【アタランタの英雄、セビージャへ】アレハンドロ・”パプ”・ゴメスのプレースタイルを徹底解剖!

【アタランタの英雄、セビージャへ】アレハンドロ・”パプ”・ゴメスのプレースタイルを徹底解剖!

2021年1月24日 7 投稿者: マツシタ
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なぜゴメスはアタランタを追われるのか

アタランタの英雄のあまりにも悲劇的な別れが近づいている。

ことの発端は昨年12月1日に行われたCLグループリーグ第5節のミッティラン戦。ガスペリーニ監督はゴメスにポジションの変更を指示するもののこれを拒否、ここから口論に発展したのだ。

おそらく、ガスペリーニ監督はゴメスを完全に切るつもりはなかった。事実、ガスペリーニ監督は大一番となった12月16日ユベントス戦でゴメスをベンチ入りさせ、途中から起用。ゴメスもこれに応え、チームは1点差を追い付くことに成功したのだ。

ここぞという場面でガスペリーニはゴメスに頼った。彼への信頼がよくわかる試合だった。

しかし、そのユベントス戦後に事態は急変する。ゴメスが試合前に敵地アリアンツ・スタジアムに流れるユーベ礼賛の曲を陽気に口ずさむ姿がテレビに抜かれたのだ。

これから戦う宿敵の応援歌を口ずさむなど言語道断。ゴメスはガスペリーニ監督の信頼を踏みにじってしまったのだ。

これにはガスペリーニはじめクラブ首脳陣も激怒し、ファンは言葉を失った。かくしてゴメスはアタランタでの立場を失ったのである。

あまりにも悲劇的だ。なにせ、アタランタが地方の小クラブからCLでベスト8に入るイタリア屈指の強豪に成長できたのはゴメスあってのことだからだ。ゴメスはホームタウン・ベルガモの英雄なのだ。喧嘩別れなどとてもゴメスにふさわしい終わり方ではない。

とはいえ、こうなってしまった以上もう戻れない。ゴメスは新天地に移ることになるだろう。

前述したように、ゴメスはアタランタを押し上げたビッグタレント。個人的にはロナウドやイブラヒモビッチと並んでセリエで3本の指に入るプレイヤーだと思っている。

今回はそんなゴメスのプレースタイルについて、何がすごいのか、移籍先で懸念されることは何かについて徹底的に掘り下げて行こうと思う。

 

 

 

ゴメスのプレースタイル

 

正確なキックと強烈なミドルシュート

ゴメスの最大の武器が正確なキックだ。

直線的なプレーヤーが多いアタランタにおいて、変化をつけられるゴメスの存在は貴重。グラウンダーでのスルーパスや浮き球のふわっとしたパスを使い分けながら攻撃陣を操る。セットプレーのキッカーとしても優秀だ。

しかし、何よりも相手の脅威となるのがミドルシュートだ。165cmと小柄なゴメスだがキックにはパンチがあり、キーパーを撃ち抜くような強烈なシュートを武器とする。もちろん精度も高く、直近5シーズンで49得点を挙げている。

利き足でない左でも精度が落ちないところも相手からしたら厄介だろう。

 

 

 

置き所のよさ

先ほど述べたように、ゴメスは身長が165cmしかない小柄な選手だ。しかし、彼は滅多にボールを失わない。

秘密はボールを隠す技術の高さだ。ボールと相手の間に自分の体を入れ、ボールを相手の足が届かない場所に置く。こうなってしまえば相手はどうしようもない。

そうしてボールを隠した状態からギュンと一気に加速し相手を置き去りにする。小柄で特別スピードもないゴメスがボールキープに優れ、相手をかわせるのは常に相手の位置から計算し、ボールを遠い場所に置いているからだ。

 

 

 

低めの位置で司令塔的にふるまう

アタランタでのゴメスは3-4-2-1の左シャドーで起用されてきた。

しかし、これはあくまでもベースポジション。ビルドアップの局面ではゴメスは中盤の底にまで降りてくる。

ゴメス以外の選手たちは大きな円を描くようなポジションをとる。ゴメスはいわばその円の中心だ。

これはゴメスに最大限の自由を与えるための戦術である。中央の広大なスペースをゴメスに与え、自由に振る舞わせるのだ。

ただし、このポジションをこなすには相当なテクニックが必要だ。なにせボールを失ったら中央はスカスカなのだ。すぐさま決定機を与えてしまう。

だが、ゴメスはプレッシャーを受けても相手を背負い、かわし、展開できる。絶対にボールを失わないテクニックを持つゴメスにしかできない「ゴメスロール」だ。

事実、ゴメスなき後のアタランタは円の中心ではなく円の外周をたどるようにしてビルドアップするように変化した。ゴメスの代役はいないのである。

 

