地政学とは何か?についてまとめたら、必須な理由が見えてきた【地政学講義】

地政学とは何か?についてまとめたら、必須な理由が見えてきた【地政学講義】

2021年1月2日 2 投稿者: マツシタ
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最近「地政学」という言葉を聞く機会が多くなってきた。ニュースを見ていても普通に「地政学的に~」なんて言っていたりする。

でも、いきなりそんなこと言われたってわからない。学校で習った覚えは一切ないのに、いきなり共通認識みたいに使われても困る。

しかし、どうやらそんなことも言っていられないくらい大切な知識のようだ、この地政学とやらは。

地政学とはいったいどのような学問なのか。なぜ誰も教えてくれないのか。そして、なぜそんなに重要なのか。

今回は地政学という学問の基礎の基礎について掘り下げ、みなさんを地政学の旅へといざなう入り口としたい。

 

 

「地政学」をひとことでまとめると?

近年数多くの地政学に関する書籍が出版されている。その本に10冊ほど目を通したところ、地政学は次のように定義されるらしい。

  • 地政学とは、地理的な条件から国際社会での行動・戦略や国家間の関係を考える学問

何やら難しそうな言葉だ。でも、「国際的な行動や戦略」というのは「国際政治」といいかえることができるだろう。「国家間の関係」もしかりだ。

すなわち、もっと簡単にするとこうなる。

  • 地政学とは、理的な条件から国際治を読み解く

つまるところ、地政学とは国際情勢を読み解くことなのだ。グローバル化が急速に進展していくなかで、国際情勢を知ることはどんな人にとっても重要だ。だから地政学が必須になってきている。これだけのことなのだ。

 

 

なぜ地理的条件に注目するのか

それでは、なぜ地理的な条件が大切になってくるのか。それは地理的な条件は不変だからである。

アメリカの大統領がトランプからバイデンになるのに合わせてアメリカが日本のすぐそこに移動してくることはあり得ない。北朝鮮のミサイルが怖いからといって朝鮮半島を大西洋に吹き飛ばすことはできない。地理的な条件は常に変わらないし、国際政治は常に地理的な考えに縛られる。

つまりどういうことかというと、地理的な観点に着目すればその国のリーダーが誰かに関わらずその国が本来的に持っている性質を読み解くことができるということだ。

このことは、先行き不透明な現代社会において将来を予測するのに大いに役立つだろう。

 

 

なぜ地政学は避けられてきたのか

地政学の有用性は理解してもらえたと思う。でも、なんでそんな大切な考え方をだれも教えてくれないのだろう。日本では、小中高はおろか大学でも地政学を専門的に学べる場所なんてほとんどない。これは一体どういうことなのだろう。

実は、第二次大戦以前には日本でもさかんに地政学が研究されていた。その流れから大戦中には一種のブームのようになっていたようだ。

しかし、日本は戦争に負けた。そして、戦勝国であるアメリカが日本での地政学の研究を禁じたのである。

実は、地政学はドイツにおいて戦争の根拠として用いられていた。そのため、地政学は「悪魔の理論」としてタブー視され、避けられてきたのだ。だから、日本とドイツは地政学の研究が遅れてしまっている。

しかし、世界のリーダーたちはそろって地政学的な視点から国際社会での戦略を考えている。いまや国際社会は地政学で動いているといっても過言ではない。

だからこそ地政学を知れば国際社会を読み解けるのだ。

 

 

地政学はなぜ必要か

歴史学には2種類の歴史観がある。理想主義とリアリズムだ。

理想主義とは、世界史を正義の実現ととらえる歴史観だ。実は、日本で教えられる世界史は理想主義に立っている。今の教育は戦後にGHQによって作られたからだ。

彼らはアメリカの勝利を正義の実現だと教えた。そうすることで自らを正当化するとともに日本に罪悪感を植え付けて弱体化させ、日本人の目を世界からそらしていった。

しかし、世界はリアリズムで動いている。リアリズムとは歴史に正義も悪も無く、各国はただ生存競争を続けているだけだととらえる歴史観だ。

世界史が正義の実現なら、トランプがイラン核合意から離脱したことは正義なのだろうか。途上国が二酸化炭素排出量の削減に協力しないことは正義だといえるのだろうか。

世界は正義では動かない。世界は生存競争を繰り返しているだけなのだ。

このギャップが日本人が地政学を、世界情勢を読み解けない原因だと思う。地政学はリアリズムだからだ。変えることができない地理的条件を受け入れ、軸に据えるという態度自体がリアリズム(現実主義)そのものだ。

今思えば、GHQが理想主義的な歴史観を日本に植え付け地政学を禁じたのは、日本人が国際社会から目をそらし、また読めなくすることによって日本を弱体化させるためだったのではないだろうか。

現代に生きる日本人はまず学校で習う理想主義的な歴史観を捨てなければならない。世界がリアリズムで動いているということを知り、受け止めなければならないだろう。

そのために役立つのが地政学なのだ。地政学を操れるようになれば、きれいごとをそぎ落とした各国の本音が見え、国際情勢を読み解き予測することができるようになるだろう。

 

 

地政学のおもしろさ

地政学は地理的な条件に重点を置くと書いた。

地理的条件といってもその内容は多岐にわたる。このことは高校の地理の教科書の目次を見てみるとよくわかる。「地形」はその一部にすぎず、農業や工業にエネルギー資源、人口に貿易、民族・文化まで、かなり幅広い範囲を占めるのだ。

地政学ではこうした地理的条件に軸を置きつつ、歴史学や軍事学の視点もあわせて考える。つまり、地政学は「社会科」をすべて組み合わせた総合的な学問だといえる。

こういうとむずかしそうに感じるかもしれない。でも、これはひっくり返して考えてみると、いままで学んできた社会科の知識が実際に生かされるということだ。

何の役に立つかもわからず暗記してきた歴史用語や地理用語。それらの多くは、結局われわれの予想通り役に立っていないだろう。それらの知識を生かす場面が、地政学によって登場するのである。

いままで何の意味も持たなかった知識がパズルのピースとなって、それらを組み合わせていくことで国際社会の動きが見えてくる。これが地政学のおもしろさだと思う。

どうせ学ぶのなら楽しみながらやっていったほうがいい。この記事を読んだあなたが地政学を面白いと思ってくれたら、これ以上ない喜びだ。

 

 

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