【Jリーグ最高の右サイドバック】山根視来のプレースタイルを徹底解剖!

【Jリーグ最高の右サイドバック】山根視来のプレースタイルを徹底解剖!

2021年4月17日 1 投稿者: マツシタ
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今シーズンも川崎フロンターレは強い。ここまで10勝1分無敗で首位。総得点29は同17で2位のセレッソを大きく引き離してダントツトップ。早くも独走態勢に入りつつあり、ここまでのところ連覇に向けて視界は良好だ。

例年よりも4試合多く、かつ五輪開催の影響もあって過密日程が続く中でもまったく衰えない川崎の勢い。これは厚い選手層と、それをフル活用したターンオーバーが機能していることが大きい。2チームぶんの選手層があり、どの選手が出てもサッカーの質が落ちない。これは驚異的だ。

しかし、そんな川崎にあって唯一全試合フル出場を続ける選手がいる。右サイドバックで不動の地位を築く山根視来だ。

 

東京ヴェルディのジュニアユースに所属していた山根はしかし、 ユースに昇格することはできず。ウィザス高校、桐蔭横浜大学を経て湘南ベルマーレとのプロ契約を勝ち取ってJリーグ入りを果たした。

プロ初年度はリーグ戦で出番を与えられずチームも2部に降格と厳しい結果となったが、翌季に就任した曹監督によってそれまでのサイドアタッカーから3バックの右にコンバートされてポテンシャルを発揮。以後3シーズンにわたって主力として活躍し、王者川崎フロンターレへの移籍を勝ち取った。

そこからの活躍は知られている通り。移籍1年目からレギュラーに定着して4ゴール6アシストを記録。自身初のベストイレブンにも選出された。そして今シーズンもその勢いを継続し、ここまで11試合に全試合先発フル出場中。自身初の日本代表にも選出されたのだ。

王者川崎で替えが効かない選手にまで成長した山根。彼はどのような選手なのか。

今回は山根視来のプレースタイルについ徹底的に掘り下げていこうと思う。




山根のプレースタイル

 

適切なポジショニングとランニング

山根はもともとサイドアタッカーだっただけあって、攻撃力の高さで注目を集めるDFだ。昨シーズンの6アシストという数字も驚異的だが、今シーズンはここまでですでに4アシストと昨シーズンを超えていきそうなペースで数字を伸ばしている。

  • 1試合平均キーパス数 1.4(チーム内3位)

というデータを見ても、山根が多くのチャンスを生み出していることがわかる。キーパスとはシュートのひとつ前のパスのことだ。

こうした山根の攻撃性能を引き出すうえで大きな役割を果たしているのが右サイドでコンビを組む家長の存在だろう。彼と好連携を築けていることが山根の飛躍の最大の要因だと思う。

下に示したのは今シーズンの山根のヒートマップ。タッチライン際だけでなく、ピッチの中央寄りのポジションにも色が濃いエリアが広がっている。

 

これは、山根が1列前の家長を見て柔軟にポジショニングを調整しているからだ。家長がサイドに張っていたら山根は中寄りに立つし、逆に家長が自由に動き回ってポジションを外してるときは山根が右サイドいっぱいに張って幅を確保する。これを常に的確に行っているから、チームのバランスが崩れない。

内横だけでなく高低の調整も抜群で、低い位置にとどまってCBにパスコースを提供しつつ、ここぞのタイミングで前線へ駆けあがってチャンスにも絡める。

前線へ上がってくるときのランニングの質も非常に高い。味方がパスを出せる体勢が整った瞬間にスペースへ走り込んでパスを引き出せるのだ。さらに、走るコースの使い分けも見事で、家長の立ち位置を見て外を回るか内側を走り抜けるかを的確に使い分けられる。

それがよく表れたのが浦和戦の先制点をアシストした場面。最初は相手のアタッカーをマークして低い位置にいた山根だったが、味方がボールを奪った瞬間に前方のオープンスペースへダッシュ、タイミングよくボールを受けた。

そのダッシュの質の高さが決め手で、最初は進路を内に取っていたものの、前方の小林が中へ入っていったのを見て途中で外方向へと走るコースを変更している。こうした山根の的確な動きがゴールへとつながった。

