【サッカー専門用語講座】イタリア語起源のサッカー用語まとめ!

【サッカー専門用語講座】イタリア語起源のサッカー用語まとめ!

2020年9月26日 0 投稿者: マツシタ
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サッカー専門用語講座とは、サッカーに関する専門用語について詳しくそしてわかりやすく解説していこうというシリーズだ。

今回はひとつの用語についてまとめるというよりは、イタリア語に起源を持つサッカー用語や、サッカー用語をイタリア語でいうとどうなるのかについてまとめていこうと思う。

サッカーのことをカルチョ(calcio)と呼ぶことは、日本にもだいぶ浸透してきていると思う。カルチョは一例にすぎず、サッカーを詳しく見ていこうとすればイタリア語に起源を持つ用語がかなり多いことに気づくはずだ。この記事を見れば、その言葉もイタリア語だったのか!と驚くに違いない。

 




 

ポジションに関する用語

まずはポジションに関して基本的な用語から押さえていこう。

  • FW → アタッカンテ(attaccante)
  • MF → チェントロカンピスタ(centrocampista)
  • DF → ディフェンソーレ(defensore)
  • GK → ポルティエーレ(portiere)

基本的な分類は上の通りだ。

スカウティングなどのプロの現場では、これら4つの基本的な用語に「中央の」を意味するチェントラーレ(centrale)、「インサイドの」を意味するラテラーレ(laterale)、「アウトサイドの」を意味するエステルノ(esterno)を組み合わせることでポジションを表す。

例えば、センターフォワードならアタッカンテ・チェントラーレ、サイドバックならディフェンソーレ・エステルノ、インサイドMFならチェントロカンピスタ・ラテラーレとなる。非常に機械的な表現方法だ。

一方、メディアレベル・日常会話レベルだと、かつて主流のフォーメーションであった2-3-5に基づく用語が今でも使われている。

かつての主流フォーメーションだった2-3-5の配置とそれに基づくイタリア語でのポジション名。

テルツィーノ(terzino)は2-3-5の3列目を表す用語だった。のちに中盤の3の中央にいた選手がDFの中央に下がってきたため、もともとの2は両サイドに開いた。ここから、現在でもサイドバックを表す用語としてテルツィーノが用いられている。

メディアーノの中央に位置する選手が最終ラインに加わり、テルツィーノがサイドへ押し出されて現在のサイドバックの原型となった。

また、2-3-5の2列目を表す用語だったメディアーノ(mediano)も、現在でも守備的MFを表す用語として通用している。

1列目に関しても、ウイングを表すアーラ(ala)センターフォワードを表すチェントラバンティ(centravanti)は現在でもそのまま通用する。そしてアーラとチェントラバンティの中間にいたFW(インサイドフォワードという)を表すメッザーラ(mezzala)はのちに2列目に下がったため、現在ではインサイドMFを表す用語となっている。

かつて存在したインサイドFWというポジションがそのまま中盤に降りてインサイドMFとなった。これがかの有名な「WMシステム」だ。

また、当時には存在しなかったトップ下を表す用語として、トレクアルティスタ(trequartista)というものがある。これは「4分の3」を表すトレクアルティ(tre quarti)が語源で、ピッチを4分割した3番目のゾーンを主戦場とすることからこう呼ばれるようになったものだ。

 




 

プレイヤーの性質に関する用語

続いては、選手の性質に関する用語だ。この分野では聞いたことがある用語が多数出てくるだろう。

後ろから見ていくことにしよう。

DFラインで最も有名なのはリベロ(libero)だろう。バレーボールにおいても用いられるこの用語は、サッカー界においても世界中で通用するほど浸透しているポジション名だ。これがイタリア語由来だったとは知らなかった方も多いのではないだろうか。

このリベロはもともと「自由な」という意味をあらわす単語で、サッカー界ではそれが転じて最終ラインの後ろを自由に動いてボールを回収したり、時には最終ラインから攻撃参加したりする選手を表す用語として定着した。

リベロを生み出した先駆者であり第一人者として知られる、フランツ・ベッケンバウアー。彼はドイツ人だ。

中盤を見ると、レジスタ(regista)という単語も世界中で通用するほど浸透した用語だ。本来は「演出家、もしくは映画監督」を意味する単語であり、それが転じて試合を組み立てる指揮者のような存在、すなわちゲームメイカーを表す用語として定着した。今期からユベントスの新監督に就任したアンドレア・ピルロは、現役時代にレジスタの代表例として知られた名手だ。

DFラインの前から高精度のパスを供給して試合を指揮した「レジスタ」のアンドレア・ピルロ。

このレジスタ以外にも、守備的MFを表すインコントリスタ(incontrista)攻撃参加するMFを表すインクルソーレ(incursore)はよく用いられる用語だ。日常的には、インコントリスタは「出会う人」を、インクルソーレは「襲撃者」を表す単語として使われている。

