【ラツィオのDFリーダー】フランチェスコ・アチェルビのプレースタイルまとめ

【ラツィオのDFリーダー】フランチェスコ・アチェルビのプレースタイルまとめ

2021年1月30日 6 投稿者: マツシタ
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アッズーリことイタリア代表は近年苦しい時期を過ごしてきた。2010年、2014年と2大会連続でW杯グループリーグ敗退に終わると、2018年大会ではまさかのプレーオフ敗退、本選に進むことすらできなかった。

それでも、プレーオフ敗退後に発足したマンチーニ政権下で若返りに成功して復調し、現在のところ22試合連続無敗記録を更新中だ。今夏開催される予定のEUROで久々の躍進が期待される。

そのイタリア代表で主力を務める選手の一人がラツィオのDFリーダー、フランチェスコ・アチェルビだ。

アチェルビは壮絶なキャリアを歩んできた選手としても知られる。

パヴィーアでデビューした後レッジーナ、キエーボなどで活躍してミランに移籍、ネスタの「13」を引き継ぐなど期待を持って迎えられた。しかし期待通りの活躍は見せられず、わずか半年でレンタルで放出される。

次の夏の移籍市場で当時昇格組だったサッスオーロに移籍するもののメディカルチェックの際にがんが発見され、一度は手術が成功するもすぐさまがんが再発。合計で1年近い闘病生活を強いられた。

ミランでの失敗に移籍早々の闘病生活。ここまでのキャリアは苦難に満ちたものだった。だが、この闘病生活を境にアチェルビのキャリアは一変する。

復帰後のアチェルビはサッスオーロのDFリーダーに君臨して100試合以上の連続出場記録を樹立するなど大きく飛躍。この間にイタリア代表デビューも果たしている。

そして2018年夏、ステファン・デフライの後釜としてラツィオへ移籍。新天地でも瞬く間にDFリーダーとして君臨し、ますますパフォーマンスを上げ、今やイタリア代表でも主力となっている。

決して順風満帆とは言えない壮絶なキャリアを歩みながらも、苦しい時期を乗り越えてイタリア屈指のCBにまで成長を遂げたアチェルビ。今回はそんな彼のプレースタイルについて徹底的に掘り下げていきたい。




アチェルビのプレースタイル

クリーンな守備対応

アチェルビの最大の特徴が冷静な守備対応だ。

アチェルビはファウルが少ないセンターバックとして知られている。激しいコンタクトをせずともボールを奪えるのは豊富な経験に裏打ちされた守備技術と準備力の高さ、読みの鋭さがあってのことだ。

アチェルビは相手と競り合うときに後ろから激しく削ったりすることがない。これをやってしまうとファウルをとられてしまうし、足の裏が入ってしまえばカードをもらいやすい。

ではアチェルビはどうするのかというと、相手FWに体を密着させてじりじりと圧力をかけるのだ。こうすれば激しいプレーには見えないし、相手は自由を奪われてミスを犯しやすくなる。

また相手との距離を近くしておけばボールタッチが乱れた瞬間に体を入れてクリーンにボールを奪い取ることができるし、中途半端なボールが来れば相手の前に頭や足を出してはじき返すことも容易だ。

彼のプレーを見ていれば、守備技術の高さでボールを奪うとはこういうことなのかと実感できるはずだ。まさに熟練の技である。

相手とコンタクトせずクリーンにボールを奪うということでいけばアチェルビはインターセプトも得意で、1試合平均のインターセプト数はリーグ2位の3.2回を記録している。準備力と読みの鋭さがわかるだろう。

そのほかにもアチェルビの頭脳的なプレーは随所にみられる。ボールが裏へ抜けてきそうなときはいち早くポジションを下げて対応するし、クロスボールが上がってきそうな場面ではコースに先回りしてカットできる。

賢くクリーンな守備、これがアチェルビのスタイルだ。




高精度の左足

アチェルビの守備能力が高いことは前述の通りだが、彼は攻撃での貢献度も高いモダンなCBだ。

レフティーのアチェルビは左足から高精度のパスを散らして攻撃を組み立てることができる。1試合あたりのパス成功率は88%で、これはラツィオの選手の中で最もいい数字だ。

