ぼくが欧州スーパーリーグに反対する理由

ぼくが欧州スーパーリーグに反対する理由

2021年4月19日 0 投稿者: マツシタ
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昨日発表され、サッカー界に激震を与えた欧州スーパーリーグとやら。僕は、これに断固として反対です。

その理由を語る前に、ペレス会長の発言の矛盾について解き明かしてみましょう。(ここで言うペレス会長の発言は、欧州スーパーリーグとCLの新フォーマットについて|Shinnosuke Murata|note の記事から引用させていただきます。スーパーリーグと新CLの違いについてもとてもわかりやすくまとめられているので参考にしてみてください)

 

 

ぺレスの矛盾

「日程が過密すぎて選手が怪我をする確率が高まっている」

そうであるのなら、現在のCLよりも試合数を減らした大会になるのが普通なのではないでしょうか。しかし、スーパーリーグを決勝まで戦う場合、10チームのホーム&アウェー18試合+準々決勝・準決勝のホーム&アウェー4試合+決勝で、23試合を戦うことになります。

対して、新CLだとグループリーグ10試合+ベスト16から準決勝までのホーム&アウェー6試合+決勝で17試合。スーパーリーグの方が明らかに過密日程です。

つまり、スーパーリーグは最初から過密日程の解消や選手への負担など考えていないのです。僕はこの引っ掛かりから、スーパーリーグがCLの新フォーマットを改めさせる材料ではなく、一部のビッグクラブが富を独占するために本気でやろうとしていることなんじゃないか。UEFAに不満があるというのは建前で、UEFAがいないところで利益を独占したいのがスーパーリーグの本音なのではないかと思い始めました。

そして、素朴な疑問として「無観客試合になったことによってビッグクラブの方が収益低減率が大きい」というのは本当なんですかね?

これは裏を取っていない、あくまでもぼくの想像だという前提で聞いてほしいんですけど、ビッグクラブの方が普通は収益のチャンネルが広いじゃないですか。無観客になっても我々のような海外ファンがグッズを買ってくれるし、スポンサー料だってビッグクラブの方が大きいはず。

そういった収益源が少ない中小クラブが何から利益を得るかと言ったら、もう入場料収入しかない。中小クラブの方が収益に占める入場料収入の割合は大きいんじゃないんでしょうか。

もう一度言いますが、これは完全にぼくの疑問と推測。ここらへんに詳しい方がいたらぜひ教えてください。

 

 

スーパーリーグ構想は17年前からあった

主観の部分は無視してもらっていいんですけど、過密日程云々は明らかに矛盾していますよね。CLどうこう関係なく金が欲しいだけなんじゃないか…そう思ってスーパーリーグに関して情報を集めていると興味深い記事を見つけました。

「カルチョ産業」と欧州スーパーリーグ構想 | 欧州フットボールの空間 – 楽天ブログ (rakuten.co.jp)

これ、欧州スーパーリーグ構想について書いた記事なんですけど、大事なのはその公開日。なんと2004年4月20日。17年前なんです。17年前からスーパーリーグ構想があったんですね。

で、この記事によると、スーパーリーグ構想にはUEFAも乗り気であると書かれているんです。

 

 

たぶん答えは…

つまり、ある時期まではUEFAも欧州中のビッグクラブも、ビッグクラブだけの大会を作って富を独占しようという方向で歩みを共にしていたわけです。

ここからは再び僕の推測になるのですが…

たぶん、UEFAはビッグクラブによる富の独占をCLで実現しようとした。事実、過去数年にわたって好成績を残してきたクラブを優先的にCLに出場させるような係数づけを行うという情報が出回っていました(最新の情報を見る限り、これまで通りリーグの上位4チームが出場?)。

そうなると、たとえば現在プレミアリーグで4位のウエストハムを差し置いて7位トッテナムがCLに出場するようなことが起こります。これは明らかにビッグクラブに有利なシステムです。

それなら、別にスーパーリーグを新設しなくてもよくないですか?CLの新フォーマットに賛同すればいいだけのはず。

それでもスーパーリーグを作ろうという動きになったのは、その利益を構成員であるビッグクラブだけで独占したいからなのではないでしょうか。UEFAにお金を払わなくてよくなれば、その分自分たちがもらえるお金は増えます。どうせ新しいシステムを作るなら、自分たちの利益を増やしたいよね。だから、ビッグクラブたちはCLを、UEFA見限ってスーパーリーグに乗った。これが答えなのではないかと、僕は推測しています。

 

 

それでも僕がスーパーリーグに反対する理由

ただ、流れとしてビッグクラブ同士の試合を増やそうという方向になっていたのもまた事実。CLの新フォーマットもスーパーリーグとそこまで変わらないものだったことはお伝えした通り。いずれにせよ、ビッグクラブが安定的に欧州の舞台に出てくる方式になっていた可能性は高いでしょう。

ただそれでも、僕はスーパーリーグに対しては断固反対です。その理由は、「スーパーリーグの創設15クラブが固定性である」というフォーマットに起因します。これによって何が起こるのか。

 