サイドMFに関しては、攻撃的なタイプなら前述のアーラがそのまま用いられるが、守備にも戻るハードワーカータイプを表す場合はトルナンテ(tornante)という用語が用いられる。

FWについても見てみよう。フォワードが2トップを組んでいる場合は、それぞれの役割によって呼び名が変わってくる。ファーストトップはプリマプンタ(prima punta)セカンドトップはセコンダプンタ(seconda punta)と呼ばれる。

最前線に位置するのがファーストトップ、その少し後ろに位置するのがセカンドトップである。わかりやすい例を挙げよう。インテルでいえば、ルカクがプリマプンタ、ラウタロ・マルティネスがセコンダプンタである。こういえばイメージが湧くのではないだろうか。

インテルをけん引する強力トップ、ルカクとラウタロ・マルティネス。通称ラウカクはルカクがプリマプンタ、ラウタロ・マルティネスがセコンダプンタということになるだろう。

両者に共通してみられるプンタ(punta)というのは、英語でいうとトップを表す用語だ。もともとは「先端」という意味を持つ。日本でもフォワードのことをトップといったりするが、それと同じような使い方だ。このプンタに「ファースト」を意味するプリマ(prima)と「セカンド」と対応するセコンダ(seconda)をつけてこう表すということである。

さらに、攻撃的な選手においてよく用いられるファンタジスタ(fantasista)も実はイタリア語だ。「多芸多才な人」というもともとの意味が転じてひらめきや創造性あるプレーで観客を魅了するような選手に称賛の意を込めてこう呼ぶようになった。

私はファンタジスタと言われれば真っ先にロナウジーニョが思い浮かぶ。皆さんは誰を思い浮かべるだろうか。

そしてもう一つ、フェノーメノ(fenomeno)という用語も有名だろう。「怪物」を意味するこの単語には、サッカー界においてこのような選手のことを指すという明確な定義がない。強引に共通点を見出すとすれば、フィジカル的に優れた選手に用いられることが多い印象だ。あくまでも印象だが。

元祖フェノーメノがこのロナウド。インテル時代についた愛称が、ロナウドの活躍とともにこの用語を世界中に知らしめた。

 




 

色に関する用語

次は色についてみていこう。

代表的なものを列挙してみると、下のような感じだ。

  • 赤  → ロッソ(rosso)
  • 青  → アッズーロ(azzurro)
  • 黄  → ジャッロ(giallo)
  • 緑  → ヴェルデ(verde)
  • 水色 → チェレステ(celeste)
  • 白  → ビアンコ(bianco)
  • 黒  → ネーロ(nero)

なぜいきなり色の話をし始めたのか、サッカーと関係ないじゃないか!と思ったのではないだろうか。実は、大いにサッカーに関係がある。なぜなら、イタリアでは日常的にクラブチームを表す場合に、クラブカラーを用いた愛称を多用するからだ。

ユベントスの「ビアンコネロ」という愛称は日本でも有名なのではないだろうか。これは、白を表すビアンコと黒を表すネーロを組み合わせたことで生まれた愛称だ。

ユベントスのエンブレム。

ミランの「ロッソネロ」という愛称も並ぶくらいに有名だろう。これも赤を表すロッソと白を表すビアンコの組み合わせである。

ACミランのエンブレム。

世界で通用するイタリア代表の愛称「アッズーリなどは、ドストレートに「青!」である。ちなみに、U-21イタリア代表の愛称は「小さい青」を表すアッズリーニである。

イタリア代表のエンブレム。

そのほかにも、青と黒をクラブカラーとするインテルやアタランタはネーロとアッズーリを組み合わせた「ネラッズーリ」、黒と緑をクラブカラーとするサッスオーロはネーロとヴェルディを組み合わせた「ネラヴェルディ」といった具合に、各クラブはクラブカラーをもとにした愛称で呼ばれることが多いのだ。

イタリアサッカーと色の深い関係性がお分かりいただけただろうか。

 




 

その他の用語

最後に、そのほかのイタリア起源のサッカー用語で有名なものについてまとめていこうと思う。

バンディエラ(bandiera)という用語は日本でも浸透しているだろう。中村憲剛が川崎のバンディエラと呼ばれているからだ。

言わずと知れた川崎のバンディエラ、中村憲剛。

本来の意味では「象徴」や、それが転じて「旗」という意味で用いられるバンディエラは、サッカーにおいてはひとつのクラブに忠誠を誓い、キャリアをひとつのクラブのもとで過ごすような選手のことを指す彼らはクラブの象徴的な選手であるというわけだ。