特に正確なのがロングボールで、アチェルビからウイングバックへのボールを多用していた一昨シーズンにはとくに彼の特徴が生きていた。

くさびのパスももちろん正確で、降りてきたアタッカーの足元にビシッとつけるくさびは絶品だ。




積極的な攻撃参加

また、アチェルビは今シーズンになって積極的な攻撃参加も見せるようになった

原因はアチェルビと同じく左足からのフィードによる展開力に守備力も兼備するウェズレイ・フートの加入だ。

同タイプのフートの加入により、昨シーズンまでは3CBの中央で起用されることが多かったアチェルビをサイドCBで起用するケースが増えているのだ。

アチェルビはサイドCBで起用された試合では積極的に左サイドを駆け上がり、高精度のクロスを供給するプレーを見せている。得意の左足をよりゴールに直結する形で生かせるようになったのだ。

アチェルビのクロスはマルシッチやファレスといった本職のサイドプレイヤーをはるかに凌駕するレベルで正確だ。まるで何年も本職としてサイドでプレーしていたかのようだ。

アチェルビのクロスボールは昨シーズンにはなかったラツィオの新たな攻撃パターンとして確立された印象だ。

サイドCBで起用され始めたことで攻撃意識が高まったのだろう。従来の3CB中央で起用された試合でもインターセプトを決めた勢いそのままに前線へ駆けあがる場面が多くみられるようになった。これは昨シーズンまでは見られなかったプレーだ。

33歳となる今シーズンにもさらに進化しプレーの幅を広げたアチェルビ。選手として成熟段階にあり、今がまさに旬なプレイヤーだといっていいだろう。




アチェルビの弱点

攻守に隙が無いように見えるアチェルビ。彼に弱点はあるのだろうか。

しいて挙げるならスピードの不足だろう。近年はアスリート化が進みスピードがあるセンターバックが増えているが、それと比べるとアチェルビは鈍足な部類に入るだろう。

しかし、ラツィオがリトリートを基本戦術としている関係でアチェルビのスピード不足が露見する場面はあまりない。そもそもラインを低めに設定しているので、オープンスペースでの走り合いにならないからだ。ラツィオの戦術との相性の良さもアチェルビの活躍に少なくない貢献を果たしているはずだ。

また、彼の足の遅さがアチェルビの準備力の高さ、読みの鋭さを磨いた面もあるだろう。単純なスピード勝負に弱いことが分かっているからこそ、それを補うためにはどうすべきか考え、結果として現在の頭脳的なスタイルを身に着けたのではないだろうか。

また、右足をほとんど使わないことも弱点の一つだといえると思う。アチェルビは基本左足一本でプレーする。きっと右足にそこまでの自信がないのだろう。

直近のアタランタ戦で右足でゴールを決めているのだが(素晴らしいゴールなのでYouTubeで検索してみてみてほしい)、蹴り方がぎこちなかったしコースも甘かった。

とはいえ、右足が使えないからと言って問題になっているかといわれるとそんなことはない。左足のキックがあまりにも高精度なので、この弱点もクローズアップされることはほとんどない。

このように、アチェルビは守備から攻撃までを高水準でこなせる万能型CBだ。セリエAで5本の指に入るCBだといっていいだろう。

 




 

あとがき

がんによる闘病生活を強いられる以前のアチェルビは寝る時間を削りながらナイトクラブをハシゴし、酒も浴びるように飲んでいたという。クリーンな守備が特徴の今の彼からは全く想像がつかない話だ。

しかし、闘病生活がアチェルビを変えた。生活習慣と価値観を一変させ、自身の体調管理に気を配り、DFリーダーとしてチームをけん引する自覚が芽生え、クリーンな守備対応を身に着けた。

闘病生活によって一度は絶望の淵に追い込まれたことだろう。しかし、その経験がアチェルビを一流プレイヤーへと導いたのだ。人生何があるかわからないものである。

いまやイタリア屈指のCBとなったアチェルビ。苦境を乗り越え、今シーズンは初のCLの舞台を戦っている。そして夏にはEUROが待っている。32歳にしてキャリアの春を謳歌するアチェルビ。彼の活躍がラツィオの、そしてイタリアの命運を握っている。

 

 

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