【「令和維新」のはじまり】日本代表活動レポート 2021年3月編

【「令和維新」のはじまり】日本代表活動レポート 2021年3月編

2021年3月31日 4 投稿者: マツシタ
Pocket

江戸時代の長い鎖国を経て、明治時代に日本は急速な近代化を行った。いわゆる明治維新だ。殖産興業・富国強兵を掲げたこの改革は、おもにドイツを手本にしていたのは有名な話だ。大日本帝国憲法はドイツのワイマール憲法をお手本にしていたというのは義務教育の範囲なので、誰しもが聞いたことがあると思う。そのほかにも軍隊の在り方や鉄道の建設など、日本は広範囲にわたってドイツを手本に近代化を成し遂げている。

そしていま、サッカー界でもドイツを手本としたチーム作りに舵が切られようとしている。

2020年9月、インタビューに応じた森保一監督は「バイエルンは我々が目指す形、戦い方だ」と語った。欧州王者の戦い方を手本とするチーム作りに着手することを宣言したのだ。

令和の今、再びドイツを手本に欧州へのキャッチアップを図る日本。この「令和維新」の進み具合はどの程度なのか。2021年3月の代表ウィークに行われた2試合、韓国戦とモンゴル戦から振り返ってみたいと思う。




スタメン

 

この記事は2試合の流れを追うような形式ではなく、試合を見た前提で森保監督が掲げる「バイエルンを手本としたサッカー」がどれくらい浸透しているのかを中心にみていきます。




ハイプレスは機能したか

 

左サイドの問題点

バイエルンの戦術を見ていて最も特徴的なのが、やはり前線からの激しいハイプレス。相手に少しの時間も与えまいとするプレッシャーの速さは圧巻だ。

日本代表も2試合通して素早く、また激しいプレッシャーをかけることができていた。自分たちは敵陣で守備をするんだ、相手に時間を与えないんだという姿勢は十分見られていて、森保監督は自身の求めるプレーをチームに浸透させることに成功したといっていいでしょう。

日本は4-2-3-1のフォーメーションで試合に臨んだ。守備時はトップ下の選手がFWと同列に並ぶので、日本の1列目は2枚ということになる。この場合、ビルドアップする側は後方に3枚残して数的優位を作るというのがセオリー。韓国もセオリー通り、ボランチの5番が両CBの間に降りる形で3バックを形成し、数的優位を確保しつつビルドアップしようとしてきた。

日本はこの状況にどう対処したのか。

キーマンになっていたのが南野。彼が常に高い位置をとりながら相手の左CBに対してプレッシャーをかけることで3対3の数的同数に持ち込もうとしていた。つまり、日本は前線での数的不利を南野のMFとFWの兼任によって解消したのだ。日本の守備時の陣形を無理やり表すなら「4ー3.5ー2.5」のような感じになっていた。

 

こうして相手から自由を奪った日本は、韓国のビルドアップをかっさらって何度もカウンターを仕掛けた。前半27分に日本が2点目を奪うまでは日本のハイプレスは機能していたといっていいでしょう。

ただし、韓国のレベルが低かったからうまくいった側面はあると思う。韓国はボール回しのテンポが遅く、ワンタッチパスやロングパスはほぼなし。さらに選手にも動きがなく、日本からしたらマークを捕まえやすいことこの上なかったはず。ボールも人も両方動かなければ相手の守備陣形が崩れないのは当然でしょう。さらに、GKのテクニックがなく、ここに下げさせてしまえば雑なロングボールを蹴ってくれたのも大きかった。

それでも、2点目を奪った後から韓国が日本のプレスに対応してきて状況が変化する。

南野が前に出てくるということは、その背後にスペースができるということ。韓国はボランチを経由することでこのスペースをうまく使い始めたのだ。

 

ただ、南野を前に出すという選択をした時点でこの現象が起こりうることは想定内だったはず。問題はここにどう対処するかだった。しかし、日本の左サイド、佐々木と守田は後手を踏んでいた。どちらがこのスペースを守るのか、それが明確になっていなかった

事前に想定できるシチュエーションであるにもかかわらずそれに対して準備がなされていなかったのは残念だった。今後の改善点になるだろう。

たとえば、川崎フロンターレは最初から4-3-3の陣形で守備をしていて、この日の南野のようにサイドプレーヤーが積極的に前に飛び出す。すると当然、韓国戦で日本が直面したのと同じ問題が出てくる。このとき、川崎はMFが外へ出ていく形でボールを追い出そうとする。

