【イタリア最高の万能サイドバック】ジョバンニ・ディ・ロレンツォのプレースタイルを徹底解剖!

【イタリア最高の万能サイドバック】ジョバンニ・ディ・ロレンツォのプレースタイルを徹底解剖!

2021年4月22日 5 投稿者: マツシタ
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ELではグラナダに敗れ、リーグではジェノアやスペツィアに敗れ、不安定な戦いが続いて来シーズンの監督交代や大規模なスカッドの入れ替えなどがメディアを賑わせているSSCナポリ。しかし、私はけが人があまりにも多すぎるだけだ、まだ上位陣と離されたわけではないのでまだ挽回するチャンスはある、指揮官交代の判断は時期尚早だと複数の記事で何度も主張してきた。

そして実際、ナポリはEL敗退後の6戦5勝負けなしとV字回復。ユベントス戦では敗れたものの、31節終了時点でCL圏と勝ち点2差にまで迫った。まだ7試合が残されており、なおかつ今夜のラツィオ戦を除いた6試合は上位陣との試合がない。さらに、けが人が戻ってベストメンバーがそろいつつある。ここからCL出場権を得ることは十分可能なはずだ。

追い風が吹きつつあるナポリだが、苦しかった時期に粘り強く戦ったからこそ今の状況がある。そうした時期を支えた選手の筆頭格がジョバンニ・ディ・ロレンツォだ。

 

ディ・ロレンツォは2部のレッジーナでデビューし、3部のマテーラでもプレーした経験がある苦労人。17-18シーズンにエンポリに加入し即2部優勝を達成。チームとともにセリエAの舞台へ這い上がると、セリエAデビューシーズンから5ゴール3アシストの活躍。これが評価されてナポリへの移籍を勝ち取った。

ナポリ移籍初年度となった昨シーズン、ディ・ロレンツォはいきなり主力に定着してリーグ戦33試合に出場。2019年11月にはイタリア代表への初招集を受けるなどさらなる飛躍の1年になった。

そして迎えた今シーズン、前述のようにチームにけが人が続出する中でも常に主力としてチームに貢献。リーグ戦31試合中29試合に先発出場していてここまでの出場時間はチームで最長。イエローカードの累積による出場停止以外ではすべての試合にフル出場中のまさに鉄人だ。ディ・ロレンツォの奮闘なくして今のナポリはありえなかっただろう。

今回は、そんなジョバンニ・ディ・ロレンツォのプレースタイルについて徹底的に掘り下げていきたい。

 




 

ディ・ロレンツォのプレースタイル

 

極めて高い守備力

ディ・ロレンツォの最大の武器が守備力だ。

ディ・ロレンツォは本職は右サイドバックだが、センターバックでもプレー可能なほど守備能力が高い。

  • 1試合平均タックル数 2.2(チーム内2位)
  • タックル総数 59(セリエA8位)

となっていて、セリエAの中でも屈指のタックル数を誇る。

ディ・ロレンツォの守備時の特徴が常に相手との距離を詰めていること。そして、パスが入った瞬間に厳しく寄せて自由を奪う。アジリティーも備えるディ・ロレンツォは相手のドリブルにもしつこくついていけるため、その寄せは非常にタイトだ。マッチアップする相手は嫌なものだロろう。

一方、相手が前を向いた時には冷静な対応もできる。無理に飛び込んでかわされるような場面は一切見られず、正対して相手にアクションを起こさせ、体とボールが離れた瞬間にタックルを食らわせてボールを奪う。

相手と自分の状態を見極めながら常に適切な対応ができる。クレバーさと守備技術の高さを兼ね備えているからこそできる芸当だ。

 

だから、ディ・ロレンツォはタックルの数が多いだけでなく、その成功率も非常に高い。

  • デュエル勝率 58%
  • タックル勝利総数 43(セリエA3位)

となっていて、セリエAの中でもトップ3に入るタックル勝利数を記録している。183cm83kgとがっしりした体格を持つディ・ロレンツォはコンタクトプレーでバランスを崩すことがほぼない。そのため、タックルを食らわせればほとんど競り勝てるのだ。

