラブにも上位に進出するチャンスがあると思います。

逆に言えば、上位陣のパワーバランスが不安定ということは7強が崩れる可能性もあるということ。今シーズンにそれが起こる可能性は結構高いんじゃないかと見ています。

7強崩しの最右翼はサッスオーロとフィオレンティーナ。

2季連続8位と7強に次ぐ地位を確立した感があるサッスオーロは、ボガやベラルディ、ラスパドーリなど主力の大量放出もささやかれながら結局はロカテッリ以外は軒並み残留の見込み(※ここにきてベラルディが退団を志願したとの報道が出ています)。最大の功労者デゼルビ監督は去ったものの、「サッリ2世」の異名を持つアレッシオ・ディオニージが新指揮官に就任し、攻撃的な姿勢は不変でしょう。スカッドも基本姿勢も継続路線に近いとなると、相変わらず厄介な存在として上位陣を苦しめるのではないでしょうか。

順位予想を見ているとフィオレンティーナが中位に予想されていることが多いですが、ぼく個人的にはEL出場権を得ても不思議じゃないかなとまで思っています。そもそもタレント力だけ見れば上位陣にも大きく見劣りしないレベルなわけで、あとは恵まれたスカッドを組織としてまとめる本格派の監督が必要でした。その本格派として招聘されたのがヴィンチェンツォ・イタリアーノ。その手腕は昨季のスペツィアで証明済みです。

今季のヴィオラはいよいよ7強を脅かす存在になると思います。不安材料だった守備陣の核、ミレンコビッチが契約延長して残留となったことも大きいですね。気がかりはアトレティコ移籍報道が加速しているヴラホビッチの去就。彼がいるといないとでは新シーズンの展望は大きく変わってくるはずですからね。ぜひとも残留してイタリアーノとともに戦ってほしいところです。

7強+サッスオーロ、フィオレンティーナの9チームで上位を争うのではないかというのが個人的な見立て。この9チームのどこがヨーロッパのカップ戦出場権を得ても驚かないですね。

例年以上に読めない新シーズンのセリエA、はたしてどんな結末が待っているのか、今から楽しみでなりませんね。




インテル

 

ここからは上位予想した9チームについてそれぞれコメントしていきます。まずは前年王者インテル

前項で触れたように、スクデットの功労者といえる指揮官アントニオ・コンテと攻撃の核となっていた大エース、ロメル・ルカクのふたりの退団の影響は小さくないでしょう。カウンターの急先鋒となっていた右WBアクラフ・ハキミも去りました。さらに、EUROでクリスティアン・エリクセンが心臓にトラブルを抱え、セリエAでのプレーが困難になってしまったのも誤算でしょうね。

しかし、ポジティブな側面も少なくありません。財政難で主力を売却せざるを得ない状況にありながら、限られた資金をフル活用しFWにエディン・ジェコ、右WBにデンゼル・ダンフリース、MFにハカン・チャルハノールを獲得。ヴェローナへのレンタルから帰ってきたフェデリコ・ディマルコも大きなプラスアルファをもたらすでしょう。

さらに、昨シーズンの躍進を支えたGKサミル・ハンダノビッチ+鉄壁の3バックの守備陣に中盤のマルセロ・ブロゾビッチ&ニコロ・バレッラと中央ラインに関してはほぼそのまま維持されています。昨季のリーグ最少失点を支えた守備陣が健在な限り、大崩れはしないはず。CL出場権獲得はノルマといっていいんじゃないでしょうか。

そこからスクデットに手が届くかどうかは、攻撃の再構築の可否にかかっているといっていいでしょう。すでにジェコを獲得したわけですが、フロントはさらなる強化に乗り出している模様。本命サパタ、代替コレア、ほかにもヴェフホルストやテュラムと多くの名前がとり沙汰されています。この新FWを早い段階で組み込み、総得点の40%に関与したルカクなき攻撃をどう手当てするのか。

シモーネ・インザーギ新監督のラツィオ時代の戦術を考えると、最優先となる速攻と遅攻時の左サイドからのクロスボールの両方で活きそうなダンフリースはキーマンでしょう。馬力あるドリブルとゴール前での空中戦の強さは、ラツィオでいうラッザリとミリンコビッチ=サビッチの両方の役割を兼任できそう。彼をどう生かすかを含め、インザーギ監督の采配に注目ですね。




