セリエA20-21を振り返る

セリエA20-21を振り返る

2021年5月24日 0 投稿者: マツシタ
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みなさんどうも、マツシタです。最高に面白かったセリエA20-21シーズンが終わりましたね。今回はそのシーズンをざっと振り返っていこうと思います。普段はデータでしっかり裏を取って…とかやってますが、今回はそんななものは気にせず思ったことをひたすらに書いて行こうと思います。

それでは行きましょう!




総括

まずはシーズンの流れを大まかに振り返ってみましょう。序盤戦は何といってもミランの独走。昨シーズンからの勢いそのままにセリエA歴代8位となる27戦・304日無敗という記録を打ち立てて冬の王者となりました。

そんなミランがフォームを崩すきっかけとなったのが第16節ユベントス戦。1-3でユベントスが勝利し、王者としての意地を見せましたね。

ここからミランが徐々にリズムを崩していくわけです。そんなミランに替わって首位に立つのが同じ町のライバル、インテル。この首位交代劇を象徴するのが1月27日に行われたコッパイタリア準々決勝と、その1か月後に行われたセリエA第23節の2つのミラノダービー。コッパで試合を決めたフリーキック、決めたのはエリクセン。このゴールがエリクセンの台頭、それにともなうインテルの完成のきっかけになりました。そして、3-0で完勝したリーグ戦はインテルの選手に自信と確信を与えましたよね。ここから安定感抜群の完全体インテルとなり、そのままスクデットまで独走してしまいました。

インテルのスクデットが決まってから、焦点はCL・残留争いに移ります。

CL争いはアタランタミランナポリユベントス、ラツィオの5チームでの争いに。アタランタが一足早くCL行きを決め、ラツィオが脱落して3チームで2つの枠を争うという状態で最終節を迎えました。

勝てばCL決定のカリアリ戦でドローに終わり、最終節で最も苦手なアタランタとの試合を残したミランが厳しいかなというのが本音でしたが、ミランは見事にそれを跳ね返しました。脱落したのはナポリ。ヴェローナに勝ちきれず、同時刻にボローニャに大勝したユベントスに抜かれてCL出場権が目前で滑り落ちていきました。5位ナポリの勝ち点は77。プレミアリーグなら2位に入れるこの勝ち点ですらCLに出れないのですから、今季のセリエAがいかに厳しい戦いだったかがわかります。最後はしっかりCL権をさらっていってしまうユベントスはさすがでしたね。

残留争いでは結局カリアリやトリノ、フィオレンティーナといった長年Aで戦っているクラブが地力を見せて残留しましたね。例年と同様、今年も昇格チームのうち2つが即降格するという厳しい結果となりました。とはいえ、今年の昇格組は例年以上にレベルが高かった印象があります。

クロトーネはシミーを中心に45ゴールを挙げました。これはリーグで16位の数字で、クロトーネよりも点が取れなかったチームが4つあったことになります。べネベントも一時は10位まで浮上したし、ユベントスに大金星を挙げた試合もありました。後半戦は勝ち星に見放されてしまったとはいえ、前半戦に見せたアグレッシブなサッカーは魅力的でした。

そして、昇格組の中で唯一残留を勝ち取ったスペツィア。面白いサッカーをしていて、僕は10~15試合ほど見ましたね。戦術家イタリアーノが作り上げたサッカーは完成度が高く、攻撃的にも守備的にもふるまえて戦術的柔軟性にも優れていました。相手チームへの対策をしっかり練っていやらしい戦いをしていた印象で、上位陣でもミランナポリローマ、サッスオーロなどが餌食になりました。

このチーム、将来的に新しいサッスオーロになれるんじゃないかとひそかに注目しています。若手中心のスカッドに攻撃的なサッカー。シーズン中にはアメリカ資本の参入が発表され、経営基盤も安定しているはずです。これらはサッスオーロに通じるものがありますよね。成功するための資質は十分で、正しい道を歩めば成り上がれるんじゃないかなと。そのためには、来季が勝負ですね。

話がそれました。何はともあれ、彼ら昇格組の奮闘がリーグを盛り上げ、レベルを底上げしたことは間違いないでしょう。

それでは、ここからは各クラブごとに簡単に今シーズン通してみた感想とMVP、来期以降の展望を綴ってみたいと思います。




インテル

まずは11年ぶりのスクデットインテルから話していきましょう。

コンテ体制1年目となった昨季はセリエA2位、ELで準優勝。あと一歩でタイトルを逃した状態で今季を迎えました。序盤のインテルは攻撃重視のアタッキングスタイル。ただ一方で守備に安定感があったとはいいがたく、取りこぼしもちらほらありましたね。CLでは最終節にゴールが奪えずグループリーグ敗退に終わり、セリエAもウディネーゼからゴールが奪えず冬の王者のチャンスがありながら2位に。「あと一歩」の流れがまだ続いていたわけです。

