【イタリア最高のMFへ】ニコロ・バレッラのプレースタイルを徹底解剖!

【イタリア最高のMFへ】ニコロ・バレッラのプレースタイルを徹底解剖!

2021年2月11日 8 投稿者: マツシタ
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今シーズンのセリエAは若手の台頭が著しい。過密日程の中で交代枠が5枚に増やされ、出場機会を得やすくなっていることが要因のひとつだろう。

そんななかでも、最もブレイクしている選手と言っていいのがニコロ・バレッラだ。

カリアリで育ち、17歳でデビューしたバレッラは、コモへの半年間のレンタル移籍を経て復帰した16-17シーズンから3季に渡ってカリアリの不動のレギュラーとして活躍。これが評価されてインテルへのステップアップを勝ち取った。

移籍初年度となった19-20シーズンは徐々に出場時間を延ばしてシーズン後半には主力に定着すると、続く今シーズンは不動の存在としての地位を確立した。シーズン半分を終えた時点でフィールドプレーヤーとしてはチーム内で最も長い出場機会を得て3ゴール8アシストの活躍を披露。大ブレイクを遂げたのだ。

今や「イタリアの未来」「インテルの新たな至宝」と絶賛が絶えないバレッラ。彼はどのようなプレイヤーなのだろうか。

今回はニコロ・バレッラのプレースタイルについて徹底的に掘り下げていこうと思う。

 




 

バレッラのプレースタイル

バレッラはMFに必要な能力をすべて持っている超万能MFだ。

豊富な運動量とそれを活かしたボールハント、低い位置ではシンプルに散らすレジスタとしての能力、アタッキングサードではチャンスメーカーとしてふるまえるだけの技術と視野の広さ、闘争心とパーソナリティーの強さ。

24歳にしてここまで能力値が高いMFは全世界を見渡してみてもなかなかいるものではない。

以下、それぞれについて詳しくみていこう。

 




 

豊富な運動量で攻守に絡む

バレッラの最大の持ち味が豊富な運動量だ。常に足を動かして攻守に絡むことができ、それを90分間持続させられるだけのスタミナがある。

バレッラの運動量が最も生かされるのが守備時だ。3-5-2のインサイドハーフで起用されるバレッラはMFの位置から斜め前に出て相手サイドバックに対してプレッシャーをかけるという役割を担っている。

プレッシャーによってボールを戻させたら、バレッラはもと居たMFの位置に戻る。いわばMFとFWの兼任だ。これを90分間繰り返すのは並大抵の体力では不可能だ。バレッラだからこそできる芸当だろう。

カウンター時にもバレッラの運動量は活かされる。インテルはボールを奪ったらまずルカクに預ける。ここにすぐさまサポートに入る役割を任されているのがバレッラなのだ。

ルカクの落としを受けてさらにもう一つ展開する、あるいは自慢の走力でルカクを追い越して前方のスペースをアタックする。カウンター時の急先鋒としても機能しているのがバレッラだ。

ボールを受けた後は推進力を活かして強引に持ち運ぶことで局面を打開することもできる。一試合当たりのドリブル成功数を見てみると、バレッラは1.0でルカクに次いでチーム2位の好数値を記録している。

ハイライトがコッパイタリア準決勝第1レグのユベントス戦でラウタロの先制点をアシストした場面。この場面ではルカクではなくサンチェスだったが、FWボールをおさめたところにサポートに入ってボールを受けたバレッラはドリブルで30mほどを独走しラウタロへ正確なクロスを供給、貴重な先制点をアシストして見せた。

味方のサポートでも、オフ・ザ・ボールのランニングでも、そして強引な持ち上がりでもカウンターに絡めるバレッラはインテルの速攻において必要不可欠な存在になっている。

 




 

