【メルカートコラム】GK大シャッフルを読む

【メルカートコラム】GK大シャッフルを読む

2021年6月10日 0 投稿者: マツシタ
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激動の20‐21シーズンが終わり、移籍関連のニュースが世間を賑わす季節がやってきた。セリエの2021年夏のメルカートは、ミランがCL出場権を獲得したことで残留が確定したと思われたドンナルンマがミランの契約を拒否したことで事実上退団が決定し、その代役としてリーグ・アンのベストGKであるマイク・メニャンがミラン入りするという衝撃的なディールによって幕を開けた。

最初の大型移籍がGK関連になるという珍しい幕開けになったわけだが、今回のメルカートにおいてこれはまだ序章に過ぎないかもしれない。各クラブがGKを強化ポイントに挙げており、セリエA全体を巻き込む大シャッフルに発展する可能性があるのだ。

今年はすでに監督が大きく動いているメルカートだが、監督人事以上に大きな動きが発生しうるGK事情。今回は、その現状についてまとめていこうと思う。

 

 

震源地となる強豪クラブ

ミランを退団したドンナルンマの移籍先はユベントスで確定だとされていた。事実、シーズン終了後の加入はほとんど内定していたようだ。しかしながら、アッレグリの就任で状況は一変。新監督がシュチェスニーを評価したことによって一転してドンナルンマのビアンコネロ入りは立ち消えとなった。これにより、来季もユベントスのゴールはシュチェスニーに託されることが濃厚となった

しかしながら、ユベントスはすでに2ndGKだったブッフォンが退団。今のところ具体的な名前は上がっていない状態だが、その穴を埋める補強は必要だろう。ジェノアから戻ってきたペリンをそのまま残す手もあるが、果たして誰を抜擢するのか。

 

2ndGKで動きがありそうなのはユベントスだけではない。たとえば、ラツィオ。昨シーズンまではスタメンを張っていたトーマス・ストラコシャは、負傷離脱していた間にペペ・レイナに定位置を奪われてしまった。新監督に就任あいたマウリツィオ・サッリはナポリ時代にレイナと師弟関係を築いており、来季もレイナを正守護神に抜擢する可能性は高いといえるだろう。後方からのビルドアップを求めるスタイルにおいて、セリエAの中では最高クラスのテクニックを備えるレイナはまさに最適な存在だ。

こうした状況から、ストラコシャが出番を求めて移籍する可能性がある。彼がどこに移籍し、だれを後釜とするのかはひとつドミノ倒しの起点として注目すべきポイントだ。

 

王者インテルはすでに控えGKが動いている。第3GKだったダニエレ・パデッリがウディネーゼへ移籍することが決定済みで、その代役としてクロトーネからアレックス・コルダスを獲得することが濃厚になっている

ただ、インテルのGK関連の動きはこれで終わらないかもしれない。現在2ndGKになっているイオニツ・ラドゥはU-24ルーマニア代表の主将。実力は申し分ないだけに、出番が制限されている現状に満足していない可能性はある。現在24歳と伸び盛りで、出場機会を得たいはずだ。今夏のオリンピックで活躍すれば、獲得に手を挙げるクラブが出てくる可能性は高いといえる。彼が放出されれば代役の確保が必要だろう。

また、当初はハンダノビッチの後継者としてウディネーゼのファン・ムッソの獲得に動くとされていたものの、現在は沈静化。財政難により、獲得の余裕がないためだ。ただ、今後の市場の流れによっては話が再燃する可能性もあるだろう。数か月前にラドゥとのトレードでヴェローナのマルコ・シルベストリを獲得しハンダノビッチの後継者に据えるなんて言うニュースも出ていた。このように、ラドゥとのトレードで2つの問題を一気に解決してしまうことも考えうるだろう。

 

ナポリは今季正守護神と2ndGKの立ち位置が曖昧だった。出場試合数はメレトが22試合、オスピナが16試合とほぼ半分ずつを分け合っている。しかしながら、スパレッティ新監督はメレトを正守護神に据える方針を打ち出した。さらに、パルマからルイジ・セペを獲得することが濃厚になっており、彼を2ndGKに据えることになりそう。替わって放出されるのがオスピナだ。

そのオスピナに関心を示しているのがフィオレンティーナ。新監督に就任したガットゥーゾは足元のテクニックに優れたGKを求めていて、これを満たさないドラゴフスキは退団が濃厚。替わってオスピナが候補に挙がっているというわけだ。ナポリでもガットゥーゾはメレトという優れたGKがいながらオスピナを重用してきた。信頼関係は厚いはずだ。一方で、オスピナ以外にもコンシーリなど多くの名前が挙がっており、その中でもクラーニョが第一候補なのではないかという報道もある