転機となったのは、総括でも触れた通りコッパイタリアとリーグ戦での2つのミラノダービーでしょう。この2試合でエリクセンの台頭と彼を組み込んだ新スタイルへの確固たる自信を得たことが、スクデットへの大きな分岐点だったと思います。

前半戦までのアタッキングスタイルから一転、エリクセンを組み込んでからはより重心を落として堅守速攻へとスタイルチェンジ。安定感ある戦いを実現し、最終的には独走優勝を成し遂げました。シーズン通して敗戦はわずかに3つ。これは5大リーグ最少です。

37節にユベントスに負けるまで負けなしで突っ走った後半戦の16試合は失点がわずか8。前半戦に23もあった失点を劇的に減らすことに成功しました。チームのバランスを改善し、安定飛行に導いたコンテの決断は見事としか言いようがありません。

MVPはもちろんロメル・ルカク。24ゴール11アシストの成績はもちろんのこと、ポストプレーから裏への飛び出し、献身的な守備までその貢献度は計り知れません。その存在感は優勝チームの中でも別格で、まさにフェノーメノですね。

とにかくポジティブなシーズンだったわけですが、来季に向けて不安材料がないわけではありません。ピッチ外では給与の支払いが滞るほど経済的に困窮していて、クラブの経営権が今後どうなっていくのかいまだ解決の見通しが立っていません。この状態では移籍市場で動けないでしょうし、なんなら財政難を立て直すために主力の売却…なんてことにもなりかねません。

今のインテルはすべての選手の個性がいかんなく発揮でき、それらが自然に噛み合って互いの弱点を補い合うよう翼設計・完成されています。それゆえ、主力が多く売却されるとなると、来季はまた新たにチームを構築し直す必要も出てきますね。

今のインテルの安定感はリーグの中でも頭一つ抜けている印象があります。なので、このままの姿でCLを戦ってほしいところ。2000年代後半にマンチーニ&モウリーニョで築いた黄金期を再現するためには、ピッチ外の問題を解決しなければならないでしょう。

ここがうまくいき、コンテが望むチームを維持することができれば、来季もスクデット候補の筆頭でしょう。新シーズンを占う意味でも、移籍市場の動きに注目していきたいですね。




ミラン

最終節までもつれたCL争いを制し、2位に入ったのはACミランです。ついに念願かなって7年ぶりにCL出場権を獲得しました。

7年間苦しんできたものが報われたシーズンとなったわけですが、今季も決して楽な道のりではありませんでした。昨季から続いた負けなし記録により序盤戦は首位を快走するわけですが、その間にも主力が次々と離脱していきました。満身創痍になりながらもなんとか勝ち続けていた流れが途絶えてしまったのが前述のユベントス戦。

下はその試合の負傷者リスト。これだけ主力がいなければもう仕方がなかったと思います。

ただ、そこからアタランタスペツィア、インテルに完敗して徐々に失速。前半戦の貯金も尽きて最終的にはCL出場権争いに巻き込まれました。

心が折れそうになる場面は何度もあったと思うんです。ラツィオに対する0‐3の敗北、勝てばCLが決まるタイミングでのカリアリとの引き分け、最終節に嫌なイメージしかないアタランタ。今までのミランならズルズルいってしまってもおかしくなかった。それでも、それらすべてを跳ね返した。チーム全体に勝者のメンタリティが根付いた何よりの証拠と言ってもいいんじゃないでしょうか。

負傷離脱が多かった関係上、本当に総力戦でしたね。20試合以上に出場した選手は16人にも上ります。出場機会は少なかったものの随所で貴重なゴールを奪ったイブラヒモビッチ、冬に加入し最終ラインの柱となったトモリもここに含めると、いかにチーム一丸となって乗り切ったのかがわかります。この苦しいシーズンを経てのCL復帰。得たものはあまりにも大きいのではないでしょうか。

