【格差社会へ歯止めをかける】年功序列再評価論

【格差社会へ歯止めをかける】年功序列再評価論

2020年9月16日 1 投稿者: マツシタ
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現代社会における問題点として、格差の拡大が上げられる。これは世界共通の問題で、資本主義の限界もささやかれている。

今回はそんな社会的格差について考えていく記事だ。

日本は世界有数の格差社会になり果てた

現代社会の問題点の一つとして、格差の拡大があり、特にヨーロッパやアメリカでは深刻な社会問題となっている。

それでは、日本はどうだろうか。

2018年に野村総合研究所が発表した推計によれば、日本には5億円以上の資産を持つ超富裕層が8万4000世帯、1億円以上5億円未満の資産を持つ富裕層が118万3000世帯あるという。2011年には超富裕層が5万世帯、富裕層が76万世帯いたことを考えると、この7年間で富裕層が50%以上増加したことになる。

これだけ見ると、日本が豊かになったような印象を受ける。しかし、ほかのデータを見るとそんな考えが幻想であることに気づく。厚生労働省のデータによれば、2016年の日本の相対的貧困率は15.7%である。おおよそ国民の6.5人に1人が貧困層であるという計算だ。

実はこの数値はOECD加盟国の中でもかなりの低水準で、G7の中ではアメリカに次いで2番目に高い数値だ。

先ほどの富裕層の世帯数をもとに人口に対する富裕層の割合を推計すると、わずか0.16%にすぎないそうだ。富裕層が0.16%、貧困層がおよそ16%と考えると、その数値には100倍もの開きがあることになる。

日本は世界の中でも格差が非常に大きい国となってしまったのである。

 




 

かつて日本は平等な社会だった。それを支えていたのが…

それでは、日本は伝統的にこのような格差社会だったのだろうか。そんなことはない。

もっとも古い相対的貧困率のデータは1985年のものだが、この時の数値は12%である。このころから年を経るにつれて相対的貧困率は上がり続けているのだ。つまり、この前の高度成長期にはより貧困率は低かったと考えられる。

つまり、日本はかつては現在ほど格差が大きくなかったのである。

それでは、なぜ日本の格差は広がってしまったのか。逆に言えば、なぜ日本はかつてそこまで格差がない社会を実現できていたのだろうか。

バブル崩壊後の日本はそれまでの日本社会の基本的な在り方を否定し、欧米の社会制度を模倣してきた。欧米の真似をするのだから、格差が大きい欧米の社会に近づいていくのは当たり前である。

ということは、それ以前の格差が小さい社会を支えていたのは、日本の伝統的な雇用の在り方であるということになる。つまり、年功序列終身雇用制である。

ひとつの会社に勤めていれば、確実に賃金が上がっていくこの一連の雇用制度は、とびぬけた富裕層を生むことはできなかったがとびぬけた貧困層も生まなかった。その結果、一億総中流という平等な社会を実現していたのである。

何かと批判されがちな終身雇用と年功序列であるが、格差が広がった現代社会からみれば、理想郷のようにも見えるのではないだろうか。

 




 

現代社会におけるジレンマ

そんないい精度があるのなら現代に復活させればいいじゃないか。そう思う方もいるだろう。しかし、現実には不可能に近くなってきている。

年功序列・終身雇用制は日本経済が毎年成長していくことを前提として成り立っていた。毎年利益が増えていくのだから、不通に勤めていればそれで賃金が上がっていたのである。しかし、現代の日本は低成長の時代だ。企業が内部留保を吐き出し続けたとしても、そう長くは続かないだろう。

そして、日本社会全体の構造的な問題点もある。日本の相対的貧困率は欧米に近づくどころか多くの先進国を超えてしまった。それは、日本では少子高齢化・未婚化が進んでいるからである。

高齢化が進んだ結果高いポストが埋まってしまって中年になっても平社員のままという社員は大勢出てきてしまった。年功序列の崩壊である。そうしたまま退職した「貧しい高齢者」が増加しているのだ。

また未婚化の進行によっても貧困化は進んでいる。特に男性よりも給与が低い上に寿命が長い女性は、独身だと老後の資金繰りに苦労してしまうのだ。

こうして日本の格差は拡大の一途をたどり、かつての平等な社会は失われてしまった。

こうした問題を解決するためには、まったく新しい社会制度を構築する必要があるだろう。過去と現在では大きく変わってしまったいま、過去にヒントを求めようとしても難しそうである。

 




 

今回の参考図書

最後に今回の参考図書を紹介しよう。

今回参考にさせてもらったのはマーティン・ファクラー氏の著書『日本の国難』(SB新書)である。

アメリカ出身の著者が政治やマスコミ、社会問題などについて海外からの視点を持って指摘する「新時代への提言」の書である。

今回記事にできたのは、その一部でしかない。ほかにも興味深い指摘が数多くなされている。興味がある方は、ぜひ一度手に取ってみてほしい。

 

 

 

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