上の図でいえば5番の守田が横にスライドして相手にプレッシャーをかけ、後ろのサイドバック(図の19)は守田がずれることによって空く相手を捕まえるという決まりになっている。

 

守田と言えば昨シーズンは川崎でプレーしていた選手。このメカニズム通りにやればいいんじゃないの?と思うかもしれないけれど、彼は川崎ではアンカーとしてプレーしていた。守田の両脇はハードワークができる脇坂や田中、大島といった選手がかためていて、彼らが図の5番の横スライドの役割を担っていた。守田はそれによって空いたスペースを受け持つバランサーだったのだ。

守田が川崎で中央にとどまる役割を任されていたということは、サイドにスライドして広範囲を守るやり方が守田には向かないということなのだろう。ここに、やろうとしている戦術と選手起用とのミスマッチが垣間見える。

別に代表では佐々木が前に出ていくという決まりにしてもいいのだけれど、佐々木もまたクラブではセンターバックを主戦場としていて、サイドバックではぎこちない。韓国戦でも、自分が出ていってスペースを空けるのを嫌ってプレッシャーが遅れる場面が2、3度見られている。ただ、佐々木はクラブではセンターバックとしてプレーしており、前に出ていくのを怖がる気持ちもわかる。

これも選手起用のミスマッチといえ、少なくとも勇気を持って前へ出るようチームとして後押ししておく必要があったのではないでしょうか。

 

こうして相手にプレッシャーが効かなくなった日本はどうしたのかというと、プレッシャーを放棄して自陣に引いてしまった。その結果、余計に相手に押し込まれるという展開になっている。

日本は戦術的なバグをうまく突かれて自分たちの狙いを放棄させられたということ。「バイエルンを目指す」という目的から考えればプレッシングを放棄してしまったのは残念だったと言わざるをえない。

総合的に見て、現状は「プレッシングするぞという姿勢は見せたけれど、次の策を準備したり試合中に修正したりして対応できるほどの完成度にまでは至っていない」といったところか。

この左サイドの守備問題をどう解決していくかは未解決のまま残された宿題で、今後の動向を見守っていく必要があるでしょう。




右は文句なし。特に伊東は100点。

左に対して右はうまくいっていたので簡単に。

まず何よりも素晴らしかったのが伊東純也。圧倒的なスプリント力を活かして前方向のプレッシングに自陣方向へのプレスバックにと獅子奮迅の働き。

日本の2点目は伊東が相手のサイドバックからボールを奪って大迫がキープし鎌田へ、という流れから決まっていて、伊東の守備が起点になっていた。

韓国戦だけでなくモンゴル戦でも伊東は何度もボールを奪っていた。モンゴル戦での伊東のデュエル数はチーム内2位の数字。1位の大迫は前線でのボールキープがメインでしょうから、守備のデュエルという面で行くと伊東の働きは突出していたと思う。

カウンターの急先鋒として躍動した攻撃面での貢献度の高さも含め、森保監督が求める激しいプレッシングを最も体現していた伊東を今回の代表ウィークのMVPに選出したい。

 

そして、伊東を後ろから援護した山根視来も素晴らしかった。川崎で普段からハイプレス戦術になじんでいるだけあって、伊東の動きに合わせたポジションの調整が抜群だった。中央から2人を援護した遠藤航も含めて、右サイドは鉄壁。多分、一回も右からチャンスを作られていない。

左と比べるとスムーズにいっていた右サイドの面々は、全員合格点を与えられると思う。




差がありすぎたモンゴル戦

日韓戦では親善試合ということもあってところどころ日本のプレッシャーが緩い場面もあった。ここがモンゴル戦でどうなるのかと注目していたが、そんな心配はいらなかった。日本は韓国戦よりもさらに激しくプレッシャーをかけ、モンゴルに自由をほとんど与えなかった

相手の技術不足もあって、日本のボール支配率は80%。なかなか見ることができない数字だ。日本が得点した後、得点シーンのリプレイが終わったらすでに日本ボールになっているような状態で、まさに森保監督が理想とする展開だったでしょう。

ただ、先ほども言ったようにモンゴルと日本ではあまりにも差がありすぎた。この試合だけを見て韓国戦からすべてが改善された!ということはできないかなぁと。

韓国のようにある程度ボールを握れるチームに対しては、あそこまで常時ハイプレスをかけることができるかはわからない。ほぼ常に日本がボールを持って体力を温存できていたからこそ、守備時にフルで出力できていた面は多少なりともあると思う。今後の数試合を観察していく必要があるでしょう。




