【サッスオーロのバンディエラ】ドメニコ・ベラルディのプレースタイルを徹底解剖!

【サッスオーロのバンディエラ】ドメニコ・ベラルディのプレースタイルを徹底解剖!

2020年12月21日 5 投稿者: マツシタ
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今シーズン、サッスオーロが躍進している。緑と黒という特徴的なチームカラーのプロビンチャは、戦前の予想に反して常にヨーロッパカップ戦出場圏内で奮闘。一時は首位に立った。

戦術的にも先進的で、細かいパスをつないでゲームを組み立てていく攻撃的なサッカーで注目を集めている。

今シーズンこそ躍進しているものの、サッスオーロはつい7年前に初昇格した新興勢力といえるチームだ。そのサッスオーロが2部にいたときから緑と黒一筋の選手がいる。ドメニコ・ベラルディだ。

 

ユベントスが保有権を持っていたこともあったが、結局ロッソネロのユニフォームに袖を通すことはなく、今年でサッスオーロでのプロ生活は9年目を迎える。近年はなかなか見られなくなったワン・クラブ・マン、いわゆるバンディエラである。

20代前半の頃、活躍するベラルディには常にビッグクラブからの関心がささやかれた。しかしながら、それでもクラブへの忠誠を誓い続け、現在26歳。一時は伸び悩んだものの昨シーズンは14ゴール10アシストと爆発、今シーズンもここまで14ゴール5アシスト。いよいよ熟成期に入りつつある。

サッスオーロ一筋を貫くクラブの象徴でもある彼はいったいどのようなプレーを見せるのか。

今回はドメニコ・ベラルディのプレースタイルについて徹底的に解説していこうと思う。

 




 

ベラルディのプレースタイル

 

右サイドからカットインしつつトップ下的にふるまう

ベラルディの基本ポジションは右サイドだ。ここから、利き足の左足でカットインしていきつつプレーを選択していく、いわばトップ下的なプレーヤーだ。

下は今シーズンのベラルディのヒートマップだ。右サイドを起点としつつ敵陣では中央に侵入してバイタルエリアでプレーしているのがわかるだろう。

 

ベラルディの最大の武器はキック精度の高さだ。特に左足からは非常に正確なパスとシュートを繰り出す。

あまりスピードがないベラルディは何度も切り返しながらひらひらと相手を翻弄しつつ、決定的なパスを通すタイミングをうかがう。時には浮き球も駆使しながら、裏へ抜け出す味方の足元へ正確なパスを届けてアシストを量産するのだ。

  • 1試合平均キーパス数 2.0(チーム内トップ)

という数字を見ても彼が多くのチャンスを作り出していることがわかる。

味方もいいパスが出てくることがわかっているので、ベラルディがボールを持って前を向いたら裏へ抜け出すという原則が徹底されている。どんどん裏へ飛び出してボールを呼び込もうとしている印象だ。

ベラルディがボールを持てばサッスオーロにチャンスが訪れる。それくらいにベラルディはチーム内で絶対的な選手だ。

 




 

得点能力はウインガーの中でも随一

ベラルディはアシストだけでなくゴールでも数字を残すプレーヤーだ。昨シーズンは14ゴールを記録し、今シーズンはすでにその数字に並んでいる。

さらに、2020年11月の代表ウィークではネーションズリーグの2試合でともに得点を挙げた。イタリア人ウインガーの中では随一の得点能力を持っているといえるだろう。

 

シュートに関するデータを見てみると、

  • 1試合平均シュート数 3.6
  • シュート総数 81

という数字はいずれもセリエA全体で8番目に多い数字。非常に積極的にシュートを打っていることがわかる。しかしながら、ベラルディが得点を奪えるのは単にシュートの数が多いことだけが理由ではない。

アシストの時と同様、キック精度の高さがベラルディの得点力を支えていることは言うまでもない。特にファーサイドに巻いて決めるシュートはお決まりのパターンだ。

 

さらに、足の振りが非常に速いことも彼に魅力。カットインしていったベラルディはボールをちょんと左にずらして間髪入れずにシュートを打ち込む。このタッチからシュートを打つまでがとにかく速い。これにより、ボールを数個分ずらすことで生まれる一瞬のシュートコースを通すことができるのだ。

