SNSによってリアルとネットが逆転していく!? 『スマホが起こす「自分病」って何?』を読んでみた

SNSによってリアルとネットが逆転していく!? 『スマホが起こす「自分病」って何?』を読んでみた

2019年12月21日 0 投稿者: マツシタ
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現代人のほとんどがSNSを利用している。きっと今この記事を読もうとしているあなたもLINE、Twitter、Instagramなど、何らかのSNSを利用しているはずだ。

そのSNSが現代人の心に重大な影響を及ぼしていると継承するのだ、精神科医であり執筆家である和田秀樹氏だ。

彼によると、SNSを頻繁に利用する現代日本人の多くは「自分病」と呼ばれる症状に陥っているというのだ。「自分病」とは何なのか、現代日本人に襲い掛かる深刻な問題とは何なのか。『スマホが起こす「自分病」は何?』の内容と、これを読破した私の感想を交えて書いていこうと思う。

 

自分病とは何なのか?

自分病とは何なのかを考える前に、SNSの特徴についてまとめてみよう。

今の(日本の)SNSは、同調圧力が非常に強いことは皆さんも感じるところだろう。ちょっとしたことが大炎上する。面白い投稿はバズる。この2つはSNSに特徴的に見られる現象だが、いずれもみんながやっていることに同調することによっておこる現象だ。

みんなが叩いているから、自分も叩く。それが積み重なって大きなマイナスエネルギーになり、過剰に批判される人がいる。

みんなが「いいね」しているから、自分も「いいね」する。それが積み位重なって大きなプラスのエネルギーになって、バズが発生する。人気者になる人がいるのだ。

こうなってくると、人々は周りのみんなの反応が気になってくる。少しでも変なところがあれば、叩かれる。少しの間違いが炎上につながる。「みんな」にウケがいいことをすれば「いいね」が集まって人気者になれる。とにかく変わったものを排除し、みんなと同じであることを求める強い同調圧力のもと、人々は常に周りが自分をどう見ているのかを気にしだすのだ。日本という国はこの傾向が海外と比べても特に強い。

こうして、人々は「他人に映るネット上の自分」を気にするあまり、リアルの自分に実体をなくしていく。こうして、ネットの自分に意識が向き、リアルの自分が希薄になっていくことを、著者は「自分病」と名付けている

 

強すぎる同調圧力にマスメディアが加担

このような、とにかく他人に合わせることが善とされる風潮を作っているのはマスメディアだと筆者は主張している。

特に、日本人はテレビの影響を非常に強く受ける国民だ。他の先進国に比べても、日本人はまだまだテレビが大きな影響力を持っている。そのテレビの番組をよく観察してみると、確かに周りに合わせることこそがいいことだ、とにかく多数派に合わせなければならないというメッセージが込められているような場面は多い。

そして、日本のメディアはどの放送局の番組を見てもほぼ同じような内容を報道する。対して、海外では、同じニュースでも様々な切り口から論じる傾向にある。

ニュース番組を見ればそれは一目瞭然だ。海外の放送局は、政府に徹底的に同調するような局もあれば、政府の言うことに真っ向から反対意見を表明する局も見られる。一方、日本の放送局ではどうだろうか。どのニュース番組を見ても同じ内容しか言わない。それをおかしいとも思わないのが、みんな一緒が善だと信じ切る日本国民なのだ。

はっきり言って、日本は言論の自由を装っている。ネットの反政府的な書き込みなどは放置して言論の自由を吹聴しつつ、最も影響力があり、最も国民が信じるテレビメディアはがっちり押さえているのだ。これでは、メディアが規制されている中国と何が違うのかわからない。

 

全体主義の危機!?

筆者は、この現状を非常に危惧している。

筆者によると、日本の現状を憂う内容の本を書こうという案を出版社に提出したところ、あっさり断られたらしい。日本を称賛するような内容でないと売れないからだそうだ。日本は、世界的に見ても自画自賛の風潮が強い国だ。世界からは、ずっと前からわかっていた少子高齢化という未曽有の危機への対策を怠った、怠慢で落ち目の国だと思われているにもかかわらずだ

これもテレビの影響が強いだろう。「日本スゴイコンテンツ」が連日のように報道されているのは皆さんもお分かりだろう。こうして危機から国民の目を背けさせ、自らの失敗を包み隠そうとしているのが日本の指導陣なのだ。

このみんなに合わせるのが善だという風潮とテレビを疑いもなく信じてしまう雰囲気は、全体主義に陥る危険があるのではないかとまで筆者は言っている。第二次世界大戦前の日本だ。確かに、全体主義的な思想が登場しても、テレビが言うことならと国民が信じてしまい、あらぬ方向に進んでしまうことは考えうる展開だと私も思う。

 

私は、数年前からテレビを見るのをやめた。そうすると、人々がいかにテレビの影響を受けているかがよくわかる。自分としては「え?」と思うようなことでも、向こうは「みんなやってるから、普通でしょ?」という反応なのだ。みんなやってるから、いいことだ。みんなに合わせて、自分もやる。それでいいのだろうかと、私は思う。