2試合で違う顔を見せた攻撃

 

カウンターが機能した

守備については見てきたので、ここからは攻撃について見てみようと思う。

先ほども書いた通り、バイエルンの最大の特徴は激しいハイプレスだ。そして、このハイプレスでボールを奪えば素早く相手ゴールに迫る。いわゆるハイプレス+ショートカウンターがバイエルンの特徴だ。

バイエルンを目指す森保ジャパンにとって、カウンター攻撃がうまくいっていたかどうかは戦術的の浸透度を見るうえで重要だ。

では実際どうだったのかというと、日本のカウンター攻撃は非常によく機能していた

韓国戦、日本のチャンスはほとんどがカウンターから生まれていた。日本の2点目が伊東のボール奪取からのカウンターであったことは説明した通りだが、2点目が入るまでにも幾度となくプレッシングで相手のビルドアップをひっかけてはショートカウンターを発動することに成功していた。

また2点目が入った後は韓国に押し込まれたことも説明した通りだが、ボールを奪う位置が深くなってからも日本は変わらずカウンターを打つことができていた。

そこで起点になっていたのが大迫。この2試合でやっぱり大迫は欠かせないなぁと改めて感じた。ブレーメンで出番がなくても森保監督が迷いなく招集するのも納得のパフォーマンスだった。




心配な韓国

ただ、やっぱりここも韓国のレベルの低さによる側面はあると思う。正直、韓国のボール回しは怖さがなかった。左サイドからうまく前進できるようになってからも、結局韓国はサイドを崩せずにバックパスで戻してしまう場面が多かった。ボールを大事にしすぎていて迫力がない。どうゴールを目指すのかも見えてこない。そうこうしているうちに日本がボールを奪ってカウンターという場面が多かった。

また、守備に関しても非常にルーズと言わざるを得ない。前からプレッシングに来ないのでゴール前ではタイトに守ってくるのかと思いきや、けっこう大迫も鎌田もフリーでプレッシャーもきつくない。パスが出てから寄せに来るので簡単にパスを回される後手後手の守備に終始していた。

ラフプレーも辞さない厳しいデュエルという韓国らしさが抜け落ちてしまっていた印象で残念でしたね。攻守両面において「日韓戦で完勝したから順調!」とすんなりと言えないくらい韓国のプレーは良くなかった。

現在、韓国は2次予選のグループHで2位。トルクメニスタンに1位を譲ってしまっていて、しかも3位レバノン・4位北朝鮮も韓国と同勝ち点で並んでいる状況。予選突破に向けてひとつも負けられない緊迫した状態にあります。

それも納得というか、このまま予選で敗退しないよね?と心配になってしまうレベルというのが正直なところ。ソン・フンミンがいないからとか以前の問題な気がします。

この日韓戦での完敗を転機にしてほしいところですね。




権田の進化

話を日本に戻そう。

ほとんどのチャンスがカウンターから生まれた日本。モンゴル戦も相手を常に押し込んでいて、日本が後方からビルドアップしていく場面は2試合通してほとんどなかった。

しかしそれでも、ポジティブな兆候は見られた。それがGK権田修一の成長だ。

今年の冬に加入した清水エスパルスはロティーナ監督のもとで後方からの丁寧なビルドアップを志向。権田にもパスワークへの参加が求められている。

その結果、今までの権田ならロングボールで逃げていた場面でもしっかり味方につなぐことができていた

韓国戦の20分、韓国が日本のビルドアップを妨害しようとハイプレスを仕掛けてきたものの、日本は権田をうまく使ってこのプレッシングを回避。そこからテンポよくボールをつないで守田の決定機につなげるという場面があった。ビルドアップがうまくいかない韓国に対して日本がお手本を見せてあげたような見事なシーンだった。

ものの見事にプレッシングを無効化された韓国はこれ以降前線からのプレッシャーを放棄、自陣に引くことを選択させられている。

 

これは日本にとって非常にポジティブだと思う。日本はお世辞にも空中戦に強い選手がそろっているとは言えないので、できるだけロングボールを使いたくない。足元でパスを回して空中戦を回避したい。

そういう意味で権田の成長は日本にとってとても大きなプラス効果をもたらすと思う。ロティーナ監督に感謝しなければいけないでしょう。

成長を見せた権田を含め、吉田・冨安の両CB、ボランチの遠藤と守田はみな足元のテクニックが安定している。また欧州の第一線で活躍しているため激しいプレッシャーにも慣れっこだ。

