【ローマのDFリーダー】ジャンルカ・マンチーニのプレースタイルを徹底解剖!

【ローマのDFリーダー】ジャンルカ・マンチーニのプレースタイルを徹底解剖!

2021年4月15日 5 投稿者: マツシタ
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イタリアの名門ASローマは現在セリエAで7位に甘んじており、ここまでは思ったようなシーズンになっていない。2位ミランの57と大差ない54得点を挙げながら、失点数が多く勝ちきれない試合が続いている。

シーズン中盤からけが人が続出したこともあってなかなかベストメンバーが組めなかったのは不運だった。特に、CBの主力格と目されていたスモーリングとクンブッラが長期離脱してしまったことが失点数の増加につながっている面は否めないだろう。

そんな苦しい状況の中、孤軍奮闘しているのがジャンルカ・マンチーニだ。

 

フィオレンティーナユース出身のマンチーニはセリエBのペルージャでデビューすると、活躍を評価されてペルージャへの完全移籍を果たす。その後も活躍を続けたマンチーニはガスペリーニに見初められ、育成の名門アタランタの門をたたくことになる。

アタランタで2シーズンにわたって活躍したマンチーニはローマへ移籍。移籍初年度となった昨シーズンは32試合に出場とはやくも主力の一人に定着すると、今シーズンはここまで27試合にフル出場しチーム内で最長の出場時間を記録。ジェコとペッレグリーニがともに不在の試合ではキャプテンマークを巻くなど、完全にチームの中心選手としての地位を確立している。

マンチーニは離脱者が絶えないローマにおいて孤軍奮闘している鉄人なのだ。彼がいなければ、ローマの守備はもっとひどいことになっていただろう。

いまやローマで最も欠かせない選手の一人となったマンチーニ。彼はいったいどのようなプレーヤーなのか。

今回はジャンルカ・マンチーニのプレースタイルについて徹底的に掘り下げていこうと思う。




マンチーニのプレースタイル

 

アグレッシブな守備が最大の持ち味

マンチーニの最大の武器がアグレッシブな守備対応だ。

マンチーニは常にマークする相手との距離を詰めていて、そこにボールが入れば激しくプレッシャーをかける。体を密着させて圧力をかけ、前を向かせないのだ。

さらに、前を向いた相手に対してはタイミングを見て積極的にタックルを仕掛ける。そして、その成功率がとても高いのもマンチーニのいいところ。体が分厚く、ほとんど当たり負けをしない。そのフィジカルに自信があるからこそ、デュエルをいとわず積極的に守備アクションを起こせるのだろう。

  • 1試合平均タックル成功数 1.6(チーム内3位)
  • タックル勝利総数 35(チーム内2位)

という数字を見てもそれは明らかだろう。

球際の激しさ、アグレッシブさがマンチーニの最大の特徴だ。

 

また、マンチーニはインターセプトがとてもうまい

  • 1試合平均インターセプト成功数 2.3(チーム内2位)
  • インターセプト成功総数 53(セリエA6位)

となっていて、多くのインターセプトを決めていることは数字にも表れている。

準備力や予測力と言ったクレバーな能力も持っていて、相手がパスモーションに入った瞬間に鋭い出足で相手の前に入ってパスカットを決める。フィジカルバトルが好物のマンチーニだが、決してそれだけの選手ではないのだ。

特に直近のボローニャ戦は圧巻で、全選手中トップの4回ものインターセプトを成功させた。この試合を見れば、マンチーニがクレバーなCBだということがよくわかるはずだ。




カバーリングの達人

さらに、マンチーニのクレバーさはカバーリングのうまさにも反映されている。

190cmとそこそこ身長があるマンチーニだが、体重は77kgとそこまで重くなく、長身の割に機動力に優れ、またスピードも兼ね備えている。昨シーズンの序盤にはボランチで多く起用されたことが彼の行動範囲の広さを物語っている。

さらに、マンチーニが予測力を兼ね備えていることは前述の通り。そのため、ローマの右サイドの裏をとるのは容易ではない。

準備がよく、なおかつ行動範囲が広くてスピードもあるマンチーニはウイングバックの裏も、最終ライン中央の背後も難なくカバーできるのだ。データには表れないが、マンチーニのカバーリング能力は達人級だと思う。

特に、今シーズンは最終ラインの負傷者続出を受けて、本職ボランチのクリスタンテのCB起用が続いている。そして、ラインコントロールが不慣れなクリスタンテの背後のスペースをカバーするのがマンチーニなのだ。フォンセカ監督は攻撃面でのプラス効果を見込んでクリスタンテをCBで起用しているのだろうが、それが成立しているのはマンチーニの的確な補助があってのことなのだ。

 

前に出ていって敵をつぶすことも、下がってスペースを埋める動きもともにハイレベルなマンチーニ。なおかつそれらの使い分けが抜群で、状況判断も的確。フィジカルとクレバーさが融合したマンチーニに地上戦での大きな穴は見当たらない。




