【アフリカ史上最高のDF】カリドゥ・クリバリのプレースタイルを徹底解剖!

【アフリカ史上最高のDF】カリドゥ・クリバリのプレースタイルを徹底解剖!

2021年5月8日 7 投稿者: マツシタ
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サッカーにおいて、身体能力があればそれだけで大きなアドバンテージを手にできる。それゆえ、これまで多くのアフリカ出身選手が成功を収めてきた。

最近でいえばサラーやマネにオーバメヤン、もう少しさかのぼればエトーにドログバ。彼らに共通するのは、みなFWの選手だということだ。そう、アフリカ出身選手の中で世界的に活躍した選手の多くがFWなのだ。一方、世界のトップを争うレベルのアフリカ人DFはなかなか現れなかった。

その沈黙を破ったのが現在ナポリでDFリーダーに君臨するカリドゥ・クリバリだ。彼はアフリカ史上最高のDFにちがいない。

 

フランスのメスでデビューしたクリバリは、現在伊東純也が所属するヘンクへと移籍。チームにベルギーカップのタイトルをもたらすなど活躍した。

ナポリにやってきたのは2014年の夏。加入後すぐにレギュラーに定着したクリバリは、これ以降急速な成長を見せる。もともと持っていた身体能力に加えてイタリアで戦術面に磨きをかけたことで世界屈指のCBとしての地位を確立していったのだ。いまやクリバリは世界でも3本の指に入るCBだといっていい。移籍市場が開くたびメガクラブ移籍が噂されてきたことがそれを裏付けている。

アフリカ史上最高のDF、カリドゥ・クリバリ。彼は一体何がすごいのか、改めて掘り下げていこうと思う。




クリバリのプレースタイル

 

対人守備では敵知らず

クリバリの最大の武器が圧倒的な対人守備能力。1対1でクリバリが突破を許す場面は非常に少ない。

それを下支えしているのが身体能力の高さ。195cm89kgの巨漢ながらスピードとアジリティを高水準で兼ね備えているというバケモノっぷりで、機動力は全CBの中でもトップクラスと言っていいだろう。

  • 1試合平均インターセプト数 1.1(チーム内3位)
  • プレッシャー成功率 40.6%(リーグ内3位)

というデータを見てもわかる通り、クリバリは機動力を生かした守備を得意としている。パスが入ってくるタイミングで相手の前に入ってカットし、引いて行く相手に対しては積極的に出ていってプレッシャーを与え、ミスを誘う。

さらに、ドリブラーへの対応でもその機動力が活かされる。一度ターゲットを定めると振り切られることは皆無。ボールホルダーに静かに近づいて行き、タックルを食らわせて奪い取る。

これは昨シーズンのデータになるが、

  • ドリブラーに対するタックル成功数(19-20)66.7%(リーグ内1位)

となっている通りドリブラーに対してめっぽう強い。その巨体からは想像もつかないほどの機動力ゆえに相手のドリブルにも振り回されずについて行くことができるのだ。

相手の動きについて行ったあとはタックルを食らわせて確実にボールを奪う。異常に体が強いクリバリは、少し体をぶつけただけで相手のバランスを崩すことができてしまう。おそらくクリバリはそこまで力を入れているわけではないのだと思う。だから、見ている側からすればそこまで激しくコンタクトしているようには見えない。それなのに相手が吹き飛んでしまう。恐るべきパワーだ。

こうした体の強さを活かし、相手とボールの間に体をねじ込むことでクリーンにボールを奪えるのがクリバリの最大の強み。普段から彼のプレーを見ている人ならわかってもらえると思うが、クリバリにはダーティーなファウルを犯すイメージが全くない。

 

さらに、体を入れてボールが奪えない時にはボールにタックルするよう判断を切り替える。特筆すべきなのがスライディング技術の高さ。足を伸ばしてボールを自分の側に引き寄せるようにして奪い取るテクニックは彼にしかできないものだ。

 

このタックルのいいところは完全に自分のボールにしてしまえる点。スローインになって再び相手ボールになるのと、奪ったボールを完全に自分のものにしてしまえるのでは雲泥の差がある。

こうしたひとつひとつの守備技術の高さはもちろん、それらを適切に使い分けられる判断能力の高さも素晴らしい。クリバリは身体能力だけにものを言わせたプレーヤーではない。インテリジェンスをも兼ね備えたCBなのだ。

また、195cmのクリバリは空中戦にも強さを持つ。DFラインでの跳ね返しはもちろんのこと、攻撃時にもその強さは活かされる。個人的に印象に残っているのが17-18シーズンのユベントス戦での決勝弾だ。




