【コロナ危機はまだ序章⁉】『人類と地球の大問題』を読んでみた

【コロナ危機はまだ序章⁉】『人類と地球の大問題』を読んでみた

2020年5月11日 1 投稿者: マツシタ
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新型コロナウイルスの感染拡大によって日常が失われてから2か月ほどたつだろうか。感染拡大を食い止めるため政府は緊急事態宣言を発令。みなさん生活に制限を受けながら過ごしていることだろう。さらに、経済活動が広く停止されることによって様々な分野で経済的に困窮している個人・集団が多発している。私たちは今、間違いなく数年後には教科書に掲載されるような歴史的危機の真っただ中にいるのだ。

しかし、我々に迫る危機はコロナウイルスだけではない。今後世界規模で立ち向かわなければならないことが確定的な脅威は、まだまだたくさんあるのだ。

人類に近い将来立ちはだかるだろう脅威についてまとめたのが、丹羽宇一郎氏の著作『人類と地球の大問題』(PHP新書)である。

本書では気候変動(地球温暖化)、人口増加、水、食料、エネルギー・自然災害の5つの省に分けて、人類に対する危機を取り上げている。

今回の記事では、この中から日本に関する部分だけをピックアップして見ていこうと思う。

 

悲観的にならざるを得ない日本の危機対応能力

今回の危機で政府は改めて対応力のなさを露呈した

日本は元来災害が多い国だ。それゆえ、国民の防災意識は他国と比べて非常に高い。しかし、この国民の高い防災意識がなければどうなってしまっていたのか、と感じる。

今回のコロナ騒動で、政府は何の役にも立たなかった。他国が行っている国民への一律給付を渋り、先進国の中では最後まで給付を発表しなかった。その代わりに公表していたマスク2枚の配布、いわゆるアベノマスクも東京都以外ではいまだ配布されないままだ。マスクが届けられる前に終息に向かっている地域も見られる。

民間が各所にアルコール消毒を配し、外出自粛を呼びかけ合うなど国民の力でここまで持ちこたえている感が強い。

 

危機に弱い国家、日本

では、なぜ政府は効果的な対策を打てなかったのか。もっと言うと、なぜ一律給付をできなかったのか。さすがに国民をいじめたいわけではあるまい。私は、政府に金がないからだと考える。

現在、日本はGDP比200%を超える巨額の借金を抱えており、この世界一の債務超過は年々増え続けている。急速な人口減少が続くとみられる今後の日本がこの借金を解消することは、不可能だと考えていい。

さらに、日本は食糧とエネルギーの自給率が先進国で最低だ。日本は世界一の食糧輸入国であり、エネルギーの自給率に至ってはわずかに4%しかない。輸入が途絶えれば日本はたちまち危機に陥るだろうことは議論を待たない。もしコロナ危機が長引いて食糧が不足し、輸出国が自国を優先して日本への輸出が止められたら…日本はアウトである。エネルギーにしてもしかりだ。

これほど急速に人口が減少していて巨額の借金を抱え、食料もエネルギーも自給率が圧倒的に低い国家は世界中見渡しても存在しないし、これまでの人類の歴史上出現したことはない日本は危機への耐性が極めて低い国家だということができるだろう。

 

 

水・エネルギー・食糧は三位一体

グローバルな視点を今こそ

このように、日本はその生活をほぼ全面的に外国に頼っているにもかかわらず、グローバルな視点でこれらの問題について考えている国民はまだまだ少ないように感じる。日本が貿易立国である以上、世界の諸問題と無関係ではいられないのだ。

それでは、ここからはより具体的に諸問題についてみていこう。

まず、「水・エネルギー・食糧は三位一体」という本文中のキーワードをお伝えしておこう。これらはそれぞれ密接に関係しており、どれか一つでも欠けるとバランスを大きく崩してしまう。この3要素は一つのものとしてみていく必要があるのだ。

 

水資源は豊かな日本だが

日本という国は降水量が多く、水資源は最も豊富な部類に入るだろう。それゆえ、日本で暮らす我々にはなかなか実感がわかないが、世界的に見て水資源は非常に貴重だ。温暖化の影響で干ばつが各地で頻発し、国際化線沿線ではその河川水をめぐって紛争が起こるほどだ。

日本は水資源が豊かだからといってこの問題と無縁でいられるかというと、決してそうではない。当然、水不足という世界的課題も日本と無関係ではない。

というのも、水資源を最も利用しているのが農業なのだ。世界の淡水利用のうち実に7割を農業用水が占めるのだという。つまり、水資源の不足は食糧の不足に直結するということだ。

 

これまでの生活スタイルを見直す必要が出てくる可能性も

現在、世界の食料輸入の1割を日本が占めており、世界一の食料輸入国として君臨している。日本の食料自給率はカロリーベースで39%と先進国最低。今後人口が減っていくと考えても、もし食糧の輸入が止まれば国民の半分以上が餓死することになる

ある統計によれば、地球上で得られる食糧で養える人口は、100億人が限界といわれているしかし、今後の人口増加の予測によれば、2062年には世界人口が100億人を突破する。人口予測の統計は経済予測の統計の何倍も精度が高く、人口爆発によって食糧不足という大問題が人類を襲うのは火を見るよりも明らかだ。

また、人類の生活を支えるために必要な土地の総面積をあらわす「エコロジカル・フットプリント」によると、全人類が日本人と同水準の生活を営むと仮定した場合、地球2.4個分の面積が必要になるという。これらを考えると、今後我々の生活スタイルは見直さざるを得なくなるだろう。でなければ、人類は破滅に向かう。

 

エネルギー自給率4%の危機感

そして、エネルギーである。日本のエネルギー自給率は、わずかに4%。これは非常に危機的な数値だと言っていい。もし中東で大規模な戦争が起こって、日本へのエネルギーの輸出が止められたら、日本はそれだけで崩壊するだろう。現代都市において、エネルギーがなくなるということはその機能が全面的に破壊されることを意味する。

日本は水資源の豊かさと技術力の貢献もあり、水道水をそのまま飲めるという世界的に非常に恵まれた環境にある。しかし、この安全な水はエネルギーを使って施設まで運ばれ、浄化されたものだ。そもそもエネルギーが断たれれば、日本の豊かな水資源も何の意味もなさないということだ。

 

日本固有のエネルギー

しかし、エネルギーに関しては、日本には打開策があると考えている。それは地熱発電だ。

日本は世界3位の恵まれた地熱資源を誇っている。この地熱というエネルギーは安定した供給が期待できるという点において、風力や太陽光などの気候の影響を受ける再生可能エネルギーよりも優れている。さら。地熱発電はコストが低く、二酸化炭素を全く出さないなど環境にも優しい。まさに特大のポテンシャルを秘めている。世界的にも手に入る地域が限られているこの最強の資源を活かさない手はない。

しかし、日本の発電は多くが火力と原子力に頼っている。実は、地熱資源を得られる地域はたいていが国定公園や国立公園に指定されており、温泉資源をはじめ観光資源として活用されている。エネルギーと観光でバッティングしてしまっているのだ。

しかし、化石燃料はいずれ尽きる。必ずだ。実際に尽きてからさてどうしようかでは遅い。地熱エネルギーは地球が老いない限り尽きない無尽蔵のエネルギーだ。手遅れになる前に、多少観光資源を犠牲にしてでも地熱エネルギーの活用を進めていく必要があると思う。

そしてもう一つ、注目なのだ日本近海に大量に埋蔵されているというメタンハイドレートだ。この新資源候補は陸地から離れた海底に存在するため採掘が難しい。現在は採掘技術が確立されていないため活用されていないが、南海トラフをはじめすでにその存在は確認されており、これを採掘できるようになれば日本は一気に資源峡谷に躍り出る可能性もある。今後の技術発展に期待したい。

 

 

いかがだっただろうか。

最後に、本文25ページから意味深げな言葉を引用しよう。

「私が懸念するのは、人間が地球になしてきた行為に対して、地球はいつか必ず反乱を起こすということだ。」

人類が登場して以降、特に産業革命以降はこれまでの地球史上類を見ない速さで環境が変動している。もしかしたら、地球にとってみれば人類がコロナウイルスのようなものかもしれない。事実、世界的に人類が活動を自粛して以降に大気汚染が改善され、二酸化炭素濃度の低下が確認されるなど、人類が止まれば地球が健康になることが証明されつつある。

今、人類が行ってきた行為が人類に跳ね返って襲いかかろうとしている。今回のコロナウイルス危機は、その序章かもしれない。

問題は世界各地で起きており、日本にかかわるもの以外にもたくさんある。それらは今回の記事では触れられなかったので、ぜひ本書を実際に手に取って確認してみてほしい。

それでは今日はここらへんで失礼します。