空中戦の強さは得点力の源に

さらに、マンチーニは地上戦だけでなく空中戦にも非常に強い。いや、空中戦の強さこそがマンチーニの真骨頂ともいえる。

190cmと長身な上、比較的体が軽いマンチーニは跳躍力も抜群。頭ひとつ飛びぬけて競り勝ってしまうほどの高さが出せる。

データを見ても、

  • 空中戦勝率 61%

となっていて、その勝率は非常に高い。

また、ローマのCB陣の中で1試合平均の空中戦勝利数をランキング化してみると

1試合平均空中戦勝利数

  1. イバニェス :1.9
  2. マンチーニ :1.7
  3. スモーリング:1.6
  4. クンブッラ :1.1
  5. クリスタンテ:0.8

となっている。マンチーニがチームでもトップクラスに空中戦で勝利していることがわかる。

 

もっとも、彼の空中戦勝利数が多い要因は守備時の競り合いが多いことだけではない。マンチーニのヘディングの強さはむしろセットプレー時に発揮されるのだ。

特にコーナーキックでマンチーニはターゲットになっていて、

  • ヘディングゴール数 4(セリエA2位)

となっている。これは、クリスティアーノ・ロナウドに次いでリーグで2位タイの数字。ランキングにはFWの名前がずらりと並ぶ中、並み居るストライカーたちの上に立っている異端のCBだ。

さらに、ELのシャフタール戦でも頭でゴールを決めているマンチーニは今シーズンすでにヘディングだけで5ゴールを決めていることになる。ここまで得点力があるCBはなかなかいない。

そして、特筆すべきは重要な場面でのゴールが多いこと、インテル戦の同点弾、ジェノア戦の決勝弾。マンチーニのゴールで拾った勝ち点は数多い。

 

アタランタ時代の18-19シーズンにもリーグ戦5得点を記録しているマンチーニ。いざというときに頼れるセットプレーでの得点力の高さと勝負強さも彼の魅力の一つだ。




正確なロングフィードで攻撃の起点にも

マンチーニの攻撃面での貢献度の高さは得点力だけにとどまらない。ビルドアップ時にもしっかりチームに貢献している。

  • パス回数 51.1(チーム内2位)

となっていて、チームでもトップクラスにボールに触っていることがわかる。彼がローマ加入当初はボランチで起用されていたことは前述した通り。それは、機動力のほかにもボールを動かせる確かなテクニックがあったからでもあるのだ。

さらに、特筆すべきはロングパスの精度の高さ。ショートパスよりもむしろロングパスの方がうまいかもしれない。

  • ロングパス成功数 3.2(チーム内3位)

となっていて、チームでもトップクラスにロングパスを供給していることがわかる。

特に目を引くのが左ウイングバックに入るスピナッツォーラへの対角線のロングフィード。スピナッツォーラはローマの攻撃の起点であり、彼の足元へ素早く届けるマンチーニのパスはローマの攻撃に欠かせない。彼からのパスが攻撃のスピードアップの合図になっているからだ。

攻撃の起点としての配給力の高さも持っているのがマンチーニなのだ。

さらに、サイドCBとして積極的な攻撃参加を見せることもあり、サイドに流れてクロスボールを供給するプレーも得意とするところ。今シーズンはこの形からすでに2つのアシストを記録している。自らゴールを奪うだけでなく味方にアシストすることもできるマンチーニ。ここまでゴールに絡めるCBは世界的に希少だろう。

 

このように、

  • 激しくタイトな守備で相手に自由を与えず、
  • 予測力と出足のよさを活かしてインターセプトを決めることができ、
  • 味方の裏のスペースのカバーリング能力にも長け、
  • 空中戦の強さを活かしてここぞの場面で得点力を発揮し、
  • ロングフィードやクロスボールで攻撃の起点にもなれる

攻守両面で非常に貢献度が高いのがマンチーニだ。イタリア国内でも屈指の実力者と言っていいだろう。




マンチーニの弱点

そんなマンチーニに弱点はあるのだろうか。

強いて挙げるならカードの多さか。

  • イエローカード 9枚

はここまでリーグで2番目に多い数字で、

  • ファウル総数 58(セリエA4位)

とファウルの数もリーグで屈指になっている。これは彼のアグレッシブなプレースタイルの裏返しともとれるのだが、個人的にはプレー以外での無駄なカードが多いのが気になるところ。

少し気性が荒い傾向があり、負けている場面などでイライラして冷静さを失ってしまう場面がちょくちょくみられる。先月行われたナポリ戦でも、1枚カードをもらっている状況でオシメーンとやり合ってあわや退場という場面があった。

 

ここが改善され、真のリーダーシップを身に着けることができれば、イタリア代表でも最終ラインの主軸として君臨する日が来るのではないだろうか。




あとがき

リーグ戦では苦しんでいるローマだが、イタリア勢唯一の生き残りとしてELのベスト8に進出している。昨年も同様にベスト8に進出したが、結果的に優勝することになるセビージャに敗れてベスト4進出はならなかった。しかし、今シーズンは1stレグをアウェーで先勝。ベスト4進出への機運が高まっている。

2つのアウェーゴールを奪っているローマは、0-1で敗れてもベスト4進出となる。基本的にはいかに失点せずに試合を進められるかが焦点になるだろう。

いまこそ守備陣の真価が問われる。その中心として、マンチーニにかかる期待は大きい。

 

 

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