【旋風の正体】サガン鳥栖の戦術を徹底解剖!

【旋風の正体】サガン鳥栖の戦術を徹底解剖!

2021年4月1日 4 投稿者: マツシタ
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個人スポーツでは、各プレーヤーの力の差が覆りづらい。いきなりウサイン・ボルトが0.5秒も遅くなったりしないし、吉田沙保里が急に隙を見せたりはしない。彼らのように一度とびぬけた選手が現れれば、彼らがずっとタイトルを総なめにする。ボルトは2008年からの8年間、オリンピックと世界陸上の短距離走(100m・200m)すべてで金メダルを獲得したし、吉田沙保里は世界大会16連覇、個人戦208連勝というとんでもない偉業を成し遂げている。

彼らの例は極端かもしれないけれど、たいていの個人競技では選手の能力値が10と9だったとき、その大小関係が覆ることはほとんどないのだ。

一方、チームスポーツはそう単純にはいかない。単純なチームのメンバーの能力値の足し算がそのままチームとしての能力値になるとは限らないのだ。

サッカーだと、10の選手が11人いるチームと8の選手が11人いるチームが試合をしても後者のほうが勝ってしまうことが少なくない。なぜなら、チームとして出せる数字は11個の数字と記号(+、-、×、÷)からなる計算式によって決まるからだ。

この計算式が戦術だ。たとえ一人一人の能力値が低くても適切な計算式を作れば、つまり戦術をしっかりと組み立てればチームとして大きな数字を出力することができる。これがサッカーの一番面白いところ、醍醐味だと思う。

Jリーグでこのことを最も感じさせてくれるのがサガン鳥栖だ。

財政面が厳しい鳥栖は昨シーズンの主力を多く放出して今シーズンの開幕を迎えた。かわってスタメンを張るのはユース出身の若手やJ2からやってきた選手が大半。戦前には厳しい戦いを強いられるとの見方が多数だった。

しかし、ここまでのサガン鳥栖は4勝2分無敗で3位。しかも、開幕からここまで無失点を継続中という驚きの躍進を見せている。

タレント力では決してリーグトップクラスとは言えない鳥栖。それでもこの順位につけているのは、しっかりとした戦術によってもともとの数字を大きく増幅させることに成功しているからだろう。

ということで、今回はサガン鳥栖の躍進を支える戦術について徹底的に掘り下げていこうと思う。




鳥栖のシステム

サガン鳥栖のフォーメーションは4-4-2なのか?3-5-2なのか?という議論をよく目にする。これはどちらも正解でありどちらも間違っている。

鳥栖がどういうサッカーをしているのかを本当に理解するためには、従来のフォーメーションという枠組みで考えていると不可能だと思う。鳥栖は攻撃時と守備時で異なるシステムに変わるからだ。

基本的には守備時には5-3-2でブロックを作る。一方、攻撃に転じると3-5-2を基本に流動的に形は変わっていく。

 

 

このように、攻撃と守備では大きく立ち位置を変えるサガン鳥栖。その中でももっとも複雑な動きをするのが驚異の17歳、中野伸哉。彼は守備時には3バックの左CBの位置に入り、攻撃時には左のウイングのような立ち位置をとる。このような役割を任されている選手はヨーロッパでも見たことがない。

ひとつとなりの小屋松は守備時左ウイングバック、攻撃時左インサイドハーフのような立ち位置になり、中野とはクロスするようにして移動する。

 

移動効率を考えたら、そのまま縦に移動したほうがよさそうなものだ。なんでこんなことをするのだろう。それは、中野の持ち味を最大限発揮させるためだ。

中野は本来サイドバックの選手で、高精度のクロスボールが武器。仙台戦のアシストがそれを証明している。

 

しかし一方で、クリスティアーノを完封して話題になった通り対人守備もうまい。まだ線は細いものの、体の入れ方がうまくてクリーンにボールを奪うことができる。

じゃあ、守備時にはCBの位置に置いてその守備力をよりゴールに近い場所で発揮してもらおう。でもクロスボールのうまさも捨てがたいから攻撃時には高い位置をとってもらおう。こういう決め方なのではないだろうか。

要するに、サガン鳥栖の複雑な立ち位置の変化はそれぞれの選手が持ち味を最大限発揮できる場所に置くためのものなのだ。これが序文で書いた「選手の能力を増幅させる戦術」である。