そのクラーニョを狙っているのはフィオレンティーナだけではない。特に熱心なのがアタランタガスペリーニ監督がゴッリーニに満足していないとも伝えられており、新たな守護神候補としてリストアップされている。ほかにもムッソやペリン、ヘンクのファン・デ・ボールトにアウデーロなどが候補に挙がっている。彼らが加入すれば当然ゴッリーニも新天地を求めることになるだろう。

そのゴッリーニの移籍先候補のひとつとしてラツィオとともに名前が挙がってるのがローマ。しかしながら、モウリーニョ監督は経験豊富なGKを求めており、ロリスやデヘア、シュチェスニーなどベテランGKの名前が多く挙がる。その中でもお気に入りと伝えられられているのが同胞のルイ・パトリシオ。長くポルトガル代表で守護神を務めてきたベテランで、モウリーニョが求めるプロフィールにぴったりと合致する。すでに獲得に向けた交渉が開始されているようだ。

また、ここにきてPSGに加入したドンナルンマが1年間のレンタルで加入するといううわさも挙がっているが、果たしてどうなるのか。いずれにせよGKの交代が発生するのは明らかで、すでに契約満了が発表されたアントニオ・ミランテに続きパウ・ロペスもチームを去ることになるだろう。パウにはアトレティコ・マドリードが関心を寄せているようだ。

 

このように、「セブン・シスターズ」の全チームでGKの移動が発生することが濃厚になっている。そして、その影響は当然プロビンチャにも波及していくことになる。

 

 

「ドミノ」となるプロビンチャ

特に人気があるのがムッソとクラーニョの両名だ。

クラーニョは移籍が濃厚。本人が新たな挑戦を希望していて、退団は既定路線のようだ。カリアリもすでに後釜の獲得に動き始めており、トリノのサルバトーレ・シリグが第一候補のようだ。

シリグはほかにもカリアリやジェノアから狙われており、退団の可能性が高い。これを受けてトリノも後継者探しに着手していて、べネベントで正守護神を務めたモンティポが候補に挙がっているほか、クラーニョを獲得するなんて噂もあるようだ。

 

ムッソはインテル移籍が濃厚とされていただけに、現在は状況が沈静化している状態。しかし、彼が人気あるGKであることは変わりなく、今夏に移籍する可能性は高いといえる。ウディネーゼも後釜確保に動いており、スポルティングで燻るルイス・マキシミアーノとボカ・ジュニアーズの正守護神GKアグスティン・ロッシがターゲット。マキシミアーノはU-21ポルトガル代表の正守護神で、先のU-21EUROでも活躍した。しかしながら、クラブでは今季2試合の出場にとどまっていて、出場機会を求めて移籍を希望しているようだ。

そのマキシミアーノを狙っているのはサンプドリアも同じ。アウデーロに移籍の噂があり、その後釜としてリストアップしている。ウディネーゼとの争奪戦に発展する可能性もあるだろう。その他の候補としては2部のキエーボでプレーするアドリアン・センパー。23歳のクロアチア人GKは今夏の隠れた人気銘柄で、ほかにはジェノアも狙っている。

ジェノアは今季正守護神を務めたマッティア・ペリンがユベントスに返却され、すでに新守護神探しに着手している状態。ペリンの再獲得を第一希望としながらも、ほかにもシリグや先述のセンパー、ブレシアのイェッセ・ヨロネンと2部のGKを中心に物色している。

 

守護神が人気である点ではヴェローナも同じ。マルコ・シルベストリは中盤戦までリーグ最少失点を競っていた堅守を支えた最大の功労者。10月の代表シリーズでは初の代表招集も経験しており、その実力はリーグ屈指だ。本人には来夏で満了する契約を延長するつもりがないともいわれており、そうなると今夏が売り時になる。インテルやラツィオなど上位陣の名前も出ているが果たして。

昇格組ではエンポリサレルニターナがGKの補強に動いている模様。エンポリの第1ターゲットはルイジ・セペだったがナポリにさらわれそうな情勢で、かわってバリのステファノ・ゴーリをターゲットにしているようだ。

サレルニターナはU-21イタリア代表の正守護神マルコ・カルネセッキの獲得を狙っている。しかしながら、サレルニターナには昨季のセリエBで最多のクリーンシート数を記録したヴィド・べレツがすでにいる。トルコリーグ時代にはリーグ最高のクリーンシート率を記録した実力者であり、そのプレーをAの舞台でも見てみたいところだ。

 

 

あとがき

このように、ほとんどのクラブでGKが動きそうな今夏のメルカート。監督に加え、GKも来季は全く新しい顔ぶれが並ぶことになるかもしれない。

近年のGKはただゴールを守るだけにとどまらず、攻撃のスタート地点としての役割も担うようになってきている。チームに対して及ぼす影響の大きさは拡大していく一方だ。来季の守護神が誰になるかは、リーグの趨勢をも左右しうる。メルカートを見て行く上で要注目のポイントだ。