【最強ジョーカーから不動のエースへ】ルイス・ムリエルのプレースタイルを徹底解剖!

【最強ジョーカーから不動のエースへ】ルイス・ムリエルのプレースタイルを徹底解剖!

2021年3月16日 7 投稿者: マツシタ
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チームスポーツに共通するルールに、選手交代がある。ただ、一口に選手交代といってもスポーツによってその内容はまちまちだ。

最も自由なのがハンドボールやバスケットボール、フットサルで、交代に回数の制限はなく、一度ベンチに下がった選手をもう一度出場させることもできる。

その点、サッカーは選手交代に関して最も厳しいスポーツなのかもしれない。現在は過密日程による試合が続いているため事情が異なるものの、基本的には1試合につき3回しか選手交代ができない。ここまで交代回数が少ないスポーツはサッカーだけだ。また、一度ベンチに下がった選手を再度出場させることもできないことになっている。同じ足でボールを扱うスポーツでも、フットサルとは全く違うルールになっている。

だから、交代選手をだれにするかは試合を大きく左右する決断になる。ひとつの交代で自分たちに流れを引き寄せる可能性もあれば、相手に流れを渡してしまう可能性もある。交代回数が限られているからこそ、その決断には重みがあるし、それを修正することは難しい。ひとつひとつの交代に対して、監督は想像以上に頭を悩ませているだろう。

だからこそ、絶対に流れを引き寄せてくれる「ジョーカー」がいれば、監督にとってはとても頼もしいだろう。

現在、セリエAの強豪アタランタに最強のジョーカーがいる。ルイス・ムリエルだ。

 

母国コロンビアの名門デポルティボ・カリでデビューして以来、イタリアとスペインの計7クラブを渡り歩いてきたムリエル。多くのクラブに所属してきたものの、どのクラブでも絶対的なプレーヤーになり切れず、リーグ戦で30試合以上に出場したシーズンが2つしかない状態で19-20シーズンにアタランタに加入した。

移籍初年度となった昨シーズンも、ムリエルはスタメンに定着したわけではない。先発出場はわずか10試合だけだった。しかし、出番が限られている中でもムリエルはリーグ戦18ゴールを記録。自身のキャリアハイを大幅に更新してチーム内得点王に輝いた。さらに、出場試合数34も自己最多。先発出場は少ないながらも、途中からほぼ確実に投入されてゴールを奪った。得点頻度は驚異の70分に1点だ。

今シーズンはさらに結果を残していて、すでに公式戦合計19ゴールと昨シーズンに並ぶゴールを奪っている。これだけゴールをとってくれるFWがベンチにいれば、誰だって途中から使うだろう。今シーズンも先発は11試合にとどまっているものの、ガスペリーニ監督からの信頼は厚い。

サッカー界最強のジョーカーといっていいルイス・ムリエル。今回は、彼のプレースタイルを徹底的に掘り下げていこうと思う。




ムリエルのプレースタイル

 

異次元の得点力

ムリエルの最大の武器がその得点能力だ。

リーグ戦での先発出場が11試合しかないにもかかわらず、ここまでチームトップの16ゴールを挙げている。チームトップどころかセリエA全体の得点ランキングでも3位だ。もはや意味が分からない。

得点頻度は60分に1点で、これはレアル・マドリード時代に48ゴールを挙げて得点王に輝いた14-15シーズンのロナウドをも上回る。

 

その他にも、

  • 1試合平均シュート数 2.0(チーム内最多)

となっており、そもそものシュート数が多いことがわかる。これはデータの絶対値を現したもので、90分あたりに換算し直していない。ムリエルの1試合平均の出場時間は39分なので、90分換算したら数値は倍以上にいなる。

つまり、ムリエルは途中出場をメインにしながら、先発出場が多いほかのメンバーのだれよりもシュートを打っているということになる。

元も子もないことを言えば、このシュートが抜群にうまいから得点を量産できるのだ。

ムリエルの右足はとにかく精度が高く、またパワーもある。今シーズンはあまり見られないが、彼はフリーキックのキッカーを任されるほどキックがうまいのだ。

ムリエルの十八番が左斜めからファーサイドに巻いて決めるコントロールショット。キック精度の高さを活かしたお得意のパターンだ。




個人での突破力の高さ

問題は、どうしてその高精度のキックを活かせるのかということだ。言い換えれば、ムリエルはなぜそんなにシュートを打てるのだろうか。

カギは、突破力の高さだと思う。ムリエルは独力でシュートにまで持っていけるのだ。

ムリエルは密集地帯も苦にしない高いテクニックを持っていて、数人のDFくらいなら一人で突破してシュートにまで持って行けてしまう。その突破力を評価され、ムリエルはコロンビア代表では左ウイングで定位置をつかんでいる。