現在の鳥栖はまさに戦術が各選手の強みを引き出している好例。どうすれば各選手の強みが発揮されるかが考え抜かれていて、育成畑出身の金監督らしいチームの組み立て方だと思う。

逆に、この立ち位置の変化はスタメン11人の能力を最大限引き出すことを前提に組み立てられているのだから、そこにそのまま別の選手を当てはめてもうまく回らないのも当然だ。

これが金監督が過密日程の中でも先発メンバーを大きくいじれない理由であり、主力の大半を休ませたルヴァンカップでウソのように大敗してしまう理由だろう。

戦術が早くから固まっているサガン鳥栖だが、ここに控え選手を取り込んで幅を持たせられるかが今後の課題と言えそうだ。




戦術の概要

それでは、戦術の細かい部分を見ていく前に、リーグ全体の中で鳥栖がどのような立ち位置にいるのかをデータを使ってみてみたい。

もともと堅守速攻のイメージがあるサガン鳥栖。実際、ここまでサガン鳥栖は6試合を戦っていまだ無失点を継続中。1996年の横浜フリューゲルスのJリーグ最多記録に並んでおり、次節での新記録達成が期待されている。

それならば、よっぽど守備のアクションが多いのだろう…。本当にそうだろうか?

  • 試合ごとのタックル数 11.7(全チーム中最下位)
  • 試合ごとのインターセプト数 12.8(20チーム中15位)

このように、データを見るとインターセプト数はリーグで下から6番目、タックル数に関してはリーグで最少という数字になっている。

 

 

失点が少ないのに守備のアクションが少ない。これはどういうことかというと…そう、そもそも守備をする時間が短い!ということである。

守備をしない時間に何をしているかと言えば攻撃しかない。サガン鳥栖は自分たちがボールを保持する時間を長くすることで試合をコントロールしているのだ。だからこそここまで無失点を継続できているのだ。

  • ボール支配率 56.8%(20チーム中4位)

下のランキングを見てもらえればわかる通り、サガン鳥栖のボール支配率はヴィッセル神戸や川崎フロンターレといったポゼッションを重視する印象が強いクラブをも上回っている。

 

金監督は「自分たちが主導権を握るサッカーを目指す」と語っているが、このデータを見る限りそれに成功しているといっていいのではないだろうか。

自分たちがボールを保持して試合の主導権を握りつつ守備の時間を減らし、失点のリスクを回避する。これがサガン鳥栖の大まかな戦術だといえそうだ。




攻撃

 

左サイドでのビルドアップ

それでは、まずは攻撃から詳しく見ていこう。

サガン鳥栖がボールを支配して試合を進めているということはこれまでに説明してきた通り。それでは、なぜ鳥栖はそんなにボールを支配することができるのだろうか。

サガン鳥栖は基本的に左サイドでボールを持つ時間帯が長い。直近のアビスパ福岡戦、大勝したベガルタ仙台戦のプレーエリアを並べてみたが、いずれも左サイドの色が濃くなっていることが確認できる。

 

 

ボール回しの中心になっているのは仙頭、小屋松、中野の3人。特に重要な役割を果たしているのが仙頭。彼が中盤に降りてきて最終ラインからボールを引き出し、前線の選手へとボールをつなぐリンクマンになっている。仙頭にはポジショニングの自由が与えられている印象で、アンカーの位置に降りたり左の曖昧な場所に立ったり、サイドバックの位置にまで開いたりとそのバリエーションは幅広い。そして、その彼の動きに合わせて各選手が立ち位置を変えている印象がある。

相手も仙頭が起点になることはわかっているので当然そこをつぶそうとしてくる。しかし、仙頭をフリーにするための仕掛けが準備されているので、相手はなかなか仙頭まで出ていけないのが現状だ。

というのも、仙頭(44)が中盤に降りるタイミングで外側にいた小屋松(22)が仙頭がいた場所に入ってくるのだ。そうなると、もともと仙頭をマークしていた選手(下図の6番)には迷いが生じる。仙頭について行かなければ組み立てのキーマンをフリーにしてしまうけど、仙頭についていったら今は自分が消せている小屋松へのパスコースが空いてしまう。この小屋松のいやらしい動きによって仙頭はフリーになりやすくなっている。