イタリアでバンディエラといえば、ローマにおけるフランチェスコ・トッティを置いて他にはいないだろう。

ASローマのバンディエラ、フランチェスコ・トッティは惜しまれながらも現役を引退した。

かつてはバルセロナにおけるカルレス・プジョルをはじめ珍しい存在ではなかったバンディエラだが、近年はすっかり絶滅危惧種となってしまった。今夏は退団騒動で世界中の注目を集めたリオネル・メッシはバルサでバンディエラとなるのだろうか。

バンディエラになるほどの選手は、たいていクラブの下部組織から在籍していることが多い。長い時間をクラブで過ごすためにクラブ愛がはぐくまれるのだろう。下部組織はイタリア語でプリマヴェーラ(primavera)と呼ぶ

そんなバンディエラはキャプテンを務めることが多い。キャプテンのことをイタリア語でカピターノ(capitano)と呼ぶ。この表現は日本でもしばし聞かれるようになってきた。

また、チャンピオンのことをカンピオーネ(campione)監督のことをミステル(mister)と呼ぶことも同様に日本でもしばしば聞かれるようになってきた印象だ。特にセリエAでカンピオーネになることを「スクデット(scudetto)を獲得する」という。スクデットは本来「小さな盾」を表す単語で、セリエAで優勝したチームは翌シーズンはイタリアの国旗を模したエンブレムをつけることができることからこう呼ばれるようになったようだ。

次は選手以外の話をしよう。イタリア語ではサポーターのことをティフォージ(tifosi)と呼ぶ。彼らはフォルツァ(forza)!と選手たちに声援を飛ばす。これは「がんばれ」という意味だ。

特にサポーターからの声援を受けるのが多くの得点を挙げた選手だ。イタリアではひとりの選手が1試合で2得点を挙げることをドッピエッタ(doppietta)ハットトリックを決めることをトリプレッタ(tripletta)と呼ぶ。

最後に、イタリアの伝統的なチームスタイルを表すカテナチオ(catenaccio)について紹介して終わろう。カテナチオを日本語に訳すと、「閂(かんぬき)」という意味になる。これは、門や戸をしっかりと閉めるために用いる横木のことだ。

閂(かんぬき)。

これが転じて、閂をかけるようにゴールに鍵をかける、堅固な守備を表すサッカー用語となったわけだ。特にイタリアの伝統的な堅守速攻スタイルを指すことが多く、イタリアサッカーを語るうえでは外せないキーワードである。

代表の堅い守備の文化は国内リーグであるセリエAにも伝播し、組織的な守備を持つチームが多いリーグとして知られるようになる。セリエAには選手にもサポーター(ティフォージ)にも、「ウノ・ゼロ(1-0)の美学」という意識が根付いていった。これは、大量得点で打ち合いを制すよりも、失点をせずに勝つことを良しとする文化である。

しかしながら、近年のイタリアサッカーはクラブレベルでも代表レベルでもカテナチオスタイルからの脱却というトレンドがみられる。近代化の波に飲み込まれ、攻撃的なサッカーを展開するチームが増えているのだ。イタリア代表も攻撃的なスタイルへの転換を図っている最中である。

この流れを代表するようなクラブがアタランタだ。チャンピオンズリーグで初出場ながらベスト8まで躍進して一躍有名になったこのクラブは、昨シーズンにセリエAの1シーズンでの最多得点を更新(98得点)して3位に入った。1試合で6点、7点を次々と奪うその圧倒的な攻撃力は守備の国イタリアの変化を象徴するようなスタイルである。

【CLでも躍進】アタランタの特殊戦術を徹底解剖!

アタランタは決して規模の大きなクラブではない。そんな中でユベントスやインテル、ミランといったビッグクラブにも引けを取らない戦いを披露していることは称賛に値するだろう。アタランタのような中小クラブのことをプロビンチャ(provincia)と呼ぶことも付け加えておこう。

 




 

あとがき

いかがだっただろうか。

こうして見てみると、イタリアに端を発するサッカー用語が非常に多いことがわかるだろう。古くから戦術的な部分を大切にし、組織的に戦うことで堅い守備を実現してきたイタリアが戦術大国と呼ばれている理由もお分かりいただけるのではないだろうか。だからこそ、これだけ多くの用語が生まれ、それが世界中に輸出されて定着しているのだろう。

そんな戦術大国のイタリアで、近年は攻撃的な戦術がトレンドになっている。とはいえ、イタリアが戦術的な国であることに変わりはない。イタリアの伝統的な守備の堅さに新しく攻撃戦術が組み合わさってくることで、セリエAは非常に面白いリーグとなり、復権することができるのではないだろうか。

その意味で、今期のセリエAには注目である。実際、前述のアタランタにユベントスインテルミランナポリローマ、ラツィオを加えた強豪7クラブ、通称「新セブン・シスターズ」は実力が拮抗してきている。ユベントスが独走するのは難しくなってきているだろう。

セリエAの復権へ向けて、足掛かりとなりうる今シーズンのセリエA。ぜひ注目してみてほしい。