
【久保の新天地?】ヘタフェってどんなチーム?久保に求められる役割は?
ビジャレアルで出番を失っている久保建英に、移籍のうわさが絶えなくなっている。
その新天地の最有力候補として名前が挙がっているのが現在14位のヘタフェである。
今回は、そのヘタフェがどのようなサッカーをするのか、久保が加入したらどのようなプレーが求められるのかについて分析し、久保のヘタフェ移籍の是非について考察していこうと思う。
ヘタフェの基本戦術
ヘタフェのフォーメーションは4-4-2。このブロックを維持したまま10人全員がボールよりも後方に引いてブロックを形成する様子は、昨シーズンまでのアトレティコを彷彿とさせる。
この4-4-2のブロックによる強固な守備がヘタフェのベースで、特に中盤の選手にはテクニックよりも守備力やハードワークが求められる。
この要求に応えられなかった柴崎が出場機会を失っていったことを覚えている日本人ファンも少なくないのではないだろうか。ヘタフェの監督は柴崎を冷遇したころと同じボルダラス監督だ。
4-4-2でブロックを形成して待ち構え、ボールを奪ったらカウンターに転じる。これがヘタフェの基本的な戦術だ。
それゆえ相手にボールを持たれる展開が多く、13節セビージャ戦では支配率がわずか25%だった。ここまでのシーズン平均支配率は44.5%だ。
攻撃に転じればボランチの一方が両CBの間に降りて最終ラインを3バックに可変し3-3-4もしくは3-4-3のような形になる。
攻撃は左サイドが中心で、ククレジャが中に入って外からオリベラが上がる。ここに自由に動き回るハイメ・マタが絡んで崩していく。
サイドにボールを運んでからはクロスボールを上げてフィニッシュを狙う。崩し切らなくてもシンプルにゴール前に放り込む場面も多い。
マクシモビッチは189cmの長身ボランチで、彼がクロスが上がってくるタイミングでゴール前に入っていって厚みをつけている。
ヘタフェの戦術をまとめると、
- 4-4-2の強固な守備ブロックが最大の持ち味。
- しっかり引いてブロックを形成し待ち構える。
- ボールを奪えばカウンターを狙う。攻守にハードワークが求められる。
- 相手を押し込んでからはシンプルなクロスボールからフィニッシュを狙う
といった感じだ。
久保に求められる役割は?
それでは、ここからは久保に求められる役割について考えていこう。
ヘタフェのサイドハーフに求められる役割は大きくふたつ。
ひとつは守備ブロックの一員として献身的に守備に参加すること。基本的には中央のパスコースを消し、外に追い出すことが原則(図1)。サイドにボールを出させたあとは、サイドバックとともにボールを挟み込むことが求められる(図2)。

図1

図2
この時にボールを逃がされないためにも、球際での激しさが求められるだろう。ここは柴崎がクリアできなかった課題だ。
求められるもうひとつの役割がカウンター時の攻撃参加。ロングスプリントで一気に前線に飛びだし、フィニッシュにまで持っていくことが求められる。
ヘタフェは守備のバランスを重視してカウンター時にサイドバックを上げない。そのため、両サイドハーフ+2トップの4人でカウンターを完結させなければならない。
足元でボールを要求することが多い久保だが、ヘタフェでそのような場面は多くないだろう。カウンターでスピードに乗った状態から素早く仕掛けてフィニッシュまで持っていくことが求められる。
久保はヘタフェに移籍すべきか?
さて、ここまで見てきた内容からするとヘタフェのスタイルが久保に合うとは考えにくい。
久保がビジャレアルで評価されなかった最大の理由が守備戦術の未熟さであり、その能力を最も重視しビジャレアル以上に要求のハードルが高いヘタフェで久保が評価されるとは考えづらい。
久保のライバルとなる右サイドの主力、アラン・ニョムは元々サイドバックの選手であり、守備力が持ち味の選手。この部分で久保が勝てる相手ではないだろう。これもまた不安材料だ。
そして、久保が最も得意とする足元でボールを受けてからの仕掛けを発揮する場面が少なくなりそうなのも懸念材料だ。遅攻よりもカウンターが多いヘタフェにおいて、久保がどれだけ活躍できるだろうか。
ロングスプリントを繰り返しながら、スピードに乗った状態で仕掛けていけるほどのアジリティは久保にないだけに心配だ。
だが、私はヘタフェへの移籍はありだと考えている。
久保がどういう選手かはヘタフェ側も理解しているはず。久保にはむしろ、今のチームに足りない攻撃力・仕掛けて崩す能力を求めているのではないだろうか。
というのも、ボルダラス監督率いるヘタフェは年々守備ブロックの位置を高くしていっている。柴崎が出番を失った17-18シーズンはべた引きだったが、今ではミドルゾーンにブロックを構えて高い位置からプレッシングを開始するようになっている。
そしてここ最近は4-3-3を採用する試合も見られるようになってきた。中盤を増やして支配力を高めようという試みだ。
ボルダラス監督は「私はクライフ主義だ」と語っており、チームを徐々に攻撃的にしていきたいのだろう。チームがひとつ上のステップに進むために、久保に白羽の矢が立った可能性がある。
さらに、先述のニョムは守備力に長ける反面、攻撃面では選択肢が少なく貢献度が高いとは言えない。ヘタフェの攻撃が左サイドに偏っているのは右サイドのクオリティ不足という側面もあるだろう。
ここに久保が入ればヘタフェの攻撃に新たな側面を与えられるに違いない。
自分と似たキャラクターがいないということはライバルがいないということ。久保には少なからず出場機会は与えられるのではないか。
最初は途中出場から流れを変えるジョーカー的な起用が多くなるだろう。そこから主力に成長できるかどうかは、久保が弱点を克服できるかどうかにかかっている。
逆に言えば、ボルダラス監督の要求に応えるために今の久保に足りない部分を成長させることができれば、選手として飛躍的に成長できることは間違いない。久保自身にとっても、ヘタフェでのチャレンジは成長への大きなチャンスになるのではないだろうか。
もちろん評価されずに出番を失う可能性もある。ここで大きく成長するか、挫折してキャリアを練り直すことになるのか。久保にとって自身のキャリアをかけた大きなチャレンジになるだろう。
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