そして、左サイドにボールがあるときにタイミングよくゴール前に入ってこれるのもベラルディが得点を奪える理由だ。逆サイドでボールが循環しているとき、ベラルディはここぞのタイミングでバイタルエリアに侵入する。そして、得意の左足を振りぬくのだ。ここに入ってくるタイミングの感覚もまたベラルディがゴールを奪える要因である。

 

このように、カットインからのシュート、バイタルエリアからのシュートが多いベラルディ。共通しているのはペナルティエリア外からのシュートが多いことだ。

  • 平均シュート距離 20.8m

となっていて、ペナルティエリア幅の16.5mよりも4m以上離れていることがわかる。ベラルディのシュートの多くはミドルシュートなのだ。

それにもかかわらず14ゴールを挙げているのは驚異的で、

  • ゴール期待値 9.4
  • 実際のゴール数とゴール期待値の乖離 3.6(セリエA8位)

というデータを見ても、ベラルディが難易度の高いゴールを多く決めていることがわかるのではないだろうか。

このようにみていくと、ベラルディのゴールの多さは単純にシュート数が多いからだけではないことがわかる。遠距離からでも正確にゴールの四隅を射抜けるシュート精度の高さがベラルディのゴール量産を支えているのだ。

 




 

ベラルディの弱点

ベラルディの弱点としては、単独でのドリブル突破力が低いことが挙げられるだろう。スピードがなく、またフィジカルコンタクトに長けたタイプでもないベラルディは狭いスペースで複数の相手をかわしていけるような突破力はない。

逆サイドのボガと比較してみればその差は明白で、

〈ドメニコ・ベラルディ〉

  • 地上戦勝率 46%
  • ドリブル成功率 50%
  • 1試合平均ドリブル成功数 1.0(チーム内5位)

ジェレミー・ボガ

  • 地上戦勝率 55%
  • ドリブル成功率 59%
  • 1試合平均ドリブル成功数 3.3(セリエA2位)

となっていて、ドリブルでは明確にボガに軍配が上がる。

ただ、そもそもベラルディはそこで勝負する選手ではない。単独での局面打開は逆サイドにいるジェレミー・ボガの役割で、ベラルディにはサイドから中央に絞ってきて、偽トップ下として高精度のミドルシュートやパスで攻撃をフィニッシュさせることが求められている。そして、そのクオリティではリーグでもトップクラスであることはここまで見てきた通りだ。

 

さらに、

  • 突破をともなわないドリブルによる持ち運びの成功数 187(セリエA9位)

と、運ぶドリブルに関してはリーグでもトップクラスの数字を記録している。

これにはサッスオーロの戦術が関係している。サッスオーロは左サイドを起点にビルドアップしつつ、タイミングを見て逆サイドのベラルディへサイドチェンジのボールを入れるという戦術をとっている。こうして比較的広めのスペースを享受したベラルディは前方へドリブルへ持ち運び、崩しの局面へ向かうというのがサッスオーロの一連の攻撃の流れになっている。

 

サイドチェンジのパスを受け、ボールを数十メートル持ち運んだあと、ベラルディはいったんパスを散らしつつ危険なスペースに侵入し、決定的なパスやゴールを生み出す。ベラルディは使い使われる関係性の中で生きるプレイヤーなのだ。

 




 

あとがき

2年ほどの停滞期を経て、昨シーズンついに覚醒したベラルディ。彼の活躍と比例するかのようにサッスオーロもまたリーグ内で躍進した。特に中断明けからは12試合でわずか2敗と圧巻のパフォーマンスだった。

その勢いを持ち込むことに成功した今シーズン、チームはここまで12試合でわずか1敗。上位戦線をかき回す台風の目となっている。

昨シーズンの勢いをそのまま持ち込んだのはベラルディも同じだ。ベラルディとサッスオーロは常にともにある。クラブ史上初のチャンピオンズリーグ出場権獲得は、ベラルディにとっても悲願だろう。今シーズンはその悲願を達成する絶好のチャンスに見える。

サッスオーロの、そしてベラルディの勢いはどこまで続くのか。注目してみていく必要がありそうだ。

 

 

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