もうイブラ頼みではない。チーム全員でつかみ取ったCL復帰、そして勝者のメンタリティ。暗黒期を終え、本当に強いミランが帰ってきた。そんな感じがしています。

MVPはもちろんフランク・ケシエ。負傷者が続出する中で38試合中37試合に出場。まさにフル稼働でした。テオの裏のスペースのカバー、中盤でのボールハント、前線への飛び出しなどに加え、今までは苦手としていたビルドアップに関してもべナセルの離脱を機に克服。それに加えて大半がPKとはいえシーズン13得点。ここまで何でもできるパーフェクトなMFは世界中探してもいないでしょう。同胞の偉大な先達ヤヤ・トゥーレを彷彿とさせる圧倒的な存在感でしたね。

来季に向けてはこのいい流れを継続させて新たな黄金期への基盤を築くことが最優先になるでしょう。若手を獲得して育てていくという路線は正しいと思うので、いいサイクルを回しながら成長していきたいところです。トモリの獲得を見ればわかるように、フロントの目利きは確かなはず。サーレマーケルスのように無名の存在でも主力に成長する可能性があります。次はどんな選手がやってくるのか期待ですね。

ピオーリの続投に関しては意見が分かれるかもしれませんが、個人的にはポジティブに見ています。特にシーズン終盤にたどり着いた3シャドー(私は4シャドーと呼んでいます)システムにはかなり可能性を感じています。あの路線を突き詰めてCLでどこまで行けるかとても楽しみです。

なにはともあれおめでとう、ミラン




アタランタ

昨年に続いて3位に入ったのがアタランタ。CL出場は3年連続になります。もはやプロビンチャは完全に卒業、ヨーロッパレベルでも名が知れた強豪クラブになりましたね。

ただ、その道のりは決して平坦ではありませんでした。なにせクラブをここまで押し上げた功労者であるパプ・ゴメスがガスペリーニと決裂、クラブを去るという一大事が発生しましたからね。事件が起こったCLミッティラン戦の直前のリーグ戦6試合で1勝2分3敗。記憶が正しければ7位に沈んでいたはずです。そこで起こった、最悪の事件。そのままずるずると転落してしまってもおかしくはない状況だったと思います。

しかし、そこから逆に盛り返しました。CL出場を決めるまでの28試合をわずか2敗で爆走。その強さは圧倒的でした。

最後の2試合でクラブ史上最高位のセリエ2位と58年ぶりのコッパ・イタリアを逃し、トーンダウンしてシーズンを終えた感は否めませんが、それでもとのバンディエラとの決別というクラブの命運を左右する分岐点をいい形で乗り切ったこと、ゴメス(とイリチッチ)というそれまで絶対に不可欠だと思われた選手を抜きにしてもチーム力が落ちなかったことは、個人の力に頼らず、本当の意味でクラブ自体が力をつけたことの表れに他ならないでしょう。だからこそ、今季は「プロビンチャから卒業したシーズン」と言えると思います。

そんなシーズンのMVPに推したいのがドゥバン・サパタです。2シーズン連続2桁ゴールの得点力はもちろんですが、それ以上に圧倒的なフィジカルを生かしたポストプレーと迫力あふれる突進が素晴らしかった。ゴメスという基準点がいなくなった中で、新たな預け所としてのサパタの存在は欠かせないと思います。チーム2位タイの9アシストを記録した通り、チームメイトを輝かせることもできる選手に成熟した印象。いまや最も欠かせない選手だと思いますね。

全体的にポジティブただ一方で、「あと一歩」が出なかったこともまた事実。2年前にもコッパイタリアで準優勝に終わっていますし、3位は3年連続。クラブ最高位に一歩届かない状態が続いています。

ゴメスに加えてイリチッチも去りそうな来シーズンは、チームが新たなフェーズに入るでしょう。それと同時に、ガスペリーニとともに「あと一歩」を超えられるのかどうかがおぼろげながら見えてくるシーズンになると思います

ガスペリーニはチームをもう一つ上の次元に持っていけるのか。注目ですね。




ユベントス

10連覇はならず、ついに連続優勝が途切れたシーズンとなったユベントス。リーグ戦では理想的な戦いを披露できたとは言えませんでしたが、スーペルコッパにコッパイタリアと2つのカップ戦を制覇。CL出場圏内に滑り込んだことも含めて、ピルロ体制初年度にしては悪くない結果と言ってもいいのではないでしょうか。

アタランタ、ミランというCL権争いのライバルに立て続けに負け、一時は本当にダメなのか…と思いましたが、結局帳尻を合わせてくるあたりはさすがです。Fino Alla Fineのメンタリティーがクラブ全体に根付いているんだなということを再認識させられました。

