【イタリアの未来】フェデリコ・キエーザのプレースタイルを徹底解剖!

【イタリアの未来】フェデリコ・キエーザのプレースタイルを徹底解剖!

2021年2月19日 6 投稿者: マツシタ
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世の中は2世が活躍するケースが非常に多く感じる。2世タレント、2世議員…。遺伝子レベルで天性の才能を授かっているのか、それとも親の人脈のおかげなのかはわからないが、2世が出世しやすいのは事実なようだ。

そしてそれはサッカー界にも言える。偉大な父を持つサッカー選手は多い。彼らは普通の選手よりも大きなプレッシャーにさらされることになる。父が偉大あればあるほど、プレッシャーは大きなものになるだろう。そして活躍できなければ、「親のコネか?」などと言われてしまうのも残酷な運命だ。

しかし、フェデリコ・キエーザはひと味違う。セリエAの黄金期を支えたファンタジスタ、エンリコ・キエーザを父に持つサラブレッドは間違いなく天賦の才に恵まれている。ここまでの活躍は親のコネでなしえたものでは決してない。

フィオレンティーナからユベントスへの禁断の移籍を果たした今シーズンはピルロの指導と恵まれた才能が化学反応を起こし、特に成長スピードを上げている印象だ。

父エンリコを知るイタリア代表監督のマンチーニは、フェデリコ・キエーザのプレースタイルはエンリコのそれとは異なっていると語る。よりフィジカルで、走力に優れているというのだ。

今回は、そんなフェデリコ・キエーザのプレースタイルを徹底的に掘り下げていこうと思う。

 




 

キエーザのプレースタイル

キエーザはサイドならどこでもこなせる万能型だ。右でも左でも、ウインガーとしてもウイングバックとしてもプレー可能だ(ただし、どちらかというと右のほうがやりやすそうではある)。

全体的にエネルギッシュなプレーが持ち味で、攻守に直線的なプレーが魅力だ。

それでは、詳しくみていこう。

 

直線的なドリブル突破

キエーザの最大の武器が爆発的なダッシュ力とそれを活かした直線的なドリブル突破だ。

キエーザはショートスプリント、ロングスプリントともに平均的な選手を大きく上回るという恵まれたフィジカルを持っている。特に注目すべきは初速の速さ。一瞬でトップスピードに乗ることで相手を置き去りにしてしまう。

そのスプリント力を生かすべく、キエーザはドリブル時にほとんどフェイントを使わない。スピードの緩急だけで相手をかわしてしまうのだ。

相手からしたらキエーザが縦に仕掛けてくることはわかり切っているだろう。それでも振り切ってしまうだけの加速力なのだ。一度足を止めてしまえば、キエーザについていくのは至難の業なのである。

シンプルな仕掛けでも十分に相手をかわせていることはデータを見ればわかる。一試合当たりのドリブル成功数はクリスティアーノ・ロナウドと並んでユベントスの中で最も多い1.8(第22節終了時)なのだ。

個人能力に依存するユベントスの攻撃においてキエーザのドリブル突破はすでに大きな崩しの手段となっている

さらに、そこから決定的なパスを供給することもできるのがキエーザのよいところ。アシスト数・一試合平均のキーパス数ともにチーム内3位の数値をたたき出している。

一般に、単独での突破力に優れる選手の多くは強引に仕掛けすぎてフリーの味方を見逃す場面が多くなりがちだ。だが、キエーザはチャンスになる可能性が高ければ味方をへのパスを選択できる冷静さを持っている。

そしてそれはショートパスに限った話ではない。サイドチェンジなどのロングパスの精度の高さもキエーザの武器だ。見事なロングパスでモラタのゴールをアシストしたべネベント戦のシーンは見事だった。

ドリブル突破で局面を打開するだけでなく、そこから繰り出すラストパスも精度が高い。まさにファイナルサードの崩しにおいてすべての仕事を引き受けているといっていい。

今やユベントスの攻撃の中心の一人。そう評していいだろう。

 




 

強烈なミドルシュート

崩しの局面での貢献度の高さは説明した通りだが、自らゴールを奪うこともできるのがキエーザの長所だ。

ここまでリーグ戦ではクリスティアーノ・ロナウドに次ぐチーム2番目の数値(5ゴール)を記録している通り、得点能力は高い

キエーザのシュートの特徴がパワーだ。爆発的なスプリント力を生み出す強靭な下半身からは、強烈なシュートをも繰り出せる。アタランタ戦のゴールがまさにその典型で、ペナルティエリア外からでもゴールを打ち抜けるのだ。

おそらくキエーザ自身もシュート力に自信があるのだろう。遠めの位置からでも積極的にシュートを放っている。一試合平均のシュート数はクリスティアーノ・ロナウドに次ぐ2位タイの1.6だ。

またキックの精度自体も高い。ユベントスではコーナーキックのキッカーを務める試合もあるように、ただパワーで打ち抜くだけの選手ではない。

もちろん爆発的なダッシュ力で相手DFラインの裏に飛び出して1対1を制する形も得意。ボールの受け手としても優秀なのがキエーザなのだ。

 




 

守備時の献身性

キエーザの魅力は攻撃面だけにとどまらない。守備時には献身的にプレッシングに参加するのだ。

キエーザのプレス数の数値はチーム内で4番目の数値。特筆すべきはアタッキングサードミドルサード・ディフェンシブサードのすべてのエリア内でプレス数トップ4以内に入っていること。前線でのプレッシングから自陣へのプレスバックまで、キエーザがピッチ内全域で守備を行っていることがわかるのではないだろうか。

また、一試合平均のタックル数は1.5。これはサイドアタッカーとしては極めて高い数値だ。

キエーザの最大の武器である爆発的なスプリントは守備にも活かされているのである。

攻撃に守備にと、キエーザが何度もスプリントを繰り返していることがわかるだろう。ふつうはこんなに何度も全力でスプリントを繰り返しているとスタミナが持たない。しかし、キエーザは何度スプリントを繰り返そうとトップスピードが落ちないのだ。

爆発的なスプリントと持久力という通常なら共存できない能力を兼ね備えている。これはなかなかトレーニングで鍛えられるものではないだろう。やはりキエーザは特別なフィジカル能力を授かったのだ。

 




 

旺盛な闘争心

そしてもうひとつ、キエーザを語る上で欠かせないのが旺盛な闘争心だ。

キエーザは自身の感情を直接的に表現し、隠そうとしない。味方にも自分にもストイックで、負けているときにこそ奮起できるパーソナリティーの強さを持っている。

このメンタルの強さはワールドクラスのトッププレイヤーになる上で絶対に欠かせないものだ。クリスティアーノ・ロナウドやイブラヒモビッチを見ていれば、それは明確だろう。

安定したメンタルがあるからこそ自分が持っている才能をいついかなる状況でも発揮できる。そしてチームを引っ張り、勝たせる選手になれるのだ。

これはもともと持っている性格とも関係してくるため、そう簡単に手に入るものではない。幸運なことに、キエーザはこれを持って生まれてきたようだ。

インテルのニコロ・バレッラもそうだが、こういう選手はチームの象徴となる可能性が非常に高い。それはクラブチームにとどまらず、イタリア代表でもそうだ。

だからこそ私はキエーザを「イタリアの未来」と名付けた。将来のイタリアを背負って立つ選手になれるだけの資質は持っている。あとはキエーザ本人の努力と、ほんの少しの運次第だろう。

 




 

キエーザの弱点

それでは、キエーザの弱点は何だろうか。

これは弱点というよりも改善点だが、左サイドでも右サイドと変わらないくらいのパフォーマンスを見せられるようになれれば文句はないだろう。

フィオレンティーナ時代から右サイドでの起用が多かったこともあるのだろうが、それ以上に彼の特徴が影響しているように思う。

前述した通り、キエーザは爆発的なスプリント力を生かして縦に突破するプレーを最も得意としている。そして、これを成功させやすいのは順足で相手から遠い場所にボールを置ける右サイドだ。

一方、左サイドに置かれた場合は得意の縦突破を決めたとしても利き足とは逆の左足でクロスを上げなければならず、かといって相手が密集している中央へ向けてスピードに乗ったドリブルを仕掛けても成功率は低い。

左サイドでは自分が最も得意とする形を活かしにくく、それゆえに右サイドで起用されたときほどスムーズにプレーできていない印象だ。実際、ゴール数を見ても右サイドで起用された試合で6、左サイドで起用された試合が2だ。3倍の差がある。

この差が小さくなってくれば、ますますプレーの幅を広げる選手になれるはずだ。

 




 

あとがき

今シーズン、移籍市場最終日にユベントスに加入したキエーザ。当初は買取義務も含めた総額6000万ユーロの移籍金が高すぎるとの批判が飛び交っていた。こうした報道や父エンリコの存在も含め、相当なプレッシャーがかかっていたはずだ。

しかし、今やそんな声はどこからも聞こえない。キエーザはそのプレーで自らの価値を証明して見せたのだ。

問題の移籍劇では、父エンリコの意向が働いたのではないかと言われている。エンリコは現役時代にユベントスでのプレーを希望していたがかなわなかったことを認めている。そして、この移籍劇に代理人として関わったのがエンリコなのだ。彼は自身がかなえられなかった夢を息子に託したのだろう。

そのエンリコが現役時代に成し遂げられなかったものがもうひとつある。リーグ・代表でのタイトルだ。その夢もまたフェデリコに託された。

ユベントスにスクデットを、そして暗黒期を抜けたイタリア代表にタイトルをもたらせるか。キエーザの今後の活躍から目が離せない。

 

 

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