【サッカー仙人】ルイス・アルベルトのプレースタイルを徹底解剖!

【サッカー仙人】ルイス・アルベルトのプレースタイルを徹底解剖!

2021年3月11日 5 投稿者: マツシタ
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セリエAは長らくユベントスの天下だった。毎年その覇権に挑戦するチームこそ現れるものの、結局はユベントスがスクデットをさらっていった。

19-20シーズンにユベントスの覇権に挑戦したのはラツィオだった。11連勝を含む公式戦21試合負けなしでユベントスとのスクデットレースを繰り広げたのだ。

しかし、残念なことにコロナウイルスの感染拡大によるリーグ戦中断でその勢いを寸断されてしまった。リーグ戦再開後には調子を落としてしまい、最終的には4位にまで後退することとなってしまった。

それでも、クラブとしては5年ぶりのCL出場権を獲得することに成功したポジティブなシーズンだったことに変わりはない。そして、その中心にいたのがルイス・アルベルトだ。

 

リバプールや母国スペインで才能を持て余していたルイス・アルベルトはラツィオにきてからその才能が開花。加入2シーズン目となった17-18シーズンには11ゴール14アシストと別格の活躍でアシスト王に輝いたのだ。

そして19-20シーズンには15アシストを記録。前半戦ですでに2桁に乗せていただけに、チームの不調に引っ張られてアシスト王を逃してしまったのはもったいなかった。しかし、逆に言えば彼のチャンスメイクがチームの躍進をけん引したともいえる。自身のキャリアハイを更新した点から見ても、飛躍のシーズンになったのは間違いない。

すっかり「セリエのアシストマスター」としての地位を確立した感があるルイス・アルベルトだが、彼のプレースタイルはいったいどのようなものなのだろうか。徹底的に掘り下げていきたい。




ルイス・アルベルトのプレースタイル

 

アシストが減った原因は?

ルイス・アルベルトの武器と言えば何といっても右足から繰り出される正確無比なキックだ。

昨シーズン15のアシストを記録したことからもわかる通り、チャンスクリエイト力はセリエAの中でも屈指だ。セットプレーやサイドからのクロス、インモービレやコレアを走らせる一撃必殺のスルーパスなどからアシストを量産した。

 

しかし、そんなルイス・アルベルトが今シーズンはアシストがゼロなのだ。一体何が起こっているのだろう。

下のヒートマップを見てほしい。1枚目が19-20シーズンのもの、2枚目が20-21シーズンのものだ。

19-20シーズンのヒートマップ

20-21シーズンのヒートマップ

 

だいたい似通っているように見えるが、注目すべきはピッチ中央だ。昨シーズンにはペナルティエリアとセンターサークルの間で多くボールに触れているのに対し、今シーズンはほとんど触っていないことがわかる。

 

この「何でもできるエリア」に侵入できていないことがルイス・アルベルトのアシスト数が減った原因の一つとして考えられる。

なぜこうなっているのか。相手に対策されたからだろうか。昨シーズン、ルイス・アルベルトに自由を与えれば必ず決定機を作られることはどのクラブも感じたはず。対策をしないわけがないだろう。実際に試合を見ていても、今シーズンのルイス・アルベルトは昨シーズンよりもかなり左寄りでプレーしている印象だ。

しかし、本当に相手の対策だけが原因だろうか。私には、ルイス・アルベルトの立ち位置が左寄りになっている理由は、相手からの対策以上にチームの構造が変化したからであるように感じる




本当にルイス・アルベルトのパフォーマンスは下がったのか

というのも、昨シーズンと比べると2トップのコレアやインモービレが頻繁に中盤に降りてくるようになったのだ。特にインモービレはその傾向が顕著で、あんなにビルドアップに関与するようなタイプではなかったように思う。

