【鳥栖の新エース】林大地のプレースタイルを徹底解剖!

【鳥栖の新エース】林大地のプレースタイルを徹底解剖!

2020年9月30日 1 投稿者: マツシタ
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サガン鳥栖はここまで16試合を戦って勝ち点17の14位だ。新型コロナウイルスの集団感染が発覚した影響により最も試合をしているチームよりも4試合消化試合数が少ないこと、シーズン開幕前には降格候補との呼び声が高かった(今シーズンの降格がなしになったのは新型コロナウイルスの感染拡大を受けてリーグ戦が長期の中断を余儀なくされてからだった)ことを考えると、ここまではまずまずの結果を残しているといえるだろう。

そんなサガン鳥栖で最も得点を挙げているのが、今回紹介する林大地である。特に直近7試合で5得点と調子を上げており、量産体制に入りつつあるのだ。

今年は大卒ルーキーとして迎えるプロ初シーズンであるにもかかわらず、瞬く間に鳥栖の攻撃の中心に君臨しつつある林大地のプレーにはどのような特徴があるのか。今回は林のプレースタイルについて掘り下げていこうと思う。




林大地の来歴

まず、最初に林大地の来歴について簡単にまとめておこうと思う。

林大地はずっと大阪でプレーしてきた。中学時代にはガンバ大阪ジュニアユースに所属しており、同じくサガン鳥栖からヨーロッパへはばたき活躍する鎌田大地ともプレーした。底から大阪随一の名門である履正社高校から大阪体育大学へと進学した。大学時代には関西大学リーグでは連覇を果たし、3年時にはMVP&得点王に輝くなど活躍した。当時からその実力は折り紙付きだったわけだ。

大阪体育大学ではエースとして活躍した林大地。

当然去就が注目されたが、サガン鳥栖とのプロ契約を結ぶこととなった。

輝かしい実績を引っ提げて鳴り物入りでの加入となった林大地。ここまではその期待に応えているといえるだろう。それでは、林のプレースタイルは具体的にはどのようなものなのだろうか。




林大地のプレースタイル

 

ゴールに対する貪欲さ

まず、なんといってもゴールに受かっていく貪欲な姿勢だ。林のプレーを見ればわかるはずだが、彼は常にゴールを目指そうとする。ボールを受ければまず自分でゴールへ向かおうとする。動き出しも常に前へ、前へだ。決して下がってきて受けようとはしない。

このゴールへの積極的な姿勢から、彼は「ビースト」と呼ばれる。この一種の獰猛さは、いい意味で日本人ストライカーらしくない。とにかく自分がゴールを奪うことにこだわり、ゴールを奪えば大声を上げてチームを鼓舞する。ひとことで言えば「熱いストライカー」だ。

彼の厚さはサガン鳥栖のファイティングスピリッツともマッチしている。まさに「鳥栖らしいストライカー」だ。今後長くサガン鳥栖のエースストライカーとして君臨するにふさわしい、チームの象徴になりうる選手だ。

ゴールを奪えば感情を爆発させ、チームを鼓舞する。この熱さはサガン鳥栖にうってつけだ。

 




 

決定力の高さ

林大地が得点力が高いストライカーだということは、大阪体育大学で関西サッカーリーグ得点王に輝いたこと、J1でもルーキーイヤーから7試合5得点を挙げていることからも明らかだ。

データを見ると、林が得点を量産できているのはシュート機会が多いからではないことが裏付けられる。これまでの16試合で林が放ったシュートは合計で15本。この中から5得点ということは、シュートの3本に1本が得点になっているということだ。この得点率は、川崎フロンターレで大ブレイクする三笘薫に次いで高い数字だ

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リーグ全体で見れば総合力で下位となるサガン鳥栖でチャンスが少なくなってしまうのは致し方ない。しかし、少ないチャンスを確実に得点に結びつけているのが林大地なのだ。彼の能力の高さがお分かりいただけるのではないだろうか。

林のシュートの特徴は、そのスピードだ。流し込むようなきれいなシュートではなく、相手GKをパワーで打ち破るようなシュートを放つ。まさに「撃ち抜く」という表現がぴったりだ。彼のシュート一本一本にもまた、林のプレースタイルが表れているといえるだろう。

パワー系のシュートで相手GKを撃ち抜く。

 




 

さかんな裏への動き出し

先ほど、林大地の動きは常に前へ前へだと申し上げた。彼は常に相手のDFラインの背後を狙おうと駆け引きしている。ほとんど引いてくることはなく、常に裏への動き出しを意識しているのだ。相手DFラインの裏を破れば、最短距離で相手ゴールに迫れるからだろう。

基本的に丁寧につないで組み立てていくのが今期のサガン鳥栖のスタイルだが、林がいい形で裏に抜ければそこへシンプルなロングボールを入れる場面も多い。彼の抜け出しを生かすことがサガン鳥栖のひとつの形として共有されているのだろう。

