【奇跡を日常にする男】フェリペ・カイセドのプレースタイルを徹底解剖!

【奇跡を日常にする男】フェリペ・カイセドのプレースタイルを徹底解剖!

2020年11月10日 7 投稿者: マツシタ
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ラツィオにとんでもないストライカーがいる。

昨シーズン、後半アディショナルタイムでのゴールが3つ。うち2つは決勝点で、カリアリ戦で決めたものはラストプレーだった。決勝点ではなかったもうひとつの得点にしろ、ユベントスとの1位2位直接対決で勝利を決定づけた3点目で、重要なゴールだったことに変わりはない。さらに言えば、これもラストプレーだった。

今シーズンに入ってその勢いはさらに増している。後半アディショナルタイムのラストプレーでのゴールがふたつ。ひとつは同点弾、もうひとつは逆転弾だ。さらに、CLゼニト戦では82分に同点弾。ここまででチームに勝ち点4つをもたらしている。さらにさらに、これはすべて11月最初の1週間でやってのけたことなのだから驚きだ。

ここまでシュート9本で4得点と異常なまでの決定力を発揮しているまさに「奇跡請負人」。昨シーズンは中断後にコレアの負傷離脱を受けて先発出場も多かったものの、むしろ途中出場からの方が活躍している。

ユベントス戦のロスタイム5分に劇的な同点ゴールを決めたカイセド。これまで何度チームを救ってきたかわからない。

彼の名はフェリペ・カイセド。32歳の元エクアドル代表だ。その勝負強さからにわかに注目が高まってきていて、日本では「#カイセドを信じろ」というハッシュタグまで登場している。

奇跡がもはや当たり前なくらいに奇跡を起こし続けているカイセドはしかし、後から出てきて点を取るだけの選手だけではない。得点力以外の能力も高い、極めて有能なストライカーだ

今回は、そんなカイセドのプレースタイルについて掘り下げていこうと思う。




カイセドのプレースタイル

 

多彩な得点パターン

カイセドの得点力が非常に高いことは前述の通りだ。では、なぜカイセドは得点を量産できるのか。それは、カイセドの得点パターンが非常に多彩だからだ。

裏に抜けだして1対1を冷静に流し込むだけでなく、中距離からのシュートにへディングシュート、こぼれ球へ反応して押し込むプレー、相手を背負いながら反転してシュートなど、ストライカーに必要なプレーはひととおりできてしまう

裏に抜けだしたあとの1対1では冷静にゴールキーパーをかわすことが多い。そのひとつ前の動き出しのタイミングも秀逸だ。

シュートは基本ファーサイドを狙うが、ゴールの正面付近からはニアハイを狙うことが多い。キーパーにとっては最も反応しづらいコースだ。

いわゆる「ごっつぁんゴール」は一見かんたんそうに見えるが、ボールがこぼれてくる場所にポジションどっていなければ決めることはできない。カイセドは相手DFよりも一歩先んじてボールに反応している場面が多い。長年の経験で培っていた嗅覚には確かなものがあるのだろう。




優れたフィジカル能力

カイセドは183cm・84kgの屈強な肉体を持っている。

このフィジカル能力も彼の武器だ。相手にコンタクトされてもバランスを崩すことは稀で、むしろ相手を弾き飛ばして進んでいくような力強さがある。

体に無理が効くことはフィニッシュの場面でも役立っている。相手を背負ってボールを受けたカイセドは、体をひねりながら反転ざまにシュートを打つプレーが得意だ。通常はシュートが飛んでこないタイミングでも体を反転させてシュートが打てるため、相手GKからすれば厄介だろう。

このプレーの典型が先日のユベントス戦の劇的同点弾だった。コレアのパスを受けたカイセドのトラップは、すこし足元から離れすぎたかに思われた。次の瞬間カイセドは振り向きざまに利き足ではない右足を振りぬいた。誰もそんなことができるなどとは思わなかっただろう。32歳になってもこのスピードで体を反転させられるのは只者ではない。

地上戦だけでなく空中戦でもそのフィジカル能力は発揮される。カイセドは驚異的な跳躍力を持っており、空中戦には非常に強い。また筋力を生かしたパワーのあるヘディングができる。