 

仮に6番が小屋松についていって、2番が小屋松のマークを受け持ったとしよう。そしたら、今度は中野(47)にフリーで高い位置をとられてしまう。中野のクロスボールは高精度なので、これまた相手にとっては嫌な状況だ。

 

じゃあ中野を2番が見て、小屋松にCBの3番が出ていく。そしたら今度はFWの林(8)が空く。

 

林へのパスコースを消すために中盤が絞ったら逆サイドから樋口がタイミングよく下りてくる…。

 

このように、サガン鳥栖は常に相手に二択を強いる。そして、相手の動きを見ながら空た選手を的確に使うことでスムーズなボール回しを実現している。これが常に選手の立ち位置が変わる理由でもある。




左から右への揺さぶり

そうこうして左サイドでボールを回していると、相手もだんだん左サイドに偏ってくる。この時に威力を発揮するのがサイドチェンジだ。

再びデータを見てみると、サガン鳥栖は

  • ロングパス成功数 28.8(20チーム中2位)

となっていて、ロングボールを多用していることがわかる。

 

これがサガン鳥栖の狙いの一つ。左サイドでパスを回しつつ相手の意識も左に寄せておいて空いた右サイドへ一気にサイドチェンジ。そこでフリーで待っている飯野に渡し、彼の持ち味であるアグレッシブな仕掛けを引き出す。

 

このサイドチェンジの供給役として重要な役割を果たしているのがエドゥアルド

  • 1試合当たりロングパス成功数 8.8(リーグ1位)

となっていて、エドゥアルド→飯野のラインが鳥栖の攻撃において非常に重要になっていることがわかる。




大きすぎる朴一圭

それなら、ボールが仙頭やエドゥアルドに入る前にボールを奪ってしまおう!ということで前線からハイプレスを仕掛けてきたのが柏だった。しかし、それでも鳥栖のボール保持を乱すことはできなかった。

ここで効いてくるのがGKの朴一圭。彼はフィールドプレーヤー並みの、いや一部のフィールドプレーヤー以上の足元のテクニックを持っていて、ビルドアップに問題なく参加できる。彼を含めればフィールドプレーヤーは11対10みたいなものなので、鳥栖の選手はどこかで必ずフリーになってしまう。仮に守備側が保険をかけてうしろで1人余らせるならフィールドは11対9になってしまい、鳥栖でフリーになれる選手は2人になる。こうなってしまうともうボールを奪うことは難しい。

それでも前から奪いに行く!と特攻すれば、今度は空いた裏のスペースに林が飛び出す。U-24代表でアルゼンチン相手にも裏への抜け出しからゴールを奪ったことが記憶に新しい林。ハイプレスを仕掛けた柏も同じように林に裏を取られて失点している。

 

このように、現状サガン鳥栖からボールを奪い取ってしまうことは難しいと思う。少なくともこれまでの6試合でそれに成功したチームはいない。それくらいサガン鳥栖のボール保持は洗練されていて完成度が極めて高い

なぜボールを奪えないかと言えば対策に対する対策が練られているから。そして、そのすべての策を完全に消すことはできない。朴一圭という11人目のフィールドプレーヤーがいる限り、どこかが必ず空いてしまって逃げられる設計になっている。鳥栖の選択肢をすべて消したいのなら、相手GKも前に出てきて11対11のマンツーマンゲームでも仕掛けない限り不可能だろう。




現状のサガン鳥栖対策と打開策は?

だから、鳥栖からボールを奪うことはあきらめて自陣に引きこもり、がっちりゴール前を固めながらワンチャンスを狙うというのがここまでのところのサガン鳥栖対策の正解になっている。

このやり方で鳥栖から勝ち点1を奪った清水と福岡は、ともにボール保持率が30%ほどしかなかった。それでも何とか耐え抜いて0-0でしのいだといった展開だった。逆に言えば、鳥栖は最もボールを支配した2試合で点が奪えなかったという何とも皮肉な展開になっている。

ここまでの話をまとめると、自分たちがボールを支配するという理想像は実現できている。つまり、ビルドアップに関しては完成されている。なので、引いた相手をどうこじ開けるのか、つまり崩しの局面の完成度を上げることが今後に向けた課題ということになる。