ミラン

 

昨シーズン2位に入り、久々にCLに出場するミラン。今季の最大の焦点は、二足の草鞋を履きこなせるかどうかでしょう。

フロントも当然それを見越して動いており、昨季活躍したレンタル組の買取に加えてジルー、バロ=トゥーレ、メニャンが新加入。さらにフロレンツィとバカヨコが加入間近に迫るなど、着実に選手層を拡張しています。さらにウイングとトップ下の獲得も画策。動きはメルカート最終盤まで続くと思われます。

補強策が順調でポジティブな空気が流れるミラン懸念があるとすればトップ下問題ですかね。フリーでライバルのインテルに去ったチャルハノールは戦術上のキーマンでした。アシスト数、キーパス数ともにチームトップ(1試合平均キーパス数はリーグでもトップだった)と最大のチャンスメーカーだった彼が抜けた穴を埋める補強はまだ済んでおらず、ここに誰を取ってくるのか、そしてその選手がきちんとフィットするのかに今シーズンの出来は左右されるはずです。ブラヒムに任せるにしても、あと1枚このポジションをこなせる選手が欲しいところでしょうね。

あるいは、イブラ復帰後はジルーと2トップを組ませてそもそもトップ下というポジションを消してしまうという選択肢もあります。そうするなら新たなFWの獲得が必要でしょう。モナコからピエトロ・ペッレグリの獲得が噂されています。

最大のチャンスメーカーだったチャルハノールの穴埋め。ここが今シーズンの最大の焦点だと思います。これがうまくいけば2季連続のCL圏内フィニッシュやCLでの決勝トーナメント進出はもちろん、11年ぶりのスクデットの可能性もありうると思います。

フロントが的確な補強を見せている以上、ステファーノ・ピオーリ監督はそれにこたえる必要があるでしょう。持ち前のマネジメント力でリーグ、CLの両方で結果を残せるか。真の強豪復活に向けての試金石となる重要なシーズン、どうなるか楽しみです。




アタランタ

 

3年連続3位に入り、完全にイタリア屈指の強豪としての地位を固めたアタランタ。昨シーズンはチームの成長を支えてきた功労者、パプ・ゴメスとの別れを乗り越えたという意味でも特別なものがあったでしょう。はっきりいってゴメスなしのアタランタなど考えられないくらい中心的な存在でしたが、彼なしでも十分やれることがわかりました。ガスペリーニとともに積み上げてきたものが間違っていなかったということが見えましたね。

そうなってくると、いよいよタイトルが欲しくなってきます。昨シーズンはコッパイタリア決勝まで勝ち進んだもののあと一歩届かず、ユベントスに敗れて準優勝。新シーズンはいよいよタイトルを視野に入れて戦うはずです。

カップ戦はもちろん、リーグ戦でもタイトルの可能性は十分あると思います。特にほとんどの上位クラブで政権交代が起こった今シーズンは、継続路線で臨めるだけで大きなアドバンテージ。ゴッリーニとロメロをトッテナムに引き抜かれたものの、その穴はムッソ&デミラルという実力者で補填済みであり、大きな問題にはならないと思います。序盤にスタートダッシュを決められれば、そのまま逃げ切ることもできるはず。カギは序盤戦にあるでしょう。

ただ、気になるのがドゥバン・サパタのインテル移籍のうわさ。パプ・ゴメス程とはいかないまでも、サパタは今のアタランタにとって最も欠かせない核。ゴメス退団後は、その依存度はさらに高まっている印象です。起点からチャンスメイク、フィニッシュまで攻撃のほぼ全局面に影響力を持つ彼が退団すればさすがに影響は大きいはず。彼を欠いたPSMのユベントス戦で攻めあぐんだことからもわかる通り現状サパタの代役は不在。本人はインテル移籍を希望しているともいわれており、仮に退団の運びとなれば攻撃の再編は避けられないでしょう。

今季のアタランタの命運を左右しうるサパタの動向は注視する必要がありそうです。




ユベントス

 

