【欧州最高の右SBへ】ダビデ・カラブリアのプレースタイルを徹底解剖!

【欧州最高の右SBへ】ダビデ・カラブリアのプレースタイルを徹底解剖!

2021年3月14日 8 投稿者: マツシタ
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1年という時間は長いようで短い。今年も気が付けば3か月半が終わってしまった。きっとあっという間に2021年も終わってしまうのだろう。

でも、そんな1年のうちに全く別人のように成長してしまう人がときおり現れる。ミランのダビデ・カラブリアはその象徴的な人物だろう。

 

11歳に入団してからミラン一筋を貫くカラブリアは、ユース時代から各年代別代表に名を連ねてきたエリート。トップデビューも17歳で経験しており、早い時期から将来を期待されてきたホープだった。しかし、トップチームではなかなか絶対的な存在になることができない。毎シーズン20試合ほどに出場するものの、30試合以上にならない。主力だけど絶対的じゃないよね、という微妙な立ち位置に終始していた。

昨シーズンも、カラブリアはリーグ戦再開明けのミランの快進撃をベンチから眺めることが多かった。右サイドバックの定位置にはコンティが収まっていたのだ。思ったような成績を残せないままシーズンを終えたカラブリアは、夏に移籍するのではないかともうわさされた。

しかし、今シーズンになって状況は一変する。ここまでカラブリアはチーム内最多のリーグ戦25試合に出場し、ミランの躍進の立役者となっているのだ。昨シーズンとは完全に立場が逆転したコンティは、冬にパルマへと追い出される格好になってしまった。

一体、1年もたたないうちにカラブリアに何が起こったのか。今回は、ダビデ・カラブリアのプレースタイルについて徹底的に掘り下げていこうと思う。




カラブリアのプレースタイル

 

最大の持ち味は守備力

カラブリアの最大の持ち味、それは守備力だ。

特に目を見張るのが1対1の強さだ。カラブリアは相手サイドアタッカーがボールを持っても全くあわてることなく正対し、相手のアクションを誘う。そして、相手の持ち出しについて行き、ここぞのタイミングでタックルやブロックを決めるのがお得意のパターン。

何度切り返されても粘り強くついて行って相手に自由を与えない。カラブリアが完全に振り切られる場面はほぼ皆無と言っていい。

先に足を出して簡単に入れ替わられてしまう選手が多い中、カラブリアは「待てる」。そして「ついていける」。これは簡単なようで、ものすごく難しいのだ。

 

私は、今シーズンのパフォーマンスを見る限りカラブリアはすでに世界最高クラスの守備力を持つサイドバックだと思っている。

そして、それは数々のデータが裏付けてくれている。

  • 1試合平均タックル数 3.4

という数字はセリエAの全選手の中で堂々のトップ。しかも、2位のマルコ・ログの2.9に大差をつけてのトップだ。そればかりか、欧州5大リーグでプレーするすべてのサイドバックの中でもトップの数字なのだ。彼がいかに粘り強く相手について行ってタックルを決めているかがわかる。

さらにほかのデータも見てみよう。

  • 地上戦デュエル勝率 64%

これは極めて高い数字だ。セリエAの上位7チームでプレーする右サイドバックの中では最も高い数字になっている(今シーズンは左サイドでプレーする機会が多いものの、本職は右のナポリのエルサイド・ヒサイは同数値が65%でわずかに上回っている。彼を含めるかどうかによって変わってくるが、カラブリアがトップクラスなことは変わりない)。

つまり、カラブリアはただタックルの数が多いだけでなく、その勝率も非常に高いということだ。このデータを見ても、やっぱりカラブリアが1対1に非常に強いことが示されている。

そのほか、

  • 1試合平均インターセプト数 1.3(チーム内2位)
  • 1試合平均クリア数 1.9(チーム内3位)

など、守備に関するスタッツは軒並み高くなっている。

 

また、カラブリアが身長177cmと特別高身長でないことを考えれば、

  • 空中戦勝率 53%

と半数以上に勝利しているのは上々の数字といえるだろう。出場試合数が少ないため公平性に欠ける部分はあるが、ELに関して言えば空中戦勝率は67%に跳ね上がる。サイドバックには空中戦に強くない選手が多い中、カラブリアは十分以上に空中戦も得意としていることがわかる。

実際に試合を見ていると、カラブリアはポジショニングが非常に良い。特に逆サイドからクロスボールが上がってくるときに、CBの背後のスペースを的確に埋めている。ボールが来そうな場所に先回りできているからこそ、ボールの落下地点を確保して空中戦を優位に進められている印象だ。

 

このように、守備面ではほとんど穴らしい穴がないのがカラブリアだ。

世界最強クラスの守備力を持つカラブリアが右サイドにいることはミランの躍進に多大な貢献を果たしていると思う。というのも、セリエAの上位チームには左サイド(ミランでいうカラブリアのサイド)を攻撃の起点にするチームが多いのだ。

