【セリエのドリブルキング】ジェレミー・ボガのプレースタイルを徹底解剖!

【セリエのドリブルキング】ジェレミー・ボガのプレースタイルを徹底解剖!

2020年11月25日 4 投稿者: マツシタ
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コートジボワールのドリブラーと言えば、ウィルフリード・ザハの名がまず上がるだろう。いわずと知れたプレミア最強ドリブラーで、2019年のドリブル成功数はメッシやアザール、ネイマールなどの名だたるドリブラーを抑えて5大リーグトップ。

すでに何年も前からビッグクラブへの移籍が撮り沙汰されていながらクリスタルパレスにとどまり続けているザハだが、その名前を知らないサッカーファンは少ないのではないだろうか。

それでは、昨年ザハの次にドリブルを成功させたのは、やはりメッシなのだろうか。いや、違う。メッシは第3位だ。メッシを超えた選手はもう一人いたのだ。

彼の名はジェレミー・ボガ。ザハと同じコートジボワール代表で、ザハと同じ左サイドアタッカーだ。

同胞の先輩とキャラが丸被りなボガだが、そのプレースタイルはザハとは違う。ボガに近いのはザハではなくむしろメッシの方だ。

ひとことで言えば「コートジボワールのメッシ」ともいえるボガ。そのプレースタイルを掘り下げていこうと思う。




ボガのプレースタイル

 

タッチの細かさがメッシ級

ボガの最大の武器がドリブルであることは述べた通り。それでは、ボガのドリブルはなぜそこまで高い成功数を誇るのだろうか。その秘訣は、ドリブルするときのタッチの細かさにある。

ボガはボールを常に触れる位置に置いている。そのため、相手が足を出してボールを奪おうとしてきてもすぐさまボールを逃がしてしまう。だから、簡単には失わないのだ。この特徴はメッシのドリブルと全く同じだ。

さらに特筆すべきなのは、トップスピードでもボールタッチが全く乱れない点だ。ボガは右足を前に運ぶたびにボールに触れる。自然に走るときと変わらないモーションでドリブルすることができるのだ。このような高速ドリブルはメッシ以外だとボガしか持っていないのではないだろうか。

そのうえボガはボールの置き所がいい。常に相手とボールとの間に自分の体を持ってきて、ボールを隠すようにして運んでいくため相手は飛び込むことすらできないのだ。




緩急の使い方がうまい

ボガには爆発的というほどのスピードはない。それでも、相手をするするとかわしていくことができる。なぜなのか。それは、緩急の使い方がうまいからだ。

一瞬ふっとスピードを落とすことで相手の足を止める。次の瞬間、一気にトップギアに切り替えて瞬間的に相手を抜き去るのだ。一度足を止められた相手がボガについていくことはほぼ不可能に近い。

ボガは派手なフェイントや爆発的なスピードでぶっちぎるようなプレーは持っていない。それでも、相手から遠い位置に置いたボールに非常に細かく触ってするするとすり抜けていく。緩からの急で相手を出し抜く。2人に囲まれてもその間を割ってしまう。その様は、メッシと重なるのだ。

同胞のザハはボガほどタッチが細かくない。アフリカ人らしい伸びのあるステップと爆発的なスピード、超絶技巧を駆使したテクニカルなドリブルが武器だ。ボガとはスタイルが全く異なるのだ。

両者を見ていると、ザハは「魅せる」プレーをしながら相手をかわしていくのに対し、ボガのドリブルは究極まで効率化されているような印象を受ける。




左サイドからカットインしていくのが十八番

ドリブルのスタイルは正反対ともいえるザハとボガだが、右利きの左ウイングということは共通している。このタイプのプレイヤーは得てして右足でカットインしていく。ボガもこのスタイルを得意とするプレイヤーのひとりだ。

相手としては、ボガが内に切り込むことはわかり切っているはずだ。事実、ボガはボールを持って縦に突破していくことはあまりない。ほとんどの場合内に切り込んでいく。でも、止められないのだ。

その理由は前述した通り。先に足を出したら細かいタッチでかわされてしまう。かといって相手のアクションを待っていたら急加速で置き去りにされてしまう。はっきりいってひとりでボガを止めることは不可能に近いのだ。




理不尽なミドルシュート

ボガのドリブルの破壊力についてはよくわかってもらえたと思う。しかし、ボガはそれだけの選手ではない。昨シーズンは11ゴールを挙げており、得点力も一流だ。

最も得意とするのはカットインしていってフォアサイドに巻いて決めるミドルシュートだ。昨シーズンはいくつか理不尽なミドルシュートを決めている。そして、今シーズンの初ゴールとなったヴェローナ戦でのゴールも、右足でフォアサイドに巻いて決めた芸術的なミドルシュートだった。このフォアに巻くミドルシュートもまた、メッシが得意なプレーだ。

ミドルシュートのほかにも1対1の場面での決定力の高さがあり、クロスに飛び込んで合わせるようなパターンでも得点を奪える。昨季のユベントス戦では名手シュチェスニーをあざ笑うようなループシュートを決めるなど、冷静かつ意外性のあるプレーもできる。

このように、得点能力も非常に高く、仕掛けからフィニッシュを個人で完結させられるのがボガである。ここまでの完成度を誇っていながらまだ23歳。末恐ろしい選手だ。




ボガの弱点

 

ポジションは左サイド一択

すでに高い完成度を誇るボガだが、今後さらなる飛躍を遂げるうえで改善すべき弱点はあるだろうか。

正直、ほとんどないといっていい。サッスオーロでは素早い攻守の切り替えが徹底されていて、守備意識も高い。

あえて言うなら、こなせるポジションが左サイドアタッカー一択であることくらいだろうか。

すでに左サイドからのカットイン、そこからのミドルシュートというかたちが確立されているボガだが、いくつかのオプションを持つことは有効になりうるだろう。移籍先にすでに左ウインガーに絶対的な中心選手がいた場合、ボガがほかのポジションをこなすことで共存できる可能性がある。逆に、ここがアンタッチャブルだった場合にボガは不利な競争を強いられることになってしまうだろう。

また、左ウイングでプレーするにしても、縦に突破してからのクロスの精度が高まってアシストの数字も伸びてくれば、より決定的な仕事を連発できる選手になれる。プレーの選択肢が増えて悪いことはないだろう。いろいろなプレーができるようになれば、こなせるポジションの幅も広がってくるはずだ。

 




 

あとがき

10月に日本代表と対戦したコートジボワール戦で、対戦相手にボガはいなかった。新型コロナウイルスに感染してしまっていたのだ。この試合に出場していれば、きっとボガの名前は日本中に轟いていたことだろう。

もっとも、ヨーロッパではすでにそうなっている。今夏にはイタリア国内のビッグクラブやプレミアリーグへの移籍がさかんに報じられ、本人も前向きな発言を残していた。しかしながら、ボガがコロナウイルスに感染してしまった影響で交渉がストップしてしまい、今夏での移籍は実現しなかった。

このウイルス感染の影響もあって今シーズンは出遅れたボガだが、すでに出場4試合で1ゴール1アシストを記録している。

自身だけでなくサッスオーロも好調で、現在無敗の2位につけている。このままいけば、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ出場権を獲得できるかもしれない。

クラブの悲願を達成するためには、ボガの活躍が不可欠だろう。ボガの、そしてサッスオーロの動向に注目してみていきたい。

 

 

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