
【新たなフェノーメノ】ラファエウ・レオンのプレースタイルを徹底解剖!
ポルトガルは育成大国だ。どんどん若い才能が現れる。
リバプール大ブレイクのジョッタをはじめ、ウルブスでそのジョッタが抜けた穴を埋めたペドロ・ネト、マンCで早くも最終ラインの要となっているルベン・ディアス、「ロナウドの後継者」ジョアン・フェリックス。そうそうたるメンバーだ。
そしてイタリアには、彼らと遜色ない、いやそれ以上かもしれない逸材がいる。
彼の名はラファエウ・レオン。セリエAで首位を走るミランで主軸を張る21歳だ。今シーズンついに本格ブレイクの予感が漂うレオンはいったいどのような選手なのか。徹底的に掘り下げていきたい。
目次
ラファエウ・レオンのプレースタイル
最適なポジションは左ウイングだろう
ラファエウ・レオンは本来最前線でプレーする選手だった。しかし、今のミランにはイブラヒモビッチという絶対エースが君臨する。そのため、レオンは左のウイングで起用されることが多くなっている。
正直、このポジションの方がレオンにあっていると思う。レオンは相手を背負ってプレーするのが得意ではない。身長は190cm近くあるものの線が細く、相手からのコンタクトを受けるとバランスを崩しやすい。加えて、長身であるにもかかわらずヘディングが得意ではない。
こうした特徴を見ていくと、レオンはセンターフォワードでは不得意なプレーを強要されてしまうことがわかる。守備時はしっかり引いて構えるミランの1トップにはなおさら相手と競り合って攻撃の基準点になることが求められる。こうしたプレーはレオンが得意とするところではない。
レオンは前向きにボールを受けてこそ活きる選手だ。詳細は後述するが、レオンの得意な形を作り出すには中央よりもプレッシャーが緩いサイドが向いている。ここで前向きにボールを向いて仕掛けさせることで、レオンの非凡な突破力が生きるのだ。
圧倒的な突破力で局面を打開
レオンは前を向いてこそ生きる選手だと書いた。そう、レオンの最大の武器は類希な突破力なのだ。
レオンは圧倒的なスピードを持っている。特に加速力は全サッカー選手の中でもトップを争いうるレベルだ。
レオンが多用するのが右足でひとつまたいで直後に左足でボールを大きく蹴り出し、驚異的な加速力で一気に相手を置き去りにするプレー。正直、オープンスペースでこのプレーをされたら止められる選手はいないだろう。それくらいレオンのドリブルは鋭い。

対峙したカルスドルプを翻弄し2アシストを記録したローマ戦が今季のハイライト。
ミランがカウンターを志向していることもレオンとの相性がいい。広大なスペースを得やすいからだ。こ宇したスペースで前を向かれると、もうレオンの独壇場だ。
レオンの縦突破はミランの大きな武器になっていて、縦にえぐってからのクロスでアシストを量産している。対峙するサイドバックにとっては悪夢だろう。
フィジカルと身体能力が融合する
レオンの天性のフィジカル能力は走力だけにとどまらない。レオンは非常にしなやかで、多少無理な体勢からでもバランスを崩さない。中途半端な場所にあるイーブンボールも、ほとんどマイボールにできてしまう。
コンタクトには弱いものの、そもそも相手に「触れさせない」ことで弱点を覆い隠している。それが実現できる身のこなしのしなやかさは一級品だ。
さらに、レオンはフィジカルだけの選手ではない。足元のテクニックレベルは非常に高く、ヒールを使った技巧的なパス、相手の虚をつくテクニカルなドリブルもお手の物。相手の重心の逆を突いたターンも見事だ。
フィジカルとテクニックが高次元で融合しているレオン。持っている才能は超一流と見て間違いない。
ラファエウ・レオンの弱点
ここまで見てきたように、才能で見れば間違いなく超ワールドクラスのレオン。しかしながら、まだ才能に見合った名声は得られていない。事実、まだまだ改善すべき点も多い。ここからはレオンの弱点についてみていく。
守備時の貢献度が低い
まず、レオンは非常に守備意識が低い選手だ。守備時にゆっくりとジョギングしていることも少なくない。
まずは意識改革から行うべきだろう。現代サッカーにおいて全選手の守備参加は必須だ。せめて自分のポジションに素早く戻るくらいの意識は必要だ。
さらに、守備ブロックの一員として機能する戦術理解力もまだまだ不足している。自分は誰をマークすべきなのか、どのコースを消すべきなのかの判断力が低い。
試合中、ボールが動くたびにどの判断が正しいのかは変わる。だから、常に注意を怠らずに判断し続けなければならない。
レオンは最初は正しい位置取りができていても、ボールが動くのに気を取られてマークすべき相手をフリーにしてしまう場面が多い。結果としてレオンのところから前進を許す場面は試合中に何度も見られる。改善が必要だ。
しかしながら、こうした部分は才能は関係なく、練習から真剣に取り組めば必ず改善できる。成長の余地があるはずだ。
精神面での成熟が必要
そうした意味でも、精神面の成熟はレオンがもうひとつ上のレベルへ行くために不可欠だ。
レオンは攻守の切り替えが遅い。自分がボールを失ったにもかかわらず、奪い返そうとしない場面も多い。悔しがる気持ちはわかるが、チームのために献身的に守備に参加しようとするメンタリティーを持つ必要がある。
さらに、試合によって好不調の波があり、1試合の中で見ても消える時間帯があるのもここ数年来の課題。これもやはりメンタル面の問題である。
もっとも、この部分は今シーズンになって改善されつつあり、どの試合でもハイパフォーマンスを見せるようになりつつある。このままシーズン通して安定したプレーができれば自信につながり、メンタル面での成長につながるのではないだろうか。
あとがき
下馬評を覆してここまで首位を走るミラン。各選手の特性がかみ合う戦術を見出し、選手の能力を最大限引き出している。ラファエウ・レオンもその恩恵を受けている一人で、左サイドアタッカーに固定されたことでその才能が安定して発揮できるようになってきた。
フェノーメノ級の才能を持つラファエウ・レオン。その才能を十分に発揮できれば、世界を代表するプレイヤーになれると私は確信している。
一方で改善すべき点もある。世界的な名手になるためにはメンタリティーが特に重要だ。
ネイマールを見ていればよくわかる。彼も持っている才能はピカイチだが、精神的に成熟することができずメッシとロナウドを超えられていない。
レオンにはここを克服し、世界的な名手になってもらいたい。
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