クレバーさ、守備技術に加えてフィジカルも兼ね備えているのがこのディ・ロレンツォという選手だ。

 

また、ディ・ロレンツォの対人の強さは地上戦だけにとどまらず、

  • 空中戦勝率 56%

というデータを見ればわかるように空中戦にも強いのだ。

守備能力に関しては大きな穴がないといっていいだろう。

 




 

攻撃面での貢献度も高い

このように、もともと守備能力の高さを持っていたディ・ロレンツォ。ここに加え、今シーズンは攻撃面での貢献度を飛躍的に高めている。

ナポリは左サイドを攻撃の起点としており、左サイドバックが高い位置をとって攻撃参加することが多い。一方、逆サイドにいるディ・ロレンツォは後方に残っているのが普通だ。

そのため、ディ・ロレンツォは最終ラインでボールを受け、そこからパスを配給することが多い。

ここで、ナポリのサイドバック主力3選手を比較してみると、

1試合平均パス回数

  1. ディ・ロレンツォ:52.1
  2. ヒサイ     :41.1
  3. マリオ・ルイ  :39.7

パス成功率

  1. ディ・ロレンツォ:87%
  2. ヒサイ     :85%
  3. マリオ・ルイ  :85%

となっていて、パスの回数でも成功率でもディ・ロレンツォがトップになっている。ちなみに、パス回数はナポリ全体で見ても3位だ。右サイドからの組み立ては全面的にディ・ロレンツォが担っているといえる。

 




 

局面を前に進めるプレー

後方からボールを配給して試合を組み立てるディ・ロレンツォだが、特筆すべきは局面を進めるパス、すなわち縦パスが多い点だ。

  • 前方向へのパス成功数 197(セリエA3位)
  • ファイナルサードへのパス成功数 164(セリエA5位)
  • ペナルティエリアへのパス成功数 48(セリエA8位)

となっていて、後方から味方アタッカーに向けて多くのパスを供給していることがわかる。

実際に試合を見ていると、グラウンダーのズバッとしたくさびはもちろん、相手の頭の上をふわっと超える浮き球やスペースに流し込むスルーパスなども蹴り分けていて非常にバリエーションが豊富。MFにも引けを取らない組み立て能力を持っているといっていいだろう。

 

さらに、ディ・ロレンツォが局面を前に進める手段はパスだけにとどまらない。

ディ・ロレンツォはそのフィジカル能力を活かした推進力抜群のドリブルも武器としていて、

  • ドリブルによる前進の成功数 177(セリエA8位)
  • ドリブル成功距離 4182(セリエA8位)

となっている通りドリブルによる持ち運びを何度も見せている。相手にパスコースを消されていれば自分で強引に突破することもできてしまうのである。

パスでもドリブルでもボールを敵陣に届けられるサイドバックは稀有な存在だ。ディ・ロレンツォがナポリにとって欠かせない存在であることは明白だろう。

 




 

ゴールに関与する頻度も高い

さらに、後方からボールを前進させるだけがディ・ロレンツォの役割ではない。ファイナルサードでの仕事の質も高いのがディ・ロレンツォだ。

再び主力サイドバックを比較してみると、

1試合平均キーパス数

  1. ディ・ロレンツォ:1.4 テオと並んでサイドバック最多
  2. マリオ・ルイ  :1.3
  3. ヒサイ     :0.6

アシスト数

  1. ディ・ロレンツォ:4
  2. マリオ・ルイ  :2
  3. ヒサイ     :1

となっている通り、ディ・ロレンツォはナポリのサイドバックの中では最もチャンスを作り出していることがわかる。

ちなみに、このキーパス数1.4という数字はチーム全体でも3番目に多く、ウイングバックを除いた、つまり4バックのサイドバックの選手の中ではテオ・エルナンデスと並んでセリエAで最多だ。ディロレンツォがいかに多くのチャンスを作り出しているかがわかる。

ディ・ロレンツォは味方のウイングがボールを持ったらほとんど必ずと言っていいほどオーバーラップを仕掛けてサポートする。オーソドックスだが効果は抜群で、ポリターノやロサーノのカットインを引き出している。パートナーがどちらであっても連係できる点も素晴らしい。