読みの鋭さも光る

このように、身体能力の高さをベースとした圧倒的な対人守備の強さを持つクリバリ。しかし、彼はフィジカルにものを言わせるだけのプレーヤーではない。状況判断や読みと言ったインテリジェンスの側面にこそクリバリの強みがある

特に目を引くのがシュートブロックやゴールライン上でのクリアの多さ。

  • ブロック数 54(チーム内2位)
  • シュートブロック数 28(チーム内1位)

というデータを見てもわかるように、クリバリはパスやシュートのコースを先読みして体を投げ出す技術が非常に高い。クロスボールが上がってくるときにその強みが見えることが多く、クリバリはあらかじめ危険なコースに先回りして相手のクロスボールをはじき出す。

特に意識しているのがDFラインとGKの間のスペースを埋めること。ここにクロスを通されないように、あらかじめポジションを下げてコースを消すのがとてもうまい。

さらに、ゴールライン上でクリバリがボールをかき出すシーンはもはやナポリではおなじみのシーンだ。これに関してはもはやシュートが飛んでくる前にコースに入ってしまっている神業だ。数秒先の未来を見通す力においてクリバリの右に出る者はいないだろう。

下の場面でも、ほかの選手が足を止める中クリバリだけが一目散にシュートコースにランニングしている。彼には本当に未来が見えているのかもしれない。

 

もうワンシーン取り上げたいと思う。この場面では、クロスボースが上がった瞬間に届かないと判断したクリバリは、その足でゴールラインへと走り、相手のシュートをブロックした。届かないことを一瞬で判断できるのはもちろん、じゃあ自分にできることは何なのかということを一瞬で考え、理解し、行動に移す。この一連の思考と行動を一瞬で、こんなにもスムーズにできるCBは世界中探してもほぼいないはずだ。

 

フィジカルを武器とするCBは世界にごまんといる。だが、そうした選手の中でクリバリほどインテリジェンスを兼ね備えているCBはいない。状況判断に優れるクリバリは自慢のフィジカルを適切なタイミングで、適切な場所で発揮できる。だから、ミスらしいミスがない。フィジカルにインテリジェンスを兼ね備えているからこそ、彼はアフリカ史上最高の守備者たりえているのだ。




高いビルドアップ能力

このように圧倒的な守備能力を持っているクリバリだが、攻撃性能でも世界屈指の能力を持っている。

そもそもの話だが、クリバリは非常に高度なテクニックを持っている。下の動画を見てほしい。センターバックのプレーじゃない。

 

こうした基礎技術の高さを両足に装備しているのがクリバリの恐ろしいところ。左右両足をそん色なく使いこなせるため、クリバリは右利きながら左のCBに置かれる。ここからパスを配給し、攻撃の起点となる。

  • 1試合平均パス成功数 60.1(チーム内1位)
  • ロングパス成功数 4.8(チーム内1位)

このように、パス本数でもロングパス数でもチームトップの数字を残している。

いずれにしても特徴的なのが縦パスが多いことだ。クリバリは自分のテクニックが自信があるのだと思う。だから、多少厳しいコースでもバンバンくさびを入れようとする。その分ボールロストはナポリのCB陣の中でも最も多いが、自分で取り返してしまえるし、クリバリのミスが失点に直結したシーンはほとんど記憶にない。きちんとリスクを冒していい場所かどうかの判断がなされているので大きな問題ではないだろう。それよりも、積極的なくさびで相手守備陣に風穴を開けるプラス効果のほうが大きい。

それでいてパスの成功率も高いのだから素晴らしい。過去のデータを見ると17-18シーズン、19-20シーズンにはパス成功率でリーグ全体のトップ10に入っている。状況判断の正確さとテクニックの高さがなせる業だ。

安全にパスをつなぐだけでなく、積極的に縦パスやサイドチェンジのボールを入れるそれでいてミスが非常に少ない。最終ラインの司令塔として、極めて高い能力を持った選手だといえる。




ダイナミックな攻撃参加

さらに、クリバリはパスだけでなくドリブルも得意とするプレーヤー。相手がプレッシャーを掛けてこなければどんどんドリブルで持ち上がり、そのまま敵陣まで攻め上がってしまうことも少なくない。

これはアンチェロッティ時代のデータになるが、

〈ドリブル成功距離〉

  • 17-18シーズン 6991m(リーグ内3位)
  • 18-19シーズン 7241m(リーグ内4位)

となっているのを見ればわかる通り、クリバリは長距離を持ち運ぶドリブルを得意とする。最終ラインからダイナミックに敵陣まで持ち上がり、局面を打開してしまうのだ。

ガットゥーゾ監督が就任してからはやや自重気味だが、それでもほぼ毎試合クリバリの持ち上がりは見られている。

 