また、ムリエルはとにかくファーストタッチが絶妙にうまい。パスの受け手になるときにもワンタッチで相手を置き去りにして勝負を決めることができる。そして裏に抜け出して相手GKと1対1になれば、フェイントをかけたりGKまでかわす余裕もある。ドリブルに相当の自信があるのだろう。

 

  • ドリブル成功数 1.2(チーム内3位)

このデータも90分換算していないものだ。ほかのチームメイトよりも出場時間が短いにもかかわらず、チーム内でトップクラスのドリブル突破を決めているのだ。

味方からの助けが少なくても、ひとりでシュートまで持っていけるドリブル力。これがあるからこそ、ムリエルが短時間の間に多くのシュートを打ち、ゴールが量産できる秘訣なのではないだろうか。




チャンスメイク力もハイレベル

得点力の高さに目が行きがちなムリエルだが、実はチャンスメイク力も相当高い。ここまでチーム内トップの7アシストを記録しているのだ。

  • キーパス数 1.4(チーム内3位)

というデータは、例によって90分換算したものではない。途中出場からチームでもトップクラスのチャンスを作り出していることがわかる。

相手DFラインの手前で受けてから繰り出すスルーパスも、タッチライン際に開いてから繰り出すクロスボールも正確。後ろ向きにボールを受け、ヒールでトリッキーに出すパスも得意だ。

 

つまり、ムリエルはボールを持てば何でもできてしまうのだ。

  • 正確無比なシュート
  • ドリブルによる局面打開
  • クロスやスルーパスでアシストもできる 

優秀なゴールゲッターでありチャンスメーカーでもある。攻撃面では超万能なのがこのムリエルという選手なのだ。




ムリエルの弱点

それでは、ムリエルの弱点は何だろうか。

それは、フィジカルコンタクトの弱さだろう。

  • 地上でのデュエル勝率 39%
  • 空中戦勝率 30%

と、ともに30パーセント台の低い数字にとどまっている。

実際に試合を見ていても、ムリエルはゴール前に飛び込んでヘディングで叩き込んだり、相手を背負ってボールをキープして攻撃の起点になるようなプレーはあまり見せない。どちらかというとサイドに流れてきたり低い位置に引いてきたりして、相手から距離をとった状態からボールを受けようとする傾向がある。

だからこそ、ガスペリーニ監督は彼を途中出場メインで起用するのではないだろうか。相手が疲れてくれば陣形も間延びしてスペースも生まれやすく、ムリエルのドリブルが活きやすい。引いて行くムリエルにもついていけなくなる。

アタランタは基本的に先発でサパタというFWを起用する。フィジカルモンスターなサパタはパワーでゴリゴリと押していくタイプの選手で、彼と対峙するDFはとても消耗するだろう。そのあとでテクニカルなムリエルに対応するのはとても苦しいはずだ。サパタとムリエルのコンボも見越しての途中起用なのではないか。

 

また、デュエルに弱いことはアタランタの戦術的には致命的な弱点だ。アタランタは基本的にマンツーマンで守るため、ひとりひとりに負けない強さが求められる。一人が突破されれば、すべてがズレてくるからだ。だからこそ、相手が元気な前半からデュエルに弱いムリエルを起用するのはリスクがあると考えているのかもしれない。

あるいは、単純にスタミナがないのかもしれない。ムリエルはアタランタにきてからの2年間で90分フル出場したことが2回しかない。そしてそれは昨シーズンの話で、今シーズンは90分間フル出場した試合はひとつもない。先発出場したとしても必ず途中で退いている。

活動できる時間は限られているけれど、その時間の間に絶対に仕事をして見せる。なんだかウルトラマンのようだ。




あとがき

サッカー界最強クラスのジョーカーとしての地位を確立したルイス・ムリエル。しかし、もはや彼は「ジョーカー」という枠には収まらなくなってきた。

16というゴール数も、7というアシスト数もチーム内トップ。もはや彼は単なる切り札ではない。チームをけん引する中心選手だ。

実際、ここ最近は前線の選手にけが人が出たこともあって先発出場する試合が急増。2月以降の10試合のうち8試合で先発出場を果たしており、成績も5ゴール5アシストと安定している。

ジョーカー」から「アタランタのエース」へ。昨シーズン28歳にして花開いた遅咲きは、キャリア最高の輝きを放っている。

 

 

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