さらに、自分がボールを受ければ高精度のクロスボールでチャンスを作り出す。

ディ・ロレンツォのクロスの特徴がグラウンダーで味方の足元に届ける丁寧なボールが多いこと。ナポリのアタッカーは小柄な選手が多いため、浮き球のクロスでは分が悪い。そういう意味で、相手の立ち位置と味方の動きを読み取りながら正確なボールを上げられるディ・ロレンツォの存在は貴重だ。

 

そして、ディ・ロレンツォは味方にチャンスを提供するだけでなく、自ら得点も奪える選手だ。

下はディ・ロレンツォの今シーズンのヒートマップ。右サイドの全域をカバーしているのが印象的だが、相手ペナルティーエリア内にも色がついていることに注目してほしい。

 

ディ・ロレンツォはこのエリアに侵入していくのが得意で、オーバーラップだけでなく内側へのランニングも使い分けられるのだ。

このエリアに侵入してボールを受けると、ディ・ロレンツォは積極的にゴールを狙う。

1試合平均シュート数

  1. ディ・ロレンツォ:1.1
  2. マリオ・ルイ  :0.7
  3. ヒサイ     :0.4

となっている。毎試合1本はシュートを打っている計算で、サイドバックとしては大きい数字だといっていいのではないだろうか。

特に左サイドからクロスが上がってくるときにゴール前にポジションしていることが多く、前線が小柄な選手揃いで迫力不足になりがちなナポリのサイド攻撃にパワーを加えている。

 

そして、注目すべきは相手が強かったりチームが苦しい状況にあったりする場面での得点が多いことだ。

今季のクロトーネ戦での劇的な勝ち越し弾をはじめ、昨シーズンはミランとユベントスを相手に同点ゴールを決めている。

ただ得点が多いだけでなく、重要な場面でこそ結果を残してくれる。この勝負強さもまたディ・ロレンツォの魅力だ。

 

このように、

  • 状況に応じて適切な守備対応ができ、
  • 地空問わず対人守備に強く、
  • 後方からの配球とドリブルでの持ち運びでボールを前進させられ、
  • 正確なクロスボールでチャンスを量産し、
  • 重要な場面では自ら得点を奪うこともできる

のがディ・ロレンツォという選手だ。ここまで何でもできる選手はそういない。攻守両面の完成度でいえばセリエAで最高の右サイドバックだといっていいのではないだろうか。

 




 

ディ・ロレンツォの弱点

このように攻守万能なディ・ロレンツォだが、彼に弱点はあるのだろうか。

唯一上げられるのがカードの多さだ。

  • イエローカード数 10(リーグ2位)

となっていて、リーグ屈指のカードコレクターとなっている。ちなみに、29節終了時点では単独トップだった。

ここまでディ・ロレンツォが欠場したのは累積警告による出場停止となった2試合のみだが、逆に言えばまだ10試合を残した段階で出場停止2回は多いといえる。ここまで貢献度が高いディ・ロレンツォだけに、彼がいないだけでチームにとっては大きな損失になりうる。

タイトな守備の裏返しで仕方ない部分もあるのだが、リーグトップであるからには見え方が悪いファウルが多いのも事実だろう。もう少しカードの数を減らせれば文句なしだ。

 




 

あとがき

リーグもいよいよ終盤に入り、1試合1試合の緊張度がさらに高まる時期に入っていく。スクデット争いは終焉した感があるが、一方でCL・EL出場権争いは激戦必至。ラツィオが未消化分の試合に勝利すれば2位から6位までは勝ち点6差の間にいることになる。7位ローマもCL圏までの差は6に過ぎず、シーズン終盤まで全く気が抜けない試合が続きそうだ。

昨季に5年ぶりにCL出場権を逃してしまったナポリ。今シーズンは是が非でもCL出場権を奪還し、来季に槍舞台に戻りたいはずだ。

目標達成のためには、出場時間最多のディ・ロレンツォの貢献は引き続き欠かせないだろう。シーズン終盤はディ・ロレンツォに注目だ。

 

 

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