パスコースををふさげばドリブルで持ち運ばれ、そのドリブルを止めるためにプレッシャーを掛ければ空いたコースにパスを散らされる。相手からすればクリバリをつぶすのは難しく、だからこそ攻撃の起点としても一流なのだ。世界中のビッグクラブがこぞって獲得を狙うのも自然な話だろう。




人間としても超一流

ピッチ内で圧倒的なパフォーマンスを見せるクリバリだが、ピッチ外でもまた素晴らしい人間なのがクリバリだ。

人格者としても有名なクリバリはナポリの町で暮らすホームレスたちに冬の寒さをしのぐためのマフラーやジャケットを配ったり、イベントなどがなくても病院に足を運んで入院者を励ましたりなど慈善活動にも積極的だ。2016年2月3日に行われたラツィオ戦では、相手サポーターから人種差別を受けたものの、試合後にはスタンドの子どもにユニフォームをプレゼントするなどファンサービスを怠らなかった。

こうした人間性の高さは、サッカー選手として以上にひとりの人間として尊敬を集めている。

一人の男として素晴らしいものを持っているクリバリは、インシーニェ不在時にはキャプテンマークを巻く。DFリーダーとして味方を動かすリーダーシップはもちろん、チームの雰囲気がよくないときには豪快な攻め上がりなどプレーで味方を鼓舞することもできる。

個人能力の高さももちろん素晴らしい。だが、彼一人いるだけでチームのパフォーマンスを改善してしまうほどの存在感、カリスマ性を持っているところこそ、クリバリが世界トップクラスのCBたるゆえんなのかもしれない。

 

このように、

  • 機動力を生かして相手のドリブルについて行き、
  • パワー抜群のタックルでクリーンにボールを奪い取り、
  • スライディングなどひとつひとつの守備アクションの技術が高く、
  • 空中戦の強さも兼ね備え、
  • 状況判断や予測力などインテリジェンスも高水準で、
  • シュートやクロスをブロックする技術が高く、
  • 左右両足の高度なテクニックで攻撃を組み立て、
  • 積極的な縦パスで敵の守備陣形を打ち崩し、
  • ドリブルの持ち運びで局面を打開し、
  • 統率力やリーダーシップも持っている

CBに必要な能力をコンプリートしているクリバリ。彼が世界でも3本の指に入るCBであることに異論をはさむ余地はないだろう。現在のセリエAで最強にして、アフリカ史上最高のCBはカリドゥ・クリバリだ。




クリバリの弱点

完全無欠に見えるクリバリだが、彼に弱点はあるのだろうか。

あえて挙げるなら、近年の細かい故障離脱の多さだろうか。

クリバリはここ最近負傷離脱する回数が増えてきており、つい先日にも今シーズン絶望と思われる怪我が発表された。これで今シーズンの離脱は4度目だ。

インテリジェンスも兼ね備えているとはいえ、クリバリのすごみを支えているのはやはりその類まれなる身体能力。それだけに、怪我が慢性化してフィジカル的なベースが落ちてしまうと、パフォーマンスが徐々に低下していく恐れがある。

度重なるケガによって全盛期が短くなるケースは後を絶たないだけに、クリバリが同じ道をたどらないことを願うばかりだ。




あとがき

攻撃と守備、フィジカルとテクニック、強さと賢さ…全てを兼ね備えるクリバリはセリエA最高のCBだ。2016年から4年連続でセリエAのベスト11に選ばれ、18-19にはセリエA最優秀DFにも選出されている。

欧州レベルでの実績こそライバルに見劣りするものの、実力でいえばセルヒオ・ラモス、ファン・ダイクと並んで世界の3本の指に入るCBだといっていいだろう。

そんなクリバリに移籍のうわさが再燃している。もはや毎年恒例なのだが、今年はコロナウイルスによる財政ショックがあるだけに予断を許さない。年齢的に高値で売却できる最後のタイミングでもある。

カギを握りそうなのがチャンピオンズリーグの出場権。もしこの権利を逃すようだと、資金確保のためにクリバリが売却されかねない。世界最高峰のCBだけに、彼が抜ければ甚大な被害は免れないだろう。

だが、その出場権をかけた終盤戦に、クリバリは参加できそうにない。前述のように、負傷によって今季終了が有力視されてしまっているのだ。自分の未来を自分で決められないとは何とも皮肉な話だ。

来季のクリバリもナポリの最終ラインに君臨しているのだろうか、それとも…。彼の未来を占ううえでも、ナポリの戦いに注目だ。

 

 

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