【ポストヒューマン】人類の進化は宇宙で起こる

【ポストヒューマン】人類の進化は宇宙で起こる

2020年10月17日 2 投稿者: マツシタ
Pocket

ダーウィンによると、生物は地球上に現れて以来進化を繰り返してきたという。微生物に始まって魚類が表れ、そこから生物は上陸し、恐竜の時代を経て現在は哺乳類が繁栄している。

人類の直接の祖先が表れたのは今から20万年前。かなり昔のことのようにおもえるが、生物が初めて地球に現れたのが40億年前であることを考えるとほんの最近に過ぎない。

地球的スケールで見れば新入りな私たちであるが、生物学の原則でいけば私たち人類もいずれは進化するということになる。人類の進化系はどのような姿なのだろう。考えても知る由もないが、今回はそんな「ポストヒューマン」の始まりについての興味深い仮説を紹介しようと思う。

 




 

火星移住計画から考えられるシナリオ

世界的に著名なイギリスの宇宙物理学者・天文学者のマーティン・リースは著書『On the Future』のなかで次のような仮説を述べている。

「ポスト・ヒューマン時代の先陣を切るのは、宇宙に旅立った冒険家たちであって、地球の生活に安穏に適応している人間ではない」

つまり、人類の進化は宇宙で起こるというのである。

最近は宇宙開発競争が激化しており、ロケットの打ち上げ成功などのニュースを頻繁に耳にするようになった。彼ら宇宙の開拓者たちが一様に目指しているのが火星である。

地球のおとなりに浮かぶこの星にはかつては水が存在したことはほぼ確実となっており、地球と同じような環境にあった可能性もある。そのため、地球からの移住先の第一候補となっているのだ。

アメリカのスペースX社CEOのイーロン・マスク氏は40から100年後には火星で100万人が自給自足で生活していけるようにするというかなり具体的な計画を発表している。宇宙空間は今後どんどん身近なものになっていくだろう。

しかしながら、地球と近いといわれる火星でさえ地球とは程遠い環境にある。水があった痕跡が見つかっているだけで、現在の火星には水はない。さらに火星大気の主成分は二酸化炭素で、何らかの補助器具がない限り呼吸ができない。さらに火星の平均表面温度はマイナス43度だ。

この問題を解決するために考えうる方法はふたつある。ひとつめは火星の環境を地球と同じように変えてしまうというものだ。このようなやり方をテラフォーミングという。日本語に訳すと「地球化」だ。

しかし、常識的に考えて惑星の環境を丸ごと変えるためには非常に高度な技術が必要だ。そもそも、そのような技術があれば地球環境問題などとっくの昔に解決されているはずだ。

この方法が無理ならば、もう一つの方法を探るしかないだろう。すなわち、人類の側が火星の環境に適応するというものだ。

 




 

人類は機械と一体化し、「火星人」となる

火星に向かった人類は、すぐにその星が快適ではないことに気づくのだろう。しかし、来てしまった以上は何とか生活していかなければならない。火星への旅は片道切符であるというのが今のところの通説だ。

ならば、その過酷な環境を生き抜くためになんでもするだろう。必要は発明の母だ。

それでは、人類はどのように過酷な環境に適応するのだろうか。そこでマーティン・リースが挙げているのがサイボーグ技術である。つまり、体の一部に機械を取り込むことで強化するのである。

マーベル映画に登場するウインターソルジャーは失った左腕に金属製の腕を装着したサイボーグ人間だ。

このような技術を普及させようとすれば、倫理的な問題が浮上するだろう。だから、サイボーグ技術は地球上では厳しく規制されるはずだ。利用されるとしても身体的な障がいを追ってしまった場合に限られるはずだ。

しかし、それが火星だったとしたらどうだろうか。過酷な環境を生き抜くために必要だといわれたら、それを止めることなどできないのではないだろうか。

最初のうちは金属製のパーツを体の一部に取り込むだけかもしれない。しかし、それがどんどんエスカレートしていったとしたらどうだろう。

火星に行った人類は宇宙空間では弱みになってしまう部分をサイボーグによって補強し、全く新しい姿になっているのかもしれない。「火星人」は私たちが思い描いたタコ型の宇宙人ではなく、金属製のパーツを取り込んで半分ロボットのようになった人類の進化系なのかもしれない。

果たしてそれを人類と呼べるだろうか。ロボットなのか何なのかわからない状態になってしまった我々の子孫に、同じ人類として接することができるだろうか。

これが、マーティン・リースが提唱する「人類の進化」だ。なかなか恐ろしい予測だ。しかし今のまま行けば、少なくとも生物学的な進化が起こる前に人為的な進化が起こる可能性は高いだろう。私は的を射た予測だと思う。

 




 

今回の参考図書

この仮説が世に出たマーティン・リースの『On the Future』の邦語訳版『私たちが、地球に住めなくなる前に』(作品社)が今回の参考図書だ。

本書は人類の進化に限らず、地球環境問題や科学技術の未来について予測・提言しており、今回紹介できなかった内容にも非常に示唆に富んだ指摘があった。

興味が湧いた方は、ぜひ一度手に取ってみてほしい。

 

 

あわせて読みたい 関連記事

人類が火星に行ける可能性が高いと思う理由