失点数はリーグで2番目に少ない38と安定していました。問題は相手に引かれたときにゴールが奪えなくなる攻撃の引き出し不足でしょう。というのも、今のユベントスにはどちらかと言えば速攻向きの選手が多いんですよね。ロナウドをはじめ、モラタもキエーザも縦に素早い攻撃でこそ持ち味を発揮します。さらに、ラビオ&ベンタンクールの両ボランチもパスワークに優れたレジスタタイプではなく、どちらかと言えば中盤を幅広く動いてこそ生きるダイナモタイプなんです(だからピルロはロカテッリが強烈に欲しいんでしょうね)。

こうした堅守速攻向きなスカッドを有する一方でピルロは自分たちがボールを支配するアクティブなスタイルを志向していて、両者の間にズレがあるんですね。ここが今季うまくいかなかった原因であるように感じます。サッリもそれでうまくいかなかったのに、同じことを繰り返してしまった感は否めません。

であるからには、来季に向けてとりかかるべきはスカッドと監督が志向するスタイルとの乖離の解消でしょう。ピルロを続投させるなら彼が求めるタイプの選手をできる限りそろえてやる必要がありますし、監督を交代させるなら今のスカッドに合った人を呼んでくる必要があると思います。ここをフロントがしっかりやれれば最後まで優勝を争えるでしょうし、失敗すれば苦しむことになりかねません。今夏の移籍市場での動きが来季を左右するでしょうね。

来季に向けてもうひとつ触れたいのがロナウドについて。ここ最近は移籍のうわさが日に日に強まっていましたね。CL出場権を得たことでどうなるか分からなくはなりましたが、個人的には放出に賛成です。今のユベントスは若返りを図りつつも、中心にいるのは36歳のロナウドといういびつなチームになっています。ここに関しても一貫性を持たせ、キエーザやデリフトらを軸とした新たなチーム作りを行うのがいいのかなと。そもそもユベントスは一人の飛び抜けた選手がけん引するのではなく、チームとして戦うというフィロソフィーを持ったクラブですしね。ロナウドが絶対的な存在ではなく、あくまでチームの一員としての扱いを受け入れるのなら、話は変わってきますが。

とにもかくにも、ロナウドという制限が外れ、自分が望む選手がそろったときにピルロがどんなサッカーを構築するのか。それが見たいです。

ひとつの時代が終わった今シーズンを経て、新たな船出となる来シーズン。その旅路に向けてスタートダッシュを決める意味でも、重要なシーズンになるでしょう。

最後にMVP、これはキエーザで決まりでしょう。公式戦通算14ゴール10アシストの大暴れ。一気にブレイクし、イタリア屈指のアタッカーに飛躍しました。アタランタ戦・ポルト戦の同点弾やコッパの決勝ゴールなど重要なゴールが多かった印象で、ここぞの場面でこそ輝くパーソナリティーは大物感プンプンですね。今後のユベントスを背負って立つタレントでしょう。来季のさらなる成長に期待です。




ナポリ

2位浮上のチャンスもあった中、最後の最後にCL出場権を逃してしまったナポリ。最終的には5位でシーズンを終えました。

終わり方こそよくなかったものの、僕は今シーズン、というかガットゥーゾ体制の1年半をとてもポジティブにとらえています。最初の半年で守備を整備しつつコッパイタリアも制覇し、シーズン頭から指揮を執った今季は攻撃面を整備してリーグで2番目、5大リーグでも4番目の得点数を記録。攻守両面でチームを整備することに成功していたと思います。

中盤戦に失速したことは事実だけど、これはけが人があまりにも多かったので仕方がない部分はあるでしょう。特に選手を使い分けながら戦術を微調整するガットゥーゾにとって、手駒が限られた状態は苦しかったはずです。

下はグラナダ戦の負傷者リスト。これほど選手が離脱してしまっては苦しいですね。

事実、彼ら負傷者が戻ってきてからのラスト16試合はわずか1敗で駆け抜けました。もしこのペースで勝ち点を重ねていれば、シーズン全体での勝ち点は88になる計算。いかに安定した戦いぶりだったかがわかります。主力がきちんとそろった時にはしっかり結果を残していただけに、シーズン通してメンバーがそろっていれば…と思わずにはいられません。そもそも勝ち点77でCLに出られないこと自体が普通じゃない話ですけど。