セリエA10連覇を逃し、過去2シーズンにサッリ、ピルロとともに追求してきた「魅せながら勝つ」路線を否定するように、合理的に勝利を追求する「勝利至上主義」ともいえるスタイルでチームにリーグ5連覇と2度のCL準優勝をもたらした名将、マッシミリアーノ・アッレグリを2年ぶりに呼び戻すという決断を下したユベントス。結果を追い求めるという選択を下した以上、何らかのタイトルを獲得できなけらば失敗と判断されかねない。覇権奪還に向け、覚悟を持って新シーズンに臨むはずです。

一方で新戦力の獲得はあまり進んでいない状況。ここまでは有望株のカイオ・ジョルジを獲得し、メルカート序盤から狙っていたマヌエル・ロカテッリの獲得がようやく決まったところ。とはいえ、個人的にはそこまで心配はしていないですね。そもそもタレント力ではリーグ屈指であり、それを活かすことに関してアッレグリほどの適任はいないでしょう。

アッレグリはサッリのような自分にしか作れない特別なレシピは持っていません。それでも、冷蔵庫の中に入った食材の中から最高の料理を作ることに関しては超一流。その与えられた食材、つまり選手のタレントの質がリーグトップである以上それはおいしい料理が出てくるはずです。事実、PSMのアタランタ戦ですでにその片鱗は垣間見えました(詳しくはユベントスvsアタランタ ミニレポートを参照)。個人的には今季の優勝候補に推したいですね。

アッレグリはシーズン中盤までにチームのバランスを見出し、終盤にスパートをかけるというのが得意とする流れ。その試行錯誤期間にどれだけ勝ち点を落とさずに粘れるかが焦点になるわけです。この点において、その他の上位陣も軒並み新体制となり、序盤は試行錯誤が続くと考えられることもユーベにとって有利に働くでしょう。ここも今期のユベントスを優勝候補として推せる要素です。

その試行錯誤において注目点はロナウド、ディバラ、キエーザという強力極まりないトリデンテをどう機能させるのか。特にロナウドとディバラを同時起用するとどうしても守備面は不安定になるので、どうバランスをとっていくかが重要でしょう。

加えてロカテッリの使い方も注目ですね。サッスオーロではリーグ屈指のレジスタとして機能したものの、今夏のEUROにおいてはインサイドハーフで起用され、インクルソーレ(攻撃参加するMF)としての才能も発揮していました。彼の万能な才能をどう料理するのか、アッレグリ采配の妙に注目ですね。




ナポリ

 

昨シーズン、最終節でCL出場権を取りこぼしてしまったナポリ。その影響からか、今シーズンは緊縮財政を強いられている模様。主力を売らなければ補強資金がなく、その主力が売れないがためにここまでの補強はフリーでフアン・ジェズスを獲得したのみ。

思い通りに補強ができないという状況からネガティブな雰囲気が少なからずあるナポリですが、個人的にはそこまで悲観的ではありません。今シーズンは多くのチームが新体制で臨む中、チームとしてある程度の継続性を持って臨めることはそれだけでもアドバンテージになります。補強はできていませんが、主力が引き抜かれたわけでもありませんからね。昨季も主力がそろった試合ではさすがの強さを見せていましたし、そのスカッドを維持できることは悪いことではありません。トッテナムがCLで準優勝した年も補強なしだったりしますしね。

そうなってくると心配なのはマンネリ化ですが、ここもルチアーノ・スパレッティが新監督に就任したことで新しい刺激は入ってくるでしょう。彼がどこを変えるのか、それがどれくらいのスピードで浸透するのか。序盤にスタートダッシュを決めることができれば、見通しは明るくなるでしょう。

個人的に期待したいのはヴィクター・オシメンの爆発。スパレッティはローマ時代にジェコを、インテル時代にイカルディを得点王に導いており、絶対的なストライカーに点を取らせることにおいて優れた手腕を発揮します。それと同時に、ストライカーがきちんと点が取れるかどうかは戦術上の肝でもあるわけです。ナポリではオシメンがその重責を任されることになるでしょう。昨季終盤に8試合で7ゴールと量産したように、持っている能力に疑いの余地はありません。実際、プレシーズンマッチ5戦で4発と早くも爆発の予感を漂わせています。彼の才能とスパレッティが合わさったら何が起こるのか。今から楽しみですね。