彼らが下りてくることで、ルイス・アルベルトが使いたいスペースが埋まってしまい、結果としてルイス・アルベルトが左サイドに追いやられてしまっている印象があるのだ。

そうであるのならば、アシスト数がゼロなだけでルイス・アルベルトのパフォーマンスが低下していると結論するのは間違っている可能性がある。

 

実際、データを見てみてもルイス・アルベルトのパフォーマンスはそこまで下がっていないことが示されている。

  • 1試合平均のキーパス数 2.1(リーグ全体で5位タイ)
  • アシスト期待値 4.5

るまり、ルイス・アルベルトはリーグ全体で5番目にシュートチャンスを生み出していて、数値上は4~5のアシストを記録しているべきなのだ。このデータを見れば、ルイス・アルベルトが十分に多くのチャンスを作り出していることがわかるだろう。

 

昨シーズンと比較すると多少数値が低くなっていることは事実。しかし、左サイドでプレーすることが多くなったことを考えれば、ルイス・アルベルトは十分なパフォーマンスを見せているといえるのではないだろうか。

だから、ルイス・アルベルトのアシスト数が減ってしまっているのは彼自身ではなくむしろチームメイトがチャンスを決めきれていないことによるものが大きいと考えるべきだろう。

 

実は、19-20シーズンのルイス・アルベルトのアシスト期待値は10.8で、実際のアシスト数よりも4つも小さくなっている。つまり、チームメイトが難しいゴールを決めきることでルイス・アルベルトのアシスト数を4つも上乗せしていたということだ。ちなみに、このアシスト期待値10.8という数値はリーグトップであり、実際のアシスト王パプ・ゴメスのアシスト期待値10.3を上回っている。

もっと言えば、今シーズンのアシストランキングで現在トップタイのアルバロ・モラタのアシスト期待値は3.9でしかなく、ルイス・アルベルトが上回っているのだ。

つまり、アシストの数はチームメイトの決定力次第で大きく変わってしまうのだ。

だから、本当にチャンスを作り出せているかを見極めるためにはキーパス数やアシスト期待値を見なければならないのだ。




高精度の右足はシュートにも活かされる

さて、ルイス・アルベルトのプレースタイルに戻ろう。彼の最大の武器が右足から繰り出す高精度のキックであることは説明した通り。このキックは、アシストだけでなくシュートにも当然活かされる。

今シーズン、アシスト数は減ってしまっているルイス・アルベルトだが、ゴール数ではすでに昨シーズンを上回る7ゴールを記録している。

彼が得意なのが相手のDFラインの前にできたスペースに入ってきて右足のコントロールショットを突き刺す形。前線の選手たちがゴール前に飛び込むことでゴール正面にぽっかりとできたスペースにタイミングよくもぐりこんでパスを引き出す。そうして正確にゴールの四隅を射抜くのだ。

 

今シーズンはほかの選手が組み立てに参加するようになった分、味方を「使う側」としてだけでなく味方に「使われる側」としての能力も発揮しているルイス・アルベルト。だからこそゴール数が増加しているのである。

17-18シーズンに記録したキャリアハイの記録更新が期待されるところだ。




キープ力やドリブルも一級品

パスにシュートとキックに関しては一級品なルイス・アルベルト。しかし、ドリブルができないかと言われれば決してそうではない。

ルイス・アルベルトはドリブルも非常に得意で、高度なテクニックを活かして対面の相手を突破できる。そのことは、

  • 1試合平均のドリブル成功数 1.7(チーム内トップ)

というデータを見るだけで十分だろう。

さらに、ルイス・アルベルトのドリブルには持ち運ぶ距離が長いという特徴がある。

これは昨シーズンの通算データになるのだが、

  • ドリブル成功距離 リーグ1位
  • ドリブルでのファイナルサードへの侵入数 リーグ1位

となっている。もう一度先ほどのヒートマップを見てみよう。ルイス・アルベルトのプレーエリアが自陣低い位置から敵陣にまで縦に長く伸びていることがわかる。

つまり、ルイス・アルベルトは左サイド低い位置でボールを受けて、そのまま単独で敵陣にまでボールを運んでしまう能力があるのだ。

 