話がそれましたが、何が言いたいかというとガットゥーゾはよくやっていたんじゃないか、ということです。

けが人が続出した中でもうまくほかの選手で埋め合わせ、チーム一丸で乗り切りました。そのため、ナポリはとても団結力が強いチームだという印象があるんですよ。

getty imagesで写真を探しているとよくわかるんですけど、ゴール後にベンチメンバーのもとに駆け寄って喜んでいる写真がとにかく多い。1年前には内部分裂寸前だったチームとは思えないです。ここまでチームをまとめたのも、ひとえにガットゥーゾ。彼の手腕には敬服しっぱなしです、ホント。

そのガットゥーゾが去ることが事実上発表された今、来季に向けた注目点は新指揮官の人事。一体だれがやってきたどんなチームになるのでしょうか。

個人的には、どの監督が来ても色を付けやすいんじゃないかなと思ってます。サッリ監督解任後、ナポリは一貫してその癖の強さを消す方向性に来たと思うんです。アンチェロッティは攻撃サッカーはそのままにバランスを改善し、ガットゥーゾは守備を再建したあと速攻のエッセンスを加えた。今のナポリは悪く言えば特徴がない、よく言えば全方位型の万能なチーム。いわばデフォルト状態です。だから、たとえばユリッチのような癖が強い監督などでも自分がやりたい方向にサッカーを持っていきやすいのかなと。

後任が誰になるかはわからないですが、サッリ時代に大きく振れた針が中心に向けてゆっくりと戻ってきたのが今シーズンまでだとすれば、その針をもう一度どこかに振り始めるのが来季。大きな転換点になるでしょう。新たな時代にスクデットをとるために、その足掛かりとしてとても重要なシーズン。どんなスタイルで、どんな戦いぶりを見せてくれるのか注目ですね。

そして来季に向けてもう一つだけ触れたいのがオシメン。負傷離脱やコロナウイルス感染によって先発出場は16試合にとどまりながら2桁得点を達成。29節からの8試合で7発の爆発っぷりでした。来季継続して出場できれば、得点王争いに絡んでくることは間違いないでしょう。来季のブレイク候補筆頭として注目しています。

最後にMVPを選出しておきましょう。ディ・ロレンツォです。けが人が続出する中、サスペンション以外の36試合すべてにフル出場してチームを支え続けた鉄人。3ゴール6アシストの攻撃面、相手を完封し続けた守備面も完璧でしょう。今やイタリア屈指のライトバックに上り詰めましたね。来季の監督が誰であれ、重宝されることは間違いないでしょうね。




ラツィオ

ラツィオはシーズン通してけがやコロナウイルスによる離脱者が多かったですね。主力選手がどんどん離脱し、一時はベンチのほとんどをプリマヴェーラの面々が埋めるという状態になっていました。下はCLクラブ・ブルージュ戦の欠場選手。こんな状態でよくやってましたよね、ホント笑

 

スタメンの11人でがっちり組織が完成されていて成熟度が高い一方で選手層が薄いという課題を抱えていたラツィオにとって主力の相次ぐ離脱は相当苦しかったはず。しかしそれでも、カイセドの劇的ゴールを含め何とか勝ち点をもぎ取りつつ中位に食らいつき、CLでは20年ぶりにベスト16に進出するなど最低限の結果を残しました。この粘り強さ、恐るべし。インザーギ体制で主力をほとんど入れ替えずに戦ってきた現チームは、とにかく一体感がすごいし、いざという場面での反発力、粘り強さはリーグで一番だと思います。クラブレベルでそういうメンタリティーを手に入れた、成熟したチームだという印象がとても強いですね。

公式戦通算で、先制されて追いついた試合が3つ。ロスタイムでの決勝ゴールが3つに同点ゴールが1つ。中でもすごかったのがカイセドで、80分以降の決勝ゴールが3つ、同点ゴールが2つ。彼のゴールだけで勝ち点8を拾っています。

こうした粘りが最終的に効いてくるだろうなと思っていたら、案の定16節からの6連勝、27節からの8戦7勝でじわじわと順位を上げ、CL争いに参入するところまで行きました。

