
【2020年夏】武藤、スアレス、久保! ラ・リーガの注目の移籍まとめ
コロナウイルスの感染拡大によるリーグの中断、およびリーグ再開後も無観客での試合開催が続いた影響で多くのクラブが財政難な状態で迎えた今夏の移籍市場。財政状況を回復するためのトレード移籍やお金を使わずして選手を補強できるレンタル移籍が多くなるなど特殊な移籍市場となっている。
そんな夏に成立した注目の移籍についてまとめている。
今回はスペイン1部リーグであるラ・リーガについてだ。その他のリーグについてはこの記事の最後の項目である「関連記事」から飛んでみてほしい。
目次
バルセロナ
主な新加入選手
- セルジーニョ・デスト ←アヤックス
- ミラレム・ピャニッチ ←ユベントス
- ペドリ ←ラス・パルマス
- フランシスコ・トリンコン ←ブラガ
- フィリッペ・コウチーニョ ←バイエルン(レンタル復帰)
- カルレス・アレニャ ←ベティス(レンタル復帰)
主な退団選手
- ネウソン・セメド →ウォルバーハンプトン
- ジャン=クレア・トディボ →ベンフィカ
- アルトゥール →ユベントス
- アルトゥーロ・ビダル →インテル
- イバン・ラキティッチ →セビージャ
- ラフィーニャ →パリ・サンジェルマン
- アルダ・トゥラン →ガラタサライ
- ルイス・スアレス →アトレティコ・マドリード
新シーズンへの展望
チャンピオンズリーグでバイエルンに2-8と歴史的惨敗を喫したことで大改革に乗り出している。

新加入選手の中で、特に注目なのがこのペドリ。弱冠17歳ながら、着実に出番をもらっている。
まず手始めに、新監督としてロナルド・クーマンを招聘した。彼は余剰戦力にはっきりと戦力外を通告した。その結果、長年チームの屋台骨を担ったスアレスやラキティッチ、昨季の主力であるビダルなども放出。それに代わってペドリやデスト、トリンコンといった若手有望株を迎え入れている。ベテランの域に差し掛かった選手たちを放出し、若い選手を獲得してきたのがこの夏の補強戦略だ。
つまるところ、クーマンは世代交代を推し進めているのだ。17歳のアンス・ファティが前線の、23歳のデ・ヨングが中盤の主軸をそれぞれになっていることからもその方針は明らかだ。

開幕から絶好調なアンス・ファティ。弱冠17歳にして、メッシを差し置いてバルサの攻撃の中心に躍り出ようとしている。
理由はおそらく、チーム全員でのハードワークを実現するためだろう。これまでのバルサはメッシをはじめとしたベテランプレイヤーたちの発言力が強いチームだった。そのため、歴代の監督たちは彼らの要望を聞き入れながらチームを構築しなければならなかった。
また、メッシは基本的に守備に参加しない。現代サッカーにおいて守備に参加できなプレイヤーがいる中で守備組織を整備するのは非常に困難な仕事だ。
クーマンは、この「制約」にメスを入れた。組織的に戦わなければチャンピオンズリーグを奪還することはできないことは、バイエルンに身をもって知らしめられた。それを実現するため、クーマンはベテランを放出したのだ。事実、彼はメッシも王様扱いせず、はーを求めるという旨の発言をしている。
また、バイエルンからレンタル復帰したコウチーニョについても触れておかなければならないだろう。監督交代までは換金候補筆頭とされていたものの、クーマンに実力を買われて本来のトップ下で起用されると、水を得た魚のように躍動している。監督交代によって運命が明転した選手だ。