逆に懸念となるのは選手層の薄さでしょうか。昨シーズン中盤戦にブレーキがかかったのも、主力が大量に負傷離脱してしまったから。その穴を埋める補強が行われていないことは前述のとおりです。同じ轍を踏まぬよう、スパレッティにはマネジメント能力が求められるでしょう。

スカッド維持というポジティブなとらえ方をできるか、補強ゼロというネガティブなとらえ方をせざるを得ないかはスパレッティ次第。名将の采配に注目ですね。




ラツィオ

 

昨シーズンを6位で終え、5年間続いたシモーネ・インザーギ体制に幕を下ろすことになったラツィオ。新監督に就任したのは、ナポリで美しいパスサッカーを構築して一世を風靡したマウリツィオ・サッリです。

ミリンコビッチ=サビッチ&ルイス・アルベルトから構成される中盤はサッリ史上でも屈指のテクニカルなコンビで、彼らが織りなすサッリボールが一体どう完成されていくのか、いまから楽しみでなりませんね。

組織的なフットボールなので完成すれば強力なぶん、戦術の浸透に時間はかかるでしょう。ナポリとチェルシーではジョルジーニョ、ユベントスではピャニッチと優秀なレジスタがそろっていて、彼らの存在が戦術の浸透を早めた側面がありました。一方、ラツィオでアンカーに入りそうなルーカス・レイバはレジスタとしては未知数。個人合意に達しているバシッチの到着が待たれるところです。

加えて、昨シーズンのラツィオは重心を落としたカウンター志向のスタイルをとっていました。それとは正反対のサッリボールへの戦術変更はそれ相応の時間がかかるはず。今季すぐに結果を求めるのではなく、長期的な視点で見てあげたいところですね。

ただ、インザーギに5年間チームを任せたように、ロティート会長はチームの継続性の重要性を理解しているはず。実際、ロティート会長は監督に対しては異例の4年契約を提示したみたいですからね。数年スパンでサッリにチームを任せることを考えているはずです。

今後の注目点はメルカートでしょう。サッリが求めるタレントをきちんと供給してあげられるか。特に、昨シーズンは存在しなかったウイングはまだ手薄で、合意に達しているコスティッチを是が非でもチームに加えたいところ。流動性指数の問題を解決してコスティッチとバシッチをチームに加えることができれば、なかなかに豪華なスカッドが完成します。この補強策がうまくいけば、今季はダークホースになるんじゃないかと個人的に期待しています。

戦術浸透に時間がかかるんじゃないかといった手前、サッリは就任初年度から結果を残している監督でもあります。今季いきなり躍進しても不思議はないと思いますね。

何はともあれ、かつて「ヨーロッパで最も美しい」と称されたフットボールが戻ってくるのは楽しみでしかないです。早く新シーズンの試合が見たいですね。




ローマ

 

昨シーズンを7位で終えたものの、そこまでネガティブな雰囲気が漂わないローマ。それは、新シーズン中にジョゼ・モウリーニョの新監督就任が発表されたこと、ELでベスト4まで進出したことでフォンセカ体制がある程度ポジティブな状態で幕を閉じたこと、メルカートでの積極的な補強策でチームの戦力値が増強されていることに起因すると思います。

昨シーズンは守備がもろすぎてどうにもなりませんでしたが、攻撃に関してはマンUから2試合で5点取るレベルにあったわけです。そこにエイブラハム&ショムロドフという期待の新戦力が加わり、ザニオーロが復帰してきました。タレントは十分すぎるほどでしょう。特にプレシーズンで想像以上の活躍を見せているショムロドフには期待しかありませんね。新シーズンのブレイク候補でしょう。

問題の守備の構築に関してはモウリーニョが得意とするところ。昨シーズンよりは計算できると考えていいはずです。スカッドはCLを狙えるだけのものになっていると思いますし、あとはモウリーニョがどれだけ早くチームを完成させられるかでしょうね。

最初の1か月でしっかり勝ち点を積み上げられるかは特に重要だと思います。9月末のローマダービーをはじまりに、ユベントスナポリ、ミランとおよそ1か月の間で対戦する日程が組まれていますからね。最初の1か月で波に乗り、その後の強豪との連戦をいい形で乗り切ることができれば、久々のCLも見えてくるはずです。