①権威がない

オリジナル15チーム固定で争う方式で優勝しても栄光なんてないんじゃないでしょうか。

僕たちが普段見るのは各国リーグのトップカテゴリーだけです。しかし、それはピラミッドの頂点にすぎず、その下に2部、3部、4部…とたくさんのリーグがあり、それぞれのリーグで戦っているクラブがたくさんあるわけです。国によっては合わせて数百のクラブが所属していることでしょう。1年に戦うのは20チームそこそこだけど、そこに昇降格制度があることによって一番下のカテゴリーからトップリーグまでがリンクしている。だから、国内リーグのチャンピオンは数百のクラブの王者だといえるし、だからこそタイトルには権威があるわけです。

CLなんかは出場権を通して欧州各国のリーグすべてとリンクしているわけで、優勝すれば欧州内にある数千のクラブのチャンピオンということになる。だからこそものすごく価値があるわけです。

そういう意味でいうと、スーパーリーグで優勝してもヨーロッパチャンピオンとは言えません。15チームが全く降格なしで戦い、残り5チームも招待枠という形で行われるスーパーリーグは、どう頑張っても20分の1にしかならない。たとえその構成チームのレベルが高かろうが、優勝しても栄光なんてあるのでしょうか。構造でいえばプレシーズントーナメントと変わらないんですよ?

ぼくにはスーパーリーグが権威ある大会である理由がわかりません。何を担保にそのタイトルの価値が保証されているのでしょうか。

それが優勝賞金だというのなら、それはサッカーの大切な部分をないがしろにしている。フットボールに対する侮辱行為だと思います。

 

②国内リーグに緊張感がなくなる

そして、昇降格システムが無くなれば勝負に対する真剣さは失われます。計画経済が人々からモチベーションを奪って失敗したのと同じように、国内リーグで何位でもスーパーリーグに出場できるのなら、そのクラブが国内リーグに力を入れなくなるのは目に見えています。だから、各国リーグがスーパーリーグ参加チームを排除しようとするのは至極当然だと思います。緊張感がないクラブが混じってたって邪魔なだけだよ。

昇降格の緊張感があるからこそ勝負は面白くなるんです。だからこそ意地のぶつかり合いがみられるんです。毎年繰り広げられるタイトル・CL圏ライン・降格ラインを争うドラマがサッカーの歴史を作ってきたといっても過言じゃない。そういう制度がない大会に果たしてどれだけドラマ性があるのでしょうか。

お偉いさんたちは勘違いしているようだけど、技術的に華麗なプレーの応酬よりも、多少不器用でも生きるか死ぬかの魂をぶつけ合うような試合の方が美しいし、心に響く。それは、我々サッカーファンなら誰しもが理解しているはずです。

そもそも現在のビッグクラブがなぜビッグクラブたりえるのかと言えば国内リーグでの成績が優秀だからです。それなのに国内リーグを軽視しては、そのビッグクラブの威光の後ろ盾もなくなりかねません。

もし国内リーグから追放されて10年たって、スーパーリーグでも目立った結果が出せない状態が続いていたら、果たしてそのクラブをビッグクラブとして認める人がどれだけいるのでしょう。国内リーグでの栄光の記憶が失われたとき、そのクラブは「終わった古豪」としてしか認知されないのではないでしょうか。

 

③サッカーの醍醐味が奪い去られる

そしてもうひとつ、スーパーリーグによって失われることがあります。それは、ジャイアントキリング、いわゆる下剋上です。

ジャイアントキリングってサッカーの最大の魅力だと思うんですよ。たとえば陸上競技ではウサイン・ボルトみたいなのが出てきたらずっとウサイン・ボルトが金メダルを取るわけじゃないですか。ボルトがいきなり1秒も遅くなることはないから。

でも、サッカーはそうじゃない。毎年のようにサプライズがある。今年は違ったけど、その前のリヨン、その前のアヤックス、ローマにモナコと、CLには毎年サプライズでベスト4に入ってくるチームがある。あるいはアタランタがPSGを追い込んだり、プレミアリーグでいえばレスターが優勝したりといった、想定外のドラマがある。これはサッカーの最大の魅力だと思うんです。

ビッグクラブが安定して好成績を収めたい、収入を得たいという気持ちはわからんでもない。でも、それはサッカーの真理に反する考えだと思うんです。どんなに強くても負けないチームはないし、どんなに力の差があるように見えてもそれがひっくり返る可能性がある。それがサッカーというスポーツだと思うんです。

どんな強豪であれ、格下のチームに負けるそれがサッカーの真理であり、サッカーの最大の面白さだと思います。

でも、出場チームを固定することによってその可能性は閉ざされてしまう。そんな大会に魅力はあるのか。ぼくには、サッカーの醍醐味が失われた、無味乾燥な大会になる気がしてなりません。

 

 

あとがき

さて、ぼくの考えは伝え終わりました。皆さんはどう思うでしょうか。

ぼくとしては、現行のCLの維持、かつ過密日程解消のためにネーションズリーグの廃止、場合によってはリーグを構成するチームを少し減らすといった調整をするのが一番いい解決策になると思っています。

どんな形であれ、スーパーリーグによるサッカー界の分裂だけは避けてほしい。お互いが歩み寄り、よい結末を迎えてくれることを祈るばかりです。