【最強デュエリスト、ミランに見参】フィカヨ・トモリのプレースタイルを徹底解剖!

【最強デュエリスト、ミランに見参】フィカヨ・トモリのプレースタイルを徹底解剖!

2021年3月21日 5 投稿者: マツシタ
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ミランは2020年の夏の移籍市場からセンターバックの補強を狙っていた。その筆頭候補として挙げられていたのが冨安健洋だった。続く2021年冬の移籍市場でもさかんに報じられたミランの冨安獲りだったが、ボローニャは安売りを拒否。ミランは川島永嗣が所属するストラスブールで活躍していたシマカンにターゲットを変更した。

シマカンとは個人合意にまで至ったものの、ひざを故障してしまい2か月の長期離脱を強いられる。即戦力を求めていたミランは、またしてもターゲットの変更を余儀なくされた。

結局はリバプールへ移籍することになるオザン・カバクなどの名前も挙がる中、ミランが獲得したのがチェルシーで燻っていたフィカヨ・トモリだった。

 

カナダ生まれのトモリはイングランドに移住してチェルシーの下部組織に入団。15-16シーズンに17歳にしてトップデビューを果たすものの、その後は出番を得られず。ブライトン、ハル、ダービーとレンタルでの武者修行に励んだ。

最後のレンタル先となったダービーでランパード監督の指導を受けて頭角を現したトモリは、翌19-20シーズンにランパードとともにチェルシーに帰還。まずまずの出場機会を得た。しかし、2020年夏の大型補強もあってトモリの出番は減少。プレミアリーグわずか1試合の出場にとどまっていたところに声をかけたのがミランだった。

プレミアでほぼ出番がない若者、どこまで通用するかは未知数だった。しかし、コッパイタリアでのミラノダービーで負傷したケアに代わってピッチに立つと早速好パフォーマンスを披露。ミラニスタのハートをがっちりとつかみ、以後12試合のうち9試合に先発出場中。さっそく主力の一人に定着した印象だ。特にリーグ戦でのミラノダービー以降はレギュラーをつかんだといってもいいのではないだろうか。

そんなトモリはミランに何をもたらしたのか。

今回はフィカヨ・トモリのプレースタイルについて徹底的に掘り下げていこうと思う。




トモリのプレースタイル

 

身体能力の高さ

トモリの最大の武器が身体能力の高さだ。

特に目を見張るのがその足の速さ。特にローマ戦では、自慢の快足を飛ばして相手のカウンターをつぶす場面が何度も見られた。チェルシー時代にはヴェルナーと並んでチーム内最速のスプリンターだったらしいと言えば、そのスピードが伝わるだろうか。

それがよくわかるのがこちら。ミラニスタを「マルディーニだ!」と騒然とさせたタックルだ。一度完全に前に入られているにもかかわらず、そこから追いつけるのは尋常ではない。純粋なスピードだけでなく、一瞬でトップスピードに乗る加速力も天性のものだ。

 

2月21日に行われたミラノダービーでロマニョーリがルカクにぶち抜かれ、批判を浴びた。個人的にはオープンスペースでルカクを止められるDFなどほぼいないのでかわいそうだなとは思っている。

しかし、トモリならルカクのスピードにもついて行って止められたのではないかと思ってしまう。タラレバはよくないが、純粋にトモリとルカクのマッチアップは見てみたい対決だ。

スピードもそうだが、トモリは一歩の踏み込みから出力されるパワーが半端ないのでタックルも非常に鋭い。自慢のスピードで相手について行き、タックルをぶちかまして相手のバランスを崩すという一連の流れはパターンとして完成されている印象だ。