素質は間違いなくアジアでは最高なので、今後はより完成度が高いプレスを受けたときにどういうメカニズムでそれを外していくかが焦点になるだろう。




左のオーバーロード、右のアイソレーション

相手がボールを持つ時間が長かった韓国戦と比べ、モンゴル戦は日本がほとんどの時間帯でボールを持つという正反対の展開だった。つまり、しっかり引いた相手をどう崩すのかがこの試合の唯一にして最大の焦点だったわけだ。

それでは、日本はどういう狙いを持ってモンゴル戦に臨んだのか。

下は、モンゴル戦での日本のプレーエリアだ。ミドルサードでは左サイドが濃く、アタッキングサードでは右サイドが濃くなっていることがわかると思う。

 

この試合、左サイドハーフの南野は頻繁に中央に絞り、空いたワイドの位置には小川が上がってきていた。こうして厚みを持たせ、左サイドから前進しようとする場面が多かった。

モンゴル戦で佐々木ではなく小川を起用したのは正解だったと思う。それが「戦略的に攻撃参加が得意な小川!」という決め方なのか、単に「みんなに出場機会を与えたい、前回佐々木だったから今日は小川な!」という決め方なのかはわからないけれど、結果的にはうまくハマって小川のクロスボールから何度もチャンスが生まれていた。

 

これもおそらくモデルはバイエルンだ。バイエルンでは左サイドバックのアルフォンソ・デイビスが積極的に攻撃参加して左サイドを活性化している。

下は直近のフランクフルト戦のひとつ前、ブレーメン戦におけるバイエルンのプレーエリア(直近のフランクフルト戦は前半11分でデイビスが退場したので参照外とした)。日本同様ミドルサードの左側の色が最も濃くなっているのがわかる。

 

森保監督は小川にデイビスの役割を求め、小川もまたその期待に応えたといえる。

バイエルンと森保ジャパンの違いはアタッキングサード。バイエルンでは左サイドが濃くなっていて、左を起点に前進しつつそのまま左サイドで攻め切ることが多いことがわかる。

一方、森保ジャパンでは右サイドの方が色濃くなっている。森保ジャパンは左サイドに人数を集め、ここでパスを回してモンゴルを左に寄せる。そして、右が空いたところで伊東へサイドチェンジのボールを送る。

スペースがある状態で伊東に勝負させることでモンゴルを崩そうとしたのだ。冨安は何本も鋭いサイドチェンジを伊東に通していたし、そこにタイミングよく加勢した松原も素晴らしかった。

左へのオーバーロード(密集)から右のアイソレーション(孤立)への揺さぶり、これが森保ジャパンがモンゴル戦に向けて用意した形だった。

 

そして、さすがにモンゴルが伊東を警戒してくれば今度は中央から崩しにかかった。鎌田のスルーから大迫が決めたゴールはその典型だった。サイド一辺倒ではなく、相手を見ながらどこから攻撃すれば効果的かを的確に判断できていたと言えるでしょう。

森保ジャパンはカウンターが打てなければ何もできないというわけではなく、引いた相手に対してもしっかり崩す手段を持っていることを示してくれた。モンゴル戦は結果だけでなく内容もポジティブだったと評価できる。

ただし、これまたモンゴルのレベルが低かったことは触れておかなければいけない。

モンゴルはアンカーの10番がほぼ常に最終ラインに吸収され、中学サッカーみたくセンターバックに10番!という状態。さらに、ボールサイドのサイドハーフも最終ラインに吸収されてほぼ6バックのようになっていた。

最終ラインが6枚もいれば普通横幅はきちんとカバーできるのだが、モンゴルはかなり簡単に伊東へのサイドチェンジを許してくれた。また、中央に人数を割いている割にプレッシャーが厳しいわけでもなく、大迫や鎌田はほぼプレッシャーを感じていなかったと思う。モンゴルはクリーンだったという評価が多いが、逆に言えばものすごく緩かったともいえる。

なので、1試合14点も取ったんだから日本の攻撃は今すぐ世界の強豪に対して通用する!といえるかというとこれまた微妙だ。

それでも、14点という数字は普通じゃない。それに、自分たちがしっかり狙いを持って相手を崩したという意味で、この結果は偶然ではなく必然だった。大差がついても一切手を緩めなかったメンタル面のマネジメントも含めて今後にも期待できるポジティブな結果だったといえる。