最終的に神通力が途絶えてしまったとはいえ、シーズン通してみたときに決してネガティブなものではなかったと思います。

MVPを選ぶならミリンコビッチ=サビッチ。今シーズンは完全に一皮むけた印象がありますね。長欠もなく、継続してハイレベルなパフォーマンスを見せたと思います。

ただ、来季も継続路線を歩めばいいのかと言われるとそれもまた違うような気がします。インザーギ体制は昨シーズンをピークに転換点にきていることもまた事実なのかな、と。新監督を迎えるのかはわかりませんが、すくなくとももう少し若手を組み込んでいったほうがいいことは間違いないでしょう。現在のスカッドには24歳のルイス・フェリペ以外に20代前半の選手が見当たらず、少しずつ血の入れ替えをしていく時期にきているとは思いますね。ここからもうひとひねりしなければスクデットには届かないと思います。来期以降のラツィオがどう変化していくのか注目ですね。




ローマ

フォンセカ体制の2年目となったローマ、最終的には7位でシーズンを終えました。2年連続でCL出場権を逃してしまっては解任も致し方なしですかね。

しかしながら、フォンセカのサッカーが一貫して悪いものだったかと言われればそんなことはないと思います。今季はあまりにも主力の離脱が多すぎました。そんな中で必死にやりくりしなければならなかったフォンセカに対し、情状酌量の余地はあるかなと。まずまず主力がそろっていた前半戦は3位にまで順位を上げていたわけですし、メンバーがそろった時にはしっかりいい結果を残していたと思います。イタリア勢では唯一ヨーロッパの舞台でベスト4まで勝ち残りましたしね。そういう意味で、フォンセカに対して不当に批判するのはかわいそうかなとぼくは思います。

しかし、そんなことを言わなくてもローマに対してそんなにネガティブなイメージがない人は多いんじゃないでしょうか。順位としては満足いくものではないのに、なぜだろう。それは、シーズンの終わり方がよかったからだと思います。

モウリーニョの新監督就任、超新星ダルボエの台頭。フォンセカ監督退任発表後の5試合は3勝1分1敗と調子が上向いたこともあり、ピッチ内でもピッチ外でも今季へのネガティブな思いよりよりも来季に向けた期待感に包まれてシーズンを終えた印象です。

その来季に向けて、一部では大型補強を行うのではないかという声もあれば、そんな金どこにあるんだよという話も聞かれます。どうなるのかわかりませんが、ぼくは仮にほとんど補強ができなくてもそんなに心配いらないんじゃないかと思っています

というのも、ローマの課題はひとえに失点が多すぎることにあったわけです。攻撃に関してはすでに高いレベルにまで達していると思うんです。

たとえば、マンUはかなり守備が安定していたチームだったんですよね。2月10日のFAカップからローマと対戦する4月30日までのおよそ2か月半の間におこなわれた18試合のうち複数失点したのはわずか1試合だったんです。そのユナイテッドから2試合で5得点。その攻撃力に関しては本物だといっていいのではないでしょうか。

この攻撃をベースにしっかり守備を作ることができれば…そう思っていた矢先に発表されたのがモウリーニョの就任でした。僕が考えていた、守備を作れる監督がやってくるわけです。今季のローマの攻撃は縦に速いことが特徴。現在のスカッドが速攻との相性がいいことはすでに今季証明済みなわけです。あとは「堅守」の方が整えば、これは相当いいところまで行けるんじゃないかというのが僕の予想です。

そういう意味で、僕は来季のローマにかなり期待しています。

今季のMVPはペッレグリーニでしょうね。カピターノを任せられるほどに精神的に成熟し、もともと持っていたクオイrティを安定して発揮できるようになりました。選手として一段高いレベルに到達した印象です。ローマの新たなバンディエラとして、来季もチームに君臨してほしいところですね。




サッスオーロ

セブン・シスターズ以外ではこのチームに触れないわけにはいかないでしょう。サッスオーロです。

特に序盤戦の躍進は圧巻。ナポリを葬って一時CL出場圏内に浮上するなど、台風の目となっていましたね。インテルに0-3で完敗してからデゼルビの試行錯誤が始まり、それに引っ張られてチームの成績も落ちていくわけですが、終盤戦には再び上昇気流に乗って最後の9試合を7勝1分け1敗で駆け抜けました。

最終的に8位に終わりましたが、7位ローマと同勝ち点。9位サンプドリアとの勝ち点差は10とかなり離れていて、唯一セブンシスターズに食らいついたチームと言っていいでしょう。