対人守備に極めて強い

このように、フィジカル能力が高いトモリは対人守備に絶対の自信を持つ

実際にミランのCB5人(トモリ、ケアー、ロマニョーリ、ガッビア、カルル)について、守備に関するデータをランキング形式で見てみよう。

1試合平均タックル数ランキング

  1. トモリ   :2.0
  2. カルル   :1.6
  3. ケアー   :1.4
  4. ガッビア  :1.3
  5. ロマニョーリ:0.9

タックルの数で、トモリはいきなりトップに立っている。特に際立つのがロマニョーリとの差で、トモリが倍以上の数値を残している。やはりフィジカル的な能力の差が表れていると考えていいだろう。

トモリは鋭い出足で相手についていけているので、ボールに対して積極的にチャレンジできる。それがデータにも表れているのだ。

しかし、本当に大切なのはタックルの回数自体よりもその成功率が高いかどうかだ。

地上戦デュエル勝率ランキング

  1. ガッビア  :78%
  2. トモリ   :70%
  3. カルル   :61%
  4. ケアー   :56%
  5. ロマニョーリ:46%

このように、トモリは非常に高い確率で球際の争いに勝利していることがわかる。

ガッビアがすごすぎるので少しかすんで見えるが、勝率7割という数値は非常に高い。普通は60%に達していればいい方なのだ。

実際、イタリア7強「セブンシスターズ」に所属するすべてのセンターバックの中でデュエル勝率のランキングをつけても、1位がガッビア、2位がトモリになる。

つまり、何度もタックルを仕掛けるだけでなく、それを高い確率で成功させているトモリはセリエA最強クラスのデュエルマスターだといっていいのだ。

ちなみに、昨シーズンにプレミアリーグで記録したでデュエル勝率も全く同じ70%。フィジカルコンタクトが激しいとされるプレミアリーグでもこの勝率なので、彼のコンタクトの強さは正真正銘のワールドクラスだといっていいだろう。

特に目立つのが最下位に沈んでいるロマニョーリとの格差。ミラノダービーで、ロマニョーリはルカクにパワー負けして批判されてしまった。そのロマニョーリに不足しているものをトモリがもたらしてくれたのだ。だからこそトモリはミランが求めた理想の人材だったし、インパクトは大きかったといえるだろう。

 

インターセプトについても見てみよう。

1試合平均インターセプト数ランキング

  1. カルル   :1.9
  2. ケアー   :1.6
  3. トモリ   :1.3
  4. ロマニョーリ:1.2
  5. ガッビア  :0.4

トモリの数値は突出しているわけではないが、わずかながらロマニョーリを上回っている。

とはいえ、トモリのフィジカル的なポテンシャルを考えればもっと数字を伸ばせるだろう。トモリの出足の速さはここまで何度も触れてきた通りで、それを考えればもっとインターセプトを決められてもおかしくないはず。フィジカル的に問題ないとすれば、予測力や前に出るタイミングの感覚などが改善点だろう。

フィジカル的な強さにクレバーさがついてくれば、トモリはよりボールを奪えるようになるのではないだろうか。

 

また、ミランが採用する守備戦術もトモリの好パフォーマンスを手助けしている印象だ。ミランは守備時に人に対する意識がかなり強く、自分が担当する相手が決まれば受け渡さずについて行こうとする傾向が強い。つまりマンマークに近い守備方法をとっているのだ。

だから、トモリは常に相手と近い距離を保つことができる。そして、相手にパスが入ればすぐさまタックルでつぶせるのだ。

ミランの人を意識する守備の中で、人に強いトモリが輝くのは必然

トモリがミランが求めた人材であるのと同時に、トモリにとってもミランという環境は特徴を発揮しやすい理想郷だといっていいのではないだろうか。




トモリの弱点

それでは、トモリの改善点はどこにあるのだろうか。

それは、ビルドアップ能力だと思う。

え?と思った方もいるだろう。

  • パス成功数 45.5(チーム内2位)

となっており、確かにトモリは多くのパスを成功させている。しかし、別のデータを見ると印象は変わる。

パス成功率ランキング

  1. ガッビア  :92%
  2. ロマニョーリ:90%
  3. カルル   :88%
  4. ケアー   :87%
  5. トモリ   :86%

このように、パスそれ自体の成功率はミランの全CBの中でも最下位となっている。つまり、トモリのパス成功数が多いのは、単純にボールに触る回数が多いからなのだ。

 