もちろん、そこからのクロスボールの精度の高さも素晴らしかった。




ハーフスペースから決定的なチャンスを作り出す

ここまでは普通のサイドバックの動きと変わらない。山根が特殊なのはゴール方向へのランニングで得点に絡めることだ。

もう一度ヒートマップを見てみると、敵陣に入ったあたりから色が濃いエリアがピッチの中央方向に向かって広がっていることがわかる。最初は外側にポジションしておきながら、敵陣に入るとゴール方向へ向けてダイナミックに走り込んでいることがよくわかる。

 

この山根の内側への走り込みは川崎の主な攻撃パターンになっている。家長らサイドアタッカーがワイドに張って相手のサイドバックを引き付け、センターバックとの距離を広げさせる。こうして開いたギャップを破るように山根がランニングし、相手を混乱に陥れるのだ。

 

こうしてゴール前に現れた山根は自分でシュートを打つこともできれば、中にパスを折り返すこともできる。ゴールに近いポジションを取ることでゴールに直結する働きを連発することができるのだ。

先日の日韓戦でも、山根はこのエリアに侵入してゴールを奪っている。これは決して偶然ではない。彼が最も得意とする形が代表でも現れたのだ。

 

このように、外側を回っても内側に侵入しても決定的なチャンスを作り出すことができるのが山根という選手なのだ。




後方からの配球も的確

さらに、山根はパスの受け手としてだけでなくパスの出し手としての優秀だ。

彼は高い位置へ上がっていってクロスボールを上げるようなプレーだけでなく、少し低めの位置から前線のアタッカーへパスを配給してゲームメイクするような能力も持っている。MF的なパスセンスも兼ね備えているのだ。

浮き球でふわっと裏へ送るパスに鋭いグラウンダーのくさびなどキックの種類も多彩で、低めの位置からでもチャンスを作り出すことができる。

仙台戦の4点目は山根の低い位置からの縦パスが決定的なチャンスにつながっている。

 

決め手だったのがダイレクトでパスを送ったこと。この場面に限らず、山根は前方にパスコースが見えたら多少何度が高くても躊躇なく通そうとする。そのためミスも多いのだが、チャンスも多く生み出している。こうした積極性も山根の魅力だ。

このように、たとえ低い位置にいてもシュートチャンスを生み出せる山根。彼がチームで2番目に多いアシスト数を記録しているのも納得だ。




デュエルの強さ

ここまでで山根の攻撃能力の高さは理解してもらえたんじゃないかと思う。

しかし、サイドバックとしての守備力が低いのかと言われれば決してそんなことはない。いや、むしろ高いレベルにある。

山根の守備の特徴はアグレッシブさにあり、相手アタッカーに対して積極的にタックルを仕掛けていく。

  • 1試合平均タックル数 2.0(チーム内3位)
  • タックル勝利総数 17(リーグ4位)

となっている通り、リーグでもトップクラスのタックル勝利数を記録している。

特に目を引くのがボールを失った瞬間に守備に切り替え、鋭いタックルを見舞ってボールを奪い返す場面が多いこと。ボールを失いかけても即座に奪回し、攻撃につなげているのだ。

仙台戦の3点目はこれがゴールに結びついた形。一度は相手にボールを奪われたが、山根はすぐさま相手から奪い返してクロスを供給。これが最終的には相手のオウンゴールを誘っている。

 

そして、リーグの中でもトップクラスにタックルを仕掛けているにもかかわらずここまで1枚もカードをもらっていないのは特筆すべきことだ。山根の守備技術が非常に高いことがよくわかる。

激しくもクリーンにボールを奪える。だからこそ攻撃につなげられる。それが山根という選手なのだ。




インターセプトからの攻め上がり

クリーンにボールを奪うといえばインターセプトだ。相手の前に入って完全に自分のボールにしてしまうインターセプトは最もクリーンにボールを奪う守備アクションだ。

山根はこのインターセプトに関しても得意としていて、

  • 1試合平均インターセプト数 2.0(チーム内3位)
  • インターセプト総数 21(リーグ7位)

とまたしてもトップクラスの数字を残している。

実際に試合を見ていても、山根は常にインターセプトのチャンスを狙っていて、相手の前に入るのを今か今かと待ち構えている。その積極性だけでなく、実際に前に出るかどうかの判断も素晴らしい。