プレッシャーの速さは一級品

バレッラはただ持久力があるだけでなく、スピードに関してもトップレベルにある。特に目を見張るのが初速の速さだ。

守備時のバレッラを見ていればよくわかるが、彼のプレッシャーの速さはすさまじい。あっという間に相手との距離を詰め、タックルを仕掛けてボールを奪ってしまう。

データを見てみると、一試合平均のタックル数は1.8でブロゾビッチと並んでチーム最多だ。低い位置で静的に構えることが多いブロゾビッチと比較すると、バレッラは非常に広範囲を動き回ってファイナルサードにも積極的に絡む。その中でもチームトップのタックル数を記録しているということが、バレッラが攻守両面でボールに絡んでいる何よりの証拠だろう。

 




 

タックル技術がどんどん向上している

そして注目すべきは、バレッラのタックル技術が年々向上しているということだろう。

バレッラはファウルも辞さないタックルを仕掛ける選手だと紹介されることが多いように思う。たしかに、カリアリ在籍時代の17-18シーズン、バレッラはセリエAで最もファウルとイエローカードが多い選手だった。

しかし、この数字は年々改善されてきている。18-19シーズン、19-20シーズンのデュエル勝率はそれぞれ50%、49%だったが、今シーズンの数値は56%に改善されている。

体の使い方改善や判断力の向上、ボールへのアプローチスピードがさらに速くなったことによって確実にデュエルを制してボールを奪えるようになってきているのだ。

また、昨シーズンは11枚を計上したイエローカードも、シーズン半分を終えた今シーズンはここまで4枚にとどまっており改善傾向にある。

データが証明している通り、バレッラはファウルを辞さないハードタックラーから激しくもクリーンにボールを奪える選手へと変貌しつつあるのだ。

 




 

テクニックも確かで、キープ力が高い

ここまでは守備面をメインに見てきたが、攻撃についても見てみよう。

シーズン途中まで、インテルは攻撃時に4-2-4に可変する形をとっていた。この形ではバレッラは「2」の一角に入る。低めの位置でレジスタ的にふるまうことが多かったのだ。

この位置でのバレッラはシンプルに徹し確実に味方にショートパスをつなぎつつ、機を見て放つサイドチェンジのボールも高精度だ。レジスタとしての能力も決して低くはないのである。

しかし、レジスタとしてふるまわせるよりもトップ下的にゴールにより近い位置に置いたほうがバレッラの攻撃力はより活かされるのである。このことに気づいたコンテは攻撃時にバレッラを右のシャドーに置くことで5レーンを埋めるように攻撃時のユニットを変更した。

こうしてよりゴールに近い位置に置かれたことでバレッラの攻撃性能が開花した。バレッラは狭いスペースでもボールを失わないキープ力と味方の動きを見逃さない視野の広さ、そこに正確に合わせるパス技術の高さを兼ね備えている。トップ下でチャンスメーカーとしてふるまうだけの素養を持っているのだ。

昨シーズンは4つだったセリエAでのアシストがシーズン半分終えた時点ですでに5つ。全コンペティションでみればその数字は8にのぼり、チーム最多のアシスト数だ。一試合平均のキーパスは1.3でチーム内で3番目に位置している。

数値が改善されたのはアシストだけではない。リーグ戦でのゴール数も昨シーズンはわずか1だったのが今シーズンはすでに3に伸びている。

トップ下的に足元でボールを受けるだけでなく、前方のスペースをアタックする動き出しができるのもバレッラの魅力。高い位置に置かれたことでより相手DFライン裏への飛び出しが活かせるようになった。

ハイライトは第18節ユベントス戦の2点目の場面。高くなったユベントスDFラインの裏へ動き出してバストーニからのロングパスを引き出し独走、最後は豪快に突き刺して見せた。走力とそれを活かしたオフザボールの動きというバレッラの強みが凝縮された場面なのでぜひYou Tubeなどで検索してみてほしい。

 




 

ハキミとの連携

もうひとつ上げておきたいのが右ウイングバックのアクラフ・ハキミとの連携の良さだ。

ハキミにボールが入った時、バレッラは必ずと言っていいほどインサイドレーンを縦に抜ける動き出し(いわゆるチャンネルラン)をする。これによって相手を引き付け、ハキミがカットインするコースを空けるのだ。

相手がついてこなければハキミからパスを受けそこからクロスボールを供給してチャンスメイクする。バレッラのクロスは日に日に精度を高めており、これもインテルの大きな武器になりつつある。