 

 

崩しでも違いを見せる

ゴメスは前線に展開したあとはペナルティエリア手前のスペースに陣取り、ボールを持てば得意のミドルシュートもしくはスルーパスを供給する。

アタランタはゴール前に多くの選手が殺到して相手をペナルティエリア内に押し込むため、このスペースはぽっかり空くことが多い。

視野が広いゴメスは動き出す味方を見逃さない。もちろんそこに正確に合わせる技術も正確無比だ。背後もよく把握しており、ヒールパスも得意とするところだ。

このように、ゴメスは組み立て・崩しの両局面において中心的な役割を果たした。攻撃の全権を握っているという意味がおわかりいただけたのではないだろうか。

 

 

守備での貢献度も高い

ゴメスの攻撃センスについてはよくわかっていただけたかと思う。それでは、守備はどうか。

多くのスター選手は攻撃で多大な貢献を見せる反面、守備での貢献度は低くなりがちだ。しかし、ゴメスは例外だ。献身的に守備に参加するし、守備技術も高い。相手とボールの距離が離れた一瞬、ゴメスはその小さな体を相手とボールの間にねじ込み、クリーンにボールを奪う。アタッカーとしての守備技術は高いと言える。

それもそのはず、アタランタの守備は基本的にマンツーマン。自分の担当になった相手に自由にやらせないことが鉄則だ。そうでなければ、すべての基準がズレてしまう。もしここにロナウドがいればアタランタのサッカーは成立しないだろう。

「守るスター」ゴメスだからこそうまく回るのだ。攻撃面で圧倒的な貢献を果たしながら、守備にも献身的。アタランタのスタイルを体現した選手だと言えるだろう。それと同時に、攻守両面で穴らしい穴がないゴメスはセリエA屈指のタレントなのだ。

 

 

移籍先で懸念されること

ここまで読んでもらえれば、ゴメスがいかに素晴らしいタレントであるかがわかるだろう。だが、移籍先でも必ず活躍できるかと言われれば、疑問に感じる部分もある。

ゴメスは7年間アタランタで過ごしており、母国アルゼンチン以外ではほとんどをイタリアで過ごしてきた。国外挑戦が有力となっているが、適応力には疑問が残る。事実、1シーズンだけウクライナでプレーしたものの、すぐにイタリアに戻っている。

また、新天地のチーム戦術にフィットできるかどうかも不安だ。

ゴメスはアタランタで完全なる自由を与えられ、攻撃の全権を握っていた。ゴメスをシャドーに置いたのは守備の負担を減らすため。ビルドアップ時の円形の配置はゴメスに自由に使えるスペースを最大限与えるため。アタランタの戦術はゴメスのためにデザインされていたと言っていい。だからこそ持てる能力を存分に発揮できた側面があるのは間違いない。

ゴメスが右サイドへの移動を指示されたことが今回の騒動の発端となったことは前述した通り。守備には献身的な反面、ゴメスはこと攻撃に関しては自由を奪われることを極端に嫌う。

しかし、新天地ではアタランタのような王様待遇では扱ってもらえないだろう。チームの一員としてプレーすることが求められるはずだ。どのチームも骨格がある程度できあがっている冬の移籍ならなおさらだろう。

チーム戦術という縛りがある中で持ち味を発揮できるのか、新たなチームでゼロから立場を作っていくというプロセスをこなせるか、一抹の不安は残る。

 

 

 

あとがき

当初はミラノ勢やユーベなど、イタリア国内の強豪への移籍が噂されていたものの、ここにきてヘルタ・ベルリンやセビージャといった国外のクラブがオファーを出していると報じられている。ポールポジションにいるのはセビージャのようだ。

ゴメスにとってもアタランタにとっても悲劇的な結末になってしまった。しかし、前を向いて進むしかない。

アタランタはゴメスが離脱してから無敗を継続。首位ミランにも完勝し、ショックを乗り越えた、いや以前よりも強くなったと言える。

ゴメスはどうだろう。新天地でも輝けるか。今後の活躍ぶりに注目だ。

 

 

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