昨シーズンの仙台戦では山根がインターセプトから持ち上がり、ゴールまでつなげている。

 

タックルもそうだが、山根は相手のボールを完全に自分のものにしてしまうのがうまい。激しくも正当な守備を行うのは簡単ではない。彼の守備技術の高さがあればこそだ。

そして、前向きにボールを奪えばそのままドリブルで持ち上がることができるのも山根の魅力。

  • 1試合平均ドリブル成功数 1.1(チーム内2位)

となっていて、1試合平均で三笘に次いで多くのドリブル成功数を記録している。もともとサイドアタッカーだっただけあって、ドリブルもお手の物なのだ。

三笘のテクニカルで柔らかいドリブルとは対照的に、山根のドリブルは直線的で素早く、パワーにあふれている。ゴールに向かって一直線で、とても迫力があるドリブルだ。

直線的にゴールを目指しつつ、相手が寄せてきたらいったん味方にはたいてワンツーで突破するのも得意技。直近の福岡戦でのゴールもこの形から生まれたものだった。

 

ここまでみてくれば、山根が攻守両面において多彩な能力を持ち、川崎に多大な影響を及ぼしていることがわかる。

それらの能力値の高さも素晴らしいが、何よりも驚くべきはその能力を過密日程の中で披露し続けていることだ。ここまで全試合フル出場中なのはここまでにお伝えしてきた通りで、リーグの中断期間中には代表の活動に参加し日韓戦にも出場しているため出ずっぱりの状態が続いている。にもかかわらずプレーの精度や強度が落ちないのはすごい。

さらに、山根はケガが少ない選手でもある。湘南時代までさかのぼってみても、山根がケガによって長期離脱した記憶はない。

どんな状況でも常に活躍できる山根はJリーグ屈指タフガイなのだ。山根が継続して成長し続けてきたのも、こうしたタフさがあったからではないだろうか。

 

このように、

  • 過密日程をも苦にしないタフさを持ち、
  • 的確なポジショニングとランニングで味方をサポートし、
  • 中央に切れ込んでいってゴールやアシストを量産し、
  • 後方からの配球能力にも優れ、
  • タックルやインターセプトの技術が高く前向きにボールを奪え、
  • そのままパワフルなドリブルで持ち運んで守備を攻撃につなげられる

攻撃も守備も、ほとんどすべての能力を高次元で兼ね備えているのが山根視来だ。いまやJリーグでも最高の右サイドバックに成長したといっていいのではないだろうか。




山根の弱点

それでは、そんな山根に弱点はあるのだろうか。

唯一上げるとすればクロスボールの処理だ。

ここで空中戦のデータを見てみると、

  • 空中戦勝率 44%

となっていて、山根はあまり空中戦を得意としていないことが見えてくる。山根は身長178cmとそこまで大柄とは言えず、身体的にしかたがない部分はある。しかしながら、それを差し引いても改善すべき部分はある。

それはクリアする方向。山根がヘディングではじいたボールが相手に拾われ、シュートチャンスにつながる場面がみられるのだ。

それが失点に直結してしまったのがスーパーカップでの1失点目。山根は浮いたボールを自分のゴールのほぼ正面にクリアしてしまい、相手に拾われて得点されている。

 

同じような場面は開幕戦でも見られていた。こちらは失点につながらなかったものの、短期間のうちに同じ形でチャンスを与えてしまうのは偶然ではないだろう。内ではなく外へクリアするよう意識づけが必要なのではないだろうか。




あとがき

空中戦に若干の不安を抱えている山根だが、総合的に見ればほとんど隙のないパーフェクトなサイドバックだ。個人的には、Jリーグの中でも最高のプレーヤーなのではないかと思っている。

ほぼすべての能力を持っている山根の代役を探し出すのは容易ではないだろう。彼が川崎で不動の存在になっているのは偶然ではなく、必然だ。

こうなってくると、日本代表でも主役レベルの活躍を期待してしまう。万能性という意味ではライバルの室屋をも上回る。湘南時代に3バックを経験していることからも、4バックと3バックを併用したい意向を持っている森保監督にとって理想の人材のはずだ。来年開催されるワールドカップのメンバーに名を連ねていても何ら不思議ではないだろう。

川崎で最も替えが利かない男、山根の今後の活躍に注目だ。

 

 

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