ナポリインシーニェ)、アタランタサパタゴセンス)、ローマスピナッツォーラ)、ラツィオルイス・アルベルト)、ヴェローナザッカーニディマルコ)、サッスオーロロカテッリ)。これらのチームはすべて左サイドを攻撃の起点にしている。ここに、高い守備力を持つカラブリアをぶつけられることは、ミランの守備の安定に大きな影響を与えていると思う。

守備に関するデータの数字が大きくなるということは、それだけ攻められているということも意味しているのだ。もちろん、それをすべてシャットアウトしているカラブリアが素晴らしいことは言うまでもない。

ライバルたちの戦術との兼ね合いもあって、カラブリアはより輝きを増しているのではないだろうか。




中盤に入っての組み立てとミドル

守備がハイレベルなカラブリアだが、攻撃はどうだろうか。

ミランがボールを持っているとき、カラブリアはよく中に絞ってボールを受け、そこからパスを散らしてゲームを組み立てている。

  • 1試合平均パス回数 38.9(チーム内4位)

となっており、カラブリアが攻撃の起点として機能していることがわかるのではないだろうか。

特に注目すべきはロングパスの精度が高いことで、

  • 1試合平均ロングパス成功数 3.2(チーム内2位)

という数値をたたき出している。ミランはイブラヒモビッチをはじめ前線の選手へのロングボールを多く用いるチームだが、そのロングボールの供給源としてもカラブリアが果たしている役割は非常の大きいのだ。

 

第16節ユベントス戦では負傷者の続出により中盤で緊急起用されたカラブリアだが、ほとんど問題なくプレーできていた。そればかりか、持ち前の組み立て能力を存分に発揮しし、ゴールまで奪ってしまった。中盤でも問題なくプレーできたのは普段から中央寄りのポジションでプレーしていたことが大きかったのではないだろうか。

 

そのユベントス戦でのゴールのように、後方からハーフスペースに走りこんでボールを受け、そこからミドルシュートを打つ形もカラブリアの得意なパターンだ。第12節ジェノア戦でのゴールもまさにこの形からだった。

後方で中央寄りのポジショニングをすれば組み立て能力を、敵陣で中央寄りのポジショニングをすればミドルシュートを繰り出すのがカラブリアの攻撃面での特徴だ。

 

このように、

  • 高い対人守備力
  • 中盤からの組み立て能力

を併せ持つ、堅実なサイドバックがカラブリアだ。




カラブリアの弱点

それでは、カラブリアの課題はどこだろうか。

私はあえて挙げるならクロスボールの質だと考えている。今シーズンのカラブリアはここまで公式戦29試合に出場していながらアシストが1つしかない。

  • 1試合平均キーパス 0.8(チーム内7位)

と、キーパスの数が1を下回っている。左のテオ・エルナンデスの同数値が1.5と倍近いことを考えれば、やはり物足りなさは感じる。

カラブリアは低めの位置からドリブルで持ち運ぶ推進力も持ち合わせており、タッチライン際を突破するシーンは少なくない。それだけに、その後のクロスの精度が上がればもっとチームに貢献できると思う。

本当の意味で世界最高クラスのサイドバックになるためには、よりゴールに直結する形でのチャンスメイク力に磨きをかける必要があるのではないだろうか。

 

ただし、このクロスボールの質問題に関しても着実に成長していることは触れておかなければならない。

カラブリアのクロスボールは試合を重ねるごとに精度を増している。特にここ最近は鋭いクロスを頻繁に供給しており、急速に成長している印象を受ける。

それはデータにも表れていて、3月に入ってから先発出場した3試合では、カラブリアは6本のクロスのうち5本を成功させている。その成功率は83%と極めて高い数値だ。

リーグが開幕してから最初の10試合でのクロスの成功率が28%であったことを考えると、その成長度合いはすさまじいものがある。

このパフォーマンスを継続してアシストもついてくれば、カラブリアはいよいよ超ワールドクラスの領域へ足を踏み入れることになるだろう。




あとがき

1年で全く別人になってしまったカラブリア。こんなことになるとはだれも想像していなかったのではないだろうか。

昨年11月に念願のA代表デビューを飾ったカラブリアだが、この活躍が続けば今夏のEUROに召集される可能性は高いだろう。そこでセンセーショナルなプレーを見せて国際的な評価を高めれば、いよいよ世界屈指のサイドバックとしての称号が見えてくるのではないだろうか。

そうなれば国外のメガクラブが放っておかないだろう。しかし、カラブリアにはミランに残ってほしいものだ。

11歳からミラン一筋を貫いてきたカラブリアには、クラブのバンディエラになれるだけの資質があると思う。トレーニングマッチであったとはいえ、昨年9月6日のモンツァ戦で途中でベンチに退いたズラタンから腕章を受け取ったのはカラブリアだった。リーダーとしての資質も持っているのではないだろうか。

カラブリアはまだ24歳と伸びしろも十分。今シーズン見せているハイレベルなパフォーマンスを継続してミランに新たな黄金期をもたらし、左右は違うがマルディーニの系譜を継ぐ偉大なサイドバックとしてクラブ史に名前を刻んでほしい。今のカラブリアなら、決して不可能ではないはずだ。

 

 

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