浮き球のクロスでビダルに合わせたコッパイタリア準決勝ユベントス戦のゴールはその結晶ともいうべき場面だった。

また、浮き球だけでなく動き出した見方を見逃さずにその足元に届けるグラウンダーのクロスも一級品。キックのバリエーションが多いことも好材料だ。

ハキミとバレッラの連携は抜群で、インテルの攻撃はこのふたりがいる右サイドが中心になっている。特にバレッラが右シャドーの位置に入るようになってからは完全に彼が攻撃の中心になった。

一試合平均のボールロスト数はバレッラが12.3でチーム最多、ハキミが次いで11.2で2位。ボールロストが多いのは一見すると悪いことのように思えるが、それだけ彼らがボールに絡んでいることの証明になっているととらえたほうがいいだろう。

 




 

闘争心が旺盛でパーソナリティーにも問題なし

ここまで見てきた通り、バレッラはすべての能力を高次元で備えている超万能MFだ。しかし、今シーズンブレイクを果たすうえで最も大きかったのは技術的な側面よりも旺盛な闘争心とパーソナリティーの強さなのではないだろうか。

バレッラは感情を隠さずに表現するタイプで、味方がチャンスを逃せば大きなリアクションで悔しがり、ファウルをとられれば審判に詰め寄る。ボールを奪われてもすぐに取り返すためにプレスバックし、何度ミスしても味方にパスを要求する。

持っている能力が高くても、メンタルの問題でそのすべてを発揮できない選手は多い。しかし、バレッラは違う。彼の安定したメンタルこそが持てる能力をすべて発揮しハイパフォーマンスを継続するうえで不可欠な要素なのだ。

パーソナリティーの強さはサッカー界を代表するスタープレーヤーになる上で欠かせない要素。バレッラはそれを持っている。

すでにイタリア最高のMFと言ってもいいバレッラだが、ここでとどまるようには思えない。私は近い将来、バレッラは世界を代表するMFになると確信している。

 




 

バレッラの弱点

最後に、バレッラの弱点について考えてみたい。

これまで上げられてきたバレッラの弱点でいえば、決定力の低さやファウル・カードの多さなどがある。しかし、これらが改善傾向にあることはすでに見た通りだ。

その他にも、身長の低さゆえに空中戦に弱いといわれているバレッラだが、データを見てみると空中戦の勝率は55%と半分以上。空中戦に強いイメージがあるビダルをも上回っている。

確かにビダルのようにゴール前に飛び込んで豪快に叩き込むようなプレーは得意ではないが、ポジショニングと体の使い方の巧みさを習得しているバレッラは周囲のイメージほど空中戦に弱い選手ではないのだ。

こうなってくると、あとは数字を伸ばしていくことが目標になってくるのではないだろうか。超ワールドクラスに到達するためにはアシストやゴールでシーズン2桁を記録するなど、目に見える結果を残していく必要がある。そのためには、ミドルシュートの精度を上げる必要はあるかもしれない。

今以上にゴールに直結する働きを増やし、チームを勝たせる選手になることができれば、バレッラは世界に冠たるMFとしてその名をとどろかせることになるだろう。

 




 

あとがき

残念ながら、今シーズンのインテルはセリエA以外のすべてのコンペティションで敗退してしまった。今後はスクデットだけを目標に戦っていくことになる。

現在首位インテルの背中を追っているのはミラン。同じ町のライバルクラブにスクデットを掲げられるわけにはいかないだろう。リーグだけに集中できるのはインテルにとってアドバンテージでもある。決して不可能なミッションではないはずだ。

そのためにカギを握っているひとりがバレッラであることは疑いの余地がない。パーソナリティーの高さを持つバレッラはいまやチームリーダーの一人。今後数年にわたってインテルを引っ張る象徴となるだろう。

彼が真のワールドクラスの称号を得るという意味では、シーズン終了後のEUROでの活躍も重要だろう。ここで主力としてイタリア代表を躍進に導けば、ワールドクラスへと大きく近づけるだろう。

今後もバレッラの活躍に注目だ。

 

 

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