昨季も同じ8位でしたが、7位ナポリとは勝ち点11もの開きがありました。この1年でも着実に成長し、ついにセブンシスターズの背中を捉えるところまで来たわけです。

ここまでチームを持ってきた功労者という意味でも、MVPはベラルディでしょう。ロカテッリももちろんすごかったんですけど、それ以上にクラブのバンディエラとして2部時代から戦ってきた彼を選出したいです。昨シーズンの14ゴール10アシストに続き、今季は17ゴール7アシスト。数字の面でも、今やイタリア屈指のアタッカーとしての地位を確立した感があります。

ただ、上位7強に肉薄するレベルにまでチームを押し上げた功労者であるデゼルビ監督が今季限りで退任

というわけで、監督選びと来季の戦いぶりはサッスオーロにとって分岐点となるでしょう。このままセブンシスターズを崩して8強の一角になれるのか、それともここを最高到達点として数あるプロビンチャのひとつに成り下がってしまうのか。来季はサッスオーロにとって非常に重要なシーズンになるでしょう。

個人的に見てみたいのがサッリのサッスオーロ。パスサッカーがチームのスタイルによくマッチするだろうという妄想ももちろんありますし、サッリにとってもすぐさま結果が求められる強豪クラブよりもある程度時間をかけてチームを作っていける中堅どころの方がやりやすいんじゃないかと思うんですよね。そういう意味で、デゼルビに3年間チームを預けてチームを作らせたサッスオーロは理想郷なんじゃないかなと思います。

なにはともあれ、イタリア屈指の強豪にのし上がりつつサッスオーロが来季誰を監督に迎え、どんなサッカーを見せてくれるのか今から楽しみでなりません。




ヴェローナ

混戦となった20-21シーズンですが、それを演出した立役者ともいえるのがエラス・ヴェローナでしょう。昨シーズン昇格後即9位に躍進すると、その勢いを今季も継続。特に前半戦は圧巻で、セブンシスターズとの7試合を3勝3分け1敗で乗り切ります。まさに「セブンシスターズキラー」ともいえる戦いぶりで、彼らの存在がリーグをより一層面白くしましたね。

そして最終節、ナポリのCL出場権を阻んだのもまたヴェローナでした。8試合勝ちなしと絶不調だったところで、最後の最後に真骨頂を発揮しましたね。

そんなヴェローナのMVPはアントニン・バラクでしょう。ユリッチの特殊なサッカーにも難なく適応してフィールドプレーヤーとしては2番目に長い出場時間を記録。FW陣が不甲斐ない中でチームトップの7ゴールを挙げるなど獅子奮迅の戦いぶりでした。来季はステップアップが濃厚とみられており、どこに行ってどんな活躍を見せてくれるのか楽しみですね。

最終節のナポリ戦はそのバラクなしで戦って勝ち点1をもぎ取りました。チームとして戦い方がしっかり整理され、全員に浸透している証拠でしょう。成績はもちろん、その戦術の面白さからも注目に値するチームでしたね。マンツーマンを基準とした戦うサッカーは魅力的でした。

ここまでチームを仕上げた功労者であるユリッチ監督に引き抜きのうわさが絶えないのが現状で、もし監督交代となれば来季の監督選びが夏の焦点になってきます。2年連続でトップ10入りと着実に地歩を固めつつあるので、この選択次第では国内でも屈指の強豪への道が開けてくるでしょう。

加えて来季に向けて解決したいのがストライカー問題。カリニッチ、ラザーニャと実力者が期待に応えきれず、得点数は下から6番目に沈みました。この得点力不足を解消できれば、さらなる躍進が期待できるのではないでしょうか。




フィオレンティーナ

もう1チーム触れたいチームがあります。フィオレンティーナです。

シーズン前の順位予想を見返してみてください。みなさんフィオレンティーナに対する期待値がかなり高かったんじゃないでしょうか。それもそのはず、アムラバトにボナベントゥーラ、カジェホンにマルティネス・クアルタまで即戦力を次々と獲得。さらにはボルハ・バレロの帰還まで実現させ、上位争いに絡んでしかるべしともいえる豪華なスカッドを完成させました。

そして、開幕節勝利からのインテルとの壮絶な打ち合い、3-4。この2試合で今季のフィオレンティーナは本当に一味違うなとめちゃくちゃ期待しましたね。

しかし、そこから徐々に失速。11月から8試合勝利無しなどどんどん順位を下げ、結果的には降格争いを繰り広げるシーズンとなってしまいました。シーズン開幕後、移籍期限最終日にキエーザを失った(しかも、またしても宿敵ユベントス)ことがどれほどの精神的ダメージを与えたかはわかりませんが、それにしても期待を裏切られてしまった印象は否めないですね。今季最大のがっかり枠として紹介させていただきたいと思います。ヴィオラファンのみなさん、すいません!

