
【ネクスト香川真司】ハメド=ジュニオール・トラオレのプレースタイルを徹底解剖!
今シーズンのセリエAは若手選手の活躍が目覚ましい。平均年齢が最も低いミランが首位を走っているのはその象徴だろう。
現在8位のサッスオーロにも面白い若手がいる。ハメド=ジュニオール・トラオレ。この名前を覚えておいて損はない。いずれビッグクラブでプレーするであろう逸材だ。
この冬にアタランタからマンチェスター・ユナイテッドに移籍したアマド・ディアロの実兄で、トップ下が基本ポジションの攻撃的MF。最近は左サイドアタッカーとして起用される試合も増えてきた。
こなせるポジションもそうなのだが、なによりプレースタイルが香川真司に非常に似ている。だから彼のプレーにひかれるのかもしれない。私は彼を「ネクスト香川真司」と名付けた。
今回は、そんなハメド=ジュニオール・トラオレのプレースタイルについて徹底的に掘り下げていこうと思う。
目次
トラオレのプレースタイル
狭いスペースでのプレーを得意とする
ハメド=ジュニオール・トラオレと香川真司の最大の共通点はライン間でのプレーを得意とするところだ。
トラオレは相手守備陣の隙間に潜り込んでボールを受け、ワンタッチもしくはツータッチでボールを離したり、素早くターンして決定的なスルーパスを供給したりといったプレーが得意。その姿は全盛期の香川真司を彷彿とさせる。
DFラインとMFラインの間のスペースは非常に狭く、このスペースでプレーするのは容易ではない。四方に相手がいるため、すぐさまプレッシャーを受けてしまうからだ。
だが、トラオレは左サイドアタッカーとして起用された試合でもさかんに中央に入ってきてライン間のスペースに位置取り、嬉々としてボールを要求する。よほどの自信があるのだろう。
それを可能にしているのは極小スペースでも正確にボールを扱える非常に高いレベルのテクニック、極小スペースでもターンできるクイックネス、プレーする前からフリーの味方を見つけ出せる視野の広さだ。
これらの特徴はそのまま香川にも通じるものだ。これが私がトラオレを「ネクスト香川真司」と呼ぶ理由だ。
正確なパスを武器に崩しの局面で違いに
このように、トラオレは狭いスペースでもボールを失わず、前を向いてくれる。そうしてフリーの味方に正確にボールを供給して決定機を作り出すのだ。相手を引き付けてくれるし多少囲まれてもボールを失わない。味方にとってみれば頼もしい選手だ。
自らドリブルで突破するようなプレーはできないものの、パス精度は見事。いわゆる司令塔タイプの選手だ。
このような特徴から足元でボールを要求することが多かったものの、ここ最近は裏への動き出しも多くみられるようになってきた。タイミングよくアクションを起こして味方のパスを引き出し、相手のラインを破る場面は増えつつある。
パスの出し手としてだけでなく受け手としても成長しており、プレーの幅を広げている印象だ。まだ20歳。伸びしろは多分に残されている。
トラオレの弱点
決定力の低さ
ここからはトラオレの弱点についてみていこう。
さきほど書いたように、トラオレはうまく相手DFラインの裏に飛び出して決定機を迎える場面が増えている。しかし、そのチャンスをことごとく外してしまっているのが現状だ。
シュートが枠に飛ばなかったり、1対1の駆け引きでGKに負けてしまうことが多い。
シュートのためのキックとパスのためのキックは全く異なるが、トラオレはまだパス用のキックしか習得していない印象。パワーが足りないのだ。
パワーがないのであれば確実にGKとの駆け引きを制して出し抜く必要がある。経験を積みつつ改善していくべきポイントだろう。
「本家」香川真司はセレッソ大阪でも、ドルトムントでも得点を量産していた。それと比べると、トラオレはまだまだ決定力が不足しているといえるだろう。
点も取れるトップ下になれば、より相手の脅威になることは間違いない。
これは裏抜けを習得してプレーの幅を広げたために見えてきた新たな課題であり、確実に成長している証拠としてポジティブにとらえていいだろう。今後の成長に期待だ。
守備面は要改善
また、守備面では全面的に改善が必要だろう。
どのタイミングで、どのコースを切りながらプレスを行うべきかの判断が身についておらず、集中力がプツプツと切れることも多い。反応していればボールを奪えたような場面でも、相手にボールが渡ってから慌てたようにプレスを始めるような場面も見受けられる。
また走力が十分ではないため、サイドハーフで起用された試合ではプレスバックが遅く、守備に参加しない場面もしばしばである。現状ではトラオレをサイドで起用する場合、守備時に大きなリスクが伴うといえる。
このように、トラオレはまだチームの守備ブロックの一員としてふるまう戦術的な理解度・守備技術が不足している印象だ。現代サッカーでは必須項目であるだけに改善が求められる。
とはいえ、これは比較的改善が容易なポイントでもあるので、そこまで心配は必要ないだろう。メッシレベルのテクニックはトレーニングで身につくものではないが、守備に関してはそのような類ではない。トレーニングすればたいていはできるようになるものだ。
経験を積んでいくにつれて身についていくのではないか。
あとがき
昨年の夏にサラゴサを退団して以来無所属が続いている香川真司。マンチェスター・ユナイテッド移籍が失敗して以来キャリアが頓挫してしまった印象はぬぐえない。
香川のプレースタイルでは体のキレが命。結局マンチェスター・ユナイテッドでの左ひざの負傷以来細かいけがを繰り返し、最盛期のキレが戻ることはなかった。
現在はギリシャ入りが確定的と報道されているが、5大リーグで活躍する姿がもっと見たかったものだ。
トラオレからは香川と同じ雰囲気を感じるだけに、そうなってほしくはない。
まだまだ欠点も少なくないが、彼はまだ20歳。成長のために残された時間はたっぷりある。今後の成長次第ではビッグクラブで主力として活躍してもおかしくない。それほどの可能性を感じさせるタレントだ。
「本家」香川が成し遂げられなかった夢をトラオレが実現できるか。そんな視点で見てしまう選手である。
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