昨シーズンのカリアリ戦のロスタイム弾はカイセドの空中戦の強さがよくわかる衝撃のゴールだった。ぜひ動画で検索してみてみてほしい。




足元のテクニックにも優れている

黒人系らしい優れたフィジカルを持つカイセド。しかし、それだけが彼の持ち味ではない。足元のテクニックレベルも極めて高いのだ。

ラツィオの攻撃のパターンとして中央のエリアで細かいワンタッチパスを連続させて華麗に崩すようなプレーがある。このメカニズムの中でも全く問題なく機能できるほど足元のテクニックは高い。ダイレクトで狙ったところへきっちりと送り届けるプレーはそう簡単なことではない。

それだけでなく、ワンタッチプレーの連続の中でもフリーの見方やランニングしてくる見方を見逃さない視野の広さ、スペースの認知力も秀逸だ。

特にチームのエースであるインモービレとは馬が合うようで、スムーズなコンビネーションを構築できている。自ら得点を奪うだけでなく、味方を生かすプレーもできるのがカイセドという選手だ。




ポストプレーの精度も高い

カイセドの得意なプレーのひとつにポストプレーがある。フィジカルの強さとテクニックの高さが合わさり、精度は非常に高い

相手を背負っていてもまったくバランスを崩さないため、対峙するDFがインターセプトを決めることは困難。多少ボールが浮いていてもしっかり足元に止めることができるし、そのあとのパスもまた正確だ。

さらに、ポストプレーをすると見せかけて反転ざまにシュートを打つプレーも持っていることは前述の通りだ。

彼は前を向いていなくとも相手の脅威となるのだ。




カイセドの弱点

 

守備での貢献度は低下傾向?

それでは、カイセドの弱点についても見てみよう。

カイセドはもともと守備での貢献度も高い選手だ。自慢のフィジカルを生かして相手からボールを奪う。この献身性も彼の長所だ。

とはいえ、さすがに年齢的な衰えも見え始めていて、全盛期と比べれば守備でボールに絡む頻度は落ちている。これはすべての選手に訪れる宿命であり仕方のないことではあるのだが、ここをカイセドの弱点として挙げておきたい。

ただし、カイセドが守備ができない選手では決してないということは強調しておく。今でも守備に参加することはあるのだが、徐々に落ちてきているということだ。

 




 

フィニッシュの回数を増やせればもっと得点を量産できる

守備でプレーに絡む頻度が落ちていると言ったが、攻撃面でもプレーに絡む頻度は実は落ちてきている。

ここまでのカイセドは、シュート9本で4得点を奪っていることは前述の通り。これは逆に言えば出場8試合でシュート9本しか打てていないともとらえることができる。

途中出場が多く、しかも大半は相手がリードしていて守りを固めているという事情があるものの、フォワードとしてはもう少しシュートにつながるプレーを増やしたいところだ。

逆に言えばここは伸びしろであり、もっとシュートに絡めれば得点数が増加する可能性があるということだ。味方を生かすことができるのもカイセドの特徴であるとはいえ、ストライカーとしては自らのゴールが最上の喜びだろう。

32歳となったが、もう一花咲かせられるだけの能力があると思う。さらに得点数を伸ばすためにも、ここを改善点として挙げさせてもらいたい。

 




 

あとがき

昨シーズンは一時スクデット争いにも絡んだラツィオ。シモーネ・インザーギ監督が5年かけて作り上げてきたチームの完成度はリーグでも屈指だ。

しかし、今シーズンは負傷者とコロナウイルス陽性反応者が続出し、主力が次々と戦線離脱。一時はトップチームが12人しかおらず、ユース選手を大量に遠征メンバーに組み込まなければならないほど苦しい状況に陥った。

そんな中でも、チームは驚異的な粘りを見せている。CLでは敵地で苦しい戦いを強いられながら2つの引き分けをもぎとって前半3試合を負けなしでしのぎ、セリエAではトリノに対してカイセドの決勝ゴールを含むロスタイムでの2ゴールで逆転勝利。10連覇を狙う王者ユベントス相手にもカイセドのロスタイム弾で追いつき、しぶとく勝ち点をつかんでいる。

ラツィオは現在セリエAで9位に沈んでいるが、今シーズンのセリエAは大混戦の様相を呈しており首位ミランとの勝ち点差はまだ6。十分逆転できる位置にいる。ここに主力が戻ってくれば、ラツィオは再び息を吹き返すのではないだろうか。

シーズン終盤にCL出場権、あるいは優勝を争うとなった時に、あの時の粘りが、カイセドのゴールが効いてきたと振り返ることになるかもしれない。

5年間かけてチームを作り上げてきたインザーギ監督と、苦しいチームを救い続けるカイセド。この粘りがシーズン終盤になって効いてくるはずだ。

 

 

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