【セレッソの若きドリブラー】坂元達裕のプレースタイルを徹底解剖!

【セレッソの若きドリブラー】坂元達裕のプレースタイルを徹底解剖!

2020年7月28日 3 投稿者: マツシタ
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今シーズン開幕前から優勝候補との呼び声高く、ここまで4勝2分1敗とここまで期待にたがわぬプレーを披露しているセレッソ大阪。昨シーズンからメンバー・スタイルともに継続路線を歩み、組織的な戦いで好調を維持。メンバーはほとんど固定されており、その顔触れは昨シーズンとほとんど変わらない。そう、坂元達裕を除いて。

昨冬に王者マリノスに引き抜かれた水沼宏太は昨季主力として活躍し、7得点2アシストと決定的なはたらきを連発していた。彼の穴を埋めるのは容易ではないかに思われた。

しかし、水沼の幻影はもはや拭い去られた。坂本がその後釜としてすんなりフィットしたのだ。まるでチームメイトたちとともに昨シーズンからプレーしているかのようだ。

そんな坂元達裕は、セレッソ大阪でどのようなプレーを見せているのか。そのプレースタイルを徹底的に解剖していく。




坂元達裕の来歴

坂元達裕は群馬県の名門・前橋育英館高校で技を磨き、3年時に高校サッカー選手権大会で準優勝を果たした後、東洋大学に進学。ここでも技術に磨きをかけ、J2のモンテディオ山形に引き抜かれた。

山形時代の坂元達裕

坂元は年代別の代表に選出されてきたわけでもなく、加入当初はそれほど期待されていたわけではなかった。しかし、第1節で途中出場を果たし、早々にJリーグデビューを果たすと、以降の第2節から先発に定着、第3節にプロ初ゴールととんとん拍子に活躍して大ブレイク。結局シーズン通して7ゴール3アシストと山形の昇格プレーオフ進出に大きく貢献。1年でJ1への切符をつかんで見せた。

セレッソ大阪加入以降も第1節から先発出場を続けており、完全にセレッソの主力に定着。そして直近の第7節には待望のJ1初ゴールを決めるなどいよいよ本格ブレイクへ突入しそうな勢いだ。

そんな坂本はいったいどのようなプレーを見せるのか、さっそくプレースタイルを見ていこう。




坂元達裕のプレースタイル

 

「剛」と「柔」の高速ドリブル

坂元のプレースタイルを雑にひとことでまとめてしまうと「ドリブラー」ということになる。しかし、そんなことは誰にでも言えるし言わなくてもわかるので、もっと詳しく見ていこう。

坂元のドリブルの特徴は、スピードと力強さの融合にある。どちらかを持っている選手はたくさんいるが、これをどちらも持ち合わせている選手は多くない。その中でも坂本は特に高次元で馬力とスピードが融合している。

開幕節に見せたドリブルでの持ち上がりからのミドルシュートは坂本のプレースタイルを凝縮させたようなシーンだった。

一度トップスピードに乗った坂本を止めることは容易ではない。トップスピードでもタッチが乱れることがなく、またボールの置き所もいいので相手はボールに触れることすらままならない。おまけに見た目によらず体も強いので多少のフィジカルコンタクトを受けても弾き飛ばして進んでいく力強さがある。

そして、その速さをさらに生かすための「緩急」を習得しているのも大きいだろう。一度ふっとスピードを落とし、相手の足を止める、または相手のタックルを誘う。その瞬間にグッと再加速することで完全に入れ替わり、相手を置き去りにすることができるのだ。坂元はただスピードとフィジカルでゴリ押す選手ではない。とてもクレバーな選手なのだ。




「伝家の宝刀」キックフェイント

彼の緩急の活かし方はそれにとどまらない。彼の最大の武器がキックフェイントだ。このフェイントは坂本がさかんに繰り出す「伝家の宝刀」といっていい得意技だ。キックフェイントを武器にするという意味では、バルセロナのウスマンヌ・デンベレを思い起こさせる。

坂元は左利きの右サイド。内に体を向けた状態で左足でボールを持つと、相手は当然カットインやクロスを警戒する。そこで繰り出されるのがキックフェイントだ。左足でクロスを上げると見せかけて切り返し、一気に加速して縦へ抜き去る。そういう意味で、このキックフェイントもまた「緩急」を生かしたドリブルだといえる。

彼のキックフェイントは、ほかの選手のキックフェイントとは決定的に異なる。ボールを触る直前までクロスと同じモーションなのだ。違うのは足をキックの直前で止め、地面に接地させることだ。下の2枚の写真を見てもらえれば、いかにリアルなモーションなのかがよくわかると思う。

このモーションから…

足を地面に置く。この直後に右方向に急加速して相手を置き去りにする。

このモーションには相手が引っ掛かりやすいこと以外にも、次のタッチが素早く繰り出すことができるという利点がある。足をボールを止めるとともに地面に置くため、ボールにいつでも触ることができる状態になる。そのため、ボールを止めると同時に一気に縦に持ち出すことができる。

ト・トンというリズムだ最初のトで相手の足を止め、直後にトンを繰り出すために相手は対応することができない。実際、このキックフェイントにちゃんと対応できているディフェンダーは見たことがない。

第5節広島戦でオウンゴールを誘ったシーンがそのフェイントから生まれたものだった。動画で実際に見てもらえれば、言っている意味がお分かりいただけると思う。

 




 

バイタルエリアからのミドルシュート

昨季、坂元は7ゴールを上げた。得点能力に関しても間違いない能力を持っている。

彼の主な得点パターンは、ピッチ中央からのミドルシュートだ。下図の赤いエリアからのシュートが彼の最大の得点パターン。右ハーフスペース・中央レーンのバイタルエリアだ。

坂元は中央レーン、右ハーフスペースのバイタルエリアからのミドルシュートを得意とする。

直近のJ1第7節鳥栖戦で決めたJ1初ゴールも、まさにこのエリアからのミドルシュートである。得意な形から奪った、会心の一発だったはずだ。

彼は力強さも持っていることは前述の通りだが、そのパワーはシュートにも生かされる。昨年は直接フリーキックからの得点、さらにハーフウェイラインからの超ロングシュートも決めている通り、シュートパワーはハイレベルだ。

そのパワーを生かし、ペナルティーエリアの外からでもゴールを撃ち抜く。この得意なエリアに侵入する回数が、昨シーズンと比べてまだ少ない印象だ。それゆえになかなかゴールに迫れなかったのだ。これからバイタルエリアに侵入するタイミングを磨き、味方にも理解してもらえば、おのずと得点を重ねるはずだ。

 




 

ボールを引き出す柔軟なポジショニング

ゴール前での坂元がいかに驚異的であるかはよくおわかりいただけたかと思う。それでは、ビルドアップ時の坂元のポジショニングはどうなのか。

シーズン開幕当初は、得意のドリブルを生かすためにサイドライン際に張ってボールを待つことが多かった。代わりに、右サイドバックの松田が偽サイドバック的な動きで右のハーフスペースに入り込んでいた。

松田がハーフスペースへ入り込むことで、坂元へのパスコースを提供する。

しかし、時間を経るにつれて坂元がハーフスペースに入り込み、松田は右のアウトサイドに残るようになっていった。

右ハーフスペースへ侵入し、主にマテイ・ヨニッチからの縦パスを引き出す。

実は、坂元は山形では右のシャドーでプレーしていた。右のハーフスペースが主戦場だったのだ。そのため、狭いスペースでのプレーも苦にしない

相手は坂元の突破力をわかっているので、スペースに入り込んだ坂元にボールが入ると当然、坂元に引き付けられる。そこで坂元はワンタッチでボールを離す。自分に相手を引き付てすぐボールを離すことで、空いたスペースを味方が有効活用できるよう促しているのだ。

坂元にボールが入ると、相手プレイヤーがひきつけられる。そこで、坂元はダイレクトでボールを離す。

坂元に相手がひきつけられたことによってスペースが生まれた。ここを味方選手が活用する。

坂元は単独での突破だけでなく、こうしたクレバーなプレーでもチームに貢献しているのだ。前述のように、松田との連携もすでに構築できているようだ。

 




 

坂元達裕の課題

 

守備面での貢献

それでは、最後に坂元達裕の課題についても見ていこう。

まず何といっても、守備面だ。ここについては改善が必要だ。

前述のように、坂元には圧倒的な機動力がありながら、ボールへのプレッシャーが十分ではない。ボールの移動中、相手がボールをトラップするまでにもっと距離を詰めてプレッシャーを強かけ、相手のボールタッチが乱れればすぐに体を入れられるくらいまで距離を詰めたいところだ。

これはチームでの決め事なのか、過密日程によるコンディション面の問題なのかもしれない。しかし、もし坂元が今後ヨーロッパでプレーしようとするならば、改善されなければならない部分になるだろう。

また、前線からのプレッシング時に切るべきパスコースが切れていないことが多い印象だ。チームの組織的なプレッシングを機能させるうえで、これは必須の守備テクニックだ。チームとして網をかけるときに、その網に穴が開いてしまうようなものだ。

ボールを奪う力、プレッシング時のコース取り。両面において、坂元はまだ改善点がある。

 




 

中央への進出

そしてもうひとつの課題が、ゴールへ直結する動きだ。

前述のように、坂元はゴール正面からのシュートを得意とする。しかし、セレッソ加入後の坂元はあまりこのエリアに進出できていない。右サイドのアウトサイドで崩しに専念している印象だ。これはチームの戦術上の要請もあるが、山形時代とのポジションの違いもあるだろう。

山形時代の坂元がシャドーを務めていたことはすでに述べた。つまり、もともとゴール中央に近い場所がスタートポジションだったのだ。対してセレッソでは右サイドハーフ。ひとつ外のポジションを務めている。

とはいっても、J2時代の坂元は右サイドの外の位置で受けても、自らドリブルで持ち運んで中央へ持っていくプレーも見せていた。しかし、J1ではそう簡単にはピッチを横断させてくれない。

このように、崩しの局面で絶大な効果を発揮している反面、得点という部分では試行錯誤をしている印象だ。

もっとも、先ほどから取り上げているJ1の初ゴールは、坂元の得意な形が出せた典型的なパターンだった。チームが負けている状況で、得点をとるためにチームの戦術に背いてでも得点を取りに行った結果だったように見えた。これを機に、タイミングよく中央に侵入していく形をチームに理解してもらい、プレーに取り込んでいければ、おのずと得点を重ねていけるように思う。

 




 

あとがき

いかがだっただろうか。

すでにJでも屈指の局面打開力を備えている坂元達裕はしかし、これから改善していくべき課題も抱えている。しかし、坂元はまだ23歳の若武者だ。順調に成長していけば、日本を代表するドリブラーとして長く活躍していくことができるはずだ。その先には海外移籍、そして日本代表への招集も見えてくるはずだ。

今後の活躍を楽しみにしながら、坂元の成長を見守っていきたい。

 

 

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