少なくともアジアレベルで日本が苦戦することは当分なさそうだな、と安心させてくれる2試合となった。




佐々木について

最後に、なにかと批判されがちな佐々木翔について。

これまでに書いてきた通り、佐々木はプレッシングにいく時に迷いがあったり、攻撃参加時の貢献度が低かったりといった面はみられる。佐々木の攻撃力が不足しているという意見については、私も賛同する。

しかし、佐々木に強みが全く無いわけではない。彼の強みは対人守備の圧倒的な強さ。韓国戦の佐々木は地上戦、空中戦ともに一度たりとも当たり負けしていなかった。その強さはJリーグのなかでも最強級と言っていいだろう。

では、なぜ佐々木の本来の強みが見えにくく弱みが見えやすい状態に陥っているのか。それは攻撃力が求められる左サイドバックで佐々木を使うからであり、問題は佐々木自身の能力ではなく森保監督の起用法にあるだろう。

バイエルンを手本に左サイドバックに高い位置をとることを求めるのなら、なおさら佐々木を左サイドバックに置くのは不適切だ。

しかも、森保政権が始まってから何回も同じ現象は指摘されている。にも関わらず、佐々木を左サイドバックで使っては強みが隠され、弱みが露呈されて批判されてしまう。このままでは佐々木があまりにもかわいそうだ。なぜ同じことが繰り返されているのに改善しないのかが不思議でならない。

佐々木は左のストッパーもしくはセンターバックが最適なポジションだと思う。そこまで攻撃での貢献度が求められない、またサイドバック以上に対人の強さが求められるこのポジションでなら弱みを見えにくくしつつ強みを最大限引き出せると思う。

たとえば左CBに佐々木、右サイドバックに冨安を起用すれば、左サイドバックに高い位置をとらせつつ佐々木を最適な左ストッパーとして起用できる。

 

私はこのブログのさまざまな記事を通じて「選手は適切なポジションで適切な役割を与えられるかどうかで見え方が180°変わる」と主張してきた。佐々木はまさに不適切な起用法の犠牲者だ。なんとか状況が変わってほしいと思う次第だ。




あとがき

何度も触れてきた通り、今回の対戦相手は2試合ともに世界のトップレベルと比較すると数段劣るレベルにあった。そのため、この2試合を根拠に日本はワールドカップで躍進できる!といのはまだ早いと思う。

左サイド問題を指摘したように、日本のスタイルはまだ完成形には至っていないし、そもそも次のワールドカップは灼熱のカタールでの開催。過密日程の中、常にハイプレスしまくる!ということが果たしてできるのか。本番を想定すれば、試合や時間帯によってしっかり引いて守るオプションにも磨きをかける必要はあるのではないか。

それでも、そうした細かい改善点が見えたことも含めて全体としてはポジティブな2試合だったことは間違いない。何より、昨年に指摘された得点力不足の不安がやわらいだのは朗報だ。バイエルンを手本とした「令和維新」の第一歩としては上出来だったと評価できるだろう。

すでにアジアでは十分通用するレベルにあることは分かった。ならば、アジア以外ではどうなのだろう、という話になる。

森保ジャパンの勝率が歴代最高だということが話題になっていたけれど、これには落とし穴がある。欧州の国がネーションズリーグなるものを始めた影響で、森保ジャパンはまだヨーロッパの国との対戦が一度たりともないのだ。3年間で、一度も。

過去の政権の勝率を独自で計算してみたところ、いずれも欧州諸国との対戦結果を含めるか含めないかでかなり勝率が変わることが分かった。なので、現時点でフラットに勝率を比較するのはフェアじゃないと思う。

日韓ワールドカップでブラジルが優勝してからの16年間、世界一の座はヨーロッパ勢が独占しており、ワールドカップで躍進するためにはここに対抗できるかどうかが重要なのは明白だ。森保ジャパンの真価は苦手なヨーロッパ勢に対して勝てるかどうかに集約されるといっていいだろう。

方向性が正しいこと、その歩みも順調であることを示した森保ジャパン。6月の4試合でさらなる成長を期待したい。

 

 

あわせて読みたい 関連記事

日本代表活動レポート一覧はこちらから

↓ 次回の代表活動レポートはこちら

【進化と不安】日本代表活動レポート 2021年6月前編

 

【強豪国の共通点】『ワールドカップ タクティカルレポート』雑感