実際に試合を見ていても、ルイス・アルベルトのドリブルでの持ち運びがラツィオの主要な前進パターンとして多用されている

ひとりでここまで長い距離を持ち運べる選手はなかなかいない。彼がいかにスーパーなタレントかわかるだろう。

 

また体を入れてボールを「隠す」プレーも得意。スピードはあまりないルイス・アルベルトだが、背後から相手に追いつかれても体をうまく使ってキープできるし、そのまま運んでいくこともできる。

データを見てもそれは表れている。地上戦でのデュエル勝率のデータをミリンコビッチ=サビッチと比較してみると、

  • ルイス・アルベルト   :46%
  • ミリンコビッチ=サビッチ:42%

となっている。よりフィジカルに優れているミリンコビッチ=サビッチよりもデュエルで勝利しているのだ。ルイス・アルベルトの体の使い方がいかにうまいかがわかるだろう。その洗練された体さばきはまさに仙人だ。

高いボールスキルばかりに目が行きがちだが、それ以上に体の使い方が抜群にうまいのがルイス・アルベルトというプレーヤー。この「見えないスキル」があるからこそスピードがない彼がボールを失うことなく長距離を突破できるのだ。

 

このように、

  • ゴールもアシストもできて
  • 自らドリブルで運べて突破できる

攻撃能力全般が高いのがルイス・アルベルトという選手なのだ。




ルイス・アルベルトの弱点

攻撃面に関しては本当に何でもできるルイス・アルベルトだが、彼の弱点は何だろうか。

やはり、それは守備面であるように思う。

右のインサイドハーフ、ミリンコビッチ=サビッチと比較しても、

〈1試合平均インターセプト数〉

  • ルイス・アルベルト   :0.4
  • ミリンコビッチ=サビッチ:1.2

〈1試合平均タックル数〉

  • ルイス・アルベルト   :1.5
  • ミリンコビッチ=サビッチ:1.7

といずれも低い数値にとどまっている。守備での貢献度はあまり高くないのが現状だ。

おそらく、原因はスピード不足だろう。相手のスピードについていけないからなかなかタックルするまでに至らないし、インターセプトも決められない。実際に試合を見ていても、ルイス・アルベルトの脇を相手のスピードあるサイドプレーヤーがやすやすと突破していく場面は何度も見られている。

もともと2トップの一角に配されていたルイス・アルベルト。インサイドハーフとしての戦術的な動きは習得している印象だが、やはりもともと攻撃的な選手であることにフィジカル的な限界もあってボールを奪う能力という点に弱点がありそうだ。

 

さらに、試合を見ていると攻から守への切り替えが遅いことも気になる。特に味方がミスをした場面でルイス・アルベルトはよく動きを止めてしまう。そうしてカウンターを受けているのにもかかわらず帰陣が非常に遅くなってしまう傾向にあるのだ。

この意識を少し改めるだけでも守備面での貢献度は上がるはず。現代サッカーでは特にトランジションは重要なだけに、意識改革が待たれるところだ。




あとがき

昨シーズンは失速してしまい悔しい結果となったラツィオ。今シーズンも序盤はけが人の多さに泣かされ、順位は振るわなかった。しかし、けが人が戻ってくるにつれて徐々にパフォーマンスを上げ、お互いに削り合ってもたもたしていた上位集団に追いついた。今後のパフォーマンス次第ではELはもちろんCL出場権も狙える位置につけている。

ここから巻き返し、昨シーズンとは反対にのぼり調子でシーズンを終えられるか。カギを握っているのはルイス・アルベルトだろう。

個人的にはスペイン代表への復帰、そしてEUROへの出場にも期待している。逆転でのメンバー入りのためにはラツィオをCL圏に引っ張り上げるくらいのパフォーマンスが求められるだろう。

ラツィオの、そしてルイス・アルベルトの逆襲に期待したい。

 

 

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