個人的に鳥栖の試合を見ていて感じるのがパスワークにテンポの変化がないこと。先ほども書いたように、鳥栖は相手に二択を迫りつつ逆をとりながらパスを回している。相手の動きを観察するためにあえてテンポを落としているように見える。

確かに、自陣でボールを回すときはそれでいいと思う。ボールロストしてしまえばすぐさまピンチになってしまうので、丁寧に回すことを優先するのは正しい。でも、相手を崩すとなると多少ミスしてでもテンポを上げ、素早く攻め切ることが必要なのではないだろうか。今の鳥栖は自分たちのゴール前と相手のゴール前でパスのテンポがほとんど変わらない。

たとえば、飯野へのサイドチェンジを合図に素早く仕掛けるなど、何らかのトリガーをきっかけに攻撃のテンポを上げるしくみが欲しいところだ。

また、再びデータを見てみると

  • 1試合当たりクロス成功数 4.0(20チーム中14位)
  • 1試合当たりドリブル成功数 4.5(20チーム中17位)

となっていて、リーグでもトップクラスでボールを持っている割にはゴールに迫る積極的なアクションが少ないこともわかる。

 

 

これらを見ると、相手ゴール前でボールを大事にしすぎている傾向があることがわかる。

そうした確実なボール保持が失点を減らすことにつながっているとはいえ、やはりゴールを奪わなければ勝ち点3はとれない。そのためにドリブルで仕掛ける、多少ラフにでもクロスボールを上げる、リズムに変化を加えるといった工夫が引いた相手を崩すためにカギになってきそうだ。




守備

 

素早いボール奪還

ここからは守備についても見てみよう。

サガン鳥栖はボールを持つ時間が長く、守備をする時間が少ないと説明した。それは逆に言えば、ボールを失ったときに素早く奪い返すことができているということでもある。

実際に試合を見ていると、鳥栖の選手たちのプレッシャーの速さには驚かされる。特に相手ボールになった瞬間の切り替えが非常に速く、すぐさま相手を囲い込むことができている。

ボールを支配してじっくり攻めていこうとすることが多い鳥栖だが、実はここまでの多くのゴールはいったん失いかけたボールをすぐに奪い返したところから生まれている

 

このように、ボールロスト後の即時奪回がサガン鳥栖の守備の狙いであり、そこから始まる素早い攻撃が鳥栖の大きな武器になっているのだ。

そしてその激しいプレスを90分間緩めることなく継続できる持久力も素晴らしい。




走れるという優位性

再びデータを見てみると

  • 1試合当たり平均走行距離 (20チーム中2位)

となっている。ちなみに、第5節の時点ではサガン鳥栖が1位だった。

 

ここら辺はハードワークを身上とする鳥栖らしい部分。ユース出身の選手が多いことからも「鳥栖イズム」がしっかりと浸透している印象だ。

鳥栖を見ていると、やっぱりサッカーって単純に走れるだけでかなり有利になるな、と痛感する。何が有利かって局地的な数的優位を作りやすいのだ。

朴一圭のところで説明した通り、サッカーは1人多いだけでも相当有利になるスポーツ。全員が少しずつ頑張って11人分走ることができれば、それだけでかなり有利なのだ。

ここまで色々と説明してきたが、サガン鳥栖の躍進の理由は

  • 豊富な運動量によって攻守において数的優位を生み出せていること

とまとめることができそうだ。




相手のビルドアップに対するプレッシング

相手のビルドアップに対する鳥栖のプレッシングの仕組みも紹介しておこう。

いったん5-3-2でブロックを組んで構える鳥栖。陣形が整ったら、2トップが守備を開始する。ひとりが下りてくるMFをマークしてパスコースを消し、もうひとりが内側からプレスをかけてボールを外に追い出す。この2トップの守備が非常にうまくて、ここをかいくぐられて中央にパスを入れられることがまずない

 

そうして外にパスを出させたら、インサイドハーフ(図では仙頭・44番)が斜め前に出てボール保持者に圧力をかける。そして、空いたスペースには後方からサイドCB(図では中野・47番)が前に出てくることで埋める。ウイングバック(図では小屋松・22番)は後ろに残り、相手のウイングをケアする。

 