ミランの試合における対戦相手のプレッシングのかけ方を見てみてほしい。たいていトモリの相方のCBに対してマークにつき、トモリにパスを誘導していることがわかると思う。そうしてトモリにボールを持たせてプレッシャーをかけ、パスミスを誘おうというアプローチが多くなっている。これは、対戦相手がトモリのところを狙いどころにできると判断しているからに他ならない。

トモリを見ていると、自分のところではパスミスをしていなくとも、パスを受けた味方のところで詰まってしまっている場面が少なくない。中途半端な浮き球になってしまったり、相手に囲まれているところに出してしまったりと、パスを出した先の味方のことまで考えられる余裕がまだないように見える。

先日のELマンU戦でも、右利きのドンナルンマの左側にバックパスをしてしまい、ゴール前でボールを奪われかける場面があった。トモリがフリーだったこともあり、ドンナルンマはちゃんと右に出せと怒っていた。こうした雑さも散見されるのが現状だ。

とはいえ、トモリは左右両足をそん色なく使いこなせ、ペアを組む選手に応じて左右どちらのCBでもこなせるという利点がある。基礎的な能力は決して低くはないと思う。

問題はテクニック面よりも、プレッシャーかけられても落ち着いて状況判断ができる冷静さだったり、パスを出した先の味方の状況まで把握する視野の広さ、一つ一つのプレーに対する丁寧さといった面にある。

チェルシー時代にベンチを温めることが多かったトモリは、まだトップレベルでの実践経験が浅い。出場機会を重ねていくうちにどんどん成長していくはずで、実際に見ていてもどんどん良くなってきているように見える。今後の成長を見守りたいところだ。

 

また、空中戦についても若干の不安がある

空中戦勝率ランキング

  1. ロマニョーリ:66%
  2. ガッビア  :61%
  3. ケアー   :60%
  4. トモリ   :56%
  5. カルル   :50%

となっている。地上戦ではロマニョーリを圧倒したトモリだが、空中戦に関して逆に大差をつけられている状況だ。

昨シーズン、トモリがチェルシーの一員として出場している試合を見たことがあるのだが、そのころからヘディングは苦手なんだろうなという印象だった。

185cmとそこまで長身ではないのに加えて、しっかりボールの芯を捉えることができずにクリアが中途半端になったりボールが相手にこぼれる場面が見られた。

空中戦に関しても、ロマニョーリやケアーの指導を受けながら改善していくべき課題だといえるだろう。




あとがき

加入後すぐさまセンセーショナルな活躍を見せているトモリ。特に地上戦の強さは圧巻で、すでにワールドクラスにあるといっていい。一方で、テクニックの粗さやプレーの雑さなど、まだまだ課題も多い。これはいいかえれば、まだまだ伸びしろを残しているということだ。

すでに対人守備能力では世界屈指のレベルにあるにもかかわらず、天井が全く見えていない。この先どこまで行くのか、末恐ろしい23歳だ。イタリアの地でチームとしての戦術的な守備を体得し、個人としてもクレバーさと繊細さを磨いて行けば、トモリの未来はさらに明るいものになるだろう。

現在、ミランは少々お高めに設定されているトモリの買取オプション価格の値下げをめぐってチェルシーと交渉中。トモリがかなり活躍していることもあって交渉は難航しそうだが、何としてでもトモリの買取を成功させたいところ。今後長きにわたって最終ラインを任せうる逸材だ。

首位インテルの背中が遠のきユベントスがすぐ後ろまで迫る中、終盤戦に向けてスパートをかけたいミラン。そのためには、直近10試合でクリーンシートが1試合しかない守備の立て直しが必須だろう。この問題を解決するキーマンがトモリであることは間違いない。

 

 

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