MVPは文句なしでヴラホビッチでしょうね。彼の覚醒がなければ残留できていたかわからないくらい圧倒的でした。27節から35節までの9試合で実に12ゴール2アシスト。この間にチームが奪った18ゴールのうち78%に直接関与する活躍ぶりでした。当然強豪クラブが黙っているはずはなく、移籍は濃厚でしょう。来季はどこでプレーすることになるのでしょうか。イブラヒモビッチととても近いスタイルを持っているように見えるので、ミランにうってつけだと思いますが…。

来季に向けてはそのヴラホビッチなしでどうチームを作っていくかが焦点でしょう。攻撃に関しては依存度がかなり高いため、イチから作り直す必要があるでしょうね。イアキーニの後任選びは来季を左右するでしょう。

個人的には、うわさ通りガットゥーゾが就任するのなら来季こそ台風の目になるような予感がしています。崩壊寸前までいったナポリを再建し、CL出場権獲得直前まで持っていったその手腕はフィオレンティーナの新監督にぴったりのプロフィールだと思います。

加えて、彼のモチベーターとしての能力も魅力的。今季のフィオレンティーナはリーグで2番目に多い13もの引き分けがあったんですよね。あと一歩を踏み出してこれを勝ち点3に変えるために、真のリーダーシップを持った指揮官が必要だと思うんです。そういう意味でも、ガットゥーゾは理想なのかなと思います。

なんてったってタレントはそろっているので、しっかりとチームを作ることができればEL争いに絡むくらい普通にできると思いますけどね。ということで、来季さらに上位陣をかき回す存在としてフィオレンティーナに期待しています。




来季に向けて

あまりにも長い記事をここまで読んでいただきありがとうございます。

来季に向けて期待について書いた後、個人的な(このサイトに関する)話をしてこの記事を締めたいと思います。

来季に向けて、注目が集まるのが各クラブの監督人事です。すでにモウリーニョの帰還が決定済みですが、そのほかにもガットゥーゾの退任が事実上発表されていて、ユベントスやラツィオにも監督交代のうわさがあります。サッスオーロ、フィオレンティーナ、場合によってはヴェローナも監督が交代するでしょう。どこに誰が来るのか。それによってチームがどう変わっていくのか。

うわさに挙がっているサッリ、アッレグリ、スパレッティらが現場復帰となれば、それこそどのクラブにもスクデット級の監督がそろうことになります。もう面白くないわけがないでしょう。ユベントスが一強ではなくなった以上、来季もどこが優勝するのか読めない戦いになるはずです。

加えて個人的に注目しているのがエンポリ。ディオニージ監督はサッリ2世と呼ばれているようで、どんなサッカーを見せてくれるのか今から楽しみでならないですね。

とにもかくにも、来季は監督に注目!なシーズンになる予感です。まだ今季が終わったばかりなのに、早く来季が始まらないかなと思ってる自分。もはやEUROすら早く終わってほしい!笑

 

さて、個人的な話に移らせていただきます。

今のところ、このサイトではほぼ選手の紹介記事一本で書いてまいりました。もちろん、この路線は来季も続けていくつもりです。新加入選手やブレイクした選手はもちろん、逆にうまくいかない選手についても取り上げたいなと思っています。

一方で、それ以外にも戦術的な分析を増やしていきたいなと思っています。たとえば、来季は監督交代が多くなると思うので、そのチームがどう変わったかの分析もやってみたいですね。あるいは、より普遍的な戦術一般の話もしてみたいなと。ポジショナルプレーってなんやねん!みたいな話とか。とにかく、今季よりも扱う幅を広げていきたいなと考えています。

新しいことにもどんどんチャレンジしていきたいので、こんな記事を書いてほしい!という要望があればどしどしお願いします!別にサッカー以外の分野でもいいですよ!

そしてもうひとつ。来季はセリエA以外のリーグももう少し見てみたいなと思っています。自分の視野に広げるためにも、チームを絞って追いかけてみようかなと。そこで、おすすめのチームやリーグを教えていただきたいのです。ここがいいよとか、あそこを見てくれ!とか、ご意見をいただきたいです。よろしくおねがいします!

 

というわけで長々と書いてきましたが、最後にひとこと。今シーズンはありがとうございました!来シーズンも一緒にセリエAを盛り上げていきましょう!