放出候補と目されながらクーマン監督の信頼をつかみ、主力に定着。ここまではいい意味で期待を裏切っているコウチーニョ。
レアル・マドリード
主な新加入選手
- アルバロ・オドリオソラ ←バイエルン(レンタル復帰)
- マルティン・ウーデゴー ←レアル・ソシエダ(レンタル復帰)
主な退団選手
- アルフォンス・アレオラ →フルハム(パリサンジェルマンへ復帰後に再レンタル)
- ハメス・ロドリゲス →エバートン
- レイニエル →ドルトムント(レンタル)
- ブラヒム・ディアス →ミラン(レンタル)
- ガレス・ベイル →トッテナム(レンタル)
新シーズンへの展望
大改革に乗り出すライバルとは対照的に、レアルは静かな夏を過ごしている。
唯一といっていい補強が、あと1年残っていたレンタル契約を打ち切ってレアル・ソシエダから呼び戻したウーデゴーだ。ソシエダでブレイクした昨シーズンの活躍を受けて、得点力不足解消の切り札として呼び戻された格好だ。早速定位置をつかんでおり、これからチームになじめば更なる活躍を見せてくれるだろう。
このように、若手逸材を獲得してきてレンタル先で経験を積ませ、レベルアップさせてからチームに組み込むという「養殖」がレアルの強化戦略となりつつある。今夏もレイニエルにブラヒム・ディアスと、若手逸材たちがレンタルに出された。彼らがレンタル先でどのような活躍を見せてくれるのかにも注目だ。久保もそのひとりとして、ビジャレアルで定位置をつかみたいところだ。。
アトレティコ・マドリード
主な新加入選手
- ルーカス・トレイラ ←アーセナル(レンタル)
- ルイス・スアレス ←バルセロナ
主な退団選手
- サンティアゴ・アリアス →レバークーゼン(レンタル)
- トーマス・パーティ― →アーセナル
- アルバロ・モラタ →ユベントス(レンタル)
新シーズンへの展望
今シーズン最大の補強が、ルイス・スアレスの獲得だ。
アトレティコでのデビュー戦となったグラナダ戦では、71分からの途中出場からわずか20分余りで2ゴール1アシストを記録。チームの6-1大勝に貢献した。来年1月に34歳となるが、まだまだワールドクラスの実力の持ち主であることを改めて証明して見せた格好だ。
アトレティコはかねてから得点力不足に悩まされており、特にグリーズマンが退団した昨シーズンは深刻だった。1試合に6得点を挙げるアトレティコなどなかなか見ることができない。スアレスの獲得が、アトレティコの積年の課題を一気に解決へ向かわせるかもしれない。
ただ、トーマスをアーセナルに引き抜かれたのは大きな痛手だ。代わってトレイラが加入したとはいえ、トーマスと比べると見劣りしてしまう印象が否めない。何度かうわさが上がっていた通り、アトレティコ側が売却したかったのはトーマスではなくエクトル・エレーラだったはずだ。このトレード移籍に妥当性があったとは思えない。

移籍期限最終日に成立した、トレイラとトーマスのトレード移籍。アトレティコにとっては戦力ダウンになるはずで、中盤を再構築する必要があるだろう。
とはいえ、バルサとレアルが過渡期にある今シーズンは、アトレティコにとって王座奪還の千載一遇のチャンスだ。果たしてものにできるだろうか。
セビージャ
主な新加入選手
- ヨリス・ニャニョン ←レンヌ(レンタル復帰)
- アレイクス・ビダル ←アラベス(レンタル復帰)
- イバン・ラキティッチ ←バルセロナ
- マルコス・アクーニャ ←スポルティング
- オスカル・ロドリゲス ←レアル・マドリード(昨シーズンはレガネスにレンタル)
- ウサマ・イドリッシ ←AZ
主な退団選手
- セルヒオ・レギロン →トッテナム(レアル・マドリードへレンタルバック後に売却)
- エベル・バネガ →アル・シャバブ
- ロニー・ロペス →ニース
新シーズンへの展望
昨シーズンにヨーロッパリーグを制覇し、今シーズンはチャンピオンズリーグに参戦するセビージャ。最大のニュースはラキティッチの6年ぶりの復帰だろう。先日クロアチア代表の引退も宣言したクロアチアの名手は、セビージャのために全力を注ぐ覚悟だ。昨シーズンに中盤を取り仕切ったバネガの穴を埋める活躍が期待される。

6年ぶりの古巣復帰となったラキティッチ。
さらに、同じく昨季の主力ながら今夏に退団したレギロンの後釜として、アルゼンチン代表のアクーニャを獲得。きっちり穴埋めを果たしている。

レギロンの後釜として迎えられたアクーニャ。
さらに、AZでブレイクしたイドリッシを獲得したのも大きいだろう。モロッコらしいテクニカルなウイングだ。
マンチェスター・シティがルベン・ディアスを獲得したことで、人気銘柄と化していたクンデとジエゴ・カルロスのCBコンビも残留に落ち着きそうだ。
それどころか、移籍期限最終日にはヘルタ・ベルリンからオランダ代表のレキクを獲得することに成功。彼らの流出を見据えた補強でもあるだろうが、レキクがこのコンビに割って入り、ポジションを奪う可能性も低くはない。実力者の獲得で、守備陣はさらに盤石なものとなった。

移籍期限最終日にイドリッシとレキクをダブル獲り。チャンピオンズリーグを見据えて大幅にスカッドを強化した。
例年に比べて出入りが少ないものの、効果的な補強で戦力を維持しているセビージャ。今年はラ・リーガやチャンピオンズリーグで上位陣を脅かすダークホースになれるか注目だ。
ビジャレアル
主な新加入選手
- ヘロニモ・ルジ ←レアル・ソシエダ(昨シーズンはモンペリエにレンタル)
- ファン・フォイス ←トッテナム(レンタル)
- ペルビス・エストゥピニャン ←ワトフォード(昨シーズンはオサスナにレンタル)
- アルフォンソ・ペドラサ ←ベティス(レンタル復帰)
- ダニエル・パレホ ←バレンシア
- フランシス・コクラン ←バレンシア
- 久保建英 ←レアル・マドリード(昨シーズンはマジョルカにレンタル)
主な退団選手
- マリアーノ・バルボサ →未定
- サンティ・カソルラ →アル・サッド
- ブルーノ・ソリアーノ →引退
- フランク・ザンボ=アンギッサ →フルハム(レンタル終了)
- エネス・ウナル →ベティス
新シーズンへの展望
例年にない大型補強で一気に期待感が高まっているのがビジャレアルだ。
久保建英の獲得で日本国内でも一気に注目が集まっているが、そのほかの新戦力たちもかなりの実力者たちだ。
バレンシアからスペイン代表のパレホとその相棒であるコクランのボランチコンビを引き抜くと、センターバックにアルゼンチン代表のフォイス、左サイドバックに昨季オサスナでブレイクしたエストゥピニャン、控えGKにアルゼンチン代表の実力者ルジを獲得。一気に選手層を拡張することに成功している。

左からパレホ、久保、コクラン。実力者を次々とスカッドに加えることに成功した。
ここまでの陣容をそろえたのならば、ラ・リーガでのチャピオンズリーグ出場権獲得ならびにヨーロッパリーグでの躍進が視野に入る。果たして期待に沿うような結果を残すことができるだろうか。すべてはこちらも新監督のウナイ・エメリ次第だろう。

充実の陣容を生かすも殺すも、すべてはこのエメリ新監督にかかっている。
その他の注目移籍
武藤嘉紀 ニューカッスル→エイバル
ニューカッスルで出番を失っていた武藤が新天地に選んだのは、乾貴士が所属するエイバルだった。プレミアでは成功できなかったが、そのうっぷんを晴らせるような活躍を見せて日本代表に返り咲くことができるか。まだ28歳。老け込むような年齢ではないはずだ。

乾が待つエイバルへ加入した武藤。
また、今シーズンは岡崎が所属するウエスカが1部リーグ昇格を果たしており、例年になくリーガで日本人選手が活躍する見込みだ。日本人選手にとって鬼門と呼ばれていたスペインリーグでここまで多くの日本人選手がプレーするシーズンは史上初めてだろう。日本人対決という視点からも、今シーズンのリーガからは目が離せない。
ダビド・シルバ マンチェスター・シティ→レアル・ソシエダ
昨シーズンに攻撃の全権を担ったウーデゴーが1年早くレアルに復帰してしまったことで攻撃力の低下は避けられないとみられていたレアル・ソシエダ。コロナウイルスの感染拡大によるシーズン中断前まではチャンピオンズリーグ出場権内に付けていたものの、再開後にウーデゴーが負傷離脱すると途端に勝てなくなってしまい、結局チャンピオンズリーグ出場権を逃してしまった。その依存度の高さがわかるだろう。
しかし、レアル・ソシエダは最高の補強でその不安を解消する。マンチェスター・シティから「魔術師」ダビド・シルバを獲得したのである。ひらひらとボールをキープし、決定的なスルーパスを供給するウーデゴーと非常に近いプレースタイルを持つ。左利きであるところまで同じだ。レアル・ソシエダが今期もチャンピオンズリーグ出場権を争うのではないかと期待させてくれる、そんな補強となったはずだ。
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