ここにも中野をサイドCBに起用している理由があると思う。機動力がある中野をこの位置に置くことで中盤に空いたスペースをカバーさせやすくしているのだ。

逆サイドも同じメカニズムで、2トップがサイドに追い込み、インサイドハーフとサイドCBが前に出てさらに圧力を強める。右のサイドCBファン・ソッコは昨年の清水では左サイドバックでの出場が多かった。彼もまたサイドバックをこなせるレベルの機動力を持っているのだ。

 

いったん後方に構えるのは、おそらく助走をつけるためだと思う。少し後からプレスを開始することで前への勢いと迫力を持たせられる。そのためにサイドCBに機動力があるファン・ソッコと中野を置いているのだと思う。

このプレッシングの完成度は非常に高く、相手から自由を奪うことに成功している。

先ほど鳥栖はタックルの数がリーグで最も少ないというデータを紹介したが、そこには鳥栖の圧力を受けた相手のミスが多くなっている側面もあると思うのだ。タックルをかます前に相手が相手が雑に蹴りだしたりボールを捨ててしまっているということ。それほど相手選手が感じている圧力は高いのだろう。




確立された勝ちパターン

このように、サガン鳥栖はチームとしてボールを奪う組織的なプレッシングを強みとしている。

とはいえCBのふたり、エドゥアルドとファン・ソッコの個人能力の高さも見逃すわけにはいかない。このふたりが相手FWをしっかりつぶし、攻撃の起点を作らせないからこそ鳥栖の攻撃が継続する。この2人の個人解決力が高いからこそ、勇気を持って前にでていける。若いチームを後から支える彼らふたりの存在はやっぱりでかい。

さらに、勝っている試合では新加入の田代雅也を投入して3バックの中央に置き、ファン・ソッコ、エドゥアルドとともに3枚で中央を固めて逃げ切るという形が定番化しつつある。

3人とも地空問わず対人戦に強く、相手の攻撃をしっかり弾き返せる。だから、あえてやっていないだけで鳥栖は引いて守ってもかなり強いと思う。事実、勝っている場面で田代を入れたあと、鳥栖は重心を下げる。これを迷いなくやれるということは跳ね返す力に自信があるのだろう。

やっぱり勝ちパターンを持っているチームは強い。それを開幕からの6試合で作れただけでも今後に向けて大きなプラスになるのではないだろうか。




あとがき ~今後を展望してみた~

ここまで見てきたように、すでに高い完成度を誇っているサガン鳥栖。彼らの躍進は偶然ではなく必然だったということがわかってもらえただろうか。

そして、鳥栖は完成度が高いにもかかわらずまだまだ天井が見えていない。引かれた相手をどう崩すのか、控え選手や新加入の中野嘉大をどう組み込んでいくのか、2人のアフリカンストライカーをどう扱うのかなど、まだまだ練れる部分がたくさんある。若手選手が多いため、彼らが成長するだけでもチームは伸びていくだろう。すでに高いレベルにありながら、もっと伸びるんじゃないかという期待感をも感じさせてくれるのが今のサガン鳥栖だ。

しかし、ここまで上位陣との対戦がないこともまた事実。ここからが真価を問われる正念場だろう。

たとえば、柏よりもさらに激しく、完成度が高いプレッシングで鳥栖のポゼッションを破壊しに来るチームも現れるだろう。マリノス、ガンバ、鹿島、神戸、札幌、などがその候補だ。

あるいはこれまでの「正解」を踏襲して自陣にしっかり守備ブロックを築きつつも、前線の強力なタレント力をもって清水や福岡以上に得点の可能性を残せるチームだってある。永井、田川、アダイウトンと言った快速アタッカー、ディエゴ・オリベイラやレアンドロといった個人での打開力に優れたアタッカーをそろえるFC東京はその筆頭候補だろう。

そして、相性がいい川崎との対戦は例年以上におもしろいだろう。これまでは鳥栖が懸命に守る展開が多かったが、今年の鳥栖はしっかりボールを持てる。お互いが相手にボールを持たせたくない、お互いが自分たちがボールを持ちたい。このプレスvsパスワークのせめぎあいは非常にハイレベルかつスペクタクルなものになることは間違いなく、今から楽しみでならない。

今シーズンの鳥栖はどこまで成績を伸ばしていけるだろうか。序盤戦のこの戦いぶりが「旋風」ではなく「実力」だったと証明してほしい。

 

 

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