【マリノスの心臓】マルコス・ジュニオールのプレースタイルを徹底解剖!

【マリノスの心臓】マルコス・ジュニオールのプレースタイルを徹底解剖!

2020年9月6日 0 投稿者: マツシタ
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昨季王者に返り咲いた横浜Fマリノスが、ここまでは苦しんでいる。守備陣にけが人が続出し失点数が増加してしまっていること、新戦力が特殊な戦術になじむのに時間がかかっていることなどが原因だろう。

そんなマリノスにおいて、孤軍奮闘している選手がいる。マルコス・ジュニオールだ。彼は間違いなく、今のマリノスで最も欠かせない選手だといえる。

なぜなのか。それは、マリノスの戦術、そしてそのなかでのマルコス・ジュニオールの役割やプレースタイルを見ていくことで明らかになってくる。それでは、さっそくマルコス・ジュニオールのプレースタイルについてみていくことにしよう。




マルコス・ジュニオールの経歴

まず最初に、マルコス・ジュニオールの経歴を簡単にみておこう。母国ブラジルの名門・フルミネンセでデビューし、以降主力としてプレーしたということだけで、マルコス・ジュニオールがいかに優れた選手であるかを示すのに十分だろう。

多くの国内タイトルを獲得してきたフルミネンセは世界屈指の左サイドバック・マルセロを輩出したことで知られ、さらにさかのぼればロマーリオもフルミネンセ出身だ。フルミネンセ時代のマルコス・ジュニオールそんなブラジルの名門から昨季加入したマリノスでは、1シーズン目から主力として活躍。15ゴールを挙げていきなり得点王に輝いたことで、自らの実力を証明して見せた。

今シーズンもすでに9ゴールを挙げている。これは昨季を上回るペースだ。もちろんチームで最も得点を挙げている選手であり、ここまでは思い通りに行っていないチームをけん引する働きを見せている。まさに孤軍奮闘だ。

これまで見てきた通り、マルコス・ジュニオールは優れた得点能力を持っている。しかし、これだけがマリノスにとってマルコス・ジュニオールが不可欠な理由ではない。ほかにも様々な優れた能力を持っている。それでは、マルコス・ジュニオールの特徴について詳しく見ていくことにしよう。




マルコス・ジュニオールのプレースタイル

 

マルコスがマリノスに欠かせない理由

マルコス・ジュニオールは非常に運動量の多い選手だ。それは、彼のプレースタイルと関係している。

下の画像はマリノスのボール保持時の平均的なポジションを表したものだ。マルコスはトップ下で起用されている。マリノスは3トップが前線に張って相手DFラインをけん制する。一方で、GKの朴一圭もビルドアップに積極的に組み込み、低い位置から丁寧に組み立てていこうとする。

そうなると必然的に、最終ラインのビルドアップ部隊と前線に張る3トップとの間には大きなスペースが広がることになる。先ほどの図でいえば赤で示したエリアだ。このスペースがマルコスのプレーエリアだ。

つまるところ、マルコスは攻撃陣と守備陣をつなぐ橋渡しの役割を担っているのである。

後方から運ばれてきたボールを引き受け、前線へ的確に配給していく。相手ゴールへ向かう中継地点であるとともに、攻撃を方向付ける司令塔なのだ

チームの潤滑油であるマルコスがいなくなれば、マリノスの攻撃はリズムが悪くなる。彼が途中交代してから明らかに攻撃がぎくしゃくするという現象が実際に起こっている。現状、彼の代役は見当たらないのだ。チームの心臓として、今のマリノスにマルコスは欠かせない。




視野とテクニックをハイレベルで兼備

なぜマルコスはボールをリズムよく循環させることができるのか。理由は大きく2つある。

ひとつは視野の広さだ。

まず、この視野の広さはスペースを見つけるために生かされる。試合中、マルコスの動きだけを見てみてほしい。彼は常に足を止めない。スペースを見つけてはそこへ入り込み、ボールをワンタッチもしくはツータッチではたいて、またスペースへ走るこれを繰り返すのがマルコスの基本的なプレーだ。このプレースタイルが走行距離というデータにも表れているのだ。

そして、視野の広さはフリーの相手を見つけることにも生かされる。

マリノスの前線にはスピードがある選手がそろっており、裏への飛び出しは一発でゴールへ直結する破壊力がある。彼らの動き出しを見逃さず、正確なパスを供給していくのもマルコスに託された役割だ。

そして、もうひとつがテクニックレベルの高さだ。

前述のように、マルコスはワンタッチやツータッチでシンプルにボールを循環させつつ前線の選手へ決定的なパスを供給する。それを成立させているのが、安定したテクニックなのだ。

グラウンダーのパスはもちろん、浮いたボールの処理も抜群にうまい。その上、相手ディフェンダーからしたらパスコースを切ったつもりでも、マルコスは浮き球を駆使してその上を通すことができる。左右両足を遜色なく使いこなす彼は、これらのプレーが両足から繰り出せる。守る側からしたら厄介この上ない。

ドリブルで何人もかわしていくような派手なプレーではないため目立たないが、少ないタッチでボールを循環させることは決して簡単なことではない。常に周囲を把握して、なおかつ正確なパス出しができる高度なテクニックが必要だ。これらを高次元で兼備しているのが、マルコス・ジュニオールなのだ。

昨年の加入当初はサイドアタッカーとして起用されていたマルコスだが、トップ下に固定されてから本領を発揮し始めた。それは、広範囲に動いてボールを動かし、チームにリズムを生む彼の特性が存分に発揮できるようになったからなのだ。




マルコスはなぜ得点力が高いのか

これまで見てきたように、マルコスは組み立ての局面で非常に大きな役割を担っている。ただ、それだけにとどまらないのがこのマルコスという選手。

昨シーズン、マルコスは加入初年度ながらシーズンで15得点をあげ、いきなりリーグ得点王に輝いたのは前述の通り。そして今シーズンは現時点で9得点を挙げ、得点ランク2位タイという結果を残している。この数値はもちろんチームトップであり、昨シーズンを超えるペースで得点を量産している。

そう、マルコスは組み立て能力が高いだけでなく、非常に高い得点能力を兼ね備えているのだ。

なぜ、マルコスは得点を量産できるのか。その秘訣の答えは、実はもう出ている。

まず、スペースを見つける視野の広さだ。

彼の主なプレーエリアは主に図の赤いエリアだということはすでに述べた通りだ。しかし、チャンスと見るや前線のスペースへと飛び出し、ゴール前で合わせる形も得意としているのだ。ここでもスペースを見つける視野の広さとそこへ入り込むタイミングの感覚が生きているのである。

仙台戦の決勝ゴールはマルコスのタイミングの感覚が生きた象徴的な場面だった。

そして、もうひとつがキックの正確性とそれを左右両足で遜色なく発揮できることだ。

マルコスは身長が170cmを下回るため、パワーがあるわけではない。しかしながら、インフロントでファーサイドに巻くシュートを得意としており、ある程度離れた距離からでもゴールにつなげてしまうレベルの精度を誇る。これが左右両足から飛んでくるのだからキーパーからしたら非常に厄介だろう。

昨シーズンの得点を見てみると、右足が11、左足が4.しかし、右足で決めたゴールのうち5つはPKなので、流れの中からは利き足の右足とそうでない左足でほぼ同じ数のゴールを挙げていることがわかるだろう。今シーズンも、流れの中からでは右足で5つ、左足で3つのゴールを挙げている。

このように、インフロントでこすり上げてファーサイドに沈めるシュートが得意。また利き足出ない左足でも高精度なシュートを繰り出せる。ガンバ戦での得点は象徴的な場面だ。

ゴール後は「かめはめ波」パフォーマンスを見せることでおなじみだ。

 




 

守備にも献身的に走る

攻撃面で非常に高い能力を持つマルコス・ジュニオール。それでは、守備面はどうなのだろうか。

マルコスは守備での貢献度も高いボールをロストした瞬間守備に切り替えて相手にプレッシングを敢行する。自分がボールを失った場面ではこの切り替えが特に早い。パスを出したその足ですでに一歩目を踏み出しているようなレベルである。

前述の通り非常に広範囲を動いて攻撃を組み立てながら、守備時にもさぼらず、むしろ攻撃時よりもフルスプリントで相手にプレッシャーをかける。この献身性は、外国籍選手の中では突出しているといっていい。

攻撃時にも守備時にも動きを止めないマルコスの走行距離がリーグトップレベルになるのも納得である。

 




 

あとがき

いかがだっただろうか。

マルコス・ジュニオールがいかにマリノスの戦術の中で重要な役割を担っているのか、そして彼自身の能力がいかに高いかがお分かりいただけただろうか。

シーズン序盤戦はつまずきながら、ここにきて復調の気配を見せているマリノス。その中心で輝きを増すマルコス・ジュニオールこそが、その立役者なのである。