モウリーニョの言動をはじめ、今季のローマからは目が離せませんね。




サッスオーロ

 

2季連続の8位フィニッシュでいまや7強に次ぐ位置を確立したといっていいサッスオーロ。しかも、19-20では7位ナポリとの勝ち点差が11開いていたのに対し、昨シーズンは7位ローマと同勝ち点。その差を着実に詰めてきていました。

いよいよ今季は7強崩しに挑戦するわけですがが、チームを引き上げた功労者であるロベルト・デゼルビ監督がシャフタールに去ってしまったのは大きな痛手。新シーズンに向けて不確定要素が増えたことは間違いありません。

とはいえ、主力の大半に移籍の可能性があった中で引き抜きはマヌエル・ロカテッリのみで済みそうな情勢。代役としてオリンピック優勝メンバーである23歳のブラジル人MFマテウス・エンリケを確保済みと補強戦略の巧みさもさすが。基本的にはスカッドは大きく変わらず、新監督のアレッシオ・ディオニージの攻撃志向もデゼルビから大きくは変わらないはず。新シーズンも大枠では継続路線といっていいでしょう。

ジェノアで才能の片りんを見せたジャンルカ・スカマッカがレンタルから戻ってきただけに、マテウス・エンリケのハマり具合次第ではむしろ昨シーズンよりも戦力値は高まるかもしれない。プレシーズンでは4-2-3-1で戦っているものの、スカマッカ、カプート、ラスパドーリと才能あふれるFWを多く抱えることからエンポリ時代にディオニージが用いた4-3-1-2を採用することもできるでしょう。

あとは、恵まれたスカッドを生かすも殺すもディオニージ次第。新体制が軌道に乗れば7強に割って入り、いよいよイタリア屈指の強豪としての地位を確立できるかもしれません。逆にディオニージがチームを掌握できなければ、またプロビンチャに逆戻りということもあり得ます。「サッリ2世」とうたわれるその攻撃サッカーをサッスオーロに根付かせ、クラブを躍進に導けるか。新進気鋭の若手指揮官に注目です。




フィオレンティーナ

 

個人的に注目しているチームのひとつがフィオレンティーナです。

そもそも上位陣ともそん色ないスカッドを抱えながら、チームとしての完成度がいまいち上がらずここ数年は成績が振るいませんでした。プレシーズンでも一度は新指揮官に就任することが発表されたガットゥーゾが実際に指揮をとることなく退任するなどごたごたが続きましたが、最終的にはそんな状況を打破しうる新監督の招聘に成功しました。ヴィンチェンツォ・イタリアーノです。

イタリアーノは昨シーズンにセリエA初昇格を果たしたスペツィアを残留に導いた立役者。リーグで最下位のスカッドと目されながら、タレントの不足を組織力と的確な采配で補ったその手腕はたしかです。攻撃サッカーを信奉し、スペツィアを昨季のリーグ9位タイの得点数に導いた指導力には脱帽です。

そんなイタリアーノがスペツィアからワンランクもツーランクも質が高いスカッドを手に入れた今、いったいどんなチームを作るのか。非常に楽しみです。特にエースのヴラホビッチはプレシーズンから得点を量産していて、すでに期待感が漂っています。

今後の注目は、そのヴラホビッチが残留するかどうか。現在アトレティコ移籍報道が加速しています。彼を手元に残せるかどうかは新シーズンを占ううえで肝になるはずです。また、手薄なウイングにもう一枚補強を加えたいところ。これらが実現すれば、いよいよ今季のフィオレンティーナはダークホースだと思います。

プレシーズンでは格下相手とは言え5試合で31得点1失点。また、セリエAに先駆けて開幕したコッパ・イタリアではコゼンツァに4‐0と圧勝。この試合のボール支配率は驚異の81%で、シュート総数は31。対して、コゼンツァは90分でシュートゼロという圧倒ぶりでした。すでにイタリアーノ監督の攻撃マインドが浸透してきているとみていいのではないでしょうか。

昨シーズンは期待を裏切られましたが(笑)、今季こそはやってくれるはず。ダークホースとしてリーグを盛り上げてほしいところですね。

 

 

セリエA関連記事一覧はこちらから