また、彼がDFラインの裏を狙い続けることであいでの最終ラインは押し下げられる。これにより空いたDFラインの前のスペースで恩恵を受けているのが、同じくルーキーの石井快征だ。ライン間でのプレーを得意とするトップ下タイプの石井は、林の動き出しによって空いたスペースを使って攻撃の中継地点として機能することでブレイクを果たしている。

林の動き出しは、味方を生かすことにもつながっているのだ。

裏を狙う林と、ライン間を幅広く動いてボールに絡む石井のルーキーコンビは相性抜群だ。

 




 

フィジカルの強さを生かしたボールキープ

そして、裏に抜けた後は恵まれたフィジカルを生かしたボールキープで攻撃の起点となる。林が相手にあたられてバランスを崩すシーンはめったに見られない。技巧派タイプが多い鳥栖のフォワード陣において、林のパワーは貴重だ。

力関係上相手に押し込まれるシーンも多くならざるを得ないサガン鳥栖において、林大地のボールキープは非常に効いている。彼がボールキープしている間に陣形を押し上げ、陣地回復することができるからだ。さらに、そこからカウンターにつなげることもできる。

象徴的なのが柏レイソル戦でのPK獲得につながったシーンだ。相手を抑えながらそのままぐいぐいとペナルティエリア内に押し込んでいき、そのままPKを獲得した。一連のプレーは、インテルでプレーするロメル・ルカクを思い起こさせた。

攻撃の起点としても不可欠な存在となりつつある林が、今後こうのように相手ごと前進していけるような選手になれば、日本人選手としては希少なフィジカルモンスター系のフォワードに成長しうるだろう。そうなれば、日本代表でも確固たる地位を気づくことができるのではないだろうか。

 




 

がむしゃらに守備にも参加

また、彼は攻撃だけの選手ではない。守備時にはがむしゃらにボールを奪いに行く。球際で激しくファイトできる林は、鳥栖のスピリットをすでに体得しているようだ。ボールを奪われたら即座に買返すことを基本方針とするサガン鳥栖の戦術にもすんなりとフィットした。

攻撃時だけでなく守備時にも熱さを見せ、最前線から味方を鼓舞する姿はまさに「ミスターサガン鳥栖」豊田陽平を見ているかのようだ。これもまた、彼が今後鳥栖の象徴的選手になるのではないかと予感させる要素なのだ。

攻守に厚く戦う林大地は、今後サガン鳥栖の象徴的な選手に成長しうる。

 




 

林大地の弱点

 

足元には粗さあり

それでは、林大地には弱点はあるのだろうか。

ここまで見てきた中で上げるならば、足元の技術だろうか。少し粗さが見え、繊細なタッチは持ち合わせていないように見える。おそらく多少のタッチの乱れならその優れたフィジカル能力で難なくカバーしてしまえるので大きなマイナス要素にはなっていないのだろう。

しかしながら、現在はボールキープした後は一番近い選手に戻すことが多い。

これが、しっかり相手を抑えながらワンタッチ目で相手を外すことができるようになれば、そこから決定的なパスを供給したり、逆サイドに展開したりとプレーの幅が広がるだろう。

こうしたプレーができるようになれば、林大地はプレイヤーとしてもう一段階上にいくことができるだろう。

 




 

味方を生かすプレーが向上すれば鬼に金棒

また、基本的にボールを持てば真っ先にゴールに突進する林は、味方に決定的なパスを供給するプレーはあまり得意としていないように見える。これはストライカーとしてのエゴイスティックな面の裏返しなので、一概に悪いといえるものではない。

しかし、相手をパワーで押し込める林が、強引な突破からより可能性の高い味方に決定的なパスを出せるような冷静さが兼ね備われば鬼に金棒なのは間違いない。ここも弱点の一つとして挙げておこう。

 




 

あとがき

リーグ開幕当初は得点力不足だといわれていたサガン鳥栖。しかし、コロナウイルス集団感染による1か月間の試合中断からの再開後は7試合で14得点を挙げている。1試合平均は2.00点だ。これは高い数値だといっていい。完全に得点力不足は解消されたといっていいだろう。

その14得点のうち3分の1以上を上げているのが林大地なのだ。彼のブレイクとサガン鳥栖の得点力向上は無関係とはいえないだろう。林大地はすでにサガン鳥栖のエースに上り詰めたといえるのではないだろうか。

しかし、林はまだスタメンに定着したとは言いがたい。先発出場と途中出場を繰り返しているのが現状だ。今シーズンが過密日程であることを差し引いても、完全に主力に定着したとまでは言い難い。

ここから先発起用が不通になり、不動の存在へと昇り詰めていくためには、さらなるゴール、そして得点以外での貢献度も高めていく必要があるだろう。ここから林がどのような成長を見せてくれるか、注目してみていきたい。

 

 

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