
【ナポリのバンディエラ】ロレンツォ・インシーニェのプレースタイルを徹底解剖!
2020年11月25日、ナポリが悲しみに包まれた。クラブの、そして町のレジェンド、ディエゴ・マラドーナが天国へ旅立ったのだ。
ナポリを初めてのスクデットに導いた英雄の訃報を受けたクラブは、スタジアム名をスタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナに変更した。マラドーナがクラブの象徴でありレジェンドであることがよくわかる話だ。
そして、現チームには新たなバンディエラがいる。ロレンツォ・インシーニェだ。
インシーニェはナポリの生え抜きで、数回レンタルに出されたことはあったもののナポリ一筋のキャリアを歩んできた。イタリア屈指のファンタジスタで、ナポリの攻撃マインドを象徴するまさにクラブの顔だ。
今回は、そんなロレンツォ・インシーニェのプレースタイルについ徹底的に掘り下げていこうと思う。
目次
インシーニェのプレースタイル
高度なテクニックによる局面打開
インシーニェのプレーを端的に表現するなら「ファンタジスタ」だ。
非常に高度な足元のテクニックを持っており、ひらひらと相手をかわしていく様は見ていて爽快だ。
インシーニェは身長がわずか163cmしかない。全サッカー選手の中でも最も小柄な部類だろう。当然相手にコンタクトされてしまえばつぶされてしまうだろう。
だから、インシーニェは相手にコンタクトさせないことを身に着けた。そもそも体に触れさせないのだ。
特にうまいのが相手の重心の逆を突くターンだ。瞬間的な方向転換で相手DFを文字通り置き去りにするプレーは芸術的ですらある。
特に相手に対して背中を向けている場面で華麗なターンを見せることが多く、背中に目がついているかのような名人芸だ。これができるからこそ、相手に背後からコンタクトされずに済むのだ。
もちろん足元にボールを置いて前を向いても相手の脅威となる。そう簡単には奪われない高度なテクニックがあり、相手は飛び込めないのだ。
相手が足を出してきたときにチョイっとボールを浮かせてかわすプレーはインシーニェの十八番のひとつで、相手をあざ笑うかのようにかわす。大柄なDFを小柄なインシーニェがもてあそぶプレーは見ていてスカッとする。
ここまでチーム2番目に多い1試合平均ドリブル成功数(1.8)を記録していることからも、インシーニェがいかに相手をかわすことができているかがわかるだろう。
相手の重心の移動を見抜き、緩急の使い分けさえできれば、ドリブルに身長は必須でないことを教えてくれるプレーヤーだ。
左サイドからのカットインで仕掛ける
インシーニェは主に左サイドで起用されることが多い。
下は今シーズンのインシーニェのヒートマップ。左サイドを起点にしながら、ゴールに近づくにつれて中央でボールを触る機会が増えていることがわかるだろう。
左サイドでボールを受け、右足でカットインして仕掛けるプレーが彼の代名詞なのだ。
そこからは本当に何でもできる。自らシュートを打ってもよし、逆サイドのロサーノに高精度のクロスを供給してもよし、FWやトップ下の選手と連携して崩してもよし。
それだけでなく、オーバーラップしてきたサイドバックを簡単に使うプレーも混ぜることで相手はより飛び込みにくくなっている。
インシーニェの右足は非常に高精度だ。ここまで公式戦10ゴール5アシストを記録していることからも、彼の右足から多くの得点チャンスが生まれていることがわかる。
過去のデータを見てみると、ゴールランキングでリーグトップ10入りしたことが4度(16-17シーズンには18ゴール)、枠内シュート数とアシスト数でリーグトップ10入りしたことがともに6度もある。リーグ屈指のチャンスメーカーとの評価に異論をはさむ余地はないだろう。
特に目を引くのがキック前の独特なリズム。身長が低いゆえに細かいステップを踏むことができ、ひとつ持ち出してすぐさまキックを繰り出せる。ト・トンのリズムだ。これを非常に高速で行うため、ほんのわずかな隙間を通せる。相手からすれば分かっていても止められないだろう。
守備にも積極的に参加
攻撃面で絶大な存在感を放つインシーニェだが、守備でも十分な貢献を果たす。
プレスバックすることをいとわないメンタリティーを持ち、守備ブロックの一員として機能できる戦術眼を備え、ボールロスト後の切り替えも早い。
特に得意なのがインターセプトで、一試合平均のインターセプト数は1.1とチーム内3位タイ。サイドアタッカーとしては極めて高い数値だ。
これは想像だが、フィジカルが強くなくてもボールを奪うためにどうすればいいか考えた結果、インターセプトが得意になったのかもしれない。
なにはともあれ、インシーニェが守備を重視するガットゥーゾ監督の要求にしっかりと応えていることは間違いない。
インシーニェの弱点
やはり、インシーニェの弱点として挙げるなら小柄ゆえにフィジカルコンタクトに弱いところだろう。デュエル勝率は46%と半分を下回っており、空中戦勝利数はここまでまさかのゼロ(笑)。まあ仕方がない。
ゴール前に入っていってヘディングでゴールを奪うようなプレーは当然できない。また、俊足というほどでもないので裏に抜け出してボールを引き出すことも少ない。インシーニェには足元にボールを届けてやる必要があるのだ。
ただし、ボールを持たせれば確実に違いを生むこと、フィジカルコンタクトにそもそも持ち込ませないプレーができていることは前述の通り。
弱点が明確だからこそ、それをカバーするプレーに磨きをかけてきたのだろう。それが実を結び、今やイタリア屈指のファンタジスタの評価を手にしているのだ。
あとがき
今やセリエAを代表する選手に成長し、今夏のEUROではイタリア代表での活躍も期待されるインシーニェ。
彼はマラドーナの訃報を受け、左足にマラドーナの顔のタトゥーを入れた。レジェンドの意志を継ぐという覚悟の表れだろう。
そのマラドーナと並び称されるために唯一足りないもの、それがスクデットだ。70-71シーズン以来遠ざかっているイタリア王者の座にナポリを導くことができれば、インシーニェはクラブの真の象徴としてその名を刻むことになるだろう。
30年ぶりに南イタリアの地にスクデットをもたらせるか。今後のインシーニェの、そしてナポリの挑戦に注目だ。
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