JK産業から見る日本社会の深い闇 『女子高生の裏社会』を読んでみた

JK産業から見る日本社会の深い闇 『女子高生の裏社会』を読んでみた

2020年1月17日 0 投稿者: マツシタ
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日本社会の裏の側面である、女性をお金で買う産業。近年、そこに女子高生が参入してきている。未成年である彼女たちがなぜこのような世界に入ってきてしまっているのか。そこには、日本社会の深い闇が関係しているのだ。

光文社新書から出ている、仁藤夢乃さんの『女子高生の裏社会』を読んだ内容から、このことについて書いていこうと思う。

 

「関係性の貧困」に陥る少女を巧妙に取り込む

このような産業に取り込まれている少女は「関係性の貧困」に陥っている。貧困や虐待などにより、家族や学校に頼れないような状態の少女だ。

このような少女たちに、裏社会は仕事という「居場所」を提供していく。「関係性の貧困」に陥る彼女たちにとって常連客ができれば、自分が必要とされ「役割」を得たような感覚に陥る。今まで関係性がなかったのに、関係性ができることで、そこに依存してしまうのだ。

また、JK産業の施設の近くには寮があることも多く、家出して地方からあてもなく出てきた少女、ネカフェで寝泊まりしているような少女に、仕事と寝床を提供する。彼女たちは彼らを親切な人だと感じてしまう。

そして、JK産業のバイトは基本的に自由出勤。やめようと決心したとしても、自由出勤なので仕事に来ようが来まいが所属はなくならない。結果として、お金が足りなくなって数日だけ稼ぎに戻ってくる少女も後を絶たないのだという。

このように、JK産業は少女たちが容易に抜け出せないような構造を作り上げている。実に巧妙なのだ。

 

性的なことを告発しにくい日本社会

そして、今の日本社会は、彼女たち社会的弱者が声を上げにくい構造になっている。

例えば、性被害を受けたとしても、それについて告発することは彼女たちにとってむしろリスクとなりうる。性被害を告発することで、周囲からの好奇の視線を向けられたり、取り調べで被害を受けた状況を再現させられて苦しんだり、ひどい時にはなぜそんなところを一人で歩いていたのだ、なぜそんな格好をしていたのだなど、被害者側のせいにされることもあるという

このように、性被害を受けた人たちへの偏見や誤解などにより、さらなる心理的・社会的ダメージを負うことを、セカンドレイプという。通常なら擁護されるべき性被害者がむしろ苦しめられてしまうセカンドレイプが横行していることで、被害者が声を上げづらい社会になってしまっている。

性産業とて、別問題ではない。このような産業に従事することが悪いことだと言われれば言われるほど、罪悪感から彼女たちは声を上げづらくなってしまう。こうしてJK産業の外との関係が断たれていき、産業内の関係に依存していってしまうのだ。

 

社会の大きな変革が求められる

このような状態を脱却するためには、社会自体を大きく変える必要があるだろう。

日本の教育では、女性や子供が性被害者にならないための教育は盛んにおこなわれているものの、男性が加害者にならないための教育はほとんど行われていない。本来非難されるべきは加害者側なのに、だ。このような社会で本当に男女平等をうたえるのか。被害者の自己責任にするような社会で良いのだろうか。

裏社会のスカウトたちは、少女たちを見捨てない。困っていたら相談に乗り、相性が悪かったら他のお店を紹介したりして、何とか業界にとどめようとするのだ。一方、表社会の人たちは、自分の管轄外のことには関与しようとしない。支援機関も就職先が決まったら少女のその後をフォローしないことがほとんどだ。

本当に奮闘するべき人たちが裏社会のスカウトに負けていては、問題が解決するはずがない。いい意味で少女にしつこく声をかけ、